法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律
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法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律 | |
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日本の法令 | |
通称・略称 |
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法令番号 | 令和4年法律第105号 |
種類 | 消費者法 |
効力 | 現行法 |
成立 | 2022年12月10日 |
公布 | 2022年12月16日 |
施行 | 2023年1月5日 |
所管 | 消費者庁[消費者制度課] |
関連法令 | 消費者契約法 |
条文リンク | 法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律 - e-Gov法令検索 |
ウィキソース原文 |
法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律[1][2](ほうじんとうによるきふのふとうなかんゆうのぼうしとうにかんするほうりつ、令和4年法律第105号)は、「法人などによる不当な寄附の勧誘を禁止するとともに、当該勧誘を行う法人などに対する行政上の措置等を定めることにより、消費者契約法とあいまって、法人等からの寄附の勧誘を受ける者の保護を図ること」を目的として制定された日本の法律である[2]。略称は法人寄附不当勧誘防止法。
2022年12月16日に公布され[3][4]、罰則など一部規定を除き、2023年1月5日に施行された[3][5][6]。
消費者庁消費者制度課が所管し、文化庁宗務課、法務省民事局民事第一課と連携して執行にあたる。
概要
[編集]本法は、旧統一教会問題を契機に立法された法律である[7][2][8][9][10][11][12][13]。主な内容は次の通り[14][2][12][15]。
- 寄付の勧誘に関する規制
- 寄付の勧誘の際、不当勧誘行為で寄付者を困惑させることの禁止
- 借り入れ等による資金調達の要求の禁止
- 寄付の意思表示の取消し
- 禁止行為に基づく寄付の意思表示をした場合の取消し
- 子や配偶者が生活費など将来受け取るべき分も返還請求することができる
構成
[編集]- 第1章 総則(第1条 - 第2条)
- 第2章 寄附の不当な勧誘の防止
- 第1節 配慮義務(第3条)
- 第2節 禁止行為(第4条・第5条)
- 第3節 違反に対する措置等(第6条・第7条)
- 第3章 寄附の意思表示の取消し等(第8条 - 第10条)
- 第4章 法人等の不当な勧誘により寄附をした者等に対する支援(第11条)
- 第5章 雑則(第12条 - 第15条)
- 第6章 罰則(第16条 - 第18条)
- 附則
制定までの経緯
[編集]2022年(令和4年)7月8日、第90・96-98代内閣総理大臣安倍晋三が奈良県奈良市内で第26回参議院議員通常選挙に立候補した自民党参議院議員佐藤啓の応援演説中、元海上自衛官で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者2世の男に銃撃され死亡した。
本法は、これ以降に表面化した家庭連合をめぐる様々な問題が注目を集めたことが制定のきっかけとなった[11]。
消費者庁が設置した有識者検討会が10月に公表した報告書を基に与野党協議を重ね、法案化した[2][16]。法案の条文で「保護を図る」と謳われている元宗教2世信者から、その内容が不十分だと指摘されたり[9][17][18]、法案の閣議決定後も日本維新の会をはじめとする野党連合の要望を踏まえて法案が修正された[2][19][20][21]。
本法律は、2013年12月以来約9年ぶりとなる土曜日の参議院本会議開催[22]という審議過程を経て、同年末に成立。翌年明けから施行された。
略歴
[編集]- 2022年12月8日 - 衆議院消費者問題に関する特別委員会において可決[23]
- 同日、衆議院本会議においても可決[23][24]、日本共産党とれいわ新選組が反対[23][24]
- 同月10日 - 参議院消費者問題に関する特別委員会において可決された[25]
- 同日 - 参議院本会議においても可決され成立[25][20]、日本共産党とれいわ新選組が反対(不起立)であった[2][20]
- 同月16日 - 公布[3][4][12][13]
- 2023年1月5日 - 一部規定を除き施行[3][12][13][5][6]
反対運動
[編集]2022年11月、特定非営利活動法人である国際協力NGOセンター、新公益連盟、セイエン、日本NPOセンター、日本ファンドレイジング協会は、非営利団体への寄付がこの法律によって萎縮することを懸念し、「NPO等を含む一律の規制」をやめること、「当事者も含めた、慎重な議論」をすることを要求する署名活動をChange.org上で行った[26]。
脚注
