縁起物
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縁起物(えんぎもの)とは、よいことがあるようにと祝い祈るための品物。
日本の縁起物
[編集]五穀豊穣、大漁追福、商売繁盛、家内安全、無病息災、安寧長寿、夫婦円満、子孫繁栄、祖先崇拝や招福祈願、厄除祈念や「ハレ」に纏わる物など多岐にわたる。また、祭礼や縁日や市などの社寺の参道や境内や門前町・鳥居前町において参詣者に授与・販売する歴史的、文化的背景のあるものを指す。日本古来のものとして特殊な例としては祭りなどで選ばれた福男やなまはげなどの演者、力士など神の依り代になった人も縁起物とされる。時節による滋養強壮の目的で長寿や薬事効果を期待して食された物として鰻や初鰹なども縁起物といえる。仏教、密教、ヒンドゥー教などのインド文化を起源とするものや五節句や二十四節気など中華文明の風俗・習慣を起源に持つものも存在し、それらが日本古来の神道と渾然一体となっているものもある。(具体的には七福神の一柱である「大黒」はヒンドゥー教を起源とし、日本には大乗仏教の「大黒天」と、密教の「大黒天」と、神道の神である大国主命と仏教の大黒天が神仏習合した「大黒様」と、三つの神仏が存在し姿も意味合いもそれぞれ違うものである。)
社寺、境内などで参詣人に販売・授与する物
[編集]- ほおずき(ほおずき市)
祭礼
[編集]祭り・興行
[編集]祭礼
[編集]- 紅白
- 水引
- 祝儀
- 祝儀袋
- 角樽(つのだる)
- 幣串(へいごし・へいぐし) – 上棟式(棟上式・建前)の棟上終了後に屋根の木組みの束と呼ばれる部分に取り付ける。家や家族の様々な幸福や厄除けを願う物であり、角材に祝上棟などと書き込み紅白の古式折り紙や紙製の扇、金箔や銀箔またはそれらに代わる金、銀紙などで装飾された物。
- 結納 – 詳しくは結納を参照。
- 富士山 – 古くから富士山は神道による霊峰とされており江戸時代にはその「霊験あらたか」にあやかろうと庶民がこぞって富士詣(ふじもうで)を行った。様々な理由で富士詣ができない人々のために神社などにおいて富士塚と呼ばれる縮小版の富士山に見立てた小山が作られ、頂上には実際と同じく鳥居や祠などが設けられた。またこの富士信仰から富士見という地名が富士山を望める日本各地に残されている。
節句・節気
[編集]1月
[編集]2月
[編集]3月
[編集]4月
[編集]5月
[編集]6月
[編集]てるてる坊主
7月
[編集]8月
[編集]9月
[編集]10月
[編集]11月
[編集]12月
[編集]芸能
[編集]唄
[編集]演奏
[編集]食物
[編集]飲み物
[編集]食べ物
[編集]青物・穀物
[編集]- 米・米俵
- 豆全般 – 「豆に生きる」や「豆々しく働く」
- 搗栗(カチグリ) – 干したクリを搗(つ)いて殻と渋皮を除去したもの。「勝ち栗」として武将が出陣式で食する四方膳に用いられた。
- 蓮根(レンコン) – 呼吸管の穴から先が見通せると考えた。
- 千代呂木(チョロギ) – シソ科の植物の根。長老喜とも表記し長寿を齎す(もたらす)といわれる。
水産物
[編集]- 白身魚 - 高級品だったことから、かまぼこが贈答品や御節料理に用いられた。
- 海苔 – かつて運草と呼ばれ、希少なものであったことから、現在でも神饌、中元、歳暮、出産祝いその他で多く用いられている。
- 鰻(ウナギ)
- 初鰹(はつがつお)
- 鯛 – 「めでたい」とタイを掛けた。
- 鯨肉 – 古くは宮廷で公家が薬事効果を期待し食していたが、戦国時代には鯨呑が「国を飲み込んで併合・吸収合併する」と言う意味や鯨波の声(鬨の声と読み意味も同じ)が「戦いに勝つ」という意味や鯨吼が「轟き渡る」という意味などから武家の間で珍重された。江戸時代には組織捕鯨の隆盛と共に庶民の縁起物として広く節気などに食されるようになった。
- 海老
- 鮑(アワビ) - 打鮑が「敵を打つ」にかかることから、武将が出陣式で食する四方膳に用いられた。
