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* [[1808年]]、イギリスにて[[州立アサイラム法]]が成立、精神障害者の入院環境を改善する多くの規定が盛り込まれる<ref>精神障害者をどう裁くか [[岩波明]] [[光文社]] ISBN 9784334035013 p75</ref> |
* [[1808年]]、イギリスにて[[州立アサイラム法]]が成立、精神障害者の入院環境を改善する多くの規定が盛り込まれる<ref>精神障害者をどう裁くか [[岩波明]] [[光文社]] ISBN 9784334035013 p75</ref> |
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** [[1884年]]、'''(参考:発達障害)'''[[ルドルフ・ベルリン]](''Rudolf Berlin'')によって[[ディスレクシア]](読字障害)が報告される |
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* [[1852年]]、フランスの精神科医[[ベネディクト・モレル]] ('' |
* [[1852年]]、フランスの精神科医[[ベネディクト・モレル]] (''Bénédict Morel'') によって統合失調症は初めて公式に記述され、[[フランス語|仏]]'''[[:fr:Démence précoce|Démence précoce]]'''(「早発性痴呆」)と呼ばれた |
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* [[1871年]]、ドイツの[[エヴァルト・ヘッカー]] (''[[:en:Ewald Hecker|Ewald Hecker]]'') が「破瓜病」(''Hebephrenie'') を著す |
* [[1871年]]、ドイツの[[エヴァルト・ヘッカー]] (''[[:en:Ewald Hecker|Ewald Hecker]]'') が「破瓜病」(''Hebephrenie'') を著す |
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* [[1874年]]、ドイツの[[カール・カールバウム]] (''[[:en:Karl Ludwig Kahlbaum|Karl Ludwig Kahlbaum]]'') が「緊張病」(''Katatonie'') を著す |
* [[1874年]]、ドイツの[[カール・カールバウム]] (''[[:en:Karl Ludwig Kahlbaum|Karl Ludwig Kahlbaum]]'') が「緊張病」(''Katatonie'') を著す |
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* [[1899年]]、ドイツの[[エミール・クレペリン]] ('' |
* [[1899年]]、ドイツの[[エミール・クレペリン]] (''Emil Kraepelin'') が[[ドイツ語|独]]'''Dementia Praecox'''(「[[早発性痴呆]]」)を著し、[[破瓜|破瓜病]]、[[緊張病]]に[[妄想病]]を加えてまとめる |
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* [[1911年]]、スイスの精神科医[[オイゲン・ブロイラー]]('' |
* [[1911年]]、スイスの精神科医[[オイゲン・ブロイラー]](''Eugen Bleuler'') は、必ずしも若年時に発症するとは限らず、又、必ずしも痴呆に到るとは限らず、この病気の本性は[[観念連合]]の弛緩にあるとして、独'''Dementia Praecox'''(「早発性痴呆」)を独'''Schizophrenie'''(旧称「精神分裂病」)と改名し疾患概念をかえた |
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;[[1918年]]、[[第一次世界大戦]]終戦 |
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* [[1935年]]、ポルトガルの神経科医[[エガス・モニス]]、外科医の[[ペドロ・アルメイダ・リマ]](''Pedro Almeida Lima'')が[[ロボトミー]]を創始する |
* [[1935年]]、ポルトガルの神経科医[[エガス・モニス]]、外科医の[[ペドロ・アルメイダ・リマ]](''Pedro Almeida Lima'')が[[ロボトミー]]を創始する |
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* [[1938年]]、イタリアの[[U.ツェルレッティ]](''[[:en:Ugo Cerletti|Ugo Cerletti]]'')と[[ルシオ・ビニ]](''[[:en:Lucio Bini|Lucio Bini]]'')が[[電気けいれん療法]]を開発 |
* [[1938年]]、イタリアの[[U.ツェルレッティ]](''[[:en:Ugo Cerletti|Ugo Cerletti]]'')と[[ルシオ・ビニ]](''[[:en:Lucio Bini|Lucio Bini]]'')が[[電気けいれん療法]]を開発 |
