高松琴平電気鉄道1020形電車
高松琴平電気鉄道1020形電車(たかまつことひらでんきてつどう1020かたでんしゃ)は、高松琴平電気鉄道に在籍した電車である。
もと名古屋鉄道3700系(2代目)で、1957年(昭和32年)から1958年(昭和33年)にかけて日本車輌(本店)で製造され、1969年(昭和44年)から1972年(昭和47年)に入線した。奇数番号車が制御電動客車、偶数番号車が制御客車で、最大時1021 - 1036の2両編成8本16両が琴平線に在籍していたが、2004年までに廃車になった。
概要
[編集]17m級の全金属車体で、窓配置はC3'-d2D6D2、雨樋は張上げ屋根となっている。うち、1022・1024は電動車を電装解除したもの、また1032は琴電唯一の高運転台車(名鉄時代の事故復旧の際に改造)であった。
車内は一部転換クロスシートの車両も存在したが、最終的にはロングシートに統一された。
駆動方式は釣り掛け式(2編成が後に平行カルダン式に変更)、制御方式はHL、制動方式は電磁SMEである。
- 車両諸元
- 最大寸法(長×幅×高) 17830×2840×4183(偶数車は3790)mm
- 自重 31t(偶数車は20t)。いずれも1982年(昭和57年)の値。
- 定員 130(座席60)人
車両来歴
[編集]琴電入線前
[編集]名古屋鉄道3700系は、1957年から1959年(昭和34年)にかけて、木造車などの機器を流用して日本車輌(本店)で新造した車両である。しかし、主電動機出力が低いことから使い勝手が悪かった。そのため、新造から12年の1969年から高松琴平電鉄に譲渡が開始された。しかし、1973年(昭和48年)にオイルショックが発生、これに伴い名古屋鉄道の輸送量が激増したため、8編成を以て譲渡は中止された。
琴電入線後
[編集]入線に当り、台車を1435mmに改軌、ブレーキをAMM (ACM) から電磁SME(非常管併設電磁弁付三管式直通空気制動)に変更した他は、ほぼそのままで使用された。特に1021 - 1022は、名鉄時代の塗装(ストロークリームに赤帯)で1年半使用されている。
また1030番台の車両 (1031 - 1036) は、転換クロスシート付きで車番も分けられたが、1975年(昭和50年)にロングシート化された。
中型車がほとんどであった当時、大型、全金属製のこの車両は近代的な存在であった。
なお、1998年(平成10年)までの琴電標準色だったクリーム色とピンクの車体色は、1969年に入線した1023 - 1024から採用されたものである。
1978年(昭和53年)から1981年(昭和56年)にかけて、中間連結器を密着自動連結器(密自連)に統一(後に運転席側も密自連に交換)したり、電動車の台車・主電動機を京浜急行電鉄230形の廃車発生品や購入した30形(3代)から交換したもの(後に制御車も)にするなど、出力強化ならびに部品の統一を図った。
さらに、1029 - 1030が1985年(昭和60年)、1031 - 1032が1986年(昭和61年)に、HL制御のまま台車・主電動機を新造のものに交換しカルダン駆動化された。台車は、電動車が住友FS-530、制御車が同FS-030、主電動機は三菱MB-3239A(出力110kw) ×4である。
しかし、非冷房車であったため、1989年(昭和64年・平成元年)以降1080形増備に伴いカルダン化された1029 - 1032を除き廃車された。
その後、2004年11月3日に1200形の1207 - 1210が増備されたため、1029 - 1032が廃車され、形式消滅した。
車番の変遷
[編集]琴電での車番 | 名鉄時代の車番 | ||
---|---|---|---|
1021 | 1022 | モ3703 | ク2703 |
1023 | 1024 | 3701 | 2701 |
1025 | 1026 | 3718 | 2718 |
1027 | 1028 | 3705 | 2705 |
1029 | 1030 | 3712 | 2712 |
1031 | 1032 | 3713 | 2713 |
1033 | 1034 | 3714 | 2714 |
1035 | 1036 | 3710 | 2710 |
※新製時、ク2703はモ3704(初代)、ク2701はモ3702
参考資料
[編集]- 真鍋裕司「私鉄車輌めぐり[121] 高松琴平電鉄(上)」、鉄道ピクトリアル403号、電気車研究会、1982年5月
- 真鍋裕司「琴電へ譲渡された名鉄3700系」、鉄道ピクトリアル771号、電気車研究会、2006年1月増刊
- 畑下学「私鉄フォーラム第32回 高松琴平電気鉄道」、鉄道ダイヤ情報52号、弘済出版社、1988年8月