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ヨウ化カドミウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヨウ化カドミウム
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識別情報
CAS登録番号 7790-80-9
特性
化学式 CdI2
モル質量 366.220 g mol−1
外観 無色結晶
密度 5.67 g cm−3, 固体
融点

385℃

沸点

713℃

への溶解度 85.2 g / 100cm3(18℃)
構造
結晶構造 六方晶系(α)
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −203.3 kJ mol−1
標準モルエントロピー So 161.1 J mol−1K−1
標準定圧モル比熱, Cpo 79.96 J mol−1K−1
危険性
EU分類 有毒 (T)
有害 (Xn)
環境への危険性 (N)
EU Index 048-007-00-8
Rフレーズ R23/25, R33, R68, R50/53
Sフレーズ (S2), S22, S45, S60, S61
引火点 不燃性
関連する物質
関連物質 ヨウ化亜鉛;ヨウ化水銀(II)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ヨウ化カドミウム(ヨウかカドミウム、Cadmium iodide)は、化学式 CdI2 で表されるカドミウムヨウ化物である。

合成

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水中で金属カドミウムにヨウ素を加えて加熱し反応させ、生じた水溶液を濃縮すると無水物が析出する[1]

またはヨウ化カリウムと計算量の硫酸カドミウムをそれぞれ水溶液として混合し、蒸発乾固してエタノールで抽出して蒸発させると得られる。

性質

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無色の光沢ある板状結晶で六方晶系に属し、その格子定数はa = 4.24Å、c = 6.84Å、Cd−I結合距離は2.99Åである[2]

水に溶解しやすく、エタノール、エーテルおよびアセトンにも溶解する。結晶を空気中で長時間可視光線に当てるとヨウ素を生じて黄色を帯びる。

ヨウ化物イオンとカドミウムイオンは錯体を形成しやすく、ヨウ化カドミウムは水溶液中において弱電解質である。その錯生成定数は1.6M硝酸カリウム水溶液中で以下の通りである[3]

ヨウ化カドミウム型構造

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__ Cd2+     __ I−
__ Cd2+     __ I
ヨウ化カドミウム型構造

ヨウ化カドミウム型構造は六方晶系に属し、ヨウ化物イオンがほぼ六方最密充填構造に配置し、c軸方向の層の一つおきに八面体六配位の間隙に金属イオンが位置した構造である。ヨウ化物イオンが水酸化物イオンに置換された構造は水酸化カドミウム型構造と呼ばれる。

層状構造であり、多くの2価の金属のヨウ化物および臭化物に見られる結晶構造である。

ヨウ化物 化学式 格子定数 / Å[2]
a c
ヨウ化カルシウム CaI2 4.48 6.96
ヨウ化マグネシウム MgI2 4.14 6.88
ヨウ化マンガン(II) MnI2 4.16 6.82
ヨウ化鉄(II) FeI2 4.04 6.75
ヨウ化カドミウム CdI2 4.24 6.84

脚注・参考文献

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  1. ^ 日本化学会編 『新実験化学講座 無機化合物の合成I』 丸善、1977年
  2. ^ a b 『化学大辞典』 共立出版、1993年
  3. ^ FA コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年