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グレイト・ジャズ・トリオ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Great Jazz Trioから転送)
グレイト・ジャズ・トリオ
The Great Jazz Trio
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ジャンル ジャズ
活動期間 1975年 - 2010年
レーベル イースト・ウィンドBaybridge、Eighty-Eight's
メンバー ハンク・ジョーンズ(ピアノ)
デヴィット・ウォンドイツ語版(ベース)
リー・ピアソン(ドラムス)
旧メンバー ロン・カーター (ベース)
バスター・ウィリアムス(ベース)
エディ・ゴメス(ベース)
マッズ・ヴィンディング英語版(ベース)
ジョージ・ムラーツ(ベース)
井上陽介(ベース)
リチャード・デイヴィス英語版(ベース)
ジョン・パティトゥッチ(ベース)
トニー・ウィリアムス(ドラムス)
アル・フォスター(ドラムス)
ジミー・コブ(ドラムス)
ビリー・ハート(ドラムス)
ロイ・ヘインズ(ドラムス)
ベン・ライリー(ドラムス)
エルヴィン・ジョーンズ(ドラムス)
ジャック・ディジョネット(ドラムス)
オマー・ハキム(ドラムス)
ビリー・キルソン(ドラムス)

ザ・グレイト・ジャズ・トリオThe Great Jazz Trio)は、ハンク・ジョーンズ1975年に結成したジャズトリオGJTの略称で知られ、2010年のハンク・ジョーンズの死去直前まで活動していた。その作品はスタンダードを中心とし、ハンク・ジョーンズ自身の作曲作品やメンバーの作曲作品も多く含まれていた。

経歴

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1975年春、ハンク・ジョーンズは、ロン・カータートニー・ウィリアムスと共にグレート・ジャズ・トリオと名乗ってニューヨークの「ヴィレッジ・ヴァンガード」に出演した。その直後にはトニーが参加しない編成によって『ハンキー・パンキー』が録音されたが、日本の「イースト・ウィンド」レーベルによって企画された渡辺貞夫との共演『アイム・オールド・ファッション』(1976年)の際にトニーがドラムスをつとめるトリオが復活し[1]、『ラヴ・フォー・セール』が翌日に録音された。「イースト・ウィンド」レーベルからの諸作品のプロデューサーは伊藤潔と伊藤八十八がつとめた。

1980年、ベースがエディ・ゴメスに、ドラムスがアル・フォスターに交代して『チャプターII』、松本英彦との『ザ・セッション』の2枚のアルバムが録音された。エディがベースを務めたこの期間は、第2期と呼ばれている。なお、アルとその後任のジミー・コブにはマイルス・デイヴィス・グループの在団経験がある。

1985年10月には、東京「郵便貯金会館」におけるカルテット編成の公演が翌1986年にアルバム『グレイト・ジャズ・カルテット・ライヴ・イン・ジャパン』として発表された。

1988年から「Alfa Jazz」レーベルにおいて木全信がプロデュースするようになり、第3期と呼ばれている。『スタンダード・コレクション』シリーズの制作に際してベースとドラムスが交代した。ベースのマッズ・ヴィンディング英語版とハンクは1983年6月に共演経験があり、ドラムスのビリー・ハートもマイルス・デイヴィス・グループの経験者である。1991年にリリースされた『フラワーズ・フォー・レディ・デイ』において、メンバーがジョージ・ムラーツロイ・ヘインズに代わった[2]

1992年から1994年にかけて、尾田悟らと共にクインテット編成のアルバムも制作された。

1998年に「Baybridge」レーベルからリリースされたトリオ編成のアルバム『ホワッツ・ニュー』におけるメンバーは井上陽介ベン・ライリーとなった。

2002年以降、伊藤八十八が設立した「Eighty-Eight's」レーベルから作品を発表するようになり、その初期メンバーはリチャード・デイヴィス英語版と弟のエルヴィン・ジョーンズであった。しかし、エルヴィンが2004年5月18日に死去したため、ジョン・パティトゥッチジャック・ディジョネットの新メンバーで再始動した。その後もメンバー交代を繰り返し、2010年5月にハンク・ジョーンズが91歳で亡くなる直前まで活動した。

