コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ウインバリアシオン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウインバリアシオン
2014年日経賞
欧字表記 Win Variation[1]
香港表記 凱旋芭蕾
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 鹿毛[1]
生誕 2008年4月10日(16歳)[1]
登録日 2010年6月17日
抹消日 2015年5月7日[2]
ハーツクライ[1]
スーパーバレリーナ[1]
母の父 Storm Bird[1]
生国 日本の旗 日本北海道安平町[1]
生産者 ノーザンファーム[1]
馬主 (株)ウイン[1]
調教師 松永昌博栗東[1][3]
厩務員 竹邑行生[4]
競走成績
生涯成績 23戦4勝[1]
獲得賞金 5億7994万6000円[1]
勝ち鞍
GII 青葉賞 2011年
GII 日経賞 2014年
テンプレートを表示

ウインバリアシオン(欧字名:Win Variation2008年4月10日 - )は、日本競走馬種牡馬[1]。主な勝ち鞍に2011年青葉賞2014年日経賞。稀代のバイプレーヤーと呼ばれた[5]

馬名は、冠名+「バレエソリストによる踊り」を意味する「ヴァリアシオン」。

経歴

[編集]

2歳時(2010年)

[編集]

8月1日小倉の芝1800mの新馬戦でデビュー。直線抜け出して2着に3馬身差をつけ1番人気に応え、デビュー戦を飾る[6]。続く阪神の野路菊ステークスも2着に2.1/2馬身差をつけて優勝した[7]。しかし年末のラジオNIKKEI杯2歳ステークスは最後の直線で伸びを欠き4着に敗れる[8]

3歳時(2011年)

[編集]

初戦のきさらぎ賞は前走同様に直線での伸びを欠いて4着。続く皐月賞トライアルの弥生賞も7着となり、目標をダービーに変えた。そして青葉賞は追い込みが決まり、重賞初制覇を飾り、ダービーへの優先出走権を獲得した[9]。続く日本ダービーは10番人気と、トライアル優勝馬としては異例の人気薄だった。レースは最後の直線で一度は先頭に立つもオルフェーヴルの強襲に遭って惜しくも2着に敗れたものの、3着のベルシャザールには7馬身の着差をつけた[10]。秋は神戸新聞杯から始動、中団から3-4コーナーで好位の外めまで進出したがオルフェーヴルの2着。そして菊花賞は後方からの競馬で直線での末脚勝負にかけたもののまたしてもオルフェーヴルに2馬身1/2の差をつけられて2着に敗れた[11]。続く初の古馬勢との対戦となったジャパンカップは後方待機から3コーナーで一気に2番手まで押し上げ4コーナーで一度は先頭に立つも直線で伸びを欠き5着に敗れる[12]

4歳時(2012年)

[編集]

初戦の京都記念は最後方からレースを進めるも直線で伸びを欠き6着。日経賞では最後方追走から追い上げるも逃げるネコパンチを捕らえきれず2着に敗れた。天皇賞(春)では中団に位置し、最後の直線で脚を伸ばすがビートブラックの3着[13]。このレースはオルフェーヴル(11着)に唯一先着したレースであった。続く宝塚記念では前走同様に中団からのレースだったが、思いのほか伸びを欠き4着[14]。その後左前浅屈腱炎を発症し、長期休養に入った[15]

5歳時(2013年)

[編集]

1年半近い長期休養を経て、復帰戦として2013年11月30日の金鯱賞に出走し、久々のレースにもかかわらずカレンミロティックの3着に入って力のあるところを示した。12月22日の第58回有馬記念に出走、懸命な走りを見せたが、3歳時の好敵手だったオルフェーヴルに8馬身差をつけられて2着となった。

6歳時(2014年)

[編集]

初戦の日経賞では岩田康誠が騎乗し、2011年の青葉賞以来1064日ぶりに勝利した。そして天皇賞(春)では、当初騎乗予定であった岩田が騎乗停止のためにアンドレアシュ・シュタルケに乗り替わりとなるはずだったが、シュタルケが当日の第5Rで落馬負傷したために武幸四郎が急遽騎乗することとなった。レースでは直線良く追い込むも先に抜け出したフェノーメノを捕らえきれず、GIでは4度目の2着に惜敗した[16]。宝塚記念7着後、左前脚の屈腱炎を再発した[17]。復帰戦の金鯱賞は15着、続く有馬記念は12着と敗れた。

7歳時(2015年)

[編集]

