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しきなみ型巡視艇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
しきなみ型巡視艇
基本情報
種別 23メートル型PC
運用者  海上保安庁
就役期間 1971年 - 2012年
前級 はまぎり型
次級 しまぎり型
むらくも型 (30メートル型)
要目
満載排水量 46.00トン
総トン数 64.00トン
全長 21.0 m
最大幅 5.30 m
深さ 2.70 m
吃水 0.98 m
主機 池貝-ベンツMB820Db
ディーゼルエンジン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 2,200馬力
速力 25ノット
航続距離 240海里
乗員 10名 (最大搭載人員)
兵装 ブローニングM2 12.7mm機銃×1挺
※一部艇のみ
レーダー MD 806 航法用×1基[1]
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しきなみ型巡視艇(しきなみがたじゅんしてい、英語: Shikinami-class patrol craft)は、海上保安庁巡視艇の船級。区分上はPC型、公称船型は23メートル型[2][3]

来歴

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海上保安庁の23メートル型PCは、従来は木造艇とされていたが、昭和38年度から44年度にかけて建造されたまつゆき型では、アルミニウム合金骨・木皮構造を採用することで、同じ大きさの木造艇と比して、船体重量にして約5トンの軽量化を実現した。一方、特殊救難用の130トン型PSでは、同様にアル骨木皮構造を採用して軽量化・高速化を達成した「あかぎ」において、異種材料の組み合わせによる強度上の問題が指摘されたことから、昭和40年から44年度にかけて建造されたびざん型では全アルミニウム合金構造を採用していた[2]

これらの実績を踏まえて、昭和45年度計画の23メートル型PCでは、びざん型と同様の全アルミニウム合金構造が採用されることとなった。これによって建造されたのが本型である[2][3]

設計

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上記の経緯より、本型は、海保初の量産型軽合金製巡視艇となった。凌波性向上のため、没水部船型はディープV型とされた。波浪衝撃や縦揺れによる乗員の疲労軽減のため、居住区の位置はまつゆき型後期型(うみぎり型)よりも50センチメートル後方に移された[2]。船底には長大な木製スケグを有している。また昭和46年度計画の3番艇より、航走トリム改善のため船尾形状を改正した結果、フラップ効果を得た[3]。また従来は船尾倉庫に設置されていた燃料タンクを独立区画に改めた結果、水密隔壁が1枚多くなり、2区画浸水に対する安全性も確保された[2]

主機関はまつゆき型と同様、池貝-ベンツMB820Dbディーゼルエンジン(単機出力1,100馬力)を搭載した。同機は国産高速ディーゼルエンジンとしては最も信頼性に優れ実用的であるとされていた[2]

なお配属地の関係で、一部艇では13mm単装機銃(ブローニングM2重機関銃)が搭載されていた[3]

同型船一覧

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計画年度 # 船名 建造所 竣工 解役
昭和45年 PC-54 しきなみ 三菱重工下関造船所 1971年2月25日 1994年3月7日
PC-55 ともなみ 1971年3月30日 1994年12月2日
昭和46年 PC-56 わかなみ 1971年10月30日 1995年7月7日
PC-57 いせなみ 日立造船神奈川工場 1972年2月29日 1994年6月13日
PC-58 たかなみ 三菱重工下関造船所 1971年11月30日 1995年1月13日
昭和47年 PC-59 むつき 日立造船神奈川工場 1972年12月18日 1997年1月6日
PC-60 もちづき 1996年3月11日
PC-61 はるづき 三菱重工下関造船所 1972年11月30日
PC-62 きよづき 1972年12月18日 1996年2月6日
PC-63 うらづき 1973年1月30日 1996年3月11日
昭和48年 PC-66 うらなみ 日立造船神奈川工場 1973年12月22日 2000年1月7日
PC-67 たまなみ 三菱重工下関造船所 1973年12月25日 1999年8月12日
PC-68 みねぐも 1973年11月30日
PC-69 きよなみ 1973年10月30日 1999年12月8日
PC-70 おきなみ 日立造船神奈川工場 1974年2月8日 2000年10月9日
PC-71 わかぐも 1974年3月25日 1996年6月28日
昭和49年 PC-74 あそゆき 1975年6月16日 2012年2月14日

参考文献

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  1. ^ Bernard Prezelin (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. pp. 330-331. ISBN 978-0870212505 
  2. ^ a b c d e f 徳永陽一郎、大塚至毅『海上保安庁 船艇と航空 (交通ブックス205)』成山堂書店、1995年、98-99頁。ISBN 4-425-77041-2 
  3. ^ a b c d 「海上保安庁全船艇史」『世界の艦船』第613号、海人社、2003年7月、99頁、NAID 40005855317