コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

野田宇太郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

野田 宇太郎(のだ うたろう、1909年明治42年)10月28日[1] - 1984年昭和59年)7月20日[1])は、日本の詩人文芸評論家、文芸誌編集長。三島由紀夫や幸田文を世に送り出した人物である[2]

左から,栗田賢三,小林勇,火野葦平,野田宇太郎,三木清 (1942年)

福岡県三井郡立石村(現小郡市)出身[1]朝倉中学卒業後、第一早稲田高等学院英文科に入学するが、病気により中退[1]。1930年(昭和5年)、久留米市で同人誌『街路樹』に参加して詩作を開始する。1933年(昭和8年)、詩集『北の部屋』を出版[1]。1936年(昭和11年)、安西均丸山豊らと同人誌『』を創刊[2]。1940年(昭和15年)に上京し[1]小山書店に入社。その後第一書房河出書房を経て、1944年(昭和19年)文芸誌『文藝』の編集長を務めた後[2]東京出版に入社。衆議院議員羽田武嗣郎羽田孜の父)と交友があり、彼が創業した羽田書店の顧問も務めた。

1951年(昭和26年)、日本読書新聞に『新東京文学散歩』を連載、その単行本はベストセラーとなり「文学散歩」のジャンルを確立した[1]。1975年(昭和50年)には『日本耽美派文学の誕生』で芸術選奨文部大臣賞を受賞[1]。その後は博物館明治村の常務理事を務め、1977年(昭和52年)には明治村賞と紫綬褒章を受賞。1978年(昭和53年)には中西悟堂らと同人誌『連峰』を創刊。

1984年(昭和59年)7月20日、心筋梗塞のため国立療養所村山病院(現・国立病院機構村山医療センター)で死去[1]。戒名は新帰寂文学院散歩居士[1][3]。墓所は相模原市青柳寺。小郡市松崎にも分骨墓がある。

出身地の小郡市には、野田宇太郎文学資料館がある(小郡市立図書館内)[2]。1985年(昭和60年)、小郡市に野田宇太郎詩碑が建立された。

著書

[編集]
  • 『北の部屋』金文堂書店、1933年
  • 『詩集  音楽  ボアイエルのクラブ』1935年
  • 『旅愁』大沢築地書店、1942年
  • 『感情  自選詩集』目黒書店、1946年
  • 『すみれうた  詩集』新紀元社、1946年
  • 『少年使節  天正遣欧使節旅行記』桐書房、1949年
  • パンの会』六興出版社、1949年
    • 『日本耽美派の誕生  パンの会  増補改訂版』河出書房、1951年
    • 『パンの会  日本耽美派の誕生』三笠文庫
  • 『新東京文学散歩』日本読書新聞、1951年、のち角川文庫
  • 『九州文学散歩』創元社、1953年
  • 『青春の季節』河出新書、1953年
  • 『東京文学散歩の手帖』的場書房、1954年
  • 『黄昏に』長谷川書房、1954年
  • 『きしのあかしや  木下杢太郎文学案内』学風書院、1955年
  • 『湘南伊豆文学散歩』英宝社、1955年
  • 『六人の作家未亡人』新潮社、1956年
  • 『関西文学散歩』小山書店新社、1957年
  • 『四国文学散歩 愛媛』小山書店新社、1958年
  • 『灰の季節』修道社、1958年
  • 『文学のふるさと』国土社、1959年
  • 定本文学散歩全集』全13巻、雪華社、1960–63年
  • 『瓦斯灯文芸考』東峰書院、1961年
  • 『日本の文学都市』文林書房、1961年、のち角川文庫
  • 『日本近代詩事典』青蛙房、1961年
  • 『東海文学散歩』第1–2巻、日研出版、1964–65年
  • 夜の蜩  野田宇太郎全詩集』審美社、1966年
  • 日本文学の旅』全12巻 人物往来社、1967–68年
  • 『文学の故郷』大和書房、1967年
  • 『詩人と詩集  日本の近代詩史』南北社、1967年、沖積舎、1995年
  • 『日本の旅路』雪華社、1968年
  • 『信濃路文学散歩』雪華社、1968年
  • 『掌篇文学散歩 東京篇』毎日新聞社、1970年
  • 『羅馬の虹  天正使節の旅を南欧に拾ふ』芽起庵、1970年
  • 『混沌の季節 — 被占領下の記録』大東出版社、1971年
  • 『明治村物語』国土社、1971年
  • 『ヨーロッパ文学の旅』毎日新聞社、1971年
  • 石川啄木の世界』平凡社、1973年
  • 『詩歌風土記』中央公論社、1973年
  • 『日本耽美派文学の誕生』河出書房新社、1975年
  • 『昏れゆくギリシァ  野田宇太郎詩集』潮流社、1976年
  • 『桐後亭日録  灰の季節と混沌の季節』ぺりかん社、1978年
  • 『風景と文学』文一総合出版、1979年
  • 『木下杢太郎の生涯と芸術』平凡社、1980年
  • 『公孫樹下にたちて  薄田泣菫評伝』永田書房、1981年
  • 『天皇陛下に願ひ奉る 文芸評論集』永田書房、1981年
  • 『雑書遍歴』日本古書通信社(上下)、1982年。限定豆本
  • 『定本野田宇太郎全詩集』蒼土舎、1982年
没後刊行
  • 野田宇太郎文学散歩』全24巻別巻2、文一総合出版、1977–85年
  • 『東京ハイカラ散歩』角川春樹事務所・ランティエ叢書、1998年
  • 『新東京文学散歩』(1・2)、講談社文芸文庫、2015年

論文

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j 野田宇太郎”. 町田市ホームページ. 町田市. 2023年10月1日閲覧。
  2. ^ a b c d 野田宇太郎 略歴紹介”. 野田宇太郎文学資料館. 小郡市立図書館. 2023年10月1日閲覧。
  3. ^ 大塚英良『文学者掃苔録図書館』(原書房、2015年)177頁

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]