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酸化鉄(II)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
酸化鉄(II)
識別情報
CAS登録番号 1345-25-1
特性
化学式 FeO
モル質量 71.844 g/mol
密度 5.7 g/cm³
融点

1370 °C (1643.15 K)

沸点

3414 °C (3687.15 K)

危険性
安全データシート(外部リンク) ICSC 0793
主な危険性 特別状態に発火性可能
NFPA 704
0
1
0
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

酸化鉄(II)(さんかてつ に、Iron(II) oxide)は酸化鉄の一種である。酸化第一鉄(さんかだいいちてつ、ferrous oxide、ferrous iron)とも呼ばれるが推奨されない。組成式FeOで表される。

常温常圧で黒色の粉末。発火性がある。不定比化合物の代表例であり、鉄原子の欠損により元素の鉄と酸素との比は試料によりFe0.84OからFe0.95Oの幅を持つ[1]。鉱石としてはウスタイトが知られている。

製法

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FeOはシュウ酸鉄(II)を真空中で加熱すると得られる[1]

この黒色粉末は加熱により幾分反応するので、加熱した試料は急冷することで不均化を防ぐことができる[2]

化学量論的に均一な酸化鉄(II)は金属鉄を36kbarの条件下で加熱すると作成でき、組成式はFe0.95Oである[3]

反応

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酸化鉄(II)は575℃以下では熱力学的に不安定で、高温の酸化鉄(II)をゆっくりと冷却すると不均化により金属鉄と酸化鉄(II,III)とに変化する[1][4]

構造

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酸化鉄(II)は、岩塩と同じく立方晶を形成し、鉄は酸素を中心とする8面体の頂点に配置し、酸素は鉄中心とする8面体の頂点に配置している。Fe(+2)はFe(+3)になる為、酸化鉄(II)は不定比化合物に成り易い。一部のFe(+2)が3対2の比でFe(+3)に置き換わり、そこの酸素の結晶格子は四面体構造をとる[3]

200K以下では結晶構造は部分的に菱面体晶に変化し、試料によっては反強磁性を示す[3]

用途

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酸化鉄(II)は色素として使用される。FDAによると、酸化鉄(II)は化粧品や刺青のインクとしても使用される。

註・出典

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  1. ^ a b c Greenwood, N. N.; Earnshaw, A. (1997). Chemistry of the Elements (2nd Edition ed.). Oxford:Butterworth-Heinemann. ISBN 0-7506-3365-4 
  2. ^ Cotton, F. Albert; Geoffrey Wilkinson|Wilkinson, Geoffrey; Murillo, Carlos A.; Bochmann, Manfred (1999). Advanced Inorganic Chemistry (6th Edn.) New York:Wiley-Interscience. ISBN 0-471-19957-5.
  3. ^ a b c Wells A.F. (1984) Structural Inorganic Chemistry 5th edition Oxford University Press ISBN 0198553706
  4. ^ コットン、ウイルキンソン、『無機化学』(下)、原著第三版、培風館、p.767、1973。ISBN 4-563-04066-5