藤倉大
藤倉大 | |
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生誕 | 1977年4月27日(47歳)[1] |
出身地 | 日本 大阪府 |
学歴 | ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージック |
ジャンル | 現代音楽 |
職業 | 作曲家 |
公式サイト | Dai Fujikura Home Page |
藤倉 大(Dai Fujikura ふじくら だい、1977年4月27日[2] - )は、日本の現代音楽の作曲家。
略歴
[編集]1993年、15歳で単身イギリスに渡り[4]ドーヴァー・カレッジ卒業後、トリニティ・カレッジ・オブ・ミュージックでダリル・ランズウィックに師事。イギリスのハダースフィールド国際現代音楽祭でオランダのオルケスト・デル・ヴォルハーディングによって作品が初演、のちロンドン・シンフォニエッタによりロンドン初演。
2000年に修士課程をロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックでエドウィン・ロックスバラにピー・アール・エス奨学生として師事。2003年1月から博士課程をキングス・カレッジ・ロンドンでジョージ・ベンジャミンに師事し、2005年のルツェルン音楽祭でピエール・ブーレーズ指揮により「ストリーム・ステート」が演奏される[5]。この時期に作曲家ペーテル・エトヴェシュの指導を受ける[6]。2006年に博士号取得[7]。
2006年、BBCのプロムスでBBC委嘱の「クラッシング・ツィスター」がBBCコンサート・オーケストラ、チャールズ・ヘイズルウッド指揮によって初演。
2010年2月21日、毎日放送のドキュメンタリー番組「情熱大陸」で特集された[9]。2011年「トカール・イ・ルチャール」初演のためベネズエラを訪れる[10]。2014年にオペラ「ソラリス」を脱稿。
2014年[11]には名古屋フィルハーモニー交響楽団、2017年から2018年[12]にはイル・ド・フランス国立管弦楽団のコンポーザ・イン・レジデンスを務めていた。
2017年には東京芸術劇場にて開催されたボンクリ・フェスのアーティスティック・ディレクターに就任。2019年も実施された[13]。
2020年には、新型コロナウイルスの世界的流行によるロンドンでのロックダウンを受け、同じくベルリンでロックダウンを受けていた指揮者の山田和樹とのYoutube上のライブ配信による対談を通じて、テレ・パフォーマンスのための「Longing from afar」を発表[14]。同年、4作目のオペラである「アルマゲドンの夢」が初演された[15]。
2023年には、彼の作品が東京国際指揮者コンクール[16]とショパン国際ピリオドピアノコンクール[17]の必修課題曲に選定された。
出版
[編集]現在は全作品が「リコルディ・ベルリン」から出版および貸与されている[18]。KAJIMOTO所属アーティスト[19]。2024年8月26日現在246曲以上の作品[注釈 1]を作曲している[20]。
受賞歴
[編集]- カジミェシュ・セロツキ国際作曲コンクール史上最年少第1位および最年少出場者特別賞(1998年, Children; ポーランド)
- ハダースフィールド国際作曲コンクール優勝 (1998年, Grayed Rainbow; イギリス)
- ハダースフィールド国際作曲コンクール優勝 (1999年, Frozen Heat; イギリス)
- キャサリン・トマス国際フルート作品作曲コンクール優勝 (2000年, Ophelia; イギリス)
- 武満徹作曲賞第2位 (2003年, ティンブクトゥを夢見て[21]; 日本)
- ルイジ・ルッソロ国際電子音楽作曲賞入選 (2003年, moromoro; イタリア)
- ルイジ・ルッソロ国際電子音楽作曲賞入選 (2004年[22], Poison Mushroom; イタリア)
- ロイヤル・フィルハーモニック作曲賞最終選考入選 (2003年, Be; イギリス)
- ロイヤル・フィルハーモニック作曲賞 (2004年, Another Place; イギリス)
- マレーシア・フィルハーモニック国際作曲賞入選 (2004年, Calling Timbuktu; マレーシア)
- ガウデアムス国際作曲賞入選 (2004年, Reach Out; オランダ)
- ガウデアムス国際作曲賞佳作 (2005年, Be II; オランダ)
- ウィーン国際作曲賞[23] (2005年, Fifth Station; オーストリア)
- 芥川作曲賞最終演奏選考ノミネート (2005年, Vanishing Point[24]; 日本)
- ISCM世界音楽の日々入選 (2006年, Okeanos Breezes; ドイツ, シュトゥットガルト大会[25])
- 芥川作曲賞最終演奏選考ノミネート (2006年, Stream State[24]; 日本)
- ヒンデミット賞 (2007年, time unlocked and Another Place; ドイツ)
- ギガ・ヘルツ国際電子音楽作曲賞佳作 (2008年, moromoro; ドイツ)
- 尾高賞 (2009年, Secret Forest[26]; 日本)
- 芥川作曲賞 (2009年, ...as i am...[27]; 日本)
- 中島健蔵音楽賞 (2009年[28]; 日本)
- 東燃ゼネラル音楽賞洋楽部門奨励賞 (2010年[29]; 日本)
- 尾高賞 (2015年, Rare Gravity[30]; 日本)
- ヴェネツィア・ビエンナーレ音楽部門銀獅子賞 (2017年[31]; イタリア)
- 第57回レコード・アカデミー賞現代曲部門 (2019年, ざわざわ[32]; 日本)
- 芸術選奨文部科学大臣新人賞音楽部門(2019年[33]; 日本)
- アイヴァー・ノヴェロ賞 (2019年, フルート協奏曲[34]; イギリス)
- 尾高賞 (2019年, グローリアス・クラウズ[35]; 日本)
- ミュージック・ペンクラブ音楽賞 (2020年, アルマゲドンの夢[36]; 日本)
- 尾高賞 (2023年, 尺八協奏曲[37]; 日本)
主要作品
[編集]オペラ
[編集]- Anti-Opera in one act; This Could Be Beautiful? (2000年)
- ソラリス (2013年-2014年) スタニスワフ・レムの小説を題材とした作品。
- 黄金虫 (2017年) エドガー・アラン・ポーの小説を題材とした作品。
- アルマゲドンの夢 (2018年-2019年) H.G.ウェルズの短編小説を題材とした作品。
管弦楽作品
[編集]- ゴースト・オブ・クリスマス (2017年)
- グローリアス・クラウズ (2016年/2017年)
- 海 (2014年/2017年)
- レア・グラビティ (2013年)
- トカール・イ・ルチャール(2010年)[38]
協奏曲
[編集]- 尺八協奏曲 (2021年)
- 箏協奏曲 (2020年)
- アキコのピアノ - ピアノ協奏曲第4番(2019年/2020年)
- 三味線協奏曲 (2019年)
- チェロ協奏曲 (2016年/2017年)
- ホルン協奏曲第2番 (2016年)
- フルート協奏曲 (2015年)
- ダイアモンド・ダスト - ピアノ協奏曲第2番(2012年)
アンサンブル作品
[編集]- Grasping (2011年) for string orchestra
- ice (2009年/2010年) for chamber ensemble
- Phantom Splinter (2009年) for oboe, clarinet, bassoon and live-electronic
- Frozen Heat (2008年) for 13 musicians
室内楽作品
[編集]- Minina (2013年) for five instruments
- wind skein (2013年) for oboe, clarinet, alto saxophone, bass clarinet and bassoon
- being as one (2013年) for soprano, bass clarinet and violoncello. Text: Harry Ross
- Phantom Splinter Lite (2009年) for oboe, clarinet, bassoon and electronic feed
- String quartett no. 2 flare (2009年/2010年)
映画音楽
[編集]オンライン作品
[編集]- Longing from afar (2020年) for Tele performance
- Longing from a hug (2021年) for Tele performance
ディスコグラフィー
[編集]- SONY/Minabel; Dai Fujikura: Zawazawa
- Avex Japan/Minabel; Dai Fujikura: Mirrors
- NMC; Dai Fujikura: Secret Forest
- Kairos; Dai Fujikura: Ice
- Stradivarius; Dai Fujikura: Pascal Gallois Conducts Prague Modern
- SONY/Minabel; Dai Fujikura: My Letter to the World
- SONY/Minabel; Dai Fujikura&Shin Sasakubo: MANAYACHANA
- SONY/Minabel; Dai Fujikura: Mina
- SONY/Minabel; Dai Fujikura: Flare
- SONY/Minabel; Dai Fujikura: Ampere
- SONY/Minabel; Dai Fujikura: Chance Monsoon
- SONY/Minabel; Dai Fujikura: Diamond Dust
- SONY/Minabel; Dai Fujikura: Turtle Totem[40]
- SONY/Minabel; Dai Fujikura: Aquarius[41]
- Jazzlandrec.Norway; Yagi Michiyo|Dai Fujikura: Bibi[42]
- SONY/Minabel; Dai Fujikura: Wayfinder[43]
著書
[編集]単著
[編集]- 『どうしてこうなっちゃったか : Too Early for an Autobiography』幻冬舎、2022.1
共著
[編集]- 『藤倉大のボンクリ・アカデミー 誰も知らない新しい音楽』大友良英,藤原道山,檜垣智也, 本條秀慈郎, 吉田純子共著、アルテスパブリッシング、2022.7
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ Ricordiからのカタログ除外作品を含まない。
出典
[編集]- ^ “2003年度武満徹作曲賞本選演奏会”. operacity.jp. 2019年1月13日閲覧。
- ^ “19770427”. www.kairos-music.com. KAIROS MUSIC. 2024年8月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月23日閲覧。
- ^ “Dai Fujikura”. www.ricordi.com. 2018年12月21日閲覧。
- ^ “15歳、才能だけを頼りに徒手空拳で単身イギリスへ!”. www.gentosha.jp. 幻冬舎. 2024年8月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月23日閲覧。
- ^ 藤倉, p275-302
- ^ 藤倉大『どうしてこうなっちゃったか』幻冬舎、2022年1月、237-242, 253-260頁。ISBN 978-4-344-03878-3。
- ^ “His former student, Dai Fujikura (PhD Music, 2006)”. www.kcl.ac.uk. KCL (2020年12月1日). 2023年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月28日閲覧。
- ^ “Composition professor”. www.rcm.ac.uk. 2019年10月26日閲覧。
- ^ “情熱大陸”. www.mbs.jp. 2019年1月13日閲覧。
- ^ 藤倉, p339-340, 357-369
- ^ “KAJIMOTO | ニュース | ◆藤倉大が名古屋フィルハーモニー交響楽団の「コンポーザー・イン・レジデンス」に就任!”. www.kajimotomusic.com. 2021年7月29日閲覧。
- ^ “Biography”. daifujikura.com. 2021年7月29日閲覧。
- ^ “ボンクリ・フェス2019 “Born Creative” Festival 2019”. www.geigeki.jp. 2019年7月9日閲覧。
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- ^ “english2024”. www.conductingtokyo.org. www.conductingtokyo.org. 2023年10月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月19日閲覧。
- ^ “a work composed for the inauguration of the 2nd International Chopin Competition on Period Instruments”. www.facebook.com. www.facebook.com. 2023年10月19日閲覧。
- ^ “Dai Fujikura”. issuu.com. 2019年10月27日閲覧。
- ^ “Dai Fujikura”. www.kajimotomusic.com. www.kajimotomusic.com. 2021年6月30日閲覧。
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- ^ “尾高賞”. www.kajimotomusic.com. 2019年6月21日閲覧。
- ^ “オペラ公演関連ニュース”. 新国立劇場 オペラ. 2021年7月11日閲覧。
- ^ “NHK交響楽団 第70回「尾高賞」について”. www.nhkso.or.jp. NHKSO (2023年2月16日). 2023年3月1日閲覧。
- ^ Tocar y luchar|Ricordi 2022年6月24日閲覧。
- ^ “◆10月公開映画「蜜蜂と遠雷」の劇中オリジナル楽曲を藤倉大が担当!”. www.kajimotomusic.com (2019年2月17日). 2019年8月22日閲覧。
- ^ “Turtle Totem”. music.apple.com. Apple Music. 2020年6月15日閲覧。
- ^ “Aquarius (Hybrid)”. www.hmv.co.jp. www.hmv.co.jp. 2022年5月27日閲覧。
- ^ “Bibi”. michiyoyagidaifujikura.bandcamp.com. michiyoyagidaifujikura.bandcamp.com. 2023年4月17日閲覧。
- ^ “Dai Fujikura: Wayfinder”. www.prestomusic.com. www.prestomusic.com. 2023年6月23日閲覧。
外部リンク
[編集]- 公式ホームページ
- Dai Fujikura / 藤倉大 (@daifujikura) - X(旧Twitter)
- Dai Fujikura / 藤倉大 (@daifujikura) - Instagram
- Dai Fujikura - YouTubeチャンネル
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