- 昆布 – 喜ぶ(よろコンブ)、子生婦(こうぶ)にかかることから子孫繁栄に繋がる。武将が出陣式で食する四方膳に用いられた。
その他
[編集]- 塩 – 盛り塩
現象
[編集]行為
[編集]- 火・火花 – 送り火、迎え火。火打石。花火。護摩焚き。
- 笑い – 「初笑い」や「笑う門には福来る」という表現から。
- 茶柱 – 茶をいれた時に葉や茎が垂直に立つ現象をさす。
- 一富士二鷹三茄子 – いちふじにたかさんなすびと読む。初夢でこれらを見ることができれば縁起がいいとされる。
- 年を重ねること – 還暦(60歳)、喜寿(77歳)、傘寿(80歳)、半寿(81歳)、米寿(88歳)、卒寿(90歳)、白寿(99歳)、百寿(100歳)、茶寿(108歳)、大還暦(120歳)、天寿(250歳)
気象
[編集]- 日の出・御来光 – 初日の出や富士山の山頂から望む行為に代表され、世界的には夕日を愛でる習慣が多い中、日本独特ともいわれる朝日信仰(太陽信仰)である。「日出ずる国(ひいずるくに)」や「日本(ひのもと)」が美称であることや「天晴れ(あっぱれ)」または「早起き」が美徳であることからもその思いが窺える。
- 御神渡り
- 狐の嫁入り – 天気雨(晴天時の雨)
- 稲妻 – 稲の豊作
- 蜃気楼
人・動物・植物
[編集]人
[編集]- 人
- ひと形
動物
[編集]- 実在の生き物
- 伝説上の生き物
植物
[編集]宝飾品・道具
[編集]鉱物・貴石
[編集]- 鉱物
- 貴石
道具
[編集]- 打出の小槌
- 大判・小判
- 厭勝銭
- 飾り駒
- 千代紙
- サイコロ – どこに転がっても必ず目が出ることから、「芽が出る」につながり縁起物とされる。
- 釣竿と釣針 – 日本においては釣竿と釣針(弓矢も同様)は古くは狩りとしての使用から「サチ(幸)」といい「サ」は箭(矢)の古い読みで矢や釣り針を意味し、「チ」は霊威を示し、釣竿と釣針・弓矢は霊力を持つ狩猟具であった。また恵比寿が携える狩猟具としても知られる。
- 手拭 – 手拭の始まりは平安時代に神事としての儀式に用いられた装身具であり、現在の祭りや神事にも引き継がれている。また江戸時代には祝儀としての金品の代表的なものであり、縁起にかかわる絵柄があしらわれたものは縁起物として扱われた。
- 弓矢 – 山幸彦は昔話としても広く知られる弓矢を用いる狩りの神。「幸(さち)」が「弓矢・釣竿と釣針」を示したり、狩りの獲物や漁の獲物を指す「山の幸・海の幸」を表す謂れとなる物語の海幸彦と並ぶ主人公である。
- 祭り矢・祭り弓 – 五穀豊穣を願い行われる日本各地にのこる神事であり祭り。
- 的矢 – 祭り矢・祭り弓を起源とし、江戸時代には市や縁日が立つ参道や境内、門前町で出店や夜店として、弓矢を使い的に当て、的の位置や種類により、商品や賞金が振舞われ、庶民はこれを縁起担ぎとして楽しんだ。
- 葦の矢・桃の弓 – 大晦日に朝廷で行われた追儺(ついな)の式で、鬼を祓う為に使われた弓矢のことで、それぞれ葦(アシ)の茎と桃の木で出来ていた。
- 破魔矢・破魔弓 – はじまりは正月に行われたその年の吉凶占いに使う弓矢。後に、家内安全を祈願する幣串と同じように、家の鬼を祓う魔除けとして上棟式に小屋組に奉納される神祭具のことで、近年では破魔矢・破魔弓ともに神社などの厄除けの縁起物として知られる。
- 蓬矢(ほうし)・桑弓(そうきゅう) – それぞれ、蓬の矢(よもぎのや)・桑の弓(くわのゆみ)とも言い、男の子が生まれた時に前途の厄を払うため、家の四方に向かって桑の弓で蓬の矢を射た。桑の弓は桑の木で作った弓、蓬の矢は蓬の葉で羽を矧いだ(はいだ)矢。
- 弓を鳴らす – 鳴弦とも言い、弓の弦を引いて鳴らすことにより悪霊や魔や穢れを祓う行為。弓鳴らし・弦打ちともいう。
- 弓を引く – 反抗や謀反(むほん)や楯突くことであるが、本来は鳴弦のことで弓の弦を引いて鳴らすことにより悪霊や魔や穢れを祓う行為。
- 祭り矢・祭り弓 – 五穀豊穣を願い行われる日本各地にのこる神事であり祭り。