1986年ポルトガル共和国大統領選挙
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1986年ポルトガル共和国大統領選挙(1986ねんポルトガルきょうわこくだいとうりょうせんきょ ポルトガル語:Eleições presidenciais portuguesas de 1986)は、ポルトガル共和国の元首であるポルトガル共和国大統領(Presidente da República)を選出するため1986年1月22日に行われたポルトガル共和国の選挙である。
概要
[編集]大統領の任期(5年)満了に伴って行われた選挙で、前年10月の共和国議会選挙、12月の全国同時地方選挙に続く、大型選挙となった。選挙の結果、社会党(PS)のマリオ・ソアレス元首相が60年ぶりの文民大統領として勝利を収めた。
選挙制度
[編集]- 選出方法:選挙権を有する18歳以上の国民による直接選挙。2回投票制。
- 第1回投票で有効投票数の過半数を得た候補がいない場合は上位2名で決選投票が行われる。
- 任期:5年
- 再任:一回のみ再任容認
- 被選挙権:35歳以上のポルトガル国民
- 立候補に必要な推薦人数:7,500~15,000人
候補者
[編集]本選挙に立候補したのは以下の4名である。
候補者 | 党派 | 備考 |
---|---|---|
フレイタス・ド・アマラル Freitas do Amaral |
|
CDS前党首、元国防相 |
マリオ・ソアレス Mário Soares |
社会党 PS | 元首相(1976年7月~1978年8月、1983年6月~1985年11月) |
サルガード・ゼーニャ Salgado Zenha |
|
元法相 |
マリア・ルルデス・ピンダシルゴ Maria de Lourdes Pintasilgo |
無所属(キリスト教左派系) | 元首相(1979年~1980年)、ポルトガル初の女性首相。 |
選挙結果
[編集]- 投票日
- 第1回投票:1986年1月26日(有権者数:7,617,257名)
- 第2回投票:1986年2月16日(有権者数:7,612,733名)
候補者 | 党派 | 第1回投票 (1986年1月26日) |
第2回投票 (1986年2月16日) |
当落 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
得票数 | 得票率 | 得票数 | 得票率 | |||
マリオ・ソアレス Mário Soares |
社会党 PS | 1,443,683 | 25.43 | 3,010,756 | 51,18 | 当選 |
フレイタス・ド・アマラル Freitas do Amaral |
2,629,597 | 46.31 | 2,872,064 | 48.82 | ||
サルガド・ゼーニャ Salgado Zenha |
1,185,867 | 20,88 | ― | ― | ||
マリア・ルルデス・ピンダシルゴ Maria de Lourdes Pintasilgo |
無所属 | 418,961 | 7.38 | ― | ― | |
白票 | 17,709 | 0.00 | 20,436 | 0.00 | ||
無効票 | 46,334 | 0.00 | 33,844 | 0.00 | ||
投票者合計 | 5,742,151 | 5,937,100 | ||||
第1回投票において上位2位の候補、第2回投票で当選した候補の得票を太字で強調した。 |
- 投票率
- 第1回投票:75.38%
- 第2回投票:77.99%
- 出典
第1回投票では、CDS前党首でPDSが支援するアマラルが46.31%で第1位となり、PSが支援するソアレスはゼーニャとピンダシルゴの3者で左派票が分裂した影響で、25.43%と2位に終わった。しかし、過半数を確保した候補がいなかったため、2月16日に再度決選投票が行われ、ソアレス候補が第1回投票における劣勢を跳ね返すことに成功して勝利を収めた。これは、第1回投票でアマラル候補の票が伸びたことに対し、PSとは対立関係にあるPCPも含めた左派勢力が極右阻止を合い言葉に決選投票でソアレス候補を支持したこと、有権者が行政府に対するバランサーの役割を大統領職に求めた事が要因とされている。
参考文献
[編集]- CNE Comissao Nacional de Eleicoes(国民選挙委員会)
- CNE Resultados Elecitorais(国民選挙委員会選挙リサーチ)-ポルトガル第三共和政下で行われた国政と地方選挙の詳細な選挙結果が閲覧できる。
- 『ブリタニカ国際年鑑 1987』TBSブリタニカ