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** [[1943年]]、'''(参考:知的障害)'''アメリカの精神科医[[レオ・カナー]]('' |
** [[1943年]]、'''(参考:知的障害)'''アメリカの精神科医[[レオ・カナー]](''Leo Kanner'')が「早期幼児自閉症」として[[自閉症]](カナー症候群)を報告する |
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** [[1944年]]、'''(参考:発達障害)'''オーストリアの小児科医[[ハンス・アスペルガー]]('' |
** [[1944年]]、'''(参考:発達障害)'''オーストリアの小児科医[[ハンス・アスペルガー]](''Hans Asperger'')が自閉的精神病質([[アスペルガー症候群]])を報告する |
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;[[1945年]]、[[第二次世界大戦]]([[大東亜戦争]]、[[太平洋戦争]])終戦 |
;[[1945年]]、[[第二次世界大戦]]([[大東亜戦争]]、[[太平洋戦争]])終戦 |
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* [[1952年]]、フランスの精神科医[[ジャン・ドレー]] (''[[:fr:Jean Delay|Jean Delay]]'') と[[ピエール・ドニカー]] (''[[:en:Pierre Deniker|Pierre Deniker]]'') が[[クロルプロマジン]]の統合失調症に対する治療効果を初めて正しく評価し、精神病に対する精神科薬物療法の時代が幕を開けた。 |
* [[1952年]]、フランスの精神科医[[ジャン・ドレー]] (''[[:fr:Jean Delay|Jean Delay]]'') と[[ピエール・ドニカー]] (''[[:en:Pierre Deniker|Pierre Deniker]]'') が[[クロルプロマジン]]の統合失調症に対する治療効果を初めて正しく評価し、精神病に対する精神科薬物療法の時代が幕を開けた。 |
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* [[1957年]]、ベルギーの薬理学者[[パウル・ヤンセン]] (''[[:en:Paul Janssen|Paul Janssen]]'') がクロルプロマジンより優れた[[抗精神病薬]][[ハロペリドール]]を開発。 |
* [[1957年]]、ベルギーの薬理学者[[パウル・ヤンセン]] (''[[:en:Paul Janssen|Paul Janssen]]'') がクロルプロマジンより優れた[[抗精神病薬]][[ハロペリドール]]を開発。 |
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* [[1963年]]、アメリカにて「[[精神病及び精神薄弱に関する大統領教書]]」(Special Message to the Congress on Mental Illness and Mental Retardation、ケネディ教書)精神医療における脱入院化が掲げられる<ref>[http://www.arsvi.com/2000/0906mk.htm アメリカにおける脱入院化――ケネディ教書以前とその後] 三野宏治 [[立命館大学]]大学院 2009年</ref> |
* [[1963年]]、アメリカにて「[[精神病及び精神薄弱に関する大統領教書]]」(Special Message to the Congress on Mental Illness and Mental Retardation、ケネディ教書)精神医療における脱入院化が掲げられる<ref>[http://www.arsvi.com/2000/0906mk.htm アメリカにおける脱入院化――ケネディ教書以前とその後] 三野宏治 [[立命館大学]]大学院 2009年</ref> |
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* [[1967年]]、イギリスの精神科医[[デヴィッド・クーパー]] ('' |
* [[1967年]]、イギリスの精神科医[[デヴィッド・クーパー]] (''David Cooper'') は[[反精神医学]] (''[[:en:Anti-psychiatry|Anti-psychiatry]]'') を唱え、精神分裂病は存在しないと主張。その理論は大方の承認を得るまでには至っていない<ref>現代精神衛生学ノート 村田忠良 サンパウロ 122~123頁</ref>。 |
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** [[1981年]]、'''(参考:発達障害)'''イギリスの医師[[ローナ・ウィング]](Lorna Wing)がアスペルガー症候群の発見を紹介<ref name="lw">Wing, Lorna. [http://www.mugsy.org/wing2.htm Asperger syndrome: a clinical account.]</ref> |
