笹川吉晴
笹川 吉晴(ささがわ よしはる、1969年[1][2] - )は、日本の文芸評論家。東京都出身[1][2]。東京都立狛江高等学校を卒業後、専修大学文学部に進み、同大学院文学研究科修士課程修了[2]、博士後期課程単位取得退学。
解説
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評論家デビューの契機となったのは、専修大学の先輩にあたる文芸評論家の縄田一男が、卒業論文として提出された「<人間性>の否定」(作家友成純一論)を読んで「随分変わった学生がいる」と注目した事による。また、大学時代のゼミ同期生には作家・フリー編集者の日下三蔵がいる。
専門分野は現代日本文学で、中でもクトゥルフ神話系作品をはじめとするホラー系文学作品の評論において第一人者であるが、それだけに止まらず、マニアックなものから一般的なものまでの映像作品や格闘技文化などへの造詣も深い。興味対象は、ホラー以外に、時代小説、プロレス、サイエンス・フィクション、ミステリーなど幅広い分野に及ぶ。これまで多数手掛けている文庫解説の仕事が、現在までの笹川の評論活動のメインになるが、いずれもそれぞれの作品の背景となる社会や文化に深く鋭く突っ込んだ叙述が特色であり、また、弱者、暴力、恐怖といったものへの独特の共感を含んだ視点も特徴的である。笹川に対しては、朝松健、宮部みゆき、菊地秀行といった現役作家たちからの信頼も厚く、また笹川執筆の解説目当てに作品を手にする文学ファンも少なくない。
日本推理作家協会[2]および探偵小説研究会[1]の会員、本格ミステリ作家クラブの元会員[3][4]。国書文芸カレッジ(国書刊行会主催のカルチャースクール)講師。北海道新聞[5]、『S-Fマガジン』[5]、『週刊アスキー』にて書評を連載。
著作
[編集]評論
[編集]- 「邪神崇拝者の肖像」:『秘神―闇の祝祭者たち』収録(編集:朝松健、アスキー、アスペクトノベルズ、1999年、ISBN 978-4-7572-0373-0)
- 「吸血鬼小説総進撃 Dの眷属たち」:『吸血鬼ハンターD読本』収録(編集:朝日ソノラマ編集部、朝日ソノラマ、2001年、ISBN 978-4-2570-3546-6)
- 「ゼラチンコミック――伝奇仕掛けの粘液」:『S-Fマガジン』2001年4月号掲載(早川書房)[6]
- 「作家論 北野勇作天国の話」:『S-Fマガジン』2002年6月号掲載(早川書房)[7]
- 「最新事情 (国内篇) 今、怪奇幻想に出来ること」:『ミステリマガジン』2014年8月号掲載(早川書房)[8][9]
文庫解説 / 書籍解説
[編集]「※○○版」に関しては、他社・他レーベルから刊行された文庫版・判型違いの書籍・旧版新版などが存在する場合であり、笹川による解説は該当の版のみである。
- 『木枯し紋次郎 同じく人殺し』著者:笹沢左保(新潮社、1996年刊行、四六判単行本)
- 『エクソシスト』著者:ウィリアム・ピーター・ブラッティ(※創元推理文庫版、1999年刊行)
- 『繭』著者:トリシュ・ジェーンシュッツ・マクレガー(創元推理文庫、1999年刊行)
- 『戦国自衛隊』著者:半村良(※ハルキ文庫版、2000年刊行)[10]
- 『成吉思汗の秘密』著者:高木彬光(※ハルキ文庫版、2000年刊行)
- 『誰もわたしを倒せない』著者:伯方雪日(※ミステリ・フロンティア版、2004年刊行、四六判単行本)[11]
- 『ヴァンパイヤー戦争』著者:笠井潔(※講談社文庫版、全11巻、2004年 - 2005年刊行)
- 『ザ・ベストミステリーズ2005』編集:日本推理作家協会(2005年刊行、四六判単行本)[12]
- 『ザ・ベストミステリーズ2006』編集:日本推理作家協会(2006年刊行、四六判単行本)[13]
- 『地を穿つ魔』著者:ブライアン・ラムレイ(創元推理文庫、2006年刊行)[14]
- 『狂い咲く薔薇を君に 牧場智久の雑役』著者:竹本健治(※光文社文庫版、2009年刊行)[15]
- 『ベトナム秘密指令』著者:大藪春彦(※徳間文庫、※新装版、2011年刊行)[16]
脚注
[編集]- ^ a b c 探偵小説研究会 - