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Slackware

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Slackware Linuxから転送)
Slackware Linux
Slackware 15.0
Slackware 15.0
開発者 Patrick Volkerding, Slackware team
OSの系統 Linux
開発状況 開発中
最新安定版 15.0 / 2022年2月2日
パッケージ管理 Pkgtool, Slackpkg
プラットフォーム IA-32x64ARMDEC AlphaSPARC
カーネル種別 モノリシックカーネル
ウェブサイト http://www.slackware.com
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Slackware(スラックウェア)は、Linuxディストリビューションの一つ。

概要

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数あるLinuxディストリビューションの中でも特に歴史の長いものの一つであり、その歴史は1992年にまでさかのぼる。日本でもかつてはJE(JE) をインストールして日本語対応を施したり、FM TOWNSへ移植されたりなど、人気があった。

パッケージ化されたアプリケーション群もほとんどいじられておらず、素に近い状態から設定できる。そのためLinuxの学習によいとされている。slackは弛いという意味であり、配布者の考え方を示している。

パッケージ作成の容易さ

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Slackwareのパッケージ管理において、依存関係の自動解決が行われず、自動で必要なパッケージがインストールされない事を揶揄されることが多い。 しかし、Slackwareの利点は、自分でパッケージを容易に作れるところにある。昨今、Gitで、ソースコードをダウンロードしてビルドしてインストールする機会が増えているが、Slackwareであれば、簡単にパッケージを自分で作成できるため、管理が容易になり、且つ、アンインストールやアップグレードの際にはシステムをクリーンな状態にし続ける事が可能である。

パッケージビルド時の自由度

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Slackwareでソースコードからコンパイルしてビルドする際には、configureのオプションを自分で選んでからmakeすることになるので、自分でリンクさせるライブラリを選択できる。従って、必要がないオプション扱いのライブラリや不安定なライブラリなどを外して、自分の好みでパッケージを作成することが可能である。ライブラリのリンクもStaticにして速度を優先させるか、Dynamicにしてファイルサイズを小さくするかも、自分で決められる。

レポジトリの制約からの解放

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パッケージ管理のためにレポジトリを追加しなくてはいけない他のディストリビューションに比べて、ソースコードさえあればビルドしてパッケージ化し、システムで利用できるため、パッケージ化されて登録されているレポジトリを探し回り登録する必要もない。他のディストリビューションにあるような複数のレポジトリを参照して発生するパッケージの衝突もない。

パッケージ管理

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The Slackware mascot: Tux smoking a pipe

Slackwareのパッケージ管理システムは、ソフトウェアのインストールアップグレード削除を管理できる。これらはpkgtoolで管理できる。

Slackwareのパッケージはアプリケーションがインストールされるディレクトリツリー、その説明ファイル、インストール時に実行するスクリプト、パッケージ構成ファイル情報をtarでアーカイブしlzma(12.2以前はgzip)で圧縮しただけの非常にシンプルなものである。

pkgtool

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Slackwareで使用されるデフォルトのソフトウェアパッケージ管理ツール。これにより、ユーザーはシステム上のソフトウェアパッケージを管理、インストール、アンインストール、アップグレードすることができる。

Slackwareはそのシンプルさと最小限の自動化を特徴とするLinuxディストリビューションであり、pkgtoolはその哲学を反映している。ソフトウェアパッケージは.tar.txz形式のアーカイブとして配布され、これらはpkgtoolを使用して手動でインストールされる。

pkgtoolには依存関係解決の機能が含まれていない。これは他の多くのパッケージ管理システム(例えば、DebianのAPTやRedHatのdnfなど)が持っている機能で、一部のユーザーには不便になりうる。ただし、このアプローチはシステムのコントロールを最大限にユーザーに与え、何がインストールされているのか、またそれがどのように動作するのかを理解するためのシンプルさと透明性を提供する。

pkgtoolには、以下のコマンドがある。

installpkg ... パッケージのインストール。

upgradepkg ... パッケージのアップグレード。

removepkg ... パッケージの削除。

Slackpkg

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12.2で、サードパーティーツールとして、Piter Punkによって開発されてきたSlackpkgというパッケージ管理ツールが公式パッケージとして取り込まれた。