** [[1981年]]、'''(参考:発達障害)'''イギリスの医師[[ローナ・ウィング]](Lorna Wing)がアスペルガー症候群の発見を紹介<ref name="lw">Wing, Lorna. [http://www.mugsy.org/wing2.htm Asperger syndrome: a clinical account.]</ref> |
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* [[1984年]]、[[非定型抗精神病薬]]の[[リスペリドン]]が開発される。 |
* [[1984年]]、[[非定型抗精神病薬]]の[[リスペリドン]]が開発される。 |
2010年9月21日 (火) 15:51時点における版
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精神障害者(せいしんしょうがいしゃ)とは、精神疾患(精神障害)を有する個人のことである。
日本での法律上の各定義
精神障害の日本の法律上の定義は、「統合失調症、精神作用物質[1]による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患」(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条)とされる(「日本における法律上の定義に関する議論」を参照)。
障害者基本法での精神障害者の定義は「精神障害があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者(第2条)」である。
能力の障害
厚生省保健医療局長通知の「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」の「精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準の説明」によると概ね下記のような能力の障害がある。
- 適切な食事摂取が難しい、または出来ない
- 洗面、入浴、更衣、清掃など身辺の清潔保持が難しい、または出来ない
- 金銭管理および適切な買い物が難しい、または出来ない
- 規則的な通院・服薬が難しい、または出来ない
- 適切な意思伝達や協調的な対人関係の構築が難しい、または出来ない
- 身辺の安全保持・危機対応が難しい、または出来ない
- 社会的手続や公共施設の利用が難しい、または出来ない
- 趣味・娯楽等への関心が低く、それらの活動への参加が難しい、または出来ない
歴史
世界での歴史
- 1656年、フランスのルイ14世の指導により精神障害者、犯罪者、浮浪者を収容する総合施療院、ビセートル病院(男性)、サルペトリエール病院(女性)が建設される[2]
- 1714年、イギリスにて浮浪者取締法が制定される。浮浪者の中の精神障害者の保護について規定[3]
- 1774年、イギリスにてマッドハウスを規制するマッドハウス法を制定する[4]
- 1793年、フランスの医学者フィリップ・ピネル(Philippe Pinel)がビセートル病院の閉鎖病棟の患者を鎖から解放する
- 1808年、イギリスにて州立アサイラム法が成立、精神障害者の入院環境を改善する多くの規定が盛り込まれる[5]
- 1852年、フランスの精神科医ベネディクト・モレル (Bénédict Morel) によって統合失調症は初めて公式に記述され、仏Démence précoce(「早発性痴呆」)と呼ばれた
- 1871年、ドイツのエヴァルト・ヘッカー (Ewald Hecker) が「破瓜病」(Hebephrenie) を著す
- 1874年、ドイツのカール・カールバウム (Karl Ludwig Kahlbaum) が「緊張病」(Katatonie) を著す
- 1899年、ドイツのエミール・クレペリン (Emil Kraepelin) が独Dementia Praecox(「早発性痴呆」)を著し、破瓜病、緊張病に妄想病を加えてまとめる
- 1911年、スイスの精神科医オイゲン・ブロイラー(Eugen Bleuler) は、必ずしも若年時に発症するとは限らず、又、必ずしも痴呆に到るとは限らず、この病気の本性は観念連合の弛緩にあるとして、独Dementia Praecox(「早発性痴呆」)を独Schizophrenie(旧称「精神分裂病」)と改名し疾患概念をかえた
- 1935年、ポルトガルの神経科医エガス・モニス、外科医のペドロ・アルメイダ・リマ(Pedro Almeida Lima)がロボトミーを創始する
- 1938年、イタリアのU.ツェルレッティ(Ugo Cerletti)とルシオ・ビニ(Lucio Bini)が電気けいれん療法を開発
- 1952年、フランスの精神科医ジャン・ドレー (Jean Delay) とピエール・ドニカー (Pierre Deniker) がクロルプロマジンの統合失調症に対する治療効果を初めて正しく評価し、精神病に対する精神科薬物療法の時代が幕を開けた。
- 1957年、ベルギーの薬理学者パウル・ヤンセン (Paul Janssen) がクロルプロマジンより優れた抗精神病薬ハロペリドールを開発。
