はまぐも型巡視艇
はまぐも型巡視艇 | |
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基本情報 | |
艦種 | 35メートル型PC |
就役期間 | 1999年 - 現在 |
前級 | はやなみ型 |
次級 | よど型 |
要目 | |
総トン数 | 110トン |
全長 | 35.0 m |
最大幅 | 6.3 m |
深さ | 3.4 m |
主機 |
MTU 12V396 TB94 もしくは新潟12V16FX ディーゼルエンジン×2基 |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
出力 | 4,000馬力 |
速力 | 24ノット |
レーダー | 航海用×1基 |
はまぐも型巡視艇(はまぐもがたじゅんしてい、英語: Hamagumo-class patrol crafts)は、海上保安庁の巡視艇の船級。区分上はPC型、公称船型は35メートル型[1]。なお計画時には消防機能強化型巡視艇と称されており、また後には、改良型のよど型とともに消防巡視艇と称されるようになった[2]。
設計
[編集]本型は、平成7年度第1次補正計画で建造されたはやなみ型後期型(災害対応機能強化型)をもとに改良された型であるため、アメリカ海軍協会(USNI)では同じ船級として扱っている[3]。
はやなみ型後期型(災害対応機能強化型)との相違点は、放水塔を1基設置、放水銃位置等を変更し消防機能強化が図られている[2]。(この放水塔はタグボートによく見られるが、海上保安庁船艇としてはこの型のみ。)
主機関も同構成で、MTU 12V396 TB94ディーゼルエンジン(2,000馬力 / 1,975 rpm)もしくは新潟鐵工所12V16FX[4]によって固定ピッチ・プロペラを駆動する方式とされた[5]。
放水時の操船・船位保持性能確保のため、はやなみ型後期型(災害対応機能強化型)同様、船尾両舷にアンチローリング・ボード(ARB)を装備する。[6]。また、船首吃水線下にはバウジェットが装備された[2]。(但し、タグボートが旋回や定点保持の為に装備するアジマススラスター(新潟原動機製:ZP、川崎重工業製:レックスペラ等)は装備されなかった。)
装備
[編集]はやなみ型後期型(災害対応機能強化型)では船首甲板に放水銃2基を備えていたのに対し、本型では、1基(毎分2,000リットル)を操舵室上に、そしてもう1基(毎分5,000リットル)はその後方に設けた放水塔上に配置した。放水塔上のものは粉末消火剤のノズル(毎秒40キログラム)も併設されており、海面上17メートルの高さまで伸ばすことができる。これらの放水銃は、いずれも監視カメラと連動させることができる[1][2]。放水量は、ぬのびき型消防艇のおよそ半分(毎分7,400リットル)を確保した[7]。なお消火剤としては、泡原液を約5,300リットル、粉末消火剤を約2,000 kg搭載する[8]。
この他、自衛用の散水ノズルや送水用の消火栓を備えるほか、火災現場で発生しうる可燃性ガスや有毒ガスに備えて船内は陽圧に保たれており、ガス検知装置も装備している。このほか、甲板作業などに備えた防火服なども装備されている[2]。
同型艇
[編集]一覧表
[編集]※巡視艇の船名は、配属先管区、配属替え等により随時、改名されることがある。
計画年度 | 船番 | 船名 | 船舶番号 信号符字 |
造船所 | 就役/配属替え | 配属海上保安部署 | 備考 |
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平成10年度[9] | PC-22[9] | はまぐも Hamagumo[9] |
墨田川造船[9] | 1999年8月27日[9] | 横浜[9] (第三管区) |
(就役中) | |
PC-23[9] | あわなみ Awanami[9] |
136736 JG5585 |
千葉[10] (第三管区) |
配属替えに伴い改名 | |||
あゆづき Ayuduki[9] |
2013年1月29日[10] | 名古屋[9] (第四管区) |
(就役中) | ||||
平成10年度 第3次補正[9] |
PC-24[9] | うらなみ Uranami[9] |
136737 JG5586 |
2000年1月24日[9] | 神戸[10] (第五管区) |
配属替えに伴い改名 | |
ゆふぎり Yufugiri[9] |