[編集]- ^ “法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案”. 日本法令索引. 国立国会図書館. 2022年12月14日閲覧。
- ^ a b c d e f g 藤沢美由紀 (2022年12月10日). “旧統一教会被害者救済新法が成立 「霊感」使った寄付勧誘に刑事罰”. 毎日新聞 (毎日新聞社) 2022年12月14日閲覧。
- ^ a b c d “救済新法、来月5日施行 政府が閣議決定”. 時事ドットコム (時事通信社). (2022年12月13日) 2022年12月14日閲覧。
- ^ a b “令和4年1月1日から現在までに公布された法律”. 内閣法制局. 2022年12月16日閲覧。
- ^ a b “旧統一教会巡る救済法施行 不当な寄付勧誘、規制対象に”. 共同通信. (2023年1月5日) 2023年1月5日閲覧。
- ^ a b “被害者救済法、周知が課題 洗脳下の寄付取り消し対象”. 共同通信. (2023年1月5日) 2023年1月5日閲覧。
- ^ “旧統一教会 被害者救済法成立「宗教2世」ら被害訴える人たちは”. NHKニュース. 日本放送協会 (2022年12月10日). 2022年12月14日閲覧。
- ^ “救済新法 国会提出 閣議決定 寄付の不当勧誘規制”. 宮崎日日新聞. 共同通信 (宮崎日日新聞社) (第29407号): p. 1. (2022年12月2日)
- ^ a b “救済新法国会提出 被害実態 向き合って 元2世信者 法案を批判”. 宮崎日日新聞. 共同通信 (宮崎日日新聞社) (第29407号): p. 19【社会】. (2022年12月2日)
- ^ “救済新法 配慮義務怠れば勧告 自民修正案、今国会成立へ”. 宮崎日日新聞. 共同通信 (宮崎日日新聞社) (第29411号): p. 1. (2022年12月6日)
- ^ a b “旧統一教会 献金のため借金推奨 90年前後 元幹部「総額は3000億円」”. 宮崎日日新聞. 共同通信 (宮崎日日新聞社) (第29418号): p. 2【総合】. (2022年12月14日)
- ^ a b c d “救済法 来月5日施行へ”. 宮崎日日新聞. 共同通信 (宮崎日日新聞社) (第29418号): p. 2【総合】. (2022年12月14日)
- ^ a b c “旧統一教会 被害者救済法が公布 消費者庁 来年施行へ準備”. 宮崎日日新聞. 共同通信 (宮崎日日新聞社) (第29421号): p. 3【総合】. (2022年12月17日)
- ^ “法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案(概要)” (PDF). 消費者庁. 2022年12月14日閲覧。
- ^ “被害者救済法要旨”. 宮崎日日新聞. 共同通信 (宮崎日日新聞社) (第29416号): p. 5【国際・総合】. (2022年12月11日)
- ^ “「表層深層」救済新法 国会提出 寄付規制 首相歩み寄り 立維、評価に温度差”. 宮崎日日新聞. 共同通信 (宮崎日日新聞社) (第29407号): p. 2【総合】. (2022年12月2日)
- ^ “救済新法 法案要旨”. 宮崎日日新聞. 共同通信 (宮崎日日新聞社) (第29407号): p. 5【国際・社会】. (2022年12月2日)
- ^ “安倍氏銃撃半年 悪質寄付規制へ救済法が整備 2世ら「実態に合っていない」”. 産經新聞 / 産經ニュース (株式会社産業経済新聞社 / 株式会社産経デジタル). (2023年1月8日) 2023年1月8日閲覧。
- ^ “救済法案 洗脳下寄付 取り消し対象 衆院審議入り 首相、野党へ配慮”. 宮崎日日新聞. 共同通信 (宮崎日日新聞社) (第29412号): p. 2【総合】. (2022年12月7日)
- ^ a b c “旧統一教会問題 被害者救済法が成立 不当な「霊感」勧誘に罰則”. 宮崎日日新聞. 共同通信 (宮崎日日新聞社) (第29416号): p. 1. (2022年12月11日)
- ^ “「表層深層」消極的野党 世論で一転 立民、維新の仲立ちで妥協”. 宮崎日日新聞. 共同通信 (宮崎日日新聞社) (第29416号): p. 2【総合】. (2022年12月11日)
- ^ 李舜; 東久保逸夫 (2022年12月10日). “29年ぶり、異例の土曜審議 会期延長ぎりぎり回避で救済法成立”. 毎日新聞 (毎日新聞社) 2022年12月14日閲覧。
- ^ a b c “閣法 第210回国会 22 法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案”. 衆議院. 2022年12月14日閲覧。
- ^ a b “旧統一教会問題 救済新法あす成立へ 修正案 衆院を通過”. 宮崎日日新聞. 共同通信 (宮崎日日新聞社) (第29414号): p. 1. (2022年12月9日)
- ^ a b “法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案”. 参議院. 2022年12月14日閲覧。
- ^ “#寄付一律規制に反対 社会課題解決を衰退させる「寄付一律規制」に反対! 法案の慎重な議論を求めます!” (2022年11月16日). 2023年1月14日閲覧。