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豊橋鉄道1800系電車 (2代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
豊橋鉄道1800系電車
1800系1802F
(2023年12月27日 大清水駅 - 老津駅間)
基本情報
製造所 東急車輌製造
種車 東急7200系電車上田交通7200系電車
製造年 1967年 - 1972年
運用開始 2000年12月22日[1]
主要諸元
編成 3両編成
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V(架空電車線方式
最高運転速度 75 - 85 km/h
設計最高速度 100 km/h
起動加速度 2.7 km/h/s
減速度(常用) 3.0 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
車両定員 先頭車140(座席48)人
中間車150(座席56)人
車両重量 モ1800形34.0t
モ1850形33.0t
ク2800形25.0t、25.5tまたは26.6t
全長 18,000 mm
全幅 先頭車2,744mm
中間車2,740 mm
全高 4,100 mm
台車 電動車TS-802形
付随車TS-815T形
主電動機 直流複巻電動機(110kw×4)
日立HS-833Irb形
東洋TDK-841-A1形
駆動方式 中空軸平行カルダン駆動方式
歯車比 86:15=5.73
制御装置 抵抗制御
制動装置 HSC-R
応荷重装置付き電磁直通ブレーキ
保安装置 M式ATS
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豊橋鉄道1800系電車(とよはしてつどう1800けいでんしゃ)は、2000年に登場した豊橋鉄道渥美線通勤形電車東急7200系電車を譲り受けた車両。

概要

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渥美線では、1997年に架線電圧を600Vから1,500Vに昇圧する際、親会社である名古屋鉄道から名鉄7300系電車の譲渡を受け、1900系をはじめ全車両を入れ替えた。しかし加速性能の低さから、昇圧と同時に実施された増発(15分間隔→12分間隔)に伴うスピードアップに対応できず、昇圧前のダイヤに戻すことになってしまった。そこで、加速性能向上と乗降時間短縮を図るため、2000年に導入されたのが本系列である[* 1]。なお本系列の導入により、渥美線の列車はすべて3両編成で運行されることになった。

地上設備の関係上、回生ブレーキを使用停止とした。一部車両では台車[* 2]やパンタグラフ[* 3]、補助電源装置[* 4]、列車無線アンテナ[* 5]が交換された。

全編成で冷房装置がRPU-2204から順次、東急廃車発生品のRPU-2204HC、RPU-3016を取り付け現在は全車RPU-3016で統一されている。

全編成で運転台のガラス(モ1811 - 1813・1860を除く)[* 6]が交換されデフロスターが使用可能となった。

電装品のメーカーによる番号の区別はなくなったが、編成別に同一メーカーに揃えられている。

行先表示機は、通常使用される新豊橋三河田原高師のほか、大清水老津、試運転、回送、団体の表示が収録されている。また、かつては東急在籍時の行先も表示可能であったが、現在は英語付き方向幕に更新している。それに伴い全編成が手動式に統一され、電動式の編成はなくなった。側面方向幕は撤去のうえステンレス板で塞がれている。 なお、通過標識灯は使用されていない。

導入当初は赤を基調とした基本デザイン、青を基調としたなぎさ号、黄を基調としたなのはな号、緑を基調とした新デザインの4種があり、イベント期間を除き特に区別なく運用されていたが、2013年1月12日より三河田原駅周辺整備事業と連動してそれぞれ異なる花のラッピング装飾が行われ、現在は全編成が「渥美線カラフルトレイン」として運行されている[2]。通常は10編成のうち7編成が使用され、予備車両及び検査車両の3編成は高師駅、車両区で留置されている。

