2009年のイギリス
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2009年のイギリスでは、2009年のイギリスに関する出来事について記述する。
概要
[編集]できごと
[編集]1月
[編集]- 1月8日 - イングランド銀行(英中銀)が政策金利を英中銀設立(1694年)以来の最低水準の1.5%にすると発表[1]。
- 1月11日 - ヘンリー王子が、陸軍士官候補生時代の2006年3月頃、同僚の士官候補生をパキスタン人への蔑称「パキ」と呼ぶなどした問題が発覚。ニュース・オブ・ザ・ワールドは、同王子が基地内で撮影した映像を入手し、その中にパキスタン系の同僚を「俺たちの可愛いパキの友達」と紹介する場面があったと報じた。同王子は謝罪し、軍の人種差別問題に関する研修を受けることとなった [2][3]。
- 1月15日 - ミリバンド外相、インド・ムンバイのタージマハル・ホテルで演説し、「テロとの戦い (対テロ戦争)」は誤りだったと発言。この概念は、実際にはバラバラなテロリストが統一されたものであるという誤解を与えており、穏健か過激か、善か悪かという二元論的な構図を描けば描くほど、アルカーイダが多様なテロリストを統合するのに利用されると語った。イギリスが、同盟国アメリカの政策を公然と批判するのは極めて異例 [4][5][6]。
- 1月31日 - 中国の温家宝首相、ロンドン訪問。イギリスは、温家宝首相の欧州5カ国歴訪の最後の訪問国 [7]。
2月
[編集]- 2月2日 - 中国の温家宝首相に対する靴投げ事件。ケンブリッジ大学で講演中、突如靴が投げつけられたが、命中せず、特に怪我はなかった。2008年12月14日に発生したブッシュ米大統領に対する靴投げ事件と比較する見方も報じられた [8][9]。
- 2月5日 - イングランド銀行(英中銀)が政策金利を過去最低水準の1%にすると発表[10]。
3月
[編集]- 3月5日 - イギリスの中央銀行は政策金利を0.5%(過去最低水準)に引き下げた[11]。量的緩和750億ポンドも表明。
- 3月26日 - ブラウン首相、ブラジルの首都ブラジリアを訪問。翌月の第2回20か国・地域首脳会合(G20首脳会合)に先立ち、ルーラ大統領と会談。ルーラ大統領は、世界的な経済危機を引き起こした責任は「青い眼の白人」にあるとし、自分たちに責任のない危機に対して、貧しい人々は支払いを強いられるべきではないと述べた [12][13]。
4月
[編集]- 4月1日-2日 - 第2回20か国・地域首脳会合(G20首脳会合、金融サミット)、ロンドンで開催。議長は、ブラウン首相。2010年末までの総額5兆ドルの財政刺激策により、世界の成長率を4%押し上げ、大規模な雇用を創出するとする共同声明を採択[14][15][16]。また、G20の首脳会合に合わせて、金融街シティで大規模な抗議デモが実施され、警察と衝突した結果、逮捕者63人、死者1人を出した [17][18]。
5月
[編集]- 5月8日 - デイリー・テレグラフ、英下院議員による議員経費不正請求の暴露開始。次々と発覚した議員経費の不正請求や乱用は広く与野党に及び、英政界に激震が走った[19][20][21][22][23]。1月余り経過した6月19日までに、閣僚、下院議長、議員ら多数が辞職や引退表明し、自らの非を認めたブラウン首相ら182人が総額47万8,616ポンド(約7,600万円)を返還する事態となった(英議会議員経費スキャンダル) [24][25]。
- 5月15日 - マリク法務政務次官、辞任。ロンドンでの住居用として3年間で計約6万7,000ポンドを議員経費として請求していたが、地元選挙区にある自宅は月400ポンド程度で賃借していたことに非難が集まっていた [26]。
- 5月18日 - S&Pはイギリスの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に修正[27]。長期格付けは「AAA」、短期格付けは「A-1+」の最上位のまま。
- 5月19日 - 英下院のマイケル・マーティン議長、6月21日付での辞任を表明。議員経費不正請求問題に対する消極的姿勢や、親族による不正請求発覚に批判が高まっていた。任期中の下院議長の辞任は、1695年に辞任したジョン・トレヴァー以来314年ぶり [28][29]。
- 5月21日 - 野党保守党のピーター・ヴィガース議員、次回選挙に出馬しない意向を表明。自宅のアヒル小屋の設置費用を議員経費として不正に計上していた責任が問われていた [21]。
6月
[編集]- 6月2日 - スミス内相、辞意表明。スミス内相は、夫のアダルト映画代などを議員経費として請求していたとして、問題となっていた [30][31]。
- 6月3日 - ブリアーズ地域・地方政府担当相、辞意表明。住宅の売却益に対する課税逃れが問題となっていた。ブレア派である彼女はブラウン首相への批判を強めており、党首選実施を求める電子メールが出回るなど労働党内で「ブラウン降ろし」の動きが公然化した [31][32][33]。