Slackpkgは、以下のオプションがある。

--update ... パッケージリストの更新

--install-new ... 新しく公式パッケージに追加されたパッケージのインストール

--upgrade-all ... 既存インストール済みのパッケージのアップグレード

--clean-system ... 公式パッケージから削除されたパッケージや、公式パッケージ群には無い自分でインストールしたパッケージの削除

Slackwareは、公式パッケージについては依存関係が考慮されているが、パッケージシステムとしては、依存関係のチェックは行わない。Slackwareは、現在は、全パッケージをインストールすることが推奨されている。

rpm2txz

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RPMパッケージをSlackwareパッケージ形式(.txz)に変換するツール。これにより、RPM形式で配布されているソフトウェアパッケージをSlackwareシステムで使用できるようになる。

rpm2txzは、RPMパッケージを解凍した後、その内容を.txz形式に再パッケージ化する。しかし、このツールは単なる形式の変換を行うだけで、RPMパッケージが持つ依存関係を解決したり、Slackwareシステムで適切に機能するようにパッケージを調整したりする機能は提供していない。したがって、rpm2txzを使用してパッケージを変換して利用する場合には、依存関係を調べておいて解決しておく必要がある。

尚、debパッケージについては、コミュニティのツールとして、deb2tgzという変換ツールがある。

日本語対応

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デフォルトで日本語に対応している。日本語フォントは、SazanamiやNoto Sans/Serifが含まれている。日本語入力は、Input Method FrameworkにFcitx及びibusが、入力システムにAnthyのUnicode版が採用されている。

ディスカッション

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Slackwareのバージョンアップに関するディスカッションは、LinuxQuestions.orgのRequests for current-next (15.0-->15.1)スレッドで行われている。

Patrickを始めとする、主要な開発メンバーも参照しており、Slackwareの派生ディストリビューションの開発者も参照している。Slackwareを利用しているユーザ達が公式パッケージに含まれる各ソフトウェアのバージョンアップの情報を提供したり、Slackwareで変更や改善すべき点を日々投稿している。

最新リリース

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Slackwareの最新安定版は15.0(2022年2月4日リリース)。 これにはLinux 5.15.19、GCC 11.2、KDE Plasma 5、Xfce 4.16が含まれている。

