From AQUA
From AQUA(フロム アクア)は、JR東日本クロスステーション ウォータービジネスカンパニー(旧:JR東日本ウォータービジネス)が販売する軟水のナチュラルミネラルウォーター。
1984年11月に日本国有鉄道(国鉄)から発売された『谷川連峰の源水 大清水』を前身とし、2007年7月より現在の名称となる。主に東日本旅客鉄道(JR東日本)の駅構内にある自動販売機acure・KIOSK・コンビニエンスストアNewDaysで販売されているほか、オンラインストアでの販売も行われている。
概要
[編集]水源は群馬県利根郡みなかみ町の上越新幹線大清水トンネル内、谷川岳の地下約1,000 m の地点にある。谷川連峰に降り積もる雨や雪が、ホルンフェルス・蛇紋岩・花崗岩・緑色凝灰岩・結晶片岩などの地層を通ることで濾過されることにより、硬度20、pH7.3のまろやかな軟水が誕生する。『From AQUA』のすべてのパッケージデザインは、『大清水』発売当初と同じく谷川岳 一の倉沢をモチーフにしてデザインされている。
『From AQUA』は1971年に着工した上越新幹線上毛高原駅 - 越後湯沢駅間の、大清水トンネル掘削工事中に湧出した地下水を原水にしている。1978年8月、掘削中に湧水帯に遭遇し、毎分33トンの大規模な出水が発生。のちにここが『大清水』(現・『From AQUA』)の採水地となる。トンネル完成後、地下水は線路の融雪用スプリンクラーで使用されていたが、機械整備の作業員の間で「この地下水はおいしい」と評判となっていた。
それを聞きつけた日本国有鉄道(国鉄)高崎鉄道管理局工事課主席の瀬間勝利が、飲料水の缶詰として販売することを提案し、1983年に高崎鉄道管理局企画室内に「水プロジェクトチーム」が発足。1984年11月15日に『谷川連峰の源水 大清水』として発売。当時はミネラルウォーターが日本でも普及しはじめていたこともあり、関東地方で試験販売したところ好評を博した。1985年7月には、大清水トンネルから上毛高原駅高架下まで専用送水管が敷設され、現在の採水基地が整備された[1]。
なお採水地のトンネルの名称は『大清水(だいしみず)トンネル』であるが、この商品の名前は『大清水(おおしみず)』である。これは「おいしい水」をもじったもので、また読みに濁点がついていないので、水が「濁っていない」という意味もかけられている[2][3]。
1987年4月、国鉄分割民営化にともない『大清水』はJR東日本に移管され、さらに同社高崎支社エリアの関連会社であるジェイアール高崎商事に移管され、大清水の販売を再開。このほかに同じ原水を使用した、茶飲料・コーヒー飲料・ジュース・健康飲料・氷・豆腐・地ビールなども販売された[3][注釈 1]。
その後JR東日本グループの飲料事業再編のため、2006年に『大清水』の販売を一旦終了し、ジェイアール高崎商事からJR東日本ウォータービジネスへ移管。そして2007年7月に「水からはじまる一日」というコンセプトのもと『From AQUA』としてリニューアル発売した。『大清水』では瓶・缶のラインナップがあったが、このリニューアル以降はペットボトルのみでの展開となった(2021年4月より業務用としてリターナブル瓶製品を展開)。
2012年3月には「持ち歩きたくなる水」をコンセプトに、開栓時にキャップをボトルにくっつけたまま飲める「落ちないキャップ」を搭載しリニューアル。熾烈を極めるミネラルウォーター市場の中で異質な鉄道会社のプライベートブランド商品であることを武器に、駅の飲料自販機利用者の「移動中にキャップを失くすのが怖い」という声を反映した。
長年「谷川連峰の天然水」を事業展開してきたJR東日本グループのプライベートブランド飲料事業だが、これとは別に藤里開発公社が秋田県山本郡1市3町を中心に発売する「白神山水」のOEM商品として2015年ごろから「白神山地の天然水」が登場、東北を中心に谷川連峰の「From AQUA」と並行して販売されてきたが、2022年春から順次谷川連峰・白神山地の2種類の天然水の商品名を「From AQUA」に統一、「サントリー天然水」やコカ・コーラ「い・ろ・は・す」同様の商品の販売地域ごとに水源地が変わるシステムを導入し、関東甲信越では谷川連峰の「From AQUA」、東北では白神山地の「From AQUA」が販売されることになった。この他ウォーターサーバー「acure mine 富士の天然水」を2022年3月22日以降「acure mine From AQUA 天然水」とした上で夏頃より谷川連峰の天然水も扱うことを発表した[4]。イメージモデルは岡田愛[5]。
製品一覧
[編集]- From AQUA 白神山地の天然水(東北エリア限定) ※ 2022年3月22日発売開始
- 550ml
- 300ml