初戦は日経賞に出走。鞍上は弥生賞以来となる福永祐一が務めることとなった。直線で内側から伸びるも1馬身3/4差の2着となった。5月3日の天皇賞(春)に出走。中団から手応え良く直線を向いたが、直線半ばで失速。惰性で12着入線し直後に騎手の福永祐一が下馬。検査の結果、左前浅屈腱不全断裂による競走能力喪失と診断された[18]

6戦で鞍上を務めた安藤勝己元騎手によると、すでに3歳の頃から歩様がおかしかったとのこと[19]

引退後

[編集]

引退後は種牡馬となる予定とJRAからは発表されたが[20]ノーザンファームしがらき乗馬となることがウインの公式サイトで発表された[21]。しかし状況は二転三転し、青森県十和田市のスプリングファームで種牡馬入りすることが発表され[22]、現在も同牧場でオールブラッシュと共に種牡馬として繋養されている[23][24][25]。種牡馬入り初年度の2016年は35頭の牝馬に種付けを行い[26]2017年2月20日深夜に初仔が誕生した[27]

2020年3月7日中京3Rでドスハーツが勝利し、産駒の初勝利を挙げた[28]

2021年、バリコノユメが同産駒初めての重賞チューリップ賞に挑んだが、10番人気でメイケイエールの11着に沈んだ[29]

競走成績

[編集]
年月日 競馬場 競走名 頭数 オッズ
(人気)
着順 騎手 斤量
[kg]
距離(馬場) タイム
(上り3F)
タイム
勝ち馬/(2着馬)
2010.08.01 小倉 2歳新馬 16 03.5 0(1人) 01着 福永祐一 54 芝1800m(良) 1:49.3 (34.4) -0.5 (タガノエベンヌ)
0000.09.19 阪神 野路菊S OP 8 02.8 0(2人) 01着 福永祐一 54 芝1800m(良) 1:47.7 (33.9) -0.4 メイショウナルト
0000.12.25 阪神 ラジオNIKKEI杯2歳S GIII 15 04.9 0(3人) 04着 福永祐一 55 芝2000m(良) 2:02.3 (35.5) -0.1 ダノンバラード
2011.02.06 京都 きさらぎ賞 GIII 12 02.8 0(1人) 04着 福永祐一 56 芝1800m(良) 1:48.0 (33.6) -0.4 トーセンラー
0000.03.06 中山 弥生賞 GII 11 13.3 0(6人) 07着 福永祐一 56 芝2000m(良) 2:01.3 (34.3) -0.3 サダムパテック
0000.04.30 東京 青葉賞 GII 18 14.5 0(6人) 01着 安藤勝己 56 芝2400m(良) 2:28.8 (33.6) -0.1 (ショウナンパルフェ)
0000.05.29 東京 東京優駿 GI 18 24.4 (10人) 02着 安藤勝己 57 芝2400m(不) 2:30.8 (34.7) -0.3 オルフェーヴル
0000.09.25 阪神 神戸新聞杯 GII 11 04.5 0(2人) 02着 安藤勝己 56 芝2400m(良) 2:28.7 (33.2) -0.4 オルフェーヴル
0000.10.23 京都 菊花賞 GI 18 07.8 0(2人) 02着 安藤勝己 57 芝3000m(良) 3:03.2 (34.3) -0.4 オルフェーヴル
0000.11.27 東京 ジャパンC GI 16 14.7 0(7人) 05着 安藤勝己 55 芝2400m(良) 2:24.7 (35.0) -0.5 ブエナビスタ
2012.02.12 京都 京都記念 GII 9 03.5 0(2人) 06着 安藤勝己 56 芝2200m(良) 2:13.4 (33.2) -1.0 トレイルブレイザー
0000.03.24 中山 日経賞 GII 14 06.3 0(2人) 02着 武豊 56 芝2500m(重) 2:38.0 (35.7) -0.6 ネコパンチ
0000.04.29 京都 天皇賞(春) GI 18 09.8 0(2人) 03着 武豊 58 芝3200m(良) 3:14.8 (33.5) -1.0 ビートブラック
0000.06.24 阪神 宝塚記念 GI 16 07.9 0(3人) 04着 岩田康誠 58 芝2200m(良) 2:11.7 (35.8) -0.8 オルフェーヴル
2013.11.30 中京 金鯱賞 GII 14 11.0 0(8人) 03着 藤岡康太 56 芝2000m(良) 2:00.1 (34.6) -0.5 カレンミロティック
0000.12.22 中山 有馬記念 GI 16 16.1 0(4人) 02着 岩田康誠 57 芝2500m(良) 2:33.6 (37.3) -1.3 オルフェーヴル
2014.03.29 中山 日経賞 GII 15 02.0 0(1人) 01着 岩田康誠 56 芝2500m(良) 2:34.4 (33.9) -0.3 (ホッコーブレーヴ)
0000.05.04 京都 天皇賞(春) GI 18 06.5 0(3人) 02着 武幸四郎 58 芝3200m(良) 3:15.1 (34.1) -0.0 フェノーメノ
0000.06.29 阪神 宝塚記念 GI 12 03.0 0(2人) 07着 岩田康誠 58 芝2200m(良) 2:14.8 (35.6) -0.9 ゴールドシップ
0000.12.06 中京 金鯱賞 GII 17 05.4 0(3人) 15着 藤岡康太 57 芝2000m(良) 2:00.9 (36.1) -2.1 ラストインパクト
0000.12.28 中山 有馬記念 GI 16 34.9 (10人) 12着 藤岡康太 57 芝2500m(良) 2:35.9 (34.1) -0.6 ジェンティルドンナ
2015.03.28 中山 日経賞 GII 12 07.3 0(5人) 02着 福永祐一 57 芝2500m(良) 2:30.5 (34.7) -0.3 アドマイヤデウス
0000.05.03 京都 天皇賞(春) GI 17 15.8 0(6人) 12着 福永祐一 58 芝3200m(良) 3:15.8 (35.6) -1.1 ゴールドシップ