バージョン履歴

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Slackwareの最新安定版は15.0である。

バージョン リリース日 サポート終了日 カーネルバージョン 特記事項
サポート終了:1.00 1993年7月17日 明記なし 0.99.11 Alpha
サポート終了:1.1 1993年11月5日 明記なし 0.99.13
サポート終了:2.0 1994年7月2日 明記なし 1.0.9
サポート終了:2.1 1994年10月31日 明記なし 1.1.59
サポート終了:2.2 1995年3月30日 明記なし 1.2.1
サポート終了:2.3 1995年5月24日 明記なし 1.2.8
サポート終了:3.0 1995年11月30日 明記なし 1.2.13 CD-ROMでの最初のリリース
サポート終了:3.1 1996年6月3日 明記なし 2.0.0 Windows 95への風刺としてSlackware 96とも呼ばれる
サポート終了:3.2 1997年2月17日 明記なし 2.0.29
サポート終了:3.3 1997年6月11日 明記なし 2.0.30
サポート終了:3.4 1997年10月14日 明記なし 2.0.30 ZipSlackが登場
サポート終了:3.5 1998年6月9日 明記なし 2.0.34
サポート終了:3.6 1998年10月28日 明記なし 2.0.35
サポート終了:3.9 1999年5月10日 明記なし 2.0.37pre10
サポート終了:4.0 1999年5月17日 明記なし 2.2.6 KDEが追加され、フルインストールに1GBを要する最初のバージョン
サポート終了:7.0 1999年10月25日 明記なし 2.2.13
サポート終了:7.1 2000年6月22日 明記なし 2.2.16 GNOMEが追加
サポート終了:8.0 2001年7月1日 明記なし 2.2.19 Mozilla Browserが追加され、任意でLinux 2.4が使用できる
サポート終了:8.1 2002年6月18日 2012年8月1日 2.4.18 パッケージ名が8.3形式からname-version-arch-build.tgzに変更され、hdsetupがpkgtoolsに進化した
サポート終了:9.0 2003年3月19日 2012年8月1日 2.4.20 (2.4.21のパッチ適用済)
サポート終了:9.1 2003年9月26日 2012年8月1日 2.4.22 (2.4.26のパッチ適用済) OSSからALSAへ変更
サポート終了:10.0 2004年6月23日 2012年8月1日 2.4.26 XFree86からX.org Serverへ変更
サポート終了:10.1 2005年2月2日 2012年8月1日 2.4.29
サポート終了:10.2 2005年9月14日 2012年8月1日 2.4.31 GNOMEが削除
サポート終了:11.0 2006年10月2日 2012年8月1日 2.4.33.3 DVDで提供された初めてのバージョン
サポート終了:12.0 2007年7月1日 2012年8月1日 2.6.21.5 Linux 2.4からLinux 2.6へ変更され、HALのサポートが追加、そしてフロッピーディスクでのインストールのサポートが削除
サポート終了:12.1 2008年5月2日 2013年12月9日 2.6.24.5
サポート終了:12.2 2008年12月10日 2013年12月9日 2.6.27.7 (2.6.27.31のパッチ適用済) Slackpkgの追加
サポート終了:13.0 2009年8月26日 2018年7月5日 2.6.29.6 64ビットのバージョンが追加され、KDE 3.5からKDE 4.xへ変更、gzipからxzへ圧縮形式が変更
サポート終了:13.1 2010年5月24日 2018年7月5日 2.6.33.4 PolicyKitとConsoleKitの追加、libataサブシステムへ変更
サポート終了:13.37 2011年4月27日 2018年7月5日 2.6.37.6 GPTのサポート、Btrfsファイルシステム追加
サポート終了:14.0 2012年9月28日 未発表 3.2.29 (3.2.98のパッチ適用済) NetworkManagerの追加とHALの削除、HALの機能をudevに統合
サポート終了:14.1 2013年11月4日 未発表 3.10.17 (3.10.107のパッチ適用済) UEFIサポートの追加、MySQLからMariaDBへの変更
サポート終了:14.2 2016年6月30日 未発表 4.4.14 (4.4.276のパッチ適用済) PulseAudioとVDPAUの追加、udevからeudev、ConsoleKitからConsoleKit2への変更
現行バージョン:15.0 2022年2月4日 未発表 5.15.19 デフォルトのエンコーディングASCIIからUTF-8へ変更、ConsoleKit2からelogindへの変更、そしてKDE4からPlasma5への変更、それに伴いpython3への移行、したがってパッケージのデータベースが /var/log/packages/ から /var/lib/pkgtools/ へと変更、lame、vulkansdk、SDL2、FFmpeg、そしてWaylandのコアシステムへの追加、APIからABIへの移行、LDAP、PAMへの移行
最新プレビュー版:-current 開発中 N/A 6.11.7 PHP8.2、OpenSSL3.1へ移行、PythonでPEP 427とPEP 517に対応、ACPIをモジュール読込からカーネルにビルトインに変更、スクリプト言語Luaの追加、initrdを使わずに直接カーネルを読んで起動するユーザのためにgeneric kernelとhuge kernelの差をSCSIドライバの有無など小さくなるように変更、UTF-8 文字エンコーディングサポートをカーネルにビルトイン、glibc 2.39に移行、プリンタ検出がhplipからAvahiに移行、kernel-hugeの廃止によるkernel-genericへの一本化、ドライバ関係のパッケージであるkernel-moduleの廃止によるkernel-genericへの統合
凡例
サポート終了
サポート中
現行バージョン
最新プレビュー版
将来のリリース

派生版

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Slackware派生

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Slackware 系統樹

Slackwareからすると、"子"にあたるものである。一覧は、Slackware派生版一覧(英語版Wikipedia)に掲載された、Slackwareとパッケージ管理等が同様のもの。