ク2800形に車いすスペースが設置されている。

全編成ともワンマン運転には対応しない。上田電鉄からの譲受車にはワンマン対応の機器が設置されていたが、撤去されている。

沿革

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  • 2000年:東急から目蒲線で使用していたデハ7200形15両、デハ7300形3両、デハ7400形3両、クハ7500形9両の計30両の譲渡を受け、部品取り車のデハ7200形3両を除く27両を3両編成9本とした。
  • 2001年:高師車両区の火災によって1801Fのク2801を除く2両が使用不可能となったため、部品取り車のうち2両(元デハ7204・7209)が営業用に整備された[* 7]。新たに整備された2両には被災車と同じ番号が与えられている[3]
  • 2008年上田交通7200系電車2両の譲渡を受け、残る予備用車両1両(モ1810・元デハ7255)とともに1810Fとして営業用に整備した[* 8]。これにより3両編成10本の陣容となった。
  • 2019年 : 6月に1803Fが検査時に床敷物を張り替えて出場し運用復帰。
  • 2020年 : モ1800形・ク2800形の列車無線アンテナが新品に交換された。ただし、1801Fのモ1811には旧型のアンテナが存置されている。
  • 2021年 : 11月に1801Fのク2801の前照灯がLED化される。
  • 2022年 : 8月に1809Fが検査出場、運用復帰。入場中に床敷物張り替えと座席モケット更新を行った。座席モケットは紫基調で、名鉄3300系と同一のもの。また、優先席部分はオレンジ色となっている。出場当初はモ1809のみ従来の緑色モケットであったが、後日更新された。12月には1802Fもこの更新を行っている。
  • 2023年 : 4月に1801Fが検査入場。ク2801のLED前照灯が取り外される。床敷物張り替えを行った 同編成は9月に出場し、運用復帰した。
  • 2024年 : 3月15日より1807Fが豊橋鉄道創立100周年記念の緑色ラッピングを施して運行。また、6月末には1800系最後の菱形パンタグラフ搭載車であった1808Fがシングルアームパンタグラフへ載せ替えられて検査出場し運用復帰。渥美線から菱形パンタグラフ搭載車が消滅した。

車両形式

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モ1800形
元デハ7200形のうち、下り方先頭車として使用するもの。東急時代にモ1806と1807は方向幕を自動化(後に方向幕更新の際に手動化)、モ1802 - 1805・1809は室内の化粧板が更新されている。電機品はモ1801 - 1806が日立製作所製、モ1807 - 1810が東洋電機製である。
モ1810形[要出典]
モ1800形(元デハ7200形)のうち、中間車として使用されるモ1811 - 1813は、2006年の運転台機器撤去によりモ1810形(ただし1810Fの下り方先頭車のモ1810はモ1800形に分類、上田電鉄から譲受したモ1860は豊鉄導入時に運転台機器が撤去されている)。またモ1811には、運転台に"1811号"のナンバープレートが取り付けられている。また、全車両が弱冷房車となっている。[要出典]電機品はモ1860が東洋電機製、ほかの3両は日立製作所製である。車内2箇所に車掌が車内巡回時に使用する電鈴が設けられた。
モ1850形
元デハ7300形およびデハ7400形で、中間車として使用。全車が弱冷房車となっている。東急時代にモ1856と1857は方向幕を自動化(後に前面方向幕更新の際に方向幕装置を撤去のうえステンレス板で塞がれた)、モ1854と1855は室内の化粧板が更新されている。電機品はモ1854 - 1856が日立製作所製、モ1857 - 1859は東洋電機製である。
車内2箇所に車掌が車内巡回時に使用する電鈴が設けられている。
ク2800形
元クハ7500形で、上り方先頭車として使用。東急時代にク2806と2807は方向幕が自動化されているが、ク2807には側面方向幕が設置されていない。ク2801・2804・2805は室内の化粧板が更新されている。ク2801・ク2808は軌条塗油器を装備する(ク2801は三河田原方の台車、ク2808は新豊橋方の台車に装備)。ク2810は上田交通譲渡時に方向幕を手動式に復元、側面方向幕を撤去のうえステンレス板で塞がれている[* 9]。全車新豊橋方に車椅子スペースを設けており、運転台裏の窓下に手すりが設けられている。

編成

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編成名
電装品メーカー
写真
(カラフルトレイン化前)
写真
(カラフルトレイン化後)


豊鉄での車両番号
(東急での車両番号)