血統表

[編集]
ウインバリアシオン血統サンデーサイレンス系 / Northern Dancer 18.75% 5x3x5、Almahmoud 6.25% 5x5) (血統表の出典)

ハーツクライ
2001 鹿毛
父の父
*サンデーサイレンス
Sunday Silence
1986 青鹿毛
Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
父の母
アイリッシュダンス
1990 鹿毛
*トニービン *カンパラ
Severn Bridge
*ビューパーダンス Lyphard
My Bupers

* スーパーバレリーナ
1994 鹿毛
Storm Bird
1978 鹿毛
Northern Dancer Nearctic
Natalma
South Ocean New Providence
Shining Sun
母の母
*カウントオンアチェンジ
1987 栗毛
Time for a Change Damascus
Resolver
Count On Kathy Dancing Count
War Exchange F-No.19-C

逸話

[編集]
  • 菊花賞の後、竹邑行生厩務員は、周囲から「オルフェーヴルと同世代でなければ」と声をかけられることも多くあったと言うが、それを否定して「悔しいけれど、あの馬がいるからこそまたがんばろうという気持ちになる。いつかまた一緒に戦って、負かしたい」と発言している[30]
  • 中山義一調教助手は、2012年天皇賞(春)の直前インタビューにて「正直なところ、競馬界にとってオルフェーヴルは負けてはいけない馬だと思っていますが、ウインバリアシオンの厩舎スタッフとしては、もし負かせるならこんなに嬉しいことはありません。前走のオルフェーヴルように強い馬が負ける場合は、負ける要素を含んだレースになってしまいがちですが、私としてはそう言った要素がなく、五分でレースをして勝ち負けして欲しいという願望はあります。またウインバリアシオンはそれぐらいの能力を秘めている馬だと手応えを感じています。」と語っている[31]
  • 中山は、2013年有馬記念の後のインタビューで「オルフェが居てくれての競馬でよかったなあ、と僕らは思うんです。勝てなかったけど、届かなかったけど、もしオルフェが居ない中で勝ったところで、何か拍子抜けというか、納得がいかなかったかもしれないです。最後に対決できてよかった。」と語っている[32]

脚注

[編集]