- 6月4日
- 6月5日
- ノルマンディー上陸作戦65周年記念式典、フランス・ノルマンディーのコルヴィル=シュル=メールにある米軍基地で挙行。ブラウン首相のほか、オバマ米大統領、サルコジ仏大統領、ハーパー加首相らが参列した[36]。式典に先立ち、エリザベス女王が招待されていないことが判明し、これをイギリスのメディアが「侮辱」と受け止めて、騒ぎとなる一幕があった [37]。
- ハットン国防相、フーン運輸相、マーフィウェールズ相、フリント欧州担当閣外相辞任 [38][39]。
- ブラウン首相、内閣改造実施。ブラウン第3次改造内閣成立。ブラウン首相は、記者会見で、改造には英議会議員経費スキャンダルの影響があったと述べ、選挙の厳しい見通しを認めたが、退陣については否定した [38][39]。
- 英地方選挙開票。与党労働党、記録的大敗。273議席を失い、保守党、自由民主党に次ぐ第3位の政党に転落した [40]。
- 6月7日 - 欧州議会議員選挙開票。与党労働党、英地方選に続く惨敗。保守党、イギリス独立党に次ぐ第3位の政党に転落した [41][42]。
- 6月8日 - ケネディ環境・農業担当閣外相辞任。彼女は、また、ブラウン首相も辞任すべきという考えを明らかにした [43][44][45]。
- 6月14日 - グラスゴー近郊の病院で、新型インフルエンザの治療を受けていた患者1人が死亡。死亡した患者は、38歳の女性。新型インフルエンザによる死者は、アメリカ大陸以外では初めて [46][47]。
- 6月18日 - 英下院、全下院議員646人の議員経費を公表。しかし、公表は住宅特別手当、スタッフ経費、通信費の3項目にとどまり、多くの項目が非公開とされたため、議員経費をめぐる不正の実態は不透明なままとなった [48][24]。
7月
[編集]8月
[編集]9月
[編集]10月
[編集]- 10月1日 - 最高裁判所発足。これまでは、最高裁判所の役割は上院が兼務してきたが、司法の現代化の一環として立法府から独立。14世紀以来600年以上にわたっていた上院兼務の歴史は幕を下ろした [49]。
11月
[編集]12月
[編集]死去
[編集]- .
脚注
[編集]- ^ “英中銀が50bp追加利下げ、過去最低水準の1.50%”. ロイター. (2009年1月8日)
- ^ 「アジア系に「パキ」 士官学校時代、差別語使い英王子謝罪」 産経新聞2009年1月11日付. 2009年5月16日閲覧.
- ^ 「ヘンリー英王子、差別語使用で研修受講へ」 産経新聞2009年2月13日付. 2009年5月16日閲覧.
- ^ 「「対テロ戦は誤り」ミリバンド英外相 米国の同盟国では異例の発言」 産経新聞2009年1月16日付. 2009年5月16日閲覧.
- ^ 「英外相「“テロとの戦い”は誤り」に波紋」 産経新聞2009年1月29日付. 2009年5月16日閲覧.
- ^ 「英外相「“テロとの戦い”は誤り」演説要旨」 産経新聞2009年1月29日付. 2009年5月16日閲覧.
- ^ 駐インド中国大使館公式サイト “Wen Jiabao Arrives at London for Official Visit to Britain” 2009年2月1日発表. 英語. 2009年4月17日閲覧.
- ^ 「中国首相に靴投げる 英大学で講演中、命中せず」 産経新聞2009年2月3日付. 2009年4月16日閲覧.
- ^ 「「卑劣な行為」強い表現で批判 温首相に靴、中国報道官」 産経新聞2009年2月3日付. 2009年4月16日閲覧.
- ^ 英中銀が政策金利を50bp引き下げ過去最低水準の1.00%に | マネーニュース | 金利・債券 | Reuters 2009年2月5日付
- ^ 「英中銀、0.5%利下げ 量的緩和も表明」日経ネット 2009年3月5日付
- ^ Gary Duffy “Brazil's Lula raps 'white' crisis” BBCニュース・オンライン2009年3月27日付. 英語. 2009年5月24日閲覧.
- ^ 「「経済危機は『青い眼の白人』の責任」、ブラジル大統領」 AFPBB News2009年3月28日付. 2009年5月24日閲覧.
- ^ 「危機克服へ政策総動員 G20、オバマ米大統領ら首脳集結」 産経新聞2009年4月2日付. 2009年4月27日閲覧.
- ^ 「WRAPUP1:G20が危機脱却に向けた協調を確認、財政総額5兆ドルで世界成長4%押し上げ」 ロイター2009年4月3日付. 2009年4月3日閲覧.
- ^ 「G20閉幕 2010年末までに実質経済成長率2%を達成」 産経新聞2009年4月3日付. 2009年4月27日閲覧.
- ^ 「ロンドンで金融デモ暴徒化 金融街シティー」 産経新聞2009年4月2日付. 2009年5月2日閲覧.
- ^ 「大規模デモで1人死亡 ロンドン金融街、63人逮捕」 産経新聞2009年4月2日付. 2009年5月2日閲覧.