備考
(カラフルトレインの愛称は運行中のものを表記)
1801F 日立 モ1801
(デハ7209)
モ1811
(デハ7204)
ク2801
(クハ7502)
ばら
モ1801-モ1811は2代目[* 10]
1802F 日立 モ1802
(デハ7206)
モ1812
(デハ7207)
ク2802
(クハ7507)
はまぼう
1803F 日立 モ1803
(デハ7201)
モ1813
(デハ7210)
ク2803
(クハ7504)
つつじ
1804F 日立 モ1804
(デハ7212)
モ1854
(デハ7301)
ク2804
(クハ7501)
ひまわり号(元・なぎさ号)
1805F 日立 モ1805
(デハ7208)
モ1855
(デハ7302)
ク2805
(クハ7508)
菖蒲
1806F 日立 モ1806
(デハ7205)
モ1856
(デハ7401)
ク2806
(クハ7505)
しでこぶし号(元・パークベルクリニック号)
行先表示機が電動式
全車に側面行先表示器を搭載
1807F 東洋 モ1807
(デハ7251)
モ1857
(デハ7351)
ク2807
(クハ7554)
菜の花号(元・なのはな号)
行先表示機が電動式
モ1807-モ1857に側面行先表示器を搭載
1808F 東洋 モ1808
(デハ7260)
モ1858
(デハ7452)
ク2808
(クハ7560)
椿
1809F 東洋
モ1809
(デハ7256)
モ1859
(デハ7451)
ク2809
(クハ7552)
1810F 東洋 モ1810
(デハ7255)
モ1860
(デハ7257)
ク2810
(クハ7551)
号(元・しばざくら号)
デハ7257-クハ7551は上田電鉄から移籍[* 11]
新デザイン編成

その他

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軌条塗油装置設置車両
ク2801、ク2808
セラミック噴射装置設置車両
1802F、1804F、1805F、1807F
放送用マイク増設車両
1806F

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ ただし、このダイヤでは途中に交換設備のない杉山駅 - 神戸駅間を12分以内で行き来しなければならず、これは本系列によっても困難であることから、現在に至るまで基本15分ヘッドとなっている。
  2. ^ ク2801 - 2803・2806 - 2810がPIII-708形から東急8000系廃車発生品のTS-815Fに枕梁を新造し組み立てたTS-815T形に交換された。ク2804・2805のTS-839形はそのまま使用されているが性能及び形状がほぼ同一のため名称はTS-815T形に統一された。(台車枠の銘板参照)
  3. ^ モ1812号は運行開始後しばらくしてパンタグラフ破損のため舟体形状の異なる同系統の菱形パンタグラフに交換された。1804F - 1806Fはシングルアーム式に交換された。2015年4月、1802Fはシングルアーム式に交換された。1803Fは中間車のモ1813号のみシングルアーム式に交換された。
  4. ^ ク2806・2810は50 kVAのSIVから、ク2807 - 2809は90 kVAのMGから、それぞれ90 kVAのSIVに交換された。ク2806は新製品、ク2807-ク2810は形状から小田急廃車発生品。
  5. ^ 東急時代の逆L型アンテナから7300系で使用されていた物への交換。使用周波数帯からいえば問題ない為、詳細な理由は不明。
  6. ^ デフロスター付きガラスへの交換、車両によりデフロスタの電源がDC100VとAC200Vがある。
  7. ^ 被災したモ1801(デハ7203)は解体され、モ1811(デハ7202)は車両区で保管されている。2代目のモ1801・1811はそれぞれ元デハ7209・7204である。
  8. ^ 東急7200系で譲渡した車両が再度譲渡(いわゆる再譲渡)される例はほかに十和田観光電鉄(2012年3月31日廃線)から大井川鐵道へ譲渡した例も存在する。
  9. ^ その際、自動方向幕は前面のみク2807(東急時代はクハ7554)に移設されている。
  10. ^ 火災事故で廃車となった初代モ1801は元東急デハ7203、初代モ1811は元東急デハ7202だった。
  11. ^ 上田電鉄での車両番号はモハ7251-クハ7551。なお、クハ7551の側面行先表示器は上田交通への移籍時に撤去された。

出典

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  1. ^ 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2001年3月号RAILWAY TOPICS「豊橋鉄道1800系ステンレス車12月22日運転開始」p.102。
  2. ^ カラフルトレイン 豊橋鉄道ホームページ。
  3. ^ 鉄道友の会東京支部東急部会「2001年度 東急総決算」『RAIL FAN』第50巻第2号、鉄道友の会、2003年2月1日、7頁。 

関連項目

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