配布版 説明
Absolute Linux Slackwareを母体とした軽量Linuxディストリビューションである[1][2]
Austrumi Linux 1.9.3時点では108MBのLive CDである。
Frugalware Linux コマンド操作に慣れた中級者向けの汎用ディストリビューション。初期のバージョンはSlackwareをベースにしていたが、現在は独自に開発されている。
KateOS 中級者向けのデスクトップディストリビューション。デフォルトのデスクトップ環境にXfceを採用していた。現在は開発されていない。
MuLinux モジュールを交換できるフロッピーディスクベースのLinuxディストリビューションである。
NimbleX NimbleXのウェブサイトで完全なカスタマイズが可能だった。現在は開発されていない。
openSUSE ドイツで開発されていたため、ヨーロッパで強い。SUSEノベルに買収されたことに伴い、SUSE Linuxから改名。

初期はSlackwareをベースにしたが、パッケージシステムがRPMに移行になり、今はSlackwareをベースとしていない。

Platypux フランスで開発されたSlackwareファミリーのLinuxディストリビューション
Puppy Linux インストールの必要がないLive CD版のLinuxディストリビューションで、Slacwareベースは Slack Puppyとしてリリースしている。
Salix OS 元々はZenwalkのフォークだった。Slackwareとの完全な下位互換性を持つ。デフォルトのデスクトップ環境として、XfceKDELXDEFluxboxRatpoisonを採用している。32ビット64ビットLive CD版がある。
Sentry Firewall ファイアーウォール、サーバー、侵入検知システムを提供するディストリビューションである。
Slackintosh PowerPC機向け非公式版 Slackware。
Slamd64 x64版Slackwareである。開発はされていない。現在はSlackware自体がx64に対応している。
Slax 一般的な使用目的での完全なデスクトップ環境を提供するLive CDである。Slaxの永久インストールはサポートされていない。USBからの起動ができる。
SuperGamer ゲーム利用をすることに特化したLive DVDのディストリビューションである。
Topologilinux Microsoft Windows上で動作するように設計されたLinuxディストリビューション。ユーザーのハードディスクに変更を加えることなくインストールできる。現在は時代遅れである。
VectorLinux 初心者でも簡単に使えるように設計された軽量のLinuxディストリビューションである。一般的には、古いハードウェアに適している。
Wolvix ウィンドウマネージャとしてXfceを採用している[3]。開発停止。
Zenwalk 元々はSlackwareの最小バージョンであった。現在は全く異なるOSに進化したが、互換性は維持されている。
ZipSlack 軽量でポータブルなSlackwareのバージョン。

Slax派生

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SlaxはSlackwareの派生版で、Slackwareからすると、孫にあたるもの。一覧は、Slax派生版一覧(英語版Wikipedia)に掲載されたもの。SLAX#関連ディストリビューションも参照。

配布版 説明
DNALinux BLASTやEMBOSSなどのバイオインフォマティクス・ソフトウェアを実行するために設計された小型のLinuxディストリビューション。
Porteus 300MB以下[4]。Sectorをベースにした小さなLinuxディストリビューション。

openSUSE

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openSUSEは、登場した当初はSlackwareの派生版ではあったが、パッケージ管理システムがRPMへと変更となり、ディストリビューションのあり方がSlackwareとは異なり、Slackwareがベースとなっているディストリビューションでもない。現在はRPM系ディストリビューションに分類される。

その他の派生版

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海外発の派生版

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  • Dragora GNU/Linux-Libre : 完全に自由ソフトウェアのみで構成される独自のGNU/Linuxディストリビューション。シンプルであることをコンセプトとしている。
  • Puppy Linux : ver.5 以降のSlacko PuppyはSlackwareを母体とする。ver.3.0以前も、Slackwareと互換性が高かった。

日本発の派生版

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スクリーンショット

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脚注

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  1. ^ Linuxレビュー:Absolute Linuxは“絶対買い”なディストリビューションか?
  2. ^ DistroWatch (2010年12月). “Absolute Linux”. 11 December 2010閲覧。
  3. ^ Linton, Susan (2007年3月). “A New Open Source Model?”. DistroWatch. http://distrowatch.com/weekly.php?issue=20070319 11 December 2010閲覧。 
  4. ^ Porteus (14 november 2010). “Why choose Porteus ? – IT IS PORTABLE”. 30 april 2011閲覧。

外部リンク

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関連項目

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