龍城官邸
龍城官邸(リョンソンかんてい、英語: Ryongsong Residence、朝鮮語: 룡성 관저[1])は、55号官邸(55ごうかんてい、朝鮮語: 55호 관저)[2]ないし主要高級邸宅(朝鮮語: 주요 고급 저택)とも称される朝鮮民主主義人民共和国官邸。平壌市龍城区域に所在し、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の最高指導者である金正恩の本宅といわれる主要官邸である[3]。
立地
[編集]概要 | |
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所在地 | 北朝鮮 平壌市 龍城区域 |
座標 | 北緯39度6分59秒 東経125度48分21秒 / 北緯39.11639度 東経125.80583度座標: 北緯39度6分59秒 東経125度48分21秒 / 北緯39.11639度 東経125.80583度 |
龍城官邸 | |
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各種表記 | |
チョソングル: | 룡성 관저 |
漢字: | 龍城官邸 |
RR式: | Yongseong Gwanjeo |
MR式: | Ryongsŏng Kwanjŏ |
金正日総書記のボディガードであった李英国によれば、首都平壌周辺には指導者の邸宅(官邸)は少なくとも8つある[4]。龍城官邸は平壤直轄市の北部、龍城区域に所在し[5]、金日成広場の北東約12 km (7.5 mi)に位置する。丘陵地帯の森林の中央にあって、敷地面積はおよそ12 km2 (4.6 sq mi)である[6]。平壌国際空港(順安空港)からは南東約14キロメートルの距離である[7]。
沿革・概要
[編集]龍城官邸は金日成の指示により朝鮮人民軍工作旅団によって建設が進められ、1983年に竣工した[8]。金日成は平壌直轄市大城区域の錦繍山議事堂を主席官邸とし、龍城は第二の官邸として利用した。1994年に金日成が死去すると錦繍山議事堂は霊廟として改築された。龍城官邸はその後、金日成の息子の金正日、その妹の金敬姫、義弟(妹の夫)張成沢によって引き継がれてきた[8]。金正恩が父の位を継承してからは、この官邸は彼の主邸として用いられている[3]。
この官邸には、核戦争が起こることを想定して、地下に鉄筋とコンクリートを鉛で覆った壁により保護された戦時指揮本部が備えられている[9]。官邸周囲には大規模な通常兵器を所持する駐留本部が置かれており、両者を保護するための軍事ユニットによって監視され、電気柵、地雷原、およびいくつかのセキュリティチェックポイントが設けられている[10][注釈 1]。また、地下トンネルが掘られ、平壌直轄市西城区域長慶洞にある長慶官邸(26号官邸)と通じている[9]。そして、敷地内には専用の地下鉄駅がある[11]。
官邸の装飾は豪華をきわめる。巨大な宮殿[12]と手入れの行き届いた庭園[13]、およびその間にいくつかの人工湖と各種娯楽施設が点在している[注釈 2]。敷地の中央を縦貫する道路の両側には、街路樹が等間隔で植栽されており、森林の中にはコテージ風の建物が点在する[7]。内部を目撃した脱北者の証言によれば、華美な家具、深く広い絨毯、豪華なシャンデリアなど内装も豪奢そのものである[2][注釈 3]。
施設・設備
[編集]- 湖畔の宴会場(2か所)[8]
- 幅15 m (49 ft)、長さ50 m (160 ft)のプール[7][14]、大型ウォータースライダー配備[15]
- トラックおよび陸上競技場[2]
- 温泉およびサウナ[8]
- バスケットボールコート[8]
- 馬場および厩舎[8][注釈 4]
- 射撃場[7][8]
- 競馬場[8]
- オートレース用トラック[8]
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “‘김정일 저택’ 평양 룡성구역 관저 가능성” (朝鮮語). DongA Ilbo. (August 12, 2009) December 12, 2012閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b c Windrem, Robert (June 18, 2010). “Looking down on Kim Jong Il”. MSNBC. オリジナルの2014年3月10日時点におけるアーカイブ。 December 12, 2012閲覧。
- ^ a b “Kim Jong-il’s ‘Mt. Ryongnam Range’ is succeeded by Kim Jong-un’s ‘Mt. Ami Range’”. Leonid Petrov’s Korea Vision. December 12, 2012閲覧。
- ^ Macintyre, Donald (February 18, 2002). “The Supremo in His Labyrinth”. Time Magazine December 12, 2012閲覧。
- ^ “'Kim Jong-il's House' Spotted on Google Earth”. The Chosun Ilbo. (August 13, 2009) December 12, 2012閲覧。
- ^ “Elite Areas”. North Korean Economy Watch. December 12, 2012閲覧。
- ^ a b c d e f g h 『横田めぐみは生きている』(2003)pp.6-7
- ^ a b c d e f g h i “DPRK Leadership Compound (Residence 22)”. Wikimapia. December 12, 2012閲覧。
- ^ a b Han, Young Jin (March 15, 2005). “Kim Jong Il, Where He Sleeps and Where He Works”. DailyNK. オリジナルの2013年5月16日時点におけるアーカイブ。 December 12, 2012閲覧。
- ^ Krauel, Torsten (November 28, 2010). “Kim Jong-ils Höhlenstaat Nordkorea” (ドイツ語). Die Welt December 12, 2012閲覧。
- ^ Lipes, Joshua (August 17, 2009). “Kim's Palaces, via Google Earth”. Radio Free Asia December 12, 2012閲覧。
- ^ Prynne, Miranda (June 21, 2009). “North Korea uncovered: Palaces, labour camps and mass graves”. The Independent December 12, 2012閲覧。
- ^ Brown, Adrian (August 9, 2009). “Satellites uncover North Korea”. BBC News December 12, 2012閲覧。
- ^ “Kim Jong-il's sitting room discovered by Google earth”. People’s Daily. (August 13, 2009) December 12, 2012閲覧。
- ^ Doyle, Leonard (May 31, 2009). “Leaders live in luxury while North Koreans starve to pay for nuclear bomb”. The Telegraph December 12, 2012閲覧。
参考文献
[編集]- 藤本健二『金正日の料理人 間近で見た独裁者の素顔』扶桑社〈扶桑社文庫〉、2008年12月(原著2003年)。ISBN 978-4-594-05846-3。
- 「金正日の大豪邸「55号官邸」」『横田めぐみは生きている 安明進が暴いた日本人拉致の陰謀』講談社〈講談社MOOK〉、2003年4月。ISBN 4-06-179395-0。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- “North Korea Uncovered – (Google Earth)”. North Korean Economy Watch. 2012年12月12日閲覧。 – Project for comprehensive mapping of North Korea
- “The Palaces of Pyongyang on Google Earth”. One Free Korea. 2012年12月12日閲覧。 – Detailed satellite pictures of six North Korean leader’s residences
- 北朝鮮指導者の22の神秘的な別荘(中国語)