2013年1月11日[10] | 大分[9] (第七管区) |
(就役中) | ||||
平成11年度[9] | PC-25[9] | しきなみ Shikimami[9] |
136972 JG5614 |
石原造船所[9] | 2000年10月24日[9] | 神戸[10] (第五管区) |
配属替えに伴い改名 |
ともなみ Tomonami[9] |
2013年2月12日[10] | 門司[9] (第七管区) |
(就役中) |
運用史
[編集]2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震により発生したコスモ石油千葉製油所の火災では、当時、千葉海上保安部配属の「あわなみ」が、横浜海上保安部の「ひりゆう」、東京消防庁の「みやこどり」、千葉市消防局の「まつかぜ」、横浜市消防局の「まもり」、海上災害防止センターの「おおたき」「きよたき」の各船と連携して、海上から警戒監視および冷却散水を実施した[11]。
登場作品
[編集]- 『BRAVE HEARTS 海猿』
- 「あわなみ」と「しきなみ」が登場。
- 「しきなみ」は、大阪湾でタンカーとコンテナ船が衝突する海難事故が発生したことを受け、現場に急行し救助活動にあたる。
- 「あわなみ」は、左翼エンジンが爆発したボーイング747-400が東京湾内に海上着水することを受け、着水する海域の近くで待機し、着水が成功すると直ちに接近して救助活動を開始する。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b 海人社 2003, p. 168.
- ^ a b c d e 海人社 2014, p. 71.
- ^ Wertheim 2013, p. 390.
- ^ “令和元年度入札結果”. 第7管区海上保安本部. 2020年6月4日閲覧。
- ^ 佐藤 2008.
- ^ 海人社 2000.
- ^ 装備技術部, 水路部 & 灯台部 2002.
- ^ 第五管区海上保安本部 (2011年3月24日). “消防船艇能力”. 2015年11月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 海人社 2020, p. 72.
- ^ a b c d e f 海人社 2013.
- ^ コスモ石油千葉製油所 2012.
参考文献
[編集]- 海人社(編)「新造消防巡視艇「うらなみ」就役!」『世界の艦船』第566号、海人社、2000年4月、124頁。
- 海人社(編)「海上保安庁全船艇史」『世界の艦船』第613号、海人社、2003年7月、NAID 40005855317。
- 海人社(編)「海上自衛隊・海上保安庁 艦船の動向 : 平成24年度を顧みて」『世界の艦船』第780号、海人社、2013年7月、141-147頁、NAID 40019692473。
- 海人社(編)「警備救難業務用船 (海上保安庁船艇の全容)」『世界の艦船』第800号、海人社、2014年7月、71頁、NAID 40020105550。
- 海人社(編)「海上保安庁船艇の全容」『世界の艦船』第933号、海人社、2020年10月、37-101頁。
- コスモ石油千葉製油所「東日本大震災時のLPGタンク火災・爆発事故における防災活動について」『Safety&Tomorrow』第143号、危険物保安技術協会、2012年5月、27-38頁、ISSN 1343-0564、2017年12月26日閲覧。
- 佐藤, 一也「4サイクルディーゼル機関の技術系統化調査」『国立科学博物館 技術の系統化調査報告』第12集、国立科学博物館、2008年3月、NCID AA12031302。
- 装備技術部、水路部、灯台部「海上保安庁の新型船艇と航空機 (特集・海上保安庁)」『世界の艦船』第595号、海人社、2002年5月、150-155頁、NAID 40002156317。
- Wertheim, Eric (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World (16th ed.). Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545
関連項目
[編集]- ウィキメディア・コモンズには、はまぐも型巡視艇に関するカテゴリがあります。
- まつかぜ (消防艇・2代) - 千葉市消防局の消防艇。本型とほぼ同大で、より低速だが、放水量には優れている