L.A.M.F.
『L.A.M.F.』 | |||||
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ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズ の スタジオ・アルバム | |||||
リリース | |||||
録音 | ロンドン エセックス・スタジオ、ランポート・スタジオ | ||||
ジャンル | パンク・ロック | ||||
時間 | |||||
レーベル |
トラック・レコード リイシュー:ジャングル・レコード | ||||
プロデュース | スピーディー・キーン、ダニエル・セクンダ | ||||
専門評論家によるレビュー | |||||
ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズ アルバム 年表 | |||||
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ジョニー・サンダース 年表 | |||||
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『L.A.M.F.』は、ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズが1977年に発表した、同名義では唯一のスタジオ・アルバム。
背景
[編集]元ニューヨーク・ドールズのサンダースとジェリー・ノーランは、リチャード・ヘル(ベース)と共に「ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズ」を結成するが、ヘルは短期間で脱退してビリー・ラス(ベース)とウォルター・ルー(ギター)を迎え、1976年秋にはイギリスでセックス・ピストルズ、ザ・クラッシュ、ダムドと共に「アナーキー・ツアー」に参加した[1]。そして、バンドはトラック・レコードとの契約を得て本作のレコーディングを行うが、バンド側は本作のミキシングに関して不満を抱いていた[2]。
アルバム・タイトルは「Like a Mother Fucker」の略である[1][2]。「チャイニーズ・ロックス」はラモーンズのディー・ディー・ラモーンが提供した曲(ザ・ハートブレイカーズの元メンバーのリチャード・ヘルが作詞に協力した)で、ラモーンズのヴァージョンは1979年に録音され、アルバム『エンド・オブ・ザ・センチュリー』に収録された[3]。
評価
[編集]Brian Flotaはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「過去の所属バンドであるニューヨーク・ドールズに加えて、チャック・ベリー、キース・リチャーズ、ラモーンズ、それにヘロインからの影響も取り入れられており、ジャンキーの悪ふざけが見事にレコード化されている」と評している[4]。『NME』誌が2013年に選出した「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」では396位にランク・イン[5]。
リイシュー
[編集]1984年にはサンダース自身とトニー・ジェイムズによるリミックスが行われ[2]、オリジナルLPとは選曲や曲順が異なるアルバム『LAMF〜復活』(日本盤再発CDのタイトルは『L.A.M.F.リヴィジテッド』)として発売された。サンダースおよびノーランの没後の1994年には、ジャングル・レコード監修によるリマスターCDが発売された[2]。また、2020年には共同プロデューサーのダニエル・セクンダが所有していた、ミキシング前のオリジナル・マスター・テープが発見され、翌2021年にはオリジナル・マスターを元にしたディスク1と、デモ音源などを収録したディスク2から成る『L.A.M.F.〜最終版ファウンド・マスター』が発売された[6]。
収録曲
[編集]特記なき楽曲はジョニー・サンダース作。
オリジナルLP
[編集]- ボーン・トゥ・ルーズ - "Born to Lose" - 3:01
- ベイビー・トーク - "Baby Talk" - 2:20
- オール・バイ・マイセルフ - "All By Myself" (Walter Lure, Jerry Nolan) - 2:50
- アイ・ウォナ・ビー・ラヴド - "I Wanna Be Loved" - 2:31
- イッツ・ノット・イナフ - "It's Not Enough" - 4:01
- チャイニーズ・ロックス - "Chinese Rocks" (Dee Dee Ramone, Richard Meyers) - 2:52
- ゲット・オフ・ザ・フォン - "Get Off the Phone" (W. Lure, J. Nolan) - 1:58
- パイレート・ラヴ - "Pirate Love" - 3:54
- ワン・トラック・マインド - "One Track Mind" (W. Lure, J. Nolan) - 2:33
- アイ・ラヴ・ユー - "I Love You" - 2:21
- ゴーイング・ステディ - "Goin' Steady" - 2:42
- レット・ゴー - "Let Go" (J. Thunders, J. Nolan) - 2:23
『LAMF〜復活』(1984年)
[編集]下記の曲目は1996年再発CD 『L.A.M.F.リヴィジテッド』(TECW-20267)に準拠。1984年のLPは「オール・バイ・マイセルフ」を除く13曲入りだった。
- ワン・トラック・マインド - "One Track Mind" (W. Lure, J. Nolan)
- アイ・ウォナ・ビー・ラヴド - "I Wanna Be Loved"
- パイレート・ラヴ - "Pirate Love"
- レット・ゴー - "Let Go" (J. Thunders, J. Nolan)
- ドゥ・ユー・ラヴ・ミー - "Do You Love Me" (Gordy Jr)
- キャント・キープ・マイ・アイズ・オン・ユー - "Can't Keep My Eyes On You" (W. Lure, J. Nolan)
- ゲット・オフ・ザ・フォン - "Get Off the Phone" (W. Lure, J. Nolan)
- オール・バイ・マイセルフ - "All By Myself" (W. Lure, J. Nolan)
- チャイニーズ・ロックス - "Chinese Rocks" (D. D. Ramone, R. Meyers)
- ベイビー・トーク - "Baby Talk"
- ゴーイング・ステディ - "Going Steady"
- イッツ・ノット・イナフ - "It's Not Enough"
- アイ・ラヴ・ユー "I Love You"
- ボーン・トゥ・ルーズ - "Born to Lose"
1994年リマスターCD (The Lost '77 Mixes)
[編集]ディスク1は、オリジナルLPの曲順に準じた12曲の後に「キャント・キープ・マイ・アイズ・オン・ユー」と「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」を追加した14曲入りで、「チャイニーズ・ロックス」のミュージック・ビデオも含むエンハンスト仕様となった。
