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イヌトウバナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イヌトウバナ
福島県会津地方 2016年7月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : シソ類 lamiids
: シソ目 Lamiales
: シソ科 Lamiaceae
: トウバナ属 Clinopodium
: イヌトウバナ
C. micranthum
学名
Clinopodium micranthum (Regel) H.Hara var. micranthum[1]
シノニム
  • Calamintha ussuriensis auct. non Regel et Maack[2]
和名
イヌトウバナ(犬塔花)[3][4]

イヌトウバナ(犬塔花、学名:Clinopodium micranthum)は、シソ科トウバナ属多年草[3][4][5]

特徴

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の下部は這って、斜めに立ち上がりまたは直立し、高さは20-50cmになり、下向きの曲がった毛があり、ふつう上部で枝分かれする。は対生し、長さ5-20mmの葉柄がある。葉身は卵形から狭卵形で、長さ2-3cm、幅1-2.5cm、葉先は鋭頭または鈍頭、基部はくさび形または広いくさび形になり、縁には鋸歯がある。葉の両面にまばらに毛が生え、裏面には明らかな腺点がある[3][4][5]

花期は8-10月。枝先や上部の葉腋にやや短い花穂をつける。花はやや接して数段、まばらに輪生し、花穂の軸には密に毛が生える。仮輪の下につく小苞葉は線形で、小花柄より短く、開出する毛がある。は筒状2唇形で、長さ4-5mmになり、開出する長い軟毛が密に生え、腺毛が混生する。萼の上唇は3裂して裂片は鈍頭から鋭頭、下唇は2裂して裂片は尾状鋭尖頭になり、縁に開出毛が散生する。花冠は白色でわずかに淡紫色を帯び、長さ5-6mm、上唇は浅く2裂し、下唇は3裂する。雄蕊は4個のうち下側の2個は少し長い。果実は4個の分果で、長さは約0.6mmになる[3][4][5]

ミヤマトウバナに似るが、本種は、萼に開出する長い軟毛が生え、葉裏に明らかな腺点が多いことが相違点である[4][5]

分布と生育環境

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日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の林内や道ばたなどに生育する[3][4][5]。国外では、済州島に分布する[4]

名前の由来

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和名イヌトウバナは、「犬塔花」の意[4]種小名 micranthum は、「小さい花の」の意味[6]

同属のミヤマクルマバナの種小名 macranthum は、「大花の」の意味[6]で、イヌトウバナの花冠の長さは5-6mmであるのに対し、ミヤマクルマバナの花冠の長さは3-4倍あり、15-20mmと大きい。

ギャラリー

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下位分類

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  • ミヤマトウバナ Clinopodium micranthum (Regel) H.Hara var. sachalinense (F.Schmidt) T.Yamaz. et Murata[7]
  • シロバナイヌトウバナ Clinopodium micranthum (Regel) H.Hara f. albiflorum (Honda) Honda[8]
  • アラゲトウバナ Clinopodium micranthum (Regel) H.Hara var. fauriei (H.Lév. et Vaniot) H.Hara[9]

脚注

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  1. ^ イヌトウバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ イヌトウバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.430
  4. ^ a b c d e f g h 『新牧野日本植物圖鑑』p.650
  5. ^ a b c d e 『日本の野生植物 草本III 合弁花類』p.86
  6. ^ a b 『新牧野日本植物圖鑑』pp.1335-1336
  7. ^ ミヤマトウバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  8. ^ シロバナイヌトウバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  9. ^ アラゲトウバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献

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