かさぶた式部考
『かさぶた式部考』(かさぶたしきぶこう)は、秋元松代によって書かれた演劇作品。
宮崎県の法華嶽寺に伝わる、和泉式部にまつわる伝説から発想した現代劇。テレビドラマ『海より深き 〜かさぶた式部考〜』として制作されたものが最初である。後に秋元自身が『かさぶた式部考』として戯曲化し、『式部物語』として映画化もされた。
あらすじ
[編集]青年・大友豊市は炭坑の事故により、正気を失ってしまった。母・伊佐と妻・てるえは彼を献身的に支えるも、良くならない。そんな豊市の前に、巡礼団の和泉協会がやってくる。それを率いる尼僧・智修尼に、豊市は心を惹かれ、信仰活動に加わることになる…。
テレビドラマ
[編集]海より深き 〜かさぶた式部考〜 | |
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ジャンル | テレビドラマ |
脚本 | 秋元松代 |
演出 | 久野浩平 |
出演者 |
北林谷栄 小林昭二 阪口美奈子 南田洋子 下川辰平 |
オープニング | 作曲:佐藤慶次郎 |
製作 | |
プロデューサー |
武敬子 小部正敏 |
制作 | RKB毎日放送 |
放送 | |
音声形式 | モノラル放送 |
放送国・地域 | 日本 |
放送期間 | 1965年11月21日 |
放送時間 | 20:00 - 20:56 |
放送分 | 50分 |
回数 | 1 |
特記事項: ・全編モノクロ作品 ・第20回文部省芸術祭賞受賞 |
『海より深き 〜かさぶた式部考〜』のタイトルで、1965年11月21日の20時00分 - 20時56分に、RKB毎日放送の制作により、TBS系列で放送された。第20回文部省芸術祭テレビドラマ部門芸術祭賞(現在の大賞)受賞、第5回日本テレフィルム技術賞奨励賞(撮影に対し)受賞作品。
同年12月28日の15時10分 - 16時7分に再放送された。現在は、横浜の放送ライブラリーで視聴することができる。
スタッフ
[編集]キャスト
[編集]ほか
戯曲
[編集]上記のテレビドラマ脚本をもとに、1969年に『かさぶた式部考』のタイトルで秋元自身が戯曲として書き下ろし[1]、『文藝』(河出書房新社)6月号に発表、同年11月単行本『かさぶた式部考・常陸坊海尊』(河出書房新社)刊行。1969年(1970年再演)劇団演劇座、1973年に劇団民藝、2014年に兵庫県立ピッコロ劇団によって上演された。民藝の公演では、テレビドラマ版にも主演した北林谷栄が、主演をつとめた。
1970年には、秋元がこの戯曲で第11回毎日芸術賞を受賞した。
上演・再演などに応じて改訂が重ねられている。『常陸坊海尊・かさぶた式部考』(講談社文芸文庫)、『秋元松代全集』(筑摩書房)第2巻などに収録されているが、2014年時点書店店頭では入手不能である。
公演データ
[編集]- 劇団演劇座
- 第14回公演『かさぶた式部考』(1969年6月27日 - 7月4日、俳優座劇場)
- 第15回公演『かさぶた式部考』(1970年4月18日 - 24日、日本青年館)
- 関西公演『かさぶた式部考』(1970年11月11日 - 16日、京都府立芸術会館・大阪厚生年金会館ホール・神戸海員会館)
- 演出:灰地順
- 公演『かさぶた式部考』(1970年11月23日 - 27日、日本青年館)
- 演出:灰地順
- 劇団民藝
- 公演『かさぶた式部考』(1973年3月15日、神奈川県立青少年センターホール / 3月19日 - 4月3日、東京砂防会館ホール / 4月 - 5月、全国巡演)
- 兵庫県立ピッコロ劇団
- 第50回公演『かさぶた式部考』(2014年10月3日- 10月8日、ピッコロシアター大ホール)
- 第59回公演『かさぶた式部考』(2017年9月24日、兵庫・相生市文化会館/9月29日~10月4日、ピッコロシアター大ホール/10月14日~10月15日、世田谷パブリックシアター)
- 演出、主要俳優などは第50回公演と同じ。
映画
[編集]式部物語 | |
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監督 |
熊井啓 原一男(監督補) |
脚本 | 熊井啓 |
製作 | 山口一信 |
製作総指揮 | 高丘季昭 |
出演者 |
奥田瑛二 原田美枝子 香川京子 岸惠子 新橋耐子 杉本哲太 |
音楽 | 松村偵三 |
撮影 | 栃沢正夫 |
編集 | 井上治 |
製作会社 | 西友 |
配給 | 東宝 |
公開 | 1990年10月6日 |
上映時間 | 113分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 3.5億円[2] |
『式部物語』(しきぶものがたり)のタイトルで、1990年10月6日に東宝の配給で劇場公開された。
モントリオール世界映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞。第14回日本アカデミー賞では最優秀美術賞(木村威夫に対し。他2作品も対象)、優秀助演女優賞(原田美枝子、香川京子)を受賞している。
1991年8月21日にポニーキャニオンよりVHSで、2001年5月25日にキネマ旬報社よりDVDで(ともに現在は廃盤)、2017年8月KADOKAWAよりDVDでビデオソフト化されている。
スタッフ
[編集]- 監督:熊井啓
- 監督補:原一男
- 原作:秋元松代
- 脚本:熊井啓
- 撮影:栃沢正夫
- 美術:木村威夫
- 照明:岩木保夫
- 編集:井上治
- 音楽:松村禎三
- 録音:久保田幸夫
- スチール:井本俊康
- 製作:山口一信
- 製作総指揮:高丘季昭
キャスト
[編集]- 大友豊市:奥田瑛二
- 大友てるえ:原田美枝子
- 大友伊佐:香川京子
- 智修尼:岸惠子
- うめ:新橋耐子
- 夢之助:杉本哲太
- 宇智子:安孫子里香
- 万太郎:横山あきお
- ふじ:根岸明美
- はる:牧よし子
- ゆり:黒木優美
- 光子:吉田はるみ
- なつ:三谷侑未
- あき:柳川慶子
- おめぐりの女A:安東佑季
- おめぐりの女B:高井純子
- おめぐりの女C:吉野智子
- 初旅の男:内藤武敏
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 守安敏久「秋元,松代『かさぶた式部考』ーテレビドラマから戯曲へー」『宇都宮大学教育学部紀要 第1部』第58号、宇都宮大学、2008年3月、17-30頁、ISSN 03871266、NAID 110009004629。
- 秋元松代『常陸坊海尊 ; かさぶた式部考』講談社〈講談社文芸文庫 現代日本の戯曲〉、1996年。ISBN 4061963880。 NCID BN15159426。