ボーナス・ディスク
[編集]- "Born to Lose (Essex Studios demo)"
- "Chinese Rocks (Essex Studios demo)" (D. D. Ramone, R. Meyers)
- "Let Go (Essex Studios demo)" (J. Thunders, J. Nolan)
- "Goin' Steady (backing track)"
- "Baby Talk (backing track)"
- "Pirate Love (backing track)"
- "Born to Lose (backing track)"
- "Chinese Rocks" (backing track) (D. D. Ramone, R. Meyers)
- "Do You Love Me? (Ramport Studio outtake)" (Gordy Jr)
- "Can't Keep My Eyes on You (live)" (W. Lure, J. Nolan)
- "Get Off the Phone (alternate mix)" (W. Lure, J. Nolan)
- "All by Myself (alternate mix)" (W. Lure, J. Nolan)
- "It's Not Enough (alternate mix)"
- "One Track Mind (alternate mix)" (W. Lure, J. Nolan)
- "Too Much Junkie Business (demo)" (J. Thunders, W. Lure)
- "London Boys (demo)" (J. Thunders, W. Lure, B. Rath)
『L.A.M.F.〜最終版ファウンド・マスター』
[編集]曲順は1994年リマスターCDと同様、オリジナルLPの曲順に準じた12曲の後に「キャント・キープ・マイ・アイズ・オン・ユー」と「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」を追加した14曲入りである。
ボーナス・ディスク
[編集]- "Born to Lose (Chris Stamp single mix)"
- "Chinese Rocks (Chris Stamp single mix)" (D. D. Ramone, R. Meyers)
- "Born Too Loose (Essex Studio demo, Feb. '77)"
- "Chinese Rocks (Essex Studio demo, Feb. '77)" (D. D. Ramone, R. Meyers)
- "Let Go (Essex Studio deo, Feb. '77)" (J. Thunders, J. Nolan)
- "I Love You (Jay Nap Studio demo, 1976)"
- "It's Not Enough (Jay Nap Studio demo, 1976)"
- "Do You Love Me (Jay Nap Studio demo, 1976)" (Gordy Jr)
- "Take a Chance (Jay Nap Studio demo, 1976)"
- "Born to Lose (Jay Nap Studio demo, 1976)"
- "I Wanna Be Loved (SBS Studio demo, Jan. '76)"
- "Going Steady (SBS Studio demo, Jan. '76)"
- "Flight (SBS Studio demo, Jan. '76)"
- "Pirate Love (SBS Studio demo, Jan. '76)"
- "Give Her a Great Big Kiss (Riverside Studio demo, Dec. 1977)"
- "Too Much Junkie Business (Riverside Studio demo, Dec. 1977)" (J. Thunders, W. Lure)
- " London Boys (Riverside Studio demo, Dec. 1977)" (J. Thunders, W. Lure, B. Rath)
- "Can't Keep My Eyes on You (live)" (W. Lure, J. Nolan)
カヴァー
[編集]- ボーン・トゥ・ルーズ
- シド・ヴィシャス - 没後発表のライブ・アルバム『シド・シングス』(1979年)に収録。
- プライマル・スクリーム - 2002年録音・2003年発表のライブ・アルバム『ライヴ・イン・ジャパン』に収録[7]。
- アイ・ウォナ・ビー・ラヴド
- イッツ・ノット・イナフ
- プライマル・スクリーム - シングル「ドールズ(スウィート・ロックンロール)」(2006年)のカップリング曲として発表[9]。
参加ミュージシャン
[編集]脚注
[編集]- ^ a b Prato, Greg. “Johnny Thunders & The Heartbreakers Biography, Songs, & Albums”. AllMusic. 2023年6月4日閲覧。
- ^ a b c d Antonia, Nina (1994年7月). “Johnny Thunders & The Heartbreakers: L.A.M.F.”. 2023年6月4日閲覧。
- ^ “Chinese Rocks by Johnny Thunders & the Heartbreakers”. Songfacts. 2023年6月4日閲覧。
- ^ Flota, Brian. “Johnny Thunders & the Heartbreakers, Johnny Thunders - The L.A.M.F. Album Reviews, Songs & More”. AllMusic. 2023年6月4日閲覧。
- ^ “The 500 Greatest Albums Of All Time: 400-301”. NME (2013年10月23日). 2023年6月4日閲覧。
- ^ “ジョニー・サンダース率いるハートブレイカーズ 40年以上の歳月を経て本物の『L.A.M.F.』がCDリリース決定”. amass.jp (2021年8月16日). 2023年6月4日閲覧。
- ^ “プライマル・スクリームのライヴ盤が日本のみで発売に!!”. CDJournal.com. 音楽出版社. 2023年6月4日閲覧。
- ^ “マイケル・モンロー 90年代に率いた "デモリッション23. " 唯一のアルバムが最新リマスターで久々CD再発 - 「Hammersmith Palais」「Dysfunctional」「The Scum Lives On」の未発表デモ音源3曲も追加”. HMV&BOOKS. Lawson Entertainment (2022年10月12日). 2023年6月4日閲覧。
- ^ “Primal Scream's 'Riot' Heads To North America”. Billboard (2006年6月20日). 2023年6月4日閲覧。