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臭化鉄(II)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
臭化鉄(II)
識別情報
CAS登録番号 7789-46-0 チェック
PubChem 425646
ChemSpider 74218 チェック
UNII EA3X054RBZ チェック
特性
化学式 FeBr2
モル質量 215.65 g mol-1
外観 黄色-茶色固体
密度 4.63 g cm-3, 固体
融点

684 °C, 957 K, 1263 °F ((無水物)
27 °C (六水和物))

沸点

934 °C, 1207 K, 1713 °F

への溶解度 117 g / 100 ml
他の溶媒への溶解度 テトラヒドロフランメタノールエタノール
磁化率 +13,600・10-6 cm3/mol
構造
結晶構造 菱面体晶, hP3, 空間群 = P-3m1, No. 164
配位構造 八面体
危険性
主な危険性 none
Rフレーズ R20 R36/37/38
Sフレーズ S26 S36
関連する物質
その他の陰イオン 塩化鉄(II)
その他の陽イオン 臭化鉄(III)
関連するcompounds VBr2
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

臭化鉄(II)(Iron(II) bromide)は、化学式FeBr2無機化合物である。無水物は黄色または茶色の常磁性固体である。何種類かの水和物も知られており、全てが淡い色の固体である。研究室において、他の鉄化合物の一般的な前駆体として用いられるが、この化合物自体の用途はない。 

構造

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多くの金属ハロゲン化物と同様に、臭化鉄(II)は、ハロゲン化物で架橋された孤立した金属中心からなるポリマー構造である。臭化物イオンの密な層の間の八面体状の穴にFe(II)が位置するヨウ化カドミウム型に結晶化する[1]。ハロゲン化物イオンの重なり方は、塩化カドミウム型の塩化鉄(II)とは、若干異なる。

合成と構造

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臭化鉄(II)は、濃臭化水素酸粉末のメタノール溶液を用いて合成される。メタノール溶媒和物[Fe(MeOH)6] Br2水素ガスを一緒に添加し、メタノール複合体を真空中で加熱する事で、純粋な臭化鉄(II)が得られる[2]

臭化鉄(II)は、2等量の臭化テトラエチルアンモニウムと反応し、[(C2H5)4N]2FeBr4を与える[3]。また、臭化物臭素と反応し、濃い色で混合原子価である[FeBr3Br9]-を形成する[4]

磁性

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臭化鉄(II)は、4.2 Kで強いメタ磁性を持ち、典型的なメタ磁性化合物として、長い間研究されてきた[5][6]

出典

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  1. ^ Haberecht, J.; Borrmann, Η.; Kniep, R. (2001). “Refinement of the crystal structure of iron dibromide, FeBr2”. Zeitschrift fur Kristallographie - New Crystal Structures 216 (1-4). doi:10.1524/ncrs.2001.216.14.544. 
  2. ^ Winter, G. (1973). “Iron(II) Halides”. Inorganic Syntheses. Inorganic Syntheses. 14. pp. 99-104. doi:10.1002/9780470132456.ch20. ISBN 9780470132456 
  3. ^ N. S. Gill, F.. B. Taylor Inorganic Syntheses 1967, volume 9, page 136-142. doi: 10.1002/9780470132401.ch37
  4. ^ Holleman, A. F.; Wiberg, E. "Inorganic Chemistry" Academic Press: San Diego, 2001. ISBN 0-12-352651-5
  5. ^ Wilkinson, M. K.; Cable, J. W.; Wollan, E. O.; Koehler, W. C. (15 January 1959). “Neutron Diffraction Investigations of the Magnetic Ordering in FeBr2, CoBr2, FeCl2, and CoCl2”. Physical Review 113 (2): 497-507. Bibcode1959PhRv..113..497W. doi:10.1103/PhysRev.113.497. 
  6. ^ Jacobs, I. S.; Lawrence, P. E. (10 December 1967). “Metamagnetic Phase Transitions and Hysteresis in FeCl2”. Physical Review 164 (2): 866-878. Bibcode1967PhRv..164..866J. doi:10.1103/PhysRev.164.866.