メンバー

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1975年〜(第1期)
1980年〜(第2期)
1985年(グレイト・ジャズ・カルテット)
1988年〜(第3期)
1991年
1992年(尾田悟&ハンク・ジョーンズ・グレイト・ジャズ・クインテット)
1993年(グレイト・ジャズ・クインテット)
  • ハンク・ジョーンズ - ピアノ
  • 尾田悟 - テナーサックス
  • ウォーレン・ヴァシェ・シニア - クラリネット
  • ジョージ・ムラーツ - ベース
  • ルイス・ナッシュ英語版 - ドラムス
1994年(グレイト・ジャズ・クインテット)
1998年(第4期)
2002年(第5期)
2004年、2005年
2006年、2007年
  • ハンク・ジョーンズ - ピアノ
  • ジョン・パティトゥッチ - ベース
  • オマー・ハキム - ドラムス
2008年
2009年、2010年
  • ハンク・ジョーンズ - ピアノ
  • デヴィット・ウォン - ベース
  • リー・ピアソン - ドラムス

ディスコグラフィ

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アルバム

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1975年〜(第1期)

1980年〜(第2期)

  • 『チャプターII』 - Chapter II(1980年6月録音)(East Wind) 1980年
    • 『モアオーヴァー』 - MoreOver(1980年6月録音)(East Wind) 1980年
    • 松本英彦と共同名義, 『ザ・セッション』 - The Session - Sleepy Meets The Great Jazz Trio(1980年6月、7月録音)(Nippon Phonogram/Next Wave) 1980年
  • 『再訪』 Vol.1 - Re-visited Vol.1(1980年10月録音)(Eastworld) 1980年
    • 『再訪』 Vol.2 - Re-visited Vol.2(1980年10月録音)(Eastworld) 1980年
  • 『プレイズ・スタンダード』 - The Great Jazz Trio Plays Standard(1980年10月録音)(EMI/Somethin' Else) 1998年
  • ナンシー・ウィルソンと共同名義, 『グレート・ジャズ・トリオ&フレンズ with ナンシー・ウィルソン』 - Aurex Jazz Festival' 81 / The Great Jazz Trio & Friends With Nancy Wilson(1981年9月録音)(Eastworld) 1981年(アート・ファーマーベニー・ゴルソンが参加)
  • 『スリーサム』 - Threesome(1982年録音)(Eastworld) 1982年
  • ナンシー・ウィルソンの作品に参加, 『ホワッツ・ニュー』 - What's New(1983年9月録音)(Eastworld) 1982年
  • 『ザ・クラブ・ニューヨーカー』 - The Club New Yorker(1983年5月録音)(Denon, Interface) 1983年(Lewis Eleyゲストが参加)
  • アート・ファーマーの作品に参加, 『アンブロジア』 - Ambrosia(1983年10月、11月録音)(Denon, Interface) 1984年
  • 『ニューヨーク・ソフィスティケイト:デューク・エリントンに捧ぐ』 - N.Y. Sophisticate: A Tribute To Duke Ellington(1983年録音)(Denon, Interface) 1984年
  • 大野えりの作品に参加, 『イージー・トゥ・ラブ』 - Easy To Love: Eri Sings Cole Porter (Denon, Interface) 1984年
  • 『モンクス・ムーズ』 - Monk's Moods(1984年8月~10月録音)(Denon, Interface) 1984年(日野皓正がゲスト参加)

1985年(参考:グレイト・ジャズ・カルテット)

  • 『グレイト・ジャズ・カルテット・ライヴ・イン・ジャパン』 - Great Jazz Quartet Live In Japan(1985年10月録音)(TDK) 1986年(「郵便貯金会館」におけるライヴ)

1988年〜(第3期)

  • 『スタンダード・コレクション』Vol.1 - Great Standards Vol.1(1988年録音)(Alfa Jazz) 1988年(木全信がプロデュース)
    • 『スタンダード・コレクション』Vol.2 - Great Standards Vol.2(1988年録音)(Alfa Jazz) 1988年
    • 『スタンダード・コレクション』Vol.3 - Great Standards Vol.3(1989年5月録音)(Alfa Jazz) 1989年
    • 『スタンダード・コレクション』Vol.4 - Great Standards Vol.4(1989年5月録音)(Alfa Jazz) 1989年
    • 『スタンダード・コレクション』Vol.5 - Great Standards Vol.5(1990年3月録音)(Alfa Jazz) 1990年
  • 『フラワーズ・フォー・レディ・デイ』 - Flowers for Lady Day(1991年11月録音)(Alfa Jazz) 1992年

1992年〜(参考:グレイト・ジャズ・クインテット)

