Wikipedia:良質な記事/良質な記事の選考/マダガスカルにおける蚕 20240115
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選考終了日時:2024年1月29日 (月) 03:11 (UTC)
- (推薦)自薦です。ある程度十分な記述ができていると考えます。--Nux-vomica 1007(会話) 2024年1月15日 (月) 03:11 (UTC)
- 賛成 :--Nux-vomica 1007(会話) 2024年1月15日 (月) 03:11 (UTC)
- 反対 根本的な問題点として、本記事で何を解説したいのかよくわかりません。マダガスカルで蚕として利用される生物種であるにせよ、あるいはマダガスカルにおける養蚕・絹繊維産業にあるにせよ、どちらも中途半端な内容になっていると感じますが、如何せん何を解説したいのかよくわからないので、良質な記事の基準のひとつとされる「項目に記述されるべきトピックがある程度網羅され」の判断が出来ません。はっきりと申し上げれば杉本星子の論述にいくつかの出典を付けつつまとめ直したものに「マダガスカルにおける蚕」のタイトルをつけて立項したようにしか思えませんでした。杉本は文化人類学の専門家のようなので、その点ではある程度カバーできているかもしれませんが(ご自身の研究テーマに偏っている可能性も高いです)、文化人類学からの論述のみでトピックが網羅できているとは思えません。
- たとえば生物種としてならばマダガスカルは固有種の宝庫とされており、記事に挙げられている種についてもこれに該当するかについて言及すべきでしょう(すくなくともマダガスカルトゲマユカレハは固有種のようです)。またカレハガ科の昆虫が蚕として利用されること自体が極めて特徴的である点にも言及すべきでしょう(参考[1])。あわせてマダガスカルの自然環境は多様なのでそうした面からの種の違いについての言及、あるいは絶滅危惧種なのか、繭の形状は(参考[2])、繭糸の特徴(参考[3])、どのような生活史を送るのか、体長や食性、昼行性なのか夜行性なのかなど、生物種として押さえておきたい基本的な項目について言及がありません。
- 絹製品について言及するのならば、まず産業規模(主な産地・生産量・経済規模・輸出入額、あるいは就労人口など)に触れるべきです。またその歴史について「古くから」の一言で済まされるのも如何かと思います。こうした表現は受け取り側の価値観によって意味合いが大きく異なりますので、なんら説明になっていません(例えば日本では3世紀に絹製品が生産されていましたので、18世紀といわれても「ごく最近」としか感じません)。もっと具体的な年代表記をすべきです。軽く調べた限りでは、ヨーロッパがインド洋交易に乗り出したころ(16世紀頃?)には重要な産業になっていた様子(それ以前にイスラム文化圏と交易もあった様子)なので、そこまでは遡れるでしょう。技術的にも伝統的なものと、1820年に西洋から導入されたものでかなり違うことが予想されますが、具体的(養蚕・製糸・染色・製織などについて)な言及が一切ありません。伝統的な技術については、周辺文化圏との類似性(つまりどこから技術が伝播したのかについて)にも論考があってもよさそうですがどうでしょうか?
- マダガスカル産のワイルドシルクの特徴についても引用されている杉本の記事に「玄関マットと見まごうほど」「すぐれた染色性を示した」などの興味深い特徴がありますが、言及されていません。またランディベを野蚕、ランディケリを家蚕と生物種と養蚕を紐づけて定義されていますが、正しい内容か疑問です。記事を読む限り「養蚕を専業としていた氏族」がランディベを家蚕にしていた可能性があると思いますが?
