ガッツポーズ
ガッツポーズ(英語:fist pump)とは、喜びのポーズの1つ。拳を握り、両手もしくは片手を掲げる(肘を曲げることが多く、片手の場合はさらに前方へ突き出すことが多い)ことで表現される。なお「ガッツポーズ」という言葉は和製英語である。
概要
[編集]このポーズ自体は昔からあったが、「ガッツポーズ」という言葉が一般向けに使用されたのは1972年のボウリングブームの時期である。学研『週刊ガッツボウル』誌1972年12月14日号に「自分だけのガッツポーズつくろう」というページがあるが、そこでは何人かのプロボウラーのガッツポーズが掲載されている[1]。この言葉のルーツは1960年代の米軍基地内のボウリング場にある。ここぞ、というときにストライクを出したとき「ナイスガッツ」と言っていたのが由来で、その時のポーズを日本人がガッツポーズと呼ぶようになった[2][3]。
1974年4月11日、東京の日大講堂にて、プロボクサー・ガッツ石松がWBC世界ライト級王座を奪取したとき(対戦相手はロドルフォ・ゴンザレス)、両手を挙げて勝利の喜びを表した。この姿を当時スポーツ報知の記者だった柏英樹が「ガッツポーズ」と表現して、この言葉が広く知られるようになった。このことから、4月11日は「ガッツポーズの日」と呼ばれている[4][5]。なお、米川明彦によると「このエピソードがガッツポーズという日本語の語源である」という説は誤り。プロボウラーの矢島純一によると、ボウリング界では早くからガッツポーズという言葉は使われていた[1]。柏英樹も、「ガッツポーズ生みの親」として取材を受けると、その都度否定している[1]。
大福戦争を戦っていた大平正芳(当時は自民党幹事長)は、1978年の自民党総裁選挙の際、初めて開催される予備選挙を見越して全国を遊説していた。派手な振る舞いの苦手な大平は、話を終えて一礼すると素っ気なく立ち去ろうとする。これではまずいと感じた党本部幹事長室長が「幹事長、何かポーズを」をささやいた。大平は振り返ると咄嗟にガッツポーズ。「あー、うー」の大平がいきなりこんなポーズを取ったものだから会場はどよめき大喝采となった[6]。
ガッツポーズに関する規則・不文律
[編集]なお、一部の武道、スポーツではガッツポーズが問題視されることがある。
- 剣道
- 柔道
- 相撲
- 野球
- 本塁打を打った後、三振を取った後などに、派手なガッツポーズを行ってはいけないとされている(野球の不文律を参照)。日本高等学校野球連盟は高校野球は教育の一環との考えから、球児に対してガッツポーズを慎むように指導している。
- 卓球
- 試合中に相手の目を見てガッツポーズをした際には、マナー違反として審判からイエローカードが出されることがある。
脚注
[編集]- ^ a b c 米川明彦『俗語百科事典』朝倉書店、2021年7月1日、144-145頁。ISBN 978-4-254-51068-3。
- ^ 「ガッツポーズのルーツは」『東京新聞』2013年7月24日、朝刊。
- ^ 「はじまり考」『読売新聞』2015年4月7日、夕刊。
- ^ PHP研究所(編集)『話のネタ365日 [五訂版]今日は何の日』(電子書籍)PHP研究所、2011年12月22日。 p87
- ^ “4/11はガッツポーズの日!”. 株式会社ガッツ・ジャパン (2021年4月11日). 2021年10月8日閲覧。
- ^ 奥島貞雄『自民党幹事長室の30年』中央公論新社〈中公文庫〉、2005年、81-82頁。ISBN 4122045932。
- ^ a b フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉~へぇの本~ 9』講談社、2004年。