  • 『ジャズに恋して』Vol.1 - Standard Jazz For Lovers Vol.1(1992年12月録音)(Seven Seas Music) 1993年
    • 『ジャズに恋して』Vol.2 - Standard Jazz For Lovers Vol.2(1992年12月録音)(Seven Seas Music) 1993年
    • 『ジャズに恋して』Vol.3 - Standard Jazz For Lovers Vol.3(1993年12月録音)(King) 1994年
    • 『ジャズに恋して』Vol.4 - Standard Jazz For Lovers Vol.4(1993年12月録音)(King) 1994年
  • 『マイノリティ・エニワン』 - Minority Anyone(1994年12月録音)(Sony) 1995年
  • 『サトリズム』 - Satolism(1994年12月録音)(Venus) 1995年。
    のち改題『ジャスト・フレンズ 』 - Just Friends (Venus) 2000年。

1998年(第4期)

2002年〜(第5期)

  • 『枯葉』 - Autumn Leaves(2002年5月12日、13日録音)(Eighty-Eight's) 2002年
    • 『いつか王子様が』 - Someday My Prince Will Come(2002年5月、2003年8月録音)(Eighty-Eight's) 2003年
    • 『コラボレーション』 - Collaboration(2002年5月、2004年2月録音)(Eighty-Eight's) 2004年(エルヴィン・ジョーンズ追悼盤。未発表テイク集。)
  • 『ス・ワンダフル』 - 'S Wonderful(2004年6月録音)(Eighty-Eight's) 2004年
  • 『スピーク・ロウ』 - Speak Low(2005年6月録音)(Eighty-Eight's) 2005年(SJ選定ゴールドディスク)
  • 星影のステラ』 - Stella by Starlight(2006年9月録音)(Eighty-Eight's) 2006年(渡辺貞夫がゲスト参加)
  • July 5th : Live at Birdland New York(2007年7月録音)(Eighty-Eight's) 2007年(ライヴ)
    • July 6th : Live at Birdland New York(2007年7月録音)(Eighty-Eight's) 2007年(ライヴ)
  • 『ブルー・マイナー』 - Blue Minor(2008年9月録音)(Eighty-Eight's) 2008年(ケイコ・リーTOKUがゲスト参加[3]。)
  • 『ジャム・アット・ベイシー』 - Jam at Basie featuring Hank Jones(2009年8月録音)(Menkoi) 2009年。(一関市ベイシー」におけるライヴ。クリスタルディスク特別盤。)のち、通常版 (Happinet) 2010年。
  • 『ラスト・レコーディング』 - Last Recording(2010年2月録音)(Eighty-Eight's) 2010年(遺作。ロイ・ハーグローヴ、レイモンド・マクモーリンが参加[4]。)

コンピレーション

  • 『スタンダード・コレクション』 - The Great Jazz Trio Standard Collection (Denon, Interface) 1986年
  • 『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』 - My Funny Valentine (M&I) 2001年(木全信のプロデュース活動25周年記念盤の1枚)
  • The Legend of Jazz (Eighty-Eight's) 2009年
  • 『メモリアル・オブ・ハンク・ジョーンズ』 - The Memorial of Hank Jones: Unpublished Anthology(2004年、2008年、2010年録音)(Eighty-Eight's) 2010年(ハンク・ジョーンズ追悼盤。未発表テイク集。ケイコ・リーTOKU、Tiffany、寺久保エレナが参加。)

映像作品

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  • 2006年 『レジェンド・オブ・ジャズ・ピアノ~ライヴ・アット・ブルーノート東京<Piano solo>』 [DVD]
  • 2006年 『ライヴ・アット・ブルーノート東京<Great Jazz Trio>』 [DVD]
  • 2006年 『レジェンド・オブ・ジャズ~ライヴ・アット・ブルーノート東京<solo&trio>』 - The Legend Of Jazz — Live At Blue Note Tokyo [Blu-ray] (Eighty-Eight's)

出演映像

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  • 2006年 東京JAZZ 2006 [NHK BS]
  • 2008年 東京JAZZ 2008 [NHK BS]
  • 2009年 Speak in Music [BS フジ]

他多数

脚注

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  1. ^ 中山康樹「グレート・ジャズ・トリオ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」『ジャズの名盤入門』講談社〈講談社現代新書〉、2005年、216-219頁。 
  2. ^ 木全信「忘れがたい三人のピアニスト」『ジャズは気楽な旋律』平凡社〈平凡社新書〉、2014年、207-210頁。 
  3. ^ ケイコ・リー、TOKUがゲスト参加! グレイト・ジャズ・トリオのスタジオ録音最新作が登場”. CD Journal (2008年10月27日). 2018年11月14日閲覧。
  4. ^ ハンク・ジョーンズ~ザ・グレイト・ジャズ・トリオ~ / ラスト・レコーディング”. CD Journal. 2018年11月14日閲覧。

外部リンク

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