豊橋鉄道モハ300形電車
豊橋鉄道モハ300形電車(とよはしてつどうモハ300かたでんしゃ)は、かつて豊橋鉄道が保有していた路面電車用の電車である。
1951年(昭和26年)に市内線で運転を開始した車両で、元は名古屋市電の木造単車である。老朽化のため1963年(昭和38年)に廃車となった。
概要
[編集]第5回国民体育大会に備えて、1951年(昭和26年)2月14日付で豊橋交通(のちの豊橋鉄道)が名古屋市交通局から購入した車両である。4両導入され、車両番号は301-304とされた。名古屋市電時代の番号は140-143で、1931年(昭和6年)から翌年にかけて名古屋市電の西町工場で製造された。旧型車の改造であり、SSA形の台車・機器と、骨組の改良を施したLSA形の車体を組み合わせて製作された。
この経緯から、木造車体、ダブルルーフ、ドアのないオープンデッキ構造など、古めかしい形の車両であった。転入時は集電装置としてトロリーポールを1本装備していたが、1954年(昭和29年)の8月から10月にかけてビューゲルに交換された。そのほか、救助網の排障器への交換や、前面左下のテールライトの横に続行灯を取り付けるといった改造が実施されたが、ドアの取り付けは行われなかった。
木造車体の老朽化が進んだため、モハ700形やモハ800形の転入にともなって1963年(昭和38年)8月13日付で廃車となった。301は個人に譲られたが市内の山林に放置されて朽ちていき[1]、2014年頃には台車と骨組以外はほとんど残っていない状態だった。その後台車は群馬県渋川市に引き取られて東武伊香保軌道線デハ27の復元整備に供され、置かれていた場所は整地された。
主要諸元
[編集]廃車時点の諸元を示す。
- 製造者:名古屋市電気局西町工場
- 定員:42人(座席定員 20人)
- 自重:9.40トン
- 最大寸法
- 長:8,078mm
- 幅:2,191mm
- 高:3,768mm
- 台車:ブリル21E(車輪径 810mm)
- 軸距:2,286mm
- 電動機:MB-35A(35馬力) 2個
- 歯車比:5.06
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 日本路面電車同好会名古屋支部 『路面電車と街並み 岐阜・岡崎・豊橋』 トンボ出版、1999年
- 徳田耕一 『名古屋市電が走った街 今昔』 JTB、1999年