- ^ ”MPs' expenses: Full list of MPs investigated by The Telegraph” デイリー・テレグラフ2009年5月8日付. 英語. 2009年7月2日閲覧.
- ^ 木村正人 「ブラウン英政権危うし 支持率低下、不明瞭手当、国会運営…」 産経新聞2009年5月12日付. 2009年7月2日閲覧.
- ^ a b 「さらに続く英議員経費スキャンダル、国民の怒り激化」 AFPBB News2009年5月23日付. 2009年7月2日閲覧.
- ^ 木村正人 「英議会、経費不正で大揺れ 国民の怒り頂点に」 産経新聞2009年6月9日付. 2009年7月2日閲覧.
- ^ 木村正人 経費不正暴露報道の裏に米人女性ジャーナリストの奮闘 産経新聞2009年6月9日付. 2009年7月2日閲覧.
- ^ a b 木村正人 「英下院、議員経費公開もほとんどが“墨塗り” 収まらぬ有権者の怒り」 産経新聞2009年6月19日付. 2009年7月2日閲覧.
- ^ 「英議員ら7600万円返還 不正経費請求で182人」 産経新聞2009年6月20日付. 2009年7月2日閲覧.
- ^ 「英当局が議会の経費不当請求問題で捜査を検討」 産経新聞2009年5月16日付. 2009年7月5日閲覧.
- ^ “再送:英国の格付け見通しをネガティブに下方修正=S&P”. ロイター. (2009年5月21日)
- ^ 「英下院議長が17世紀以来の異例の辞任 親族による経費不正請求で」 産経新聞2009年5月20日付. 2009年7月2日閲覧.
- ^ 「英下院議長が任期途中で辞任、経費問題で300年ぶり異例の引責」 AFPBB News2009年5月20日付. 2009年7月2日閲覧.
- ^ “Home Secretary Smith to step down” BBCニュース・オンライン2009年6月2日付. 英語. 2009年7月5日閲覧.
- ^ a b c 「選挙結果にらみ「ブラウン降ろし」公然化」 産経新聞2009年6月4日付. 2009年7月3日閲覧.
- ^ “In full: Blears and Brown letters” BBCニュース・オンライン2009年6月3日付. 英語. 2009年7月5日閲覧.
- ^ ”Brown pressure after Blears quits” BBCニュース・オンライン2009年6月3日付. 英語. 2009年7月5日閲覧.
- ^ 「ブラウン英首相ピンチ! 閣僚辞任表明、2日間で3人目」 産経新聞2009年6月5日付. 2009円7月3日閲覧.
- ^ 「英現役閣僚がブラウン首相に退陣要求、経費スキャンダルで」 AFPBB News2009年6月5日付. 2009年7月3日閲覧.
- ^ 山口昌子 「「勇敢さと無欲さが進路を変える」米大統領が演説 ノルマンディー上陸作戦65周年」 産経新聞2009年6月7日付. 2009年6月28日閲覧.
- ^ 木村正人 「英女王招待されず 「侮辱だ」と大騒ぎ 仏の上陸作戦記念行事」 産経新聞2009年5月29日付. 2009年6月28日閲覧.
- ^ a b 木村正人 「英・閣僚が退陣要求、首相は内閣改造 攻防激化」 産経新聞2009年6月6日付. 2009年7月3日閲覧.
- ^ a b 「英ブラウン首相、続投を表明 内閣改造記者会見で」 AFPBB News2009年6月6日付. 2009年7月3日閲覧.
- ^ 木村正人 「英労働党273議席以上失う」 産経新聞2009年6月6日付. 2009年7月4日閲覧.
- ^ 「英与党、欧州議会選でも惨敗」 産経新聞2009年6月8日付. 2009年7月4日閲覧.
- ^ 山口昌子・木村正人 「欧州議会選、経済危機背景に中道右派勝利 極右政党も台頭」 産経新聞2009年6月8日付. 2009年7月4日閲覧.
- ^ James Kirkup “Minister Jane Kennedy quits the Government” デイリー・テレグラフ2009年6月8日付. 英語. 2009年7月5日閲覧.
- ^ James Kirkup “Gordon Brown loses minister Jane Kennedy after elections disaster” デイリー・テレグラフ2009年6月8日付. 英語. 2009年7月5日閲覧.
- ^ 「ケネディ英閣外相が辞任表明「首相は辞任すべきだ」」 産経新聞2009年6月8日付. 2009年7月4日閲覧.
- ^ 「【新型インフル】英国で死者 米州以外で初めて」 産経新聞2009年6月15日付. 2009年6月29日閲覧.
- ^ ”Woman with swine flu died from H1N1 virus” デイリー・テレグラフ2009年6月18日付. 英語. 2009年6月29日閲覧.
- ^ 英下院公式サイト “MPs’ Allowances published online” 2009年6月19日発表. 英語. 2009年7月5日閲覧.
- ^ 「英国に最高裁誕生 600年の上院兼務に幕」 産経新聞2009年10月1日付. 2009年10月3日閲覧.