- From AQUA 谷川連峰の天然水(リニューアル品:関東甲信越エリア限定) ※ 2022年夏発売開始
- 550ml
- 300ml
- acure mine From AQUA 天然水 ※ acure mine 富士の天然水より、2022年3月22日以降改称
- 6.5L
関連商品
[編集]- From AQUA 天然水ゼリー
- 280ml/500m。天然水にラムネ味のゼリーが入っており、振って混ぜて食用する[6]。
- 谷川連峰の天然水 by From AQUA
過去の商品
[編集]- From AQUA 谷川連峰の天然水(従来品:JR東日本エリア全域で販売)
- 530ml
- 280ml
- 2L(通信販売限定)
- 10L バッグインボックス(通信販売限定)
基本情報
[編集]From AQUA 谷川連峰の天然水
[編集]- 谷川岳
- 名称:ナチュラルミネラルウォーター
- 原材料名:水(湧水)
- エネルギー:0kcal
- たんぱく質:0g
- 脂質:0g
- 炭水化物:0g
- カルシウム:7.1mg/l
- ナトリウム:3.5mg/l
- マグネシウム:1.2mg/l
- カリウム:0.4mg/l
- 硬度:約20度(軟水)
- pH:7.3[10]
- 水源:谷川連峰谷川岳(上信越高原国立公園)
- 採水地:群馬県利根郡みなかみ町 上越新幹線大清水トンネル (134k726m[1])
- 殺菌方法:加熱殺菌
- ボトリング状況:採水地から上毛高原駅の取水基地(119k245m)までパイプラインで輸送し、ボトリング工場までタンクローリーで輸送している[1]。ボトリングは、ハルナプロデュース株式会社タニガワプラントへ委託していたが、JR東日本ウォータビジネス社時代より自社工場の建設計画を進めており、2022年夏までにみなかみ工場(群馬県利根郡みなかみ町月夜野字深澤2223)を稼働開始して移行した[11]。
- 製造者:株式会社JR東日本クロスステーション
- 製造所:JR東日本クロスステーションみなかみ工場
From AQUA 白神山地の天然水
[編集]出典:[12]
- 名称:ナチュラルミネラルウォーター
- 原材料名:水(鉱泉水)
- エネルギー:0kcal
- たんぱく質:0.1g
- 脂質:0.1g
- 炭水化物:0g
- ナトリウム:0.8mg/l
- カリウム:0.2mg/l
- カルシウム:0.5mg/l
- マグネシウム:0.18mg/l
- 硬度:約19度(軟水)
- pH:7.2
- 水源:白神山地物見山
- 採水地:秋田県山本郡藤里町
- 製造者・販売者:株式会社藤里開発公社
名水 大清水
[編集]出典:[13]
- Ph:7.2 - 7.5
- 全硬度:24 - 48mg/L
- 蒸発残留物:48 - 66mg/L
- 塩素イオン:1.8 - 4mg/L
- 過マンガン酸カリウム消費量:0.8 - 1.2mg/L
- 鉄:不検出
- 臭味:なし
- 採水地:「From AQUA 谷川連峰の天然水」と同じ
- ボトリング状況:採水地から上毛高原駅の取水基地までパイプラインで輸送し、委託事業者のボトリング工場までタンクローリーで輸送
歴史
[編集]- 1971年(昭和46年) - 上越新幹線大清水トンネル着工。
- 1972年(昭和46年) - 大清水トンネルの掘削工事開始[14]
- 1978年(昭和53年)8月 - トンネル掘削中に湧水帯に遭遇、現在の採水地が誕生。
- 1982年(昭和57年)11月15日 - トンネル開通。
- 1983年(昭和58年) - 日本国有鉄道(国鉄)高崎鉄道管理局企画室内に「水プロジェクトチーム」が発足[15]。
- 1984年(昭和59年)11月15日 - 『谷川連峰の源水 大清水』として発売[16]。
- 1987年(昭和62年)4月 - 東日本旅客鉄道(JR東日本)が発足し、国鉄から『大清水』の製造・販売を継承。
- 1989年(平成元年) - 『大清水』の製造・販売をジェイアール高崎商事が継承。原水を外部企業に販売。[14]
- 2006年(平成18年) - 『大清水』販売終了[15]。
- 2006年(平成18年)8月1日 - JR東日本ウォータービジネスを設立。ジェイアール高崎商事から『大清水』の製造・販売を譲受。
- 2007年(平成19年)7月17日 - 『大清水』を『From AQUA』にリニューアル[17]。
- 2008年(平成20年)4月1日 - 『From AQUA』と同じ地下水を使った、『谷川連峰のうるおい天然水』(ペットボトル2リットル、バッグインボックス〈ウォーターサーバー用〉10リットル)を通信販売限定で発売[18]。
- 2009年(平成21年)3月20日 - セレクトショップShinzoneとのコラボレーションデザインの『「FromAQUA」Shinzoneモデル』(280ミリリットル ペットボトル)を発売[19]。