- 関連する文化についてファマディハナについて言及されていますが、この風習について「マダガスカル人は」と言ってしまって大丈夫でしょうか?(中央高地のごく限られた民族、たとえばメリナ人に限定された風習ではありませんか?)改葬の度に必要とされる野蚕産の絹布がそれほどの需要を満たせるのか、にわかに信じがたいです。
- 気になる点をいくつかあげましたが、いずれにせよ冒頭に指摘した通りこの記事の主題が何なのか明確にされていないので、これ以上は議論が進まないと思います。--あずきごはん(会話) 2024年1月24日 (水) 15:08 (UTC)
- コメント あずきごはんさんの指摘と重なる部分もありますが、GAとするには出典の「弱さ」が気にかかります。単一著者の3文献が主要なソースなのですが、そのうち1つが科研費の報告書、もう1つが紀要論文です。科研費の報告書は内容に関しては査読を受けていないですし、紀要論文に関しても、これを信頼できる情報源とみなす分野は、あまり多くはなかったと思います。科研費の報告書に関しては、研究成果が出ていれば、それが記されているわけで、実際に公刊されたものが2つ記載されていますが、そのうち1つは既に出典として挙げられており、もう一つは、あんまり関係なさそうです。ちなみに、少し前にこれに関係する議論があります(参考議論:井戸端/subj/学会発表は信頼できる情報源として使用可能か)が、それには私とNux-vomicaさんも参加されており、スタンスとしては私は紀要に対して辛め、Nux vomicaさんは寛容、でした。ただ、それはあくまでもそれぞれの分野に関してであって、私はNux vomicaさんの分野ではありなのかな、とは思います。ただ、その時にも書きましたが、分野によって紀要をあり、とするなら、ある程度はなんらかの「補強」が必要になるかな、と思います。その分野での「常識」をいかに読者に納得させるか、具体的には私はアドバイスしようがないのですが、もう少し査読つき文献か、あれば二次資料を足して、出典の軸足をシフトすればいいのかな、と。現状、紀要や科研費報告書を出典の中心に据えた記事なので、まだ、中々GAとしては苦戦しそうだな、という気はします。あと、私は昆虫には疎いのですが、家蚕と野蚕の種が違っていて、交雑が可能なのか?と思います。多分、種の交雑なのでしょうけれども、出典の読みようによっては絹糸を交雑して織ったとも読めなくもない。このあたり、出典に引用のある、「杉本星子2006「マダガスカルの野蚕・家蚕複合生産:歴史と現状」を紐解けばハッキリしそうかなと。そういうわけで、記事として伸びしろは、まだあるんではないかな、というのが私の感想です。--Anesth Earth(会話) 2024年1月25日 (木) 12:02 (UTC)
- コメント まず、お二方とも拙記事を丁寧にお読みいただきありがとうございます。
- 記事のスコープについて:同記事名は「マダガスカルにおける蚕」であり、すなわちその絹糸が織物工業に利用される昆虫一般とその利用について概説することを意図しています。この枠組みは生物学的な意味を有するものと言うよりは、むしろ繊維を利用する人間の価値基準により成り立つものですから、「マダガスカルで蚕として利用される生物種」と「マダガスカルにおける養蚕・絹繊維産業」を分けて論じることは難しいのではないかと考えています。
- 生物種としての蚕について:マダガスカルの動物の80パーセントが固有種と考えられており、野蚕についてもその大半は固有種なのではないかと思います。ボロセラ属についてはマダガスカルの固有種と断言できますが、それ以外の種については資料の制限などもありよくわかりません。先述した通り、「蚕」はどちらかといえば産業的な概念ですから、生物種の詳細な生態について記述する意義は薄いとも考えていますが、繭の形状・蚕糸の性質などについては確かに加筆の余地があると思いました。ランディガシの交雑については、あくまでも各所から移入されたランディケリ(すなわち、カイコガ)同士のものです(確かに、不親切な記述だったかもしれないと思いました)。
- 利用について:マダガスカルにおける絹の歴史は不透明であり、文献資料が残るのは同地にヨーロッパ人が盛んに来航するようになった1700年代以降のこととなると思います(それ以前にもインド・アラブ圏との交流はありましたが、管見の限りそちら側が残した資料はないようです)。絹織物の技術については、いくつか未利用の資料を発見しましたので、加筆を試みたいと考えています。アンヂアナンプイニメリナ王が定めた養蚕を主業とする氏族がランディべを育てていたかどうかについては、よくわかりません。近現代のマダガスカルにおいて野蚕が養殖されていた事実が確認できないこと、そもそもこの故事自体にやや伝説的な部分があることから、おそらくはしていないのではないかと考えます。ファマディハナについては、その通りです。基本的にはメリナ人およびベツィレオ人の儀式であり、ベツィミサラカ人の一部も行うようです。利用史節に少しだけ記述していますが、現在のファマディハナにおいては家蚕布が使われることがより一般的です。
- 出典について:お二方のご指摘の通り、かなり弱いです。改めて調べ直したところ、使えそうな資料はいくつか見つけることができたのですが([4][5][6])、コメントに沿うよう本格的に改稿するとなるとフランス語資料に頼る必要があり、現状の私の力ではかなり厳しいかなと思っています。
- ご指摘をもとに記事の修正を続けていく心づもりではありますが、少なくとも数週間以内にGAの品質に持っていくのは不可能であるかなと考えています。重ね重ねとはなりますが、お二方の査読およびコメントに感謝申し上げます。 --Nux-vomica 1007(会話) 2024年1月27日 (土) 19:12 (UTC)
選考終了時点で、賛成1票、反対1票より、見送り。--Family27390(会話) 2024年1月29日 (月) 04:14 (UTC)