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スジボソヤマキチョウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
筋細山黄蝶から転送)
スジボソヤマキチョウ
クサフジを吸蜜するスジボソヤマキチョウ、伊吹山(滋賀県米原市、2014年7月1日)にて
スジボソヤマキチョウ Gonepteryx aspasia
分類
: 動物界 Animalia
: 足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目(鱗翅目) Lepidoptera
上科 : アゲハチョウ上科 Papilionoidea
: シロチョウ科 Pieridae
亜科 : モンキチョウ亜科 Coliadinae
: ヤマキチョウ属 Gonepteryx
: スジボソヤマキチョウ G. aspasia
学名
Gonepteryx aspasia
Ménétries, 1859
和名
スジボソヤマキチョウ
英名
lesser brimstone
亜種
  • G. a. aspasia (Ménétries)
  • G. a. niphonica (Bollow)

スジボソヤマキチョウ(筋細山黄蝶、学名Gonepteryx aspasia Ménétries, 1859)は、アゲハチョウ上科シロチョウ科ヤマキチョウ属分類されるチョウの1

形態

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開張6.2cm本州に生息するシロチョウ科の中では比較的大きく、モンシロチョウと比べるとふた回りほど大きい。前長は、3-4 cm[1]。全体に薄い黄色で、前翅と後翅が1箇所ずつとがっている。また翅の中央に1つずつ白点を持つ。オスの前の表面は濃黄色で、メスはクリーム色[2]

同属のヤマキチョウと形態が非常に似ている[3]。翅の先端の突出が弱く、前翅前縁がピンク色になる点でスジボソヤマキチョウと区別できる[3]。ヤマキチョウは中部地方以西には生息していない[4]

生態

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やや山地性で、日中低い場所を穏やかに飛び、アザミ類ヒメジョオンなどの多くの種類の花によく集まる[1][4]。生息地では多数発生することもある。吸水する習性が強く[1]、集団で吸水する様子もたまに見られる[4][5]

3~4月に産卵し、幼虫は黄緑色[1]。成虫は年1回6~7月に羽化する[5]。しばらく活動した後休眠状態に入る[5]成虫越冬する[4][5]。見られる季節は長いが、5~8月ごろはあまり活発でない。

幼虫はクロウメモドキ科クロウメモドキキビノクロウメモドキクロツバラクロカンバ[1]などを食草とする[4][5]

分布

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ロシアアムール川およびウスリー川流域)、中国朝鮮半島日本に分布する[5]

日本では紀伊半島を除く本州四国(山地のみ[6])、九州に分布する[4][5]北海道淡路島にはいない。九州では大分県宮崎県の高原に分布するとされ、1986年に大分県竹田市祖母山でオス1匹が採集されているが[注釈 1][7]、ここ十年ほど記録がない。丘陵地から山地にかけての森林に生育し、発達した森林の林縁などで見られる[4]

亜種

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  • G. aspasia aspasia - ロシア極東地域、中国、朝鮮半島に分布する[5]
  • G. aspasia niphonica Bollow - スジボソヤマキチョウ。日本に分布する[5]

種の保全状況評価

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日本の以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている[8]。ヤマキチョウほど絶滅が危惧されてはいないが、森林の開発や植林などにより個体数は減少傾向にある[4]

脚注

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注釈

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  1. ^ スジボソヤマキチョウは、九州では絶滅寸前の種とみられている。
  2. ^ 青森県の重要希少野生生物(Bランク)は、環境省の絶滅危惧II類相当。
  3. ^ 茨城県の 希少種(R)は、環境省の準絶滅危惧(NT)相当。

出典

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  1. ^ a b c d e 蛭川 (2013)、37頁
  2. ^ 猪又 (2006)、24頁
  3. ^ a b 須田 (2012)、76頁
  4. ^ a b c d e f g h 須田 (2012)、77頁
  5. ^ a b c d e f g h i 猪又 (2006)、128頁
  6. ^ a b 香川県レッドデータブック「スジボソヤマキチョウ」”. 香川県 (2004年3月). 2014年8月20日閲覧。
  7. ^ a b レッドデータブックおおいた「スジボソヤマキチョウ」”. 大分県 (2011年). 2014年8月20日閲覧。
  8. ^ 日本のレッドデータ検索システム「スジボソヤマキチョウ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2014年8月20日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
  9. ^ レッドデータブックあいち2009「スジボソヤマキチョウ」” (PDF). 愛知県. pp. 272 (2009年). 2014年8月20日閲覧。
  10. ^ 三重県レッドデータブック2005「スジボソヤマキチョウ」”. 三重県 (2005年). 2014年8月20日閲覧。
  11. ^ レッドデータブックとっとり (動物)” (PDF). 鳥取県. pp. 142 (2002年). 2014年8月20日閲覧。
  12. ^ しまねレッドデータブック「スジボソヤマキチョウ」”. 島根県 (2013年). 2014年8月20日閲覧。
  13. ^ レッドデータブックまつやま2012「スジボソヤマキチョウ」”. 松山市 (2012年). 2014年8月20日閲覧。
  14. ^ 青森県レッドデータブック(2010年改訂版)” (PDF). 青森県. pp. 250 (2010年). 2014年8月20日閲覧。
  15. ^ 埼玉県レッドデータブック2008動物編” (PDF). 埼玉県. pp. 135 (2008年). 2014年8月20日閲覧。
  16. ^ 京都府レッドデータブック「スジボソヤマキチョウ」”. 京都府 (2013年). 2014年8月20日閲覧。
  17. ^ レッドデータブックやまぐち「スジボソヤマキチョウ」”. 山口県 (2002年). 2014年8月20日閲覧。
  18. ^ 兵庫県版レッドリスト2012「スジボソヤマキチョウ」” (PDF). 兵庫県 (2012年). 2014年8月20日閲覧。

参考文献

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  • 猪又敏男(編・解説)、松本克臣(写真)『蝶』山と溪谷社〈新装版山溪フィールドブックス〉、2006年6月。ISBN 4-635-06062-4 
  • 須田真一、永幡嘉之、中村康弘、長谷川大、矢野勝也 著、日本チョウ類保全協会 編『日本のチョウ』誠文堂新光社〈フィールドガイド〉、2012年4月30日。ISBN 978-4416712030 
  • 日本環境動物昆虫学会編 編『チョウの調べ方』今井長兵衛・石井実監修、文教出版、1998年。ISBN 4938489112OCLC 170389984 
  • 蛭川憲男『日本のチョウ 成虫・幼虫図鑑』メイツ出版、2013年4月。ISBN 978-4780413120 
  • 牧林功解説、青山潤三写真『日本の蝶』成美堂出版〈ポケット図鑑〉、1994年。ISBN 4-415-08045-6 

関連項目

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外部リンク

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