- 1963年、アメリカにて「精神病及び精神薄弱に関する大統領教書」(Special Message to the Congress on Mental Illness and Mental Retardation、ケネディ教書)精神医療における脱入院化が掲げられる[6]
- 1967年、イギリスの精神科医デヴィッド・クーパー (David Cooper) は反精神医学 (Anti-psychiatry) を唱え、精神分裂病は存在しないと主張。その理論は大方の承認を得るまでには至っていない[7]。
- 1984年、非定型抗精神病薬のリスペリドンが開発される。
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日本での歴史
- 1872年(明治5年)、ロシア皇太子が訪日するにあたり、明治政府は東京府東京市本郷の元加賀藩邸跡(現・東京大学構内)の空き長屋に養育院が設置され、巷の生活困窮者などを狩込み収容する(後の東京都立松沢病院となる)[9]
- 1873年(明治6年)、文部省の医務課が医務局になり、明治政府が本格的に衛生行政に着手した[10]
- 1874年(明治7年)、文部省が東京府、京都府、大阪府に対し医制を発布し、癲狂院(てんきょういん、当時の精神科病院はこのように呼ばれた)の設立を規定[11]
- 1875年(明治8年)、京都府の南禅寺境内に日本初の公立精神科病院「京都府療病院付属癲狂院」(現・川越病院)設立[12][13]
- 1878年(明治11年)、東京府に日本初の私立精神科病院、加藤瘋癲病院が認可される[14]
- 1879年(明治12年)、相馬事件
- 1900年(明治33年)、精神病者監護法公布、私宅監置の制度化。座敷牢の項も参照
- 1902年(明治35年)、日本神経学会発足(後の日本精神神経学会となる)
- 1914年(大正3年)、精神病院法公布
- 戦後、軍備蓄のメタンフェタミンが市場流入。依存者が大量に発生し社会問題になる。覚醒剤#歴史も参照
- 1948年(昭和23年)、優生保護法施行。詳細は優生学・断種の項も参照
- 1950年(昭和25年)、精神衛生法施行、同法施行に伴い精神病者監護法、精神病院法が廃止。私宅監置の禁止。精神科の項も参照
- 1951年(昭和26年)、覚せい剤取締法施行
- 1964年(昭和39年)、ライシャワー駐日大使刺傷事件が発生する
- 1965年(昭和40年)、精神衛生法が改正。通院医療費公費負担制度が創設される[15]。統合失調症や気分障害などの者の家族らでつくる精神障害者家族会の全国連合会組織、全国精神障害者家族会連合会(全家連)が設立
- 1968年(昭和43年)、世界保健機関がクラーク勧告を日本に宣告する。
- 1974年(昭和49年)、第1回全国精神障害者交流集会が開催され、それをきっかけとして患者の個人全国組織、全国「精神病」者集団が結成される。精神科デイケアが医療保険の対象になる
- 1975年(昭和50年)、日本精神神経学会が『精神外科』を否定する決議を採択。ロボトミー手術の廃止を宣言。患者の通信・面会の自由に関する決議を採択。
- 1984年(昭和59年)、宇都宮病院事件が明るみになる。べてるの家が発足
- 1987年(昭和62年)、精神保健法施行。精神保健指定医が発足
- 1993年(平成5年)、全国精神障害者団体連合会(全精連)結成
- 1995年(平成7年)、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行。精神障害者保健福祉手帳制度制定
- 1996年(平成8年)、優生保護法が母体保護法に変わり、強制断種等に係る条文が削除される。全家連、ホテル兼授産施設等の「ハートピアきつれ川」開設
- 2001年(平成13年)、附属池田小事件が発生
- 2002年(平成14年)、精神分裂病の診断名が統合失調症へ変更された。全国精神障害者家族会連合会(全家連)、補助金の目的外使用が発覚し返還命令を受ける
- 2004年(平成16年)、薬物依存症の家族らでつくる全国連合組織、全国薬物依存症者家族連合会(薬家連)が設立
- 2005年(平成17年)、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)施行
- 2006年(平成18年)、障害者自立支援法が施行。精神病院の用語の整理等のための関係法律の一部を改正する法律が成立。新しい精神障害者家族会の全国連合会組織、全国精神保健福祉会連合会が設立
- 2007年(平成19年)、全国精神障害者家族会連合会(全家連)が負債10億円を抱え倒産、解散
- 2007年(平成19年)、リタリンの不適切処方問題が表面化。うつ病がリタリンの適応症から外される。翌年に流通規制制度を設ける
- 2009年(平成21年)、第45回衆議院議員総選挙により、民主党が第一党となる。民主党中心の連立政権が発足(国民新党・社民党が当初の連立政権の相手方であった)。長妻昭厚生労働大臣が障害者自立支援法の廃止を宣言をするも、同法は現在廃止にはなっていない。
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福祉制度
精神障害者保健福祉手帳
障害年金
障害の程度など条件によっては障害年金の受給ができることもある。
障害者自立支援