- 2012年(平成24年)3月6日 - 小型ペットボトルのキャップを「落ちないキャップ」にリニューアル[20]。
- 2013年(平成25年)9月2日 - From AQUAと同じ地下水を使った『朝の茶事弁当』を発売[21]。
- 2014年(平成26年)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c 尾崎満治「「大清水」送水管敷設工事」『交通技術 1985年10月』、財団法人交通協力会、ISSN 0288-2140、321ページ
- ^ 「From AQUA 30年物語マンガ(開発ストーリー) 第1話 トンネル工事編」 天然水 From AQUA 30年物語 | 商品紹介 | エキナカ自販機 acure〈アキュア〉
- ^ a b 「JRの「大清水」、大手メーカーとの競争に苦戦 - ウェイバックマシン(2002年10月10日アーカイブ分)」『asahi.com』、朝日新聞社、2002年10月
- ^ ウォータービジネスカンパニー ニュースリリース 国鉄時代誕生の天然水が、令和初リニューアル
- ^ megumi_okada04のツイート(1498151845856149506)
- ^ From AQUA 天然水ゼリー | 商品紹介 | acure<アキュア>
- ^ NewDays初のPBミネラルウォーター「谷川連峰の天然水 by From AQUA」が7/12(火)から新発売!(2022年7月14日18時00分)
- ^ 『“落ちないキャップ”「フロムアクア」は「大清水」誕生から31年目に大リニューアルします!!』(PDF)(プレスリリース)株式会社JR東日本ウォータービジネス、2015年3月10日 。
- ^ 天然水 From AQUAが届くまで | 商品紹介 | エキナカ自販機 acure〈アキュア〉
- ^ 『あの“落ちないキャップ”が受験生をサポート! 谷川連峰の天然水「FROM AQUA」受験生応援企画センター試験当日サンプリング実施のお知らせ』(PDF)(プレスリリース)株式会社JR東日本ウォータービジネス、2015年1月8日 。
- ^ JR東日本クロスステーション ウォータービジネスカンパニー ニュースリリース/JR東日本クロスステーション みなかみ工場 これからはじまります
- ^ 「商品紹介 From AQUA 白神山地の天然水」『acure<アキュア>』 JR東日本クロスステーション
- ^ 川瀬根太郎・瀬間勝利・越後淳「水の話」『交通技術 1985年3月』 財団法人交通協力会、1985年、ISSN 0288-2140、96ページ
- ^ a b 『“フロムアクア30年物語”プロジェクトの実施について』(PDF)(プレスリリース)株式会社JR東日本ウォータービジネス、2014年6月23日 。
- ^ a b 『「FromAQUA〜谷川連峰の天然水〜」がちょっぴり新しくなります』(PDF)(プレスリリース)株式会社JR東日本ウォータービジネス、2009年6月25日 。
- ^ a b 『『谷川連峰の源水 大清水』落ちないキャップで限定復刻!!』(PDF)(プレスリリース)株式会社JR東日本ウォータービジネス、2014年10月14日 。
- ^ 『「From AQUA(フロムアクア)」新発売について』(PDF)(プレスリリース)株式会社JR東日本ウォータービジネス、2007年7月3日 。
- ^ 『「谷川連峰のうるおい天然水」-カラダにやさしい弱アルカリ性天然水-』(PDF)(プレスリリース)株式会社JR東日本ウォータービジネス、2008年3月31日 。
- ^ 『「FromAQUA」Shinzoneモデル誕生!』(PDF)(プレスリリース)株式会社JR東日本ウォータービジネス、2009年3月17日 。
- ^ 『“落ちないキャップ”の「フロムアクア」3月6日(火)登場』(PDF)(プレスリリース)株式会社JR東日本ウォータービジネス、2012年3月5日 。
- ^ 『谷川連峰の天然水で炊いたご飯を使用した 『朝の茶事弁当』を販売します!』(PDF)(プレスリリース)株式会社JR東日本ウォータービジネス・株式会社日本レストランエンタプライズ・株式会社大船軒、2013年8月30日 。
- ^ 『「FROM AQUA」2リットルの販売開始』(PDF)(プレスリリース)株式会社JR東日本ウォータービジネス、2014年3月20日 。
外部リンク
[編集]- From AQUA
- acure<アキュア> (@acure_official) - X(旧Twitter)
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