6ペンスの唄
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「6ペンスの唄」(6ペンスのうた)は、イギリスを中心とした英語圏の童謡である『マザー・グース』の一編である。原題は "Sing a song of sixpence" といい、数ある『マザー・グース』の中でも五指に入るほど愛唱されている唄である[1]。通常愛唱されている唄は4連で構成されている。
歌詞
[編集](英語原詞・日本語訳)[注 1]
Sing a song of sixpence
Sing a Song of sixpence,
A pocket full of rye,
Four and twenty blackbirds[注 2],
Baked in a pie.
When the pie was opened,
The birds began to sing,
Was not that a dainty dish,
To set before the king?
The king was in his counting-house,
Counting out his money,
The queen was in the parlour,
Eating bread and honey.
The maid was in the garden,
Hanging out the clothes,
There came a little blackbird,
And snapped off her nose.
起源についての説
[編集]唄の歌詞の意味やその成り立ちについては次の諸説がある[1]。
- 24羽の黒ツグミは24時間、王は太陽を、女王は月を表し、時間の運行を意味する唄という説。
- メイドは罪人を、黒ツグミは悪魔のこらしめを意味するという懲悪説。
- 24羽の黒ツグミはアルファベットを、「パイに焼き込む」のは活字の植字を意味し、唄全体では英訳聖書の出版を祝賀しているという説。
- 王はヘンリー8世、女王 (queen) は王の最初の妃キャサリン、メイドは2番目の妃アンを指し、ローマ教皇と争い修道院の財産を没収して蓄財していたヘンリー8世へのあてつけの唄とする説。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]関連項目
[編集]- アガサ・クリスティ『ポケットにライ麦を』 - タイトルはこの童謡の歌詞からとられており、内容はこの童謡に見立てた殺人が起きるというものである。なお、アガサ・クリスティは、この童謡を短編の「六ペンスのうた」(短編集『リスタデール卿の謎』に収録)と「二十四羽の黒つぐみ」(短編集『クリスマス・プディングの冒険』に収録)にも用いている。ただし、いずれも見立て殺人ではない。
- エラリー・クイーン『フランス白粉の謎』 - 1「女王さまがたは応接間にいた」、2「王さまがたは勘定部屋にいた」と、章題の一部でこの童謡の一部をもじって用いている。
- アラン・ブラッドリー『パイは小さな秘密を運ぶ』 - 「20と4羽のクロツグミ、パイに包まれ焼かれちゃう」と、童謡の一部を引用している。
- ビートルズのアルバム『ザ・ビートルズ』 - 収録された「クライ・ベイビー・クライ」で一部を引用している。
- レイモンド・カーヴァーの短編集『象、その他の短編』 - 収録された「ブラックバード・パイ」の中で、語り手が一節をもじった言葉を独白する。
- 三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ - 同名の舞台公演で演劇界デビューした。
- 和田慎二『左の眼の悪霊』 - 「青の城」を元に地下帝国を掘り広げるために強制労働に反抗する人夫は、「6ペンスの唄を歌おう」を歌い眼を抉られ殺害されて、「青の城」の真上にある「ツグミ館」の庭の芥子畑に埋められた。
- w:Handbags And Gladrags - マンフレッド・マンのメンバー、マイク・ダボの1967年のシングル。歌詞にこの曲の最初の4行が丸ごと引用されている。ロッド・スチュワート、チェイス、ステレオフォニックスなどがカバーしている。