2006年4月より障害者自立支援法による診察料・薬代といった精神疾患の治療に対する医療費負担、社会復帰支援事業の施設利用料の一部公的負担が適用となる。医療費全体の原則10%負担で、患者の世帯収入に応じた応益負担である。
- 障害者自立支援法施行前の精神科通院医療費の負担は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)第32条の「通院医療費公費負担制度」で全体の5%負担であった。自治体によっては残りの自己負担分も負担し、無料であった。[16]
- 2009年9月19日に鳩山由紀夫内閣の長妻昭厚生労働大臣は障害者自立支援法の廃止を明言している。
障害者雇用
2006年4月より精神障害者保健福祉手帳の所持者に限り障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)による法定雇用率の算定に加えることができるようになった。
公共交通機関での問題点
地域によってはバスや鉄道など公共交通機関で割引を行う例は少ない。また行っているとしても割引率が低い等のサービスが低い例もある。収入・経済面で大きな足かせを負い、社会参加をすることや福祉施設・病院に通うことが難しい障害者にとって、負担を減少させる割引が身体・知的に比べ少ない。
日本における法律上の定義に関する議論
精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)では精神障害を「統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患」と定義する。しかし、典型的な精神疾患である気分障害(感情障害)やいわゆる神経症性障害を例示することなく「その他の精神疾患」に一括りする一方で、先天性または乳幼児期・青年期早期からの障害又は通常からの偏りから生じ、通常の精神疾患とは別個に取り扱われる[17]精神遅滞(知的障害)や精神病質[18]が、治療と社会復帰を目的とする精神保健福祉法に例示されていることについては、バランスを欠くとする批判もあるが、法改正の必要性の有無などについて議論が深まってはいない。
社会における精神障害者への偏見・差別
昔から精神障害者は「きちがい」と呼ばれ偏見の対象になっていた。現在では身体障害者・知的障害者と同様の障害者として扱うべきとされている。しかし、今でも根強い偏見は存在し、就職などでの不利益な扱いを嫌って障害を持つことを隠す例も珍しくない。実際の差別の具体例は千葉県障害福祉課が公開している『寄せられた「障害者差別」と思われる事例』[19]に詳しい。中には精神という呼称が差別だという意見もある。働いていたとしても本当の診断名を隠すように医師から指導されることもある[20]。
リハビリテーション
長期闘病や入院などで生活能力の低下を改善するために精神科病院などにはデイケア、ナイトケア、ショートケアといった精神科外来リハビリテーションを設けている所もある。デイケアセンターの項も参照のこと。
薬物依存症者向けにはDARC(ダルク、Drug Addiction Rehabilitation Center)という民間の手によるリハビリ施設が設けられている。
社会復帰・地域生活援助
行政が中心となり、精神障害者の社会復帰・地域生活援助事業を行っている。運営は主に医療法人、社会福祉法人、精神障害者家族会等が行っている。
- 授産施設
- 地域活動支援センター(旧・地域生活支援センター、小規模作業所など)
- グループホーム(共同生活援助)
- ケアホーム(共同生活介護)
関連団体等
患者会
患者の相互扶助を目的として組織された障害者団体もある。中には自ら地域社会での居場所を確保する目的で地域活動支援センターⅢ型(旧・小規模作業所、共同作業所や作業所とも呼ぶ)を運営する団体もある(→精神障害者患者会を参照)。全国精神障害者団体連合会(全精連)など。
家族会
統合失調症、気分障害などを対象とした精神障害者家族会と薬物依存症を対象にした薬物依存症者家族会がある。
精神障害者家族会
精神障害者のうち、統合失調症、気分障害などの者の家族らで作る相互扶助等を目的として組織された団体。地域活動支援センターⅢ型(旧・小規模作業所、共同作業所や作業所とも呼ぶ)の運営母体にもなっているところもある。かつては全国連合組織「全国精神障害者家族会連合会(全家連)」があった。現在は全国精神保健福祉会連合会(略称・全福連、愛称・みんなねっと)など。なお、日本国外にも同様の団体があり、アメリカのNational Alliance on Mental Illness(略称・NAMI)など。
薬物依存症者家族会
精神障害者のうち、薬物依存症者の家族らで作る相互扶助等を目的として組織された団体。全国薬物依存症者家族連合会(薬家連)など。
天下り問題
全家連理事を勤めた荒井元傅らの資料では、1994年12月に全家連理事長が厚生省(現・厚生労働省)に呼び出され、天下りの受け入れを強要された。天下り先は全家連が運営していたホテルと精神障害者の授産施設等で構成される福祉施設「ハートピアきつれ川(栃木県さくら市、喜連川温泉)」である[21]
「障害者」呼称について
心的障碍
警察用語との関係
警察用語にマルセイ(マル精)があるが、この言葉は精神異常者を指しており、精神障害者を指していない。また精神異常者と精神障害者は全く同じものとは言えない。
マスコミ