注釈

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o ウインバリアシオン”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2023年1月24日閲覧。
  2. ^ ウインバリアシオン引退、種牡馬に”. ラジオNIKKEI. 2022年7月2日閲覧。
  3. ^ ラストシーズンに懸けるG1タイトルをウインバリアシオン”. 競馬ラボ. 2015年6月3日閲覧。
  4. ^ 屈腱炎から復活―バリアシオン完成の域 同期オルフェと最後の戦いへ“攻める””. スポーツナビ. 2015年6月3日閲覧。
  5. ^ Jin (2015年5月3日). “稀代のバイプレーヤー!ウインバリアシオンとステゴ産駒の“闘争”の歴史”. 競馬TIMES│予想・結果・ニュースの無料ネットケイバサイト. 2024年10月21日閲覧。
  6. ^ ハーツクライ産駒ウインバリアシオンが快勝/小倉新馬”. netkeiba.com. 2017年6月20日閲覧。
  7. ^ ウインバリアシオン、他馬を寄せ付けずデビュー2連勝/野路菊S”. netkeiba.com. 2017年6月20日閲覧。
  8. ^ “第27回 ラジオNIKKEI杯2歳S”. 日本中央競馬会. (2010年12月25日). https://jra.jp/datafile/seiseki/replay/2010/109.html 2017年6月19日閲覧。 
  9. ^ “第18回 テレビ東京杯青葉賞”. 日本中央競馬会. (2011年4月30日). https://jra.jp/datafile/seiseki/replay/2011/044.html 2017年6月19日閲覧。 
  10. ^ “第78回 東京優駿(日本ダービー)”. 日本中央競馬会. (2011年5月29日). https://jra.jp/datafile/seiseki/g1/derby/result/derby2011.html 2017年6月19日閲覧。 
  11. ^ “第72回 菊花賞”. 日本中央競馬会. (2011年10月23日). https://jra.jp/datafile/seiseki/g1/kikka/result/kikka2011.html 2017年6月19日閲覧。 
  12. ^ “第31回 ジャパンカップ”. 日本中央競馬会. (2011年11月27日). https://jra.jp/datafile/seiseki/g1/jc/result/jc2011.html 2017年6月19日閲覧。 
  13. ^ “第145回 天皇賞(春)”. 日本中央競馬会. (2012年4月29日). https://jra.jp/datafile/seiseki/g1/haruten/result/haruten2012.html 2017年6月19日閲覧。 
  14. ^ “第53回 宝塚記念”. 日本中央競馬会. (2012年6月24日). https://jra.jp/datafile/seiseki/g1/takara/result/takara2012.html 2017年6月19日閲覧。 
  15. ^ “ウインバリアシオン浅屈腱炎発症”. 東スポWeb. (2012年9月20日). https://web.archive.org/web/20121029103313/http://www.tokyo-sports.co.jp/race/horse/40017/ 2017年6月19日閲覧。 
  16. ^ 【天皇賞・春】ウインバリアシオン悲願ならず 幸四郎悔しさあらわ スポーツニッポン 2014年5月5日閲覧
  17. ^ ウインバリアシオン、金鯱賞で復帰へ”. スポニチ Annex. 2021年8月28日閲覧。
  18. ^ 【天皇賞・春】バリアシオン能力喪失 デイリースポーツ online 2015年5月4日閲覧
  19. ^ [1]
  20. ^ ウインバリアシオン引退、種牡馬に”. netkeiba.com. 2017年6月20日閲覧。
  21. ^ 近況 - ウインバリアシオン - ウインレーシングクラブ 2015年5月7日閲覧
  22. ^ ウインバリアシオンが青森で種牡馬入り決定も…待ち受ける厳しい現実 - 競馬TIMES 2015年5月24日閲覧
  23. ^ 青森産のウインバリアシオン産駒バリコノユメ 桜花賞切符目指してチューリップ賞へ 藤懸「一発狙います」 - スポニチ Sponichi Annex ギャンブル”. スポニチ Sponichi Annex. 2022年1月6日閲覧。
  24. ^ 【こちら日高支局です・古谷剛彦】東北生産界を担う種牡馬ウインバリアシオン”. スポーツ報知 (2020年8月5日). 2022年1月6日閲覧。
  25. ^ デーリー東北デジタル”. デーリー東北デジタル. 2022年1月6日閲覧。
  26. ^ ウインバリアシオンお披露目「沢山のファンに囲まれ、幸せ」”. netkeiba.com. 2017年6月20日閲覧。
  27. ^ ウインバリアシオンの初仔が誕生”. 競走馬のふるさと案内所. 2017年6月20日閲覧。
  28. ^ ウインバリアシオン産駒がJRA初勝利 中京6Rでドスハーツが優勝 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年1月12日閲覧。
  29. ^ 【チューリップ賞】バリコノユメ、桜切符奪取だ ウインバリアシオン産駒が重賞初挑戦/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ online. 2022年1月6日閲覧。
  30. ^ ウインバリアシオン、JCへ始動”. netkeiba. 2024年8月14日閲覧。
  31. ^ “[https://smart.keibalab.jp/column/interview/549/ 今年も打倒オルフェ!ウインバリアシオン 正直なところ、競馬界にとってオルフェーヴルは負けてはいけない馬だと思っていますが、ウインバリアシオンの厩舎スタッフとしては、もし負かせるならこんなに嬉しいことはありません。]”. 競馬ラボ. 2024年8月14日閲覧。
  32. ^ “[https://smart.keibalab.jp/column/interview/1037/ オルフェとの最後の対戦を終えたウインバリアシオン 勝てなかったけど、届かなかったけど、もしオルフェが居ない中で勝ったところで、何か拍子抜けというか、納得がいかなかったかもしれないです。]”. 競馬ラボ. 2024年8月14日閲覧。

外部リンク

[編集]