アンリ・トロワイヤ
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アンリ・トロワイヤ(Henri Troyat, 1911年11月1日 - 2007年3月2日)は、フランスの小説家、伝記作家、随筆家。本名レヴォン・アスラン・トロシアン(Levon Aslan Torossian)、ロシア名レフ・アスラノヴィチ・タラソフ(Lev Aslanovich Tarasov)。ロシア皇帝や作家たちの評伝も著した。
経歴
[編集]アルメニア系ロシア人でモスクワ生まれ、幼時にロシア革命により両親とともにヨーロッパに移住、1920年にはパリに定住した。
1935年発表の処女作『ほの明り』 Faux Jour でポピュリスト賞を受賞。1938年にはジャン=ポール・サルトルの『嘔吐』と争い、小説『蜘蛛』 L'Araigne でフランス文学の登竜門ゴンクール賞を獲得して一流作家の地位を確立した。異例の若さでアカデミー・フランセーズ入りし、死ぬまで欠かさず作品を発表しつづけた。その散文としての端正さはもとより、物語の巧みさ、芸術性の高さには全く衰えが見られなかった。生涯で100以上の作品を発表し、イヴァン4世、エカチェリーナ2世、アントン・チェーホフ、レフ・トルストイ、グリゴリー・ラスプーチンなどロシア史上の人物やロシア文学者の評伝は人気が高い。
2007年に95歳で死去。葬儀は同年3月5日、パリにある正教会の大聖堂:アレクサンドル・ネフスキー大聖堂(w:fr:Cathédrale Saint-Alexandre-Nevski de Paris)で行われた。
著作
[編集]小説
[編集]- 『蜘蛛』 L'Araigne(1938)、福永武彦訳、新潮文庫、1951年
- 『嵐の中の青春』 Le Téte sur les épaules(1951)、梅原成四訳、新潮文庫、1952年
- 『金牛宮』 Two Volumes、青柳瑞穂訳、新潮文庫(上下) 1952年
- 『喪の銀嶺』 De Gratte-ciel en cocotier(1955)
- 『共同墓地-ふらんす怪談』 澁澤龍彦訳 初刊は村山書店 1957年/青銅社 1982年
- 『エグルティエール家の人びと』 Les Eygletiere I(1965)
- 笹本孝訳、サイマル出版会 1973年
- 『石、紙、鋏』 La Pierre, la feuille et les ciseaux(1972)
- 小笠原豊樹訳、草思社 2004年、ISBN 4794212852
- 『クレモニエール事件』 L'Affaire cremonniere(1997)
- 小笠原豊樹訳、草思社 2004年
- 『サトラップの息子』 Le Fils du Satrape(1998)。自伝的小説
- 小笠原豊樹訳、草思社 2004年、ISBN 4794212836
- 『レールモントフの数奇な運命』 L'Etrange Destin de Lermontov(1952)
- 福住誠訳、新読書社 2003年
- 『帝政末期のロシア』 La vie quotidienne en Russie au temps du dernier tsa(1959)
- 福住誠訳、新読書社 2000年
- 『恐るべき女帝たち』 福住誠訳、新読書社 2002年
- 『ユーリーとソーニャ―ロシア革命の嵐の中で』
- 山脇百合子訳、福音館書店 2007年、太田大八画、児童書
- 『仮面の商人』 小笠原豊樹訳、小学館文庫 2014年
伝記
[編集]- 『ドストエフスキー伝』 Dostoievski(1940)
- 『ロシヤ文豪列伝』 Ecrivains rousses, in Sainte Russie
- 『プーシキン伝』 Pouchkine(1946)
- 篠塚比名子訳、水声社 2002年、ISBN 4891764821
- 『ゴーゴリ伝』 Gogol(1971)
- 村上香住子訳 中央公論社 1983年
- 『女帝エカテリーナ』 Catherine la Grande(1978)
- 『大帝ピョートル』 Pierre le Grand(1979)
- 工藤庸子訳、中央公論社、1981年、中公文庫 1987年、新版2002年
- 『アレクサンドル一世-ナポレオンを敗走させた男』 Alexandre premier(1981)
- 工藤庸子訳、中央公論社、1982年、中公文庫 1988年、新版2003年
- 『イヴァン雷帝』 Ivan le Terrible(1982)
- 工藤庸子訳、中央公論社、1983年、中公文庫 1987年、新版2002年
- 『チェーホフ伝』 Tchekov(1984)
- 村上香住子訳、中央公論社、1987年、中公文庫、1992年
- 『トゥルゲーネフ伝』 Turgenev(1985)
- 市川裕見子訳、水声社、2010年、ISBN 4891767804
- 『フロベール伝』 Gustave Flaubert(1988)
- 市川裕見子・土屋良二訳、水声社、2008年、ISBN 4891766867
- 『モーパッサン伝』 Maupassant(1989)
- 足立和彦訳、水声社、2023年
- 『ヴェルレーヌ伝』 Verlaine(1993)
- 『ボードレール伝』 Baudelaire(1994)
- 沓掛良彦・中島淑恵訳、水声社、2003年
- 『バルザック伝』 Balzac(1995)
伝記:日本語訳未出版
[編集]- トルストイ伝(1965年)
- アレクサンドル2世(1990年)
- ニコライ2世(1991年)
- エミール・ゾラ伝(1992年)
- ラスプーチン伝(1997年)
- チャイコフスキーとメック夫人(2003年)
- アレクサンドル3世伝(2004年)
- パステルナーク伝(2006年)
外部リンク
[編集]
前任 クロード・ファレール |
アカデミー・フランセーズ 席次28 第19代:1959年 - 2007年 |
後任 ジャン=クリストフ・リュファン |