日本テレビでは精神障害者を「精神疾患のある人」と言い換えている。
精神障害者と犯罪
精神障害者で犯罪を起こした者を触法精神障害者と呼ぶ。特に殺人など重大な犯罪を犯した者に対して使われることが多い[22]。処遇の詳細については責任能力の頁を、保安処分導入の議論については保安処分#日本における保安処分導入の動きの項を、関連法令は心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の項、医学については司法精神医学の頁を参照のこと。
精神障害者等の犯罪の数値を挙げると「精神障害者をどう裁くか」岩波明 光文社 2009年 ISBN 9784334035013の29頁「一般刑法犯検挙人数における精神障害者等の推移(平成9~18年)」によれば検挙人数総数に対する精神障害者等の割合は0.6~0.7%となっている。一方、同書30頁の「精神障害者等の一般刑法犯罪名別検挙人員(平成18年)」では殺人が全体の9.6%を占める。
この精神障害者と犯罪と処遇をテーマとして取り上げた作品として円谷プロダクション制作の特撮テレビドラマ「怪奇大作戦」第24話狂鬼人間がある。しかし公式には欠番扱いになっており、欠番理由も不明である。
参考文献
- 精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について 厚生省保健医療局長通知
- 現代精神衛生学ノート 村田忠良 サンパウロ
- 精神障害者をどう裁くか 岩波明 光文社 2009年 ISBN 9784334035013
- 霞ヶ関の犯罪「お上社会」腐蝕の構造 本澤二郎 リベルタ出版 2002年 ISBN 9784947637772
- 封印作品の謎 安藤健二 太田出版 2004年 ISBN 9784872338874
- わが国の精神保健福祉 平成14年度版 精神保健福祉研究会
- こころの病―私たち100人の体験 全国精神障害者団体連合会準備会、全国精神障害者家族会連合会編 中央法規出版 1993年 ISBN 9784805810873
- こころを病む人の看護 中央法規出版 1995年 ISBN 9784805813638
脚注
- ^ 厚生省保健医療局長通知「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」の「精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準の説明」によると有機溶剤などの産業化合物、アルコールなどの嗜好品、麻薬、覚醒剤、コカイン、向精神薬などの医薬品など
- ^ 精神障害者をどう裁くか 岩波明 光文社 ISBN 9784334035013 p67
- ^ 精神障害者をどう裁くか 岩波明 光文社 ISBN 9784334035013 p74
- ^ 精神障害者をどう裁くか 岩波明 光文社 ISBN 9784334035013 p74-75
- ^ 精神障害者をどう裁くか 岩波明 光文社 ISBN 9784334035013 p75
- ^ アメリカにおける脱入院化――ケネディ教書以前とその後 三野宏治 立命館大学大学院 2009年
- ^ 現代精神衛生学ノート 村田忠良 サンパウロ 122~123頁
- ^ Wing, Lorna. Asperger syndrome: a clinical account.
- ^ 養育院事業と歴史 都庁養育院支部
- ^ わが国の精神保健福祉 平成14年度版 精神保健福祉研究会 16頁
- ^ わが国の精神保健福祉 平成14年度版 精神保健福祉研究会 563頁
- ^ 現代精神衛生学ノート 村田忠良 サンパウロ 61頁
- ^ 財団法人川越病院「沿革」
- ^ わが国の精神保健福祉 平成14年度版 精神保健福祉研究会 16頁
- ^ 平成13年度に実施した評価の結果:中間・事後評価書(確定):精神障害者通院医療費 厚生労働省社会援護局障害保健福祉部精神保健福祉課 2010年4月24日閲覧
- ^ 賀茂精神医療センター「通院医療費公費負担制度」 2010年3月16日閲覧
- ^ DSM-IVでは通常の精神疾患は1軸に分類される一方、知的障害や人格障害(精神病質)は2軸に分類されて区別されている。知的障害は療育や教育、福祉の分野で議論されることが多く、日本の法律上も知的障害者福祉法等が別途規定されている。精神病質は、犯罪を犯した場合の犯罪精神医学(司法精神医学)や刑事処遇論の領域で問題となる場合が多い。
- ^ 精神病質は人格障害とほぼ同義である。
- ^ 寄せられた「障害者差別と思われる事例」 2004年(平成16年)募集 千葉県障害福祉課 2010年3月30日閲覧。この事例集は「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」の制定目的で千葉県民から募集したものである。
- ^ こころの病―私たち100人の体験 全国精神障害者団体連合会準備会、全国精神障害者家族会連合会編 中央法規出版 1993年 ISBN 9784805810873 p202~203
- ^ 霞ヶ関の犯罪「お上社会」腐蝕の構造 本澤二郎 リベルタ出版 2002年 ISBN 9784947637772 p168-169
- ^ 精神障害者をどう裁くか 岩波明 光文社 2009年 ISBN 9784334035013 24頁
関連項目
外部リンク