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艸部

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
から転送)
艹艹艹
康熙字典 214 部首
色部 艸部 虍部
1 丿 2
3
广
4
5
6
7
8
9
10 11 鹿
12 13 14 15
16 17

艸部そうぶは、漢字部首により分類したグループの一つ。 康熙字典214部首では140番目に置かれる(6画の23番目、申集の最初)。

概要

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「艸」は「草」の本字であり、草本植物の総称として用いられる。の形に象る「」が2つ並んだ会意文字である。

偏旁の意符としては植物に関することを示す。樹木ではない植物、特に草本植物との関わりから派生した字を作っている。このとき主として上側のの位置に置かれ、上下構造を作るが、通常「」という十字の形に変形させて用いられる。なおこの形には差異がある(下記参照)。

艸部に所属する漢字で「艸」の字形のまま用いられている漢字は少なく、Unicodeの基本領域では「芔」「茻」と、「艸」の字形が上下に分離されている「芻」があるのみである。日常ではまず用いられないが、拡張領域では「𦫹」「𦬦」「𦭠」などといった漢字が収録されている。

特筆すべき点は異体字が多数存在し、同音の文字に変えた字体(蔕と蒂など)、類似の字形に変えた字体(萌と萠、菟と莵など)、本字に追加した字体(蕊と蘂、蕩と蘯など)、左右の構造が異なる同字(蘇と蘓など)、表外字の拡張新字体(蘆と芦、藪と薮など)、本字にくさかんむりを加えた異体字(芻と蒭、他部首では刈(刀部)と苅、園(囗部)と薗、帚(巾部)と菷、韭(韭部)と韮など)などが存在する。

艸部はこのような意符を構成要素に持つ漢字を収める。その総字数は全ての部首で最も多い。

字体のデザイン差

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楷書において偏旁の「艸」は「」のように十字形に変形されるが、2つの十字の横画をつなげて全体で3画にする「3画くさかんむり」()とそのまま間を開ける「4画くさかんむり」がある。また、「4画くさかんむり」には「」の形と「」の形がある。

印刷書体(明朝体)において『康熙字典』は「4画くさかんむり」を採っている。現在、台湾の国字標準字体・香港の常用字字形表もこの形をとる。

日本の新字体・中国の新字形は「3画くさかんむり」を使っている。

また日本の『表外漢字字体表』では「『くさかんむり』については、明治以来の明朝体字形に従い、『3画くさかんむり』を印刷標準字体と考える。ただし、このことは、明朝体以外の印刷書体の字形(例えば、正楷書体における『4画くさかんむり』)を制限するものではない」とされており、康熙字典体に従っていない。戸籍における氏名など、「3画くさかんむり」と「4画くさかんむり」を区別する場合があり、示偏之繞同様にこだわる場合もある(德永の「」など)。そのため人名用外字セットに「4画くさかんむり」を使用したものが含まれていたり、大規模文字セットでは3画と4画が区別されている場合もある。

筆記の慣習においては、草書では「前」の上のような形、行書では「サ」のようなかたち、楷書では「十十」と書かれ、『康煕字典』の活字もこれに習って4画くさかんむりとしている。上記のように、日本の活字では明治以来3画くさかんむりとされており(直線的な印刷字体では4画のくさかんむりは作りづらいため)、『当用漢字表』でも3画が採用されている。活字のくさかんむりはこのようになったが、筆記では、学校教育などで4画に書く楷書を教えなくなってしまった。ここから「旧字は4画」という誤解が生まれてしまったが、上のように少なくとも筆記では4画、3画の区別はない。日本規格協会符号化文字集合調査研究委員の小池和夫は、「草冠は草冠であることがわかればよく、画数は問題ではない。しんにょうの点と草冠の画数は数えるものではない」としている[1]

大相撲の番付表には3種類の草冠が書かれている。一つは番付表の中央に書かれている「蒙御免」の「蒙」の草冠の「」、二つ目は「若乃花」の「若」の草冠を「差」のようにしたもの、三つ目は「武蔵丸」のように通常の草冠にしたものが書かれている。

片仮名の「サ」は「3画くさかんむり」に似ているが、「サ」は「散」を崩したものの一部から造られた字であり、「3画くさかんむり」とは全くの無関係である。

Unicodeにおける部首内画数の配列では、くさかんむりの字形は全て4画の扱いとしている。

略字

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なお略字形を採用する日本の新字体・中国の簡体字では他の偏旁を「3画くさかんむり」に統合させたものがある。

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日本・中国に共通しているのは、「」のような「丱」の変形で「」となったものを「3画くさかんむり」にしていることである。ただし、この系列の「」などは、日本では単に「3画くさかんむり」に変えて「夢・繭・驚・護・獲」とするのであるが、中国では「」のように字全体で独自の簡略化をする。また「」などについては日本では「勧・歓」のように、中国では「」のように簡略化する。

なおこの偏旁の繁体字・旧字体について言えば、『康熙字典』は「」を採用し、台湾の国字標準字体・香港の常用字字形表もこの形を採る。一方、中国は新字形により「3画くさかんむり」を使っている。

廿

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日本の新字体では「」のような「廿」形を「3画くさかんむり」とする。ちなみに中国の簡体字では「」を「」に簡略化する。

火火

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中国の簡体字では「營・螢・榮」の「火火」を「3画くさかんむり」とし、「」のようにする。ちなみに日本では「営・蛍・栄」のように「」形に簡略化している。

部首の通称

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    • くさかんむり
    • くさ・そうこう
  • 中:草字頭
  • 韓:초두부 (cho du bu、草頭部) 초두머리(cho du mori、草頭の冠)
  • 越:Bộ Thảo(部草)
  • 英:Radical grass

部首字

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例字

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画数 例字
0
2
3
4 5)・3)
5 ・英・
6
7 6)・5)・𫟏
8 7)
9 一部)・8)
10
11 10)・
12
13
14 13)・12)・
15 4)・13)・・藪(13)・
16 4)・
17 16)
19
26 𧆚
39 𧆘

出典

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  1. ^ 小池和夫『異体字の世界 旧字・俗字・略字の漢字百科』河出書房新社,2009年,149頁。ISBN 978-4-309-40857-6