エンド・オブ・ザ・センチュリー
『エンド・オブ・ザ・センチュリー』 | ||||
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ラモーンズ の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | ロサンゼルス ゴールド・スター・スタジオ、エクスカリバー・スタジオ、デヴォンシャー・サウンド・スタジオ、ソルティ・ドッグ・スタジオ、オリジナル・サウンド・スタジオ[2] | |||
ジャンル | パンク・ロック | |||
時間 | ||||
レーベル | サイアー・レコード | |||
プロデュース | フィル・スペクター | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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ラモーンズ アルバム 年表 | ||||
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『エンド・オブ・ザ・センチュリー』(End of the Century)は、アメリカ合衆国のパンク・ロック・バンド、ラモーンズが1980年に発表した5作目のスタジオ・アルバム。
背景
[編集]初期4作のプロデュースに貢献したオリジナル・ドラマーのトミー・ラモーン(前作『ロード・トゥ・ルーイン』制作時にはバンドを脱退していたが、共同プロデューサーとして引き続き参加)不在で制作された初のアルバムで、フィル・スペクターがプロデュースした[10]。スペクターは1977年にラモーンズのライヴを観て以来、彼らの作品のプロデュースを希望しており、メンバーのうちジョーイ・ラモーンはスペクターの起用に賛成したが、ジョニー・ラモーンは猜疑心を抱いていたという[11]。ジョニーは1982年、「フィルと仕事をするのは大変だったよ、奴は完全主義者で、やり直しや聴き直しが多くて、それでかなりの時間がかかったから」「ロックンロールは自然発生的で、もう少しさっさと終わるべき物だよ」と語っている[1]。なお、本作の制作当時、スペクターがディー・ディー・ラモーンに銃を向けたという噂もあったが、マーキー・ラモーンは2008年、その事件は作り話で「誰かに銃を向けたなんて事実はないよ。確かに、彼(スペクター)は銃の所持許可を得ていたから、そこに銃はあったけどね」と証言している[1]。
収録曲「ベイビー・アイ・ラヴ・ユー」は、スペクターが1963年にプロデュースしたザ・ロネッツの曲のカヴァーだが、選曲はバンド自身により、スペクターは同じくザ・ロネッツの曲である「(The Best Part of) Breakin’ Up」の録音を提案したという[12]。「ロックンロール・ハイ・スクール」は、元々は前作『ロード・トゥ・ルーイン』と同様エド・ステイシアムのプロデュースにより録音された曲だが、シングルおよび映画『ロックンロール・ハイスクール』のサウンドトラックには、スペクターがリミックスしたヴァージョンが使用され、本作ではスペクターのプロデュースにより再録音された[13]。
「ダニー・セイズ」は、ジョーイが当時のガールフレンドのリンダ・ダニエルに捧げたラヴ・ソングだが、ダニエルは最終的にジョーイを振って、ギタリストのジョニーと結婚した[14]。「チャイニーズ・ロック」は、ディー・ディーが当初ラモーンズ用に作ったものの却下され、ジョニー・サンダース&ザ・ハート・ブレイカーズのアルバム『L.A.M.F.』(1977年)に提供した曲「チャイニーズ・ロックス」のリメイクである[15]。「ジャッキー・アンド・ジュディー」は、デビュー・アルバム『ラモーンズの激情』(1976年)収録曲「ジュディ・イズ・ア・パンク」の続編に当たる[16]。
反響・評価
[編集]母国アメリカのBillboard 200では、バンド史上最高の44位に達した[1][8]。全英アルバムチャートでは14位に達し、バンドにとって唯一の全英トップ20アルバムとなった[5]。
Stephen Thomas Erlewineはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「スペクターの精緻な音作りは、"Rock 'N' Roll High School"や"Do You Remember Rock 'N' Roll Radio?"といった曲を活性化させている一方、よりパンク的な曲を抑制してしまう結果にもなった。とはいえ、前作よりも強力な曲が収録されているため楽しめる内容で、彼らが1980年代に発表したレコードの中では良質である」と評している[3]。Ultimate Classic Rockの2017年の企画「Ramones Albums Ranked Worst to Best」では、14作中5位となった[10]。
収録曲
[編集]特記なき楽曲はラモーンズ作。
- リメンバー・ロックンロール・レイディオ? - "Do You Remember Rock 'N' Roll Radio?" - 3:51
- アイム・アフェクテッド - "I'm Affected" - 2:55
- ダニー・セイズ - "Danny Says" - 3:09
- チャイニーズ・ロック - "Chinese Rock" - 2:31
- ジャッキー・アンド・ジュディー - "The Return of Jackie and Judy" - 3:15
- レッツ・ゴー - "Let's Go" - 2:37
- ベイビー・アイ・ラヴ・ユー - "Baby, I Love You" (Phil Spector, Jeff Barry, Ellie Greenwich) - 3:51
- アイ・キャント・メイク・イット・オン・タイム - "I Can't Make It on Time" - 2:34
- ディス・エイント・ハヴァナ - "This Ain't Havana" - 2:19
- ロックンロール・ハイ・スクール - "Rock 'N' Roll High School" - 2:41
- オール・ザ・ウェイ - "All the Way" - 2:29
- ハイ・リスク・インシュランス - "High Risk Insurance" - 2:14
2002年リマスターCDボーナス・トラック
[編集]14. - 18.は、1979年4月19日にエド・ステイシアムのプロデュースにより、ニューヨークのサイアー・スタジオで録音された[2]。
- アイ・ウォント・ユー・アラウンド(サウンドトラック・ヴァージョン) - "I Want You Around (Soundtrack Version)" - 3:05
- ダニー・セイズ(デモ) - "Danny Says (Demo)" - 2:19
- アイム・アフェクテッド(デモ) - "I'm Affected (Demo)" - 2:47
- プリーズ・ドント・リーヴ(デモ) - "Please Don't Leave (Demo)" - 2:22
- オール・ザ・ウェイ(デモ) - "All the Way (Demo)" - 2:31
- リメンバー・ロックンロール・レイディオ?(デモ) - "Do You Remember Rock 'N' Roll Radio? (Demo)" - 3:43
- "End of the Century Radio Promo" - 0:59
参加ミュージシャン
[編集]アディショナル・ミュージシャン
- ダン・ケッセル、デヴィッド・ケッセル - ギター
- バリー・ゴールドバーグ - ピアノ、オルガン
- スティーヴ・ダグラス - サクソフォーン
- ジム・ケルトナー - ドラムス
- ロドニー・ビンゲンハイマー、マリア・モントーヤ、ハーヴェイ・クバーニック、ジェフ・モリソン、フェイスト・フレディー - 手拍子(on #1, #5)
- ショーン・ドナヒュー - ディスクジョッキー(on #1)
脚注
[編集]- ^ a b c d “Deep Dive: Ramones, END OF THE CENTURY”. Rhino Entertainment (2022年2月4日). 2024年5月23日閲覧。
- ^ a b 2002年リマスターCD (8122-78155-2)英文ブックレット内クレジット
- ^ a b Erlewine, Stephen Thomas. “End of the Century - Ramones - Album”. AllMusic. 2024年5月23日閲覧。
- ^ swedishcharts.com - Ramones - End Of The Century
- ^ a b RAMONES songs and albums | full Official Chart history
- ^ Ramones - End Of The Century - dutchcharts.nl
- ^ norwegiancharts.com - Ramones - End Of The Century
- ^ a b “The Ramones - Chart History - Billboard 200”. Billboard. 2024年5月23日閲覧。
- ^ charts.org.nz - Ramones - End Of The Century
- ^ a b Gallucci, Michael (2017年1月9日). “Ramones Albums Ranked Worst to Best”. Ultimate Classic Rock. Townsquare Media. 2024年5月23日閲覧。
- ^ Watts, Peter (2016年9月16日). “The story of the Ramones: "It was a nuthouse - we were the real deal!"”. Uncut. Kelsey Media. 2024年5月23日閲覧。
- ^ Frost, Matt (2023年1月4日). “"Phil Spector would whisper, 'You better not f*** up'": The story of the Ramones' recording of Baby I Love You”. MusicRadar. Future plc. 2024年5月23日閲覧。
- ^ “Rock 'N' Roll High School by Ramones”. Songfacts. 2024年5月23日閲覧。
- ^ “Danny Says by Ramones”. Songfacts. 2024年5月23日閲覧。
- ^ “Chinese Rocks by Johnny Thunders & the Heartbreakers”. Songfacts. 2024年5月23日閲覧。
- ^ “Judy Is A Punk by Ramones”. Songfacts. 2024年5月23日閲覧。
外部リンク
[編集]- エンド・オブ・ザ・センチュリー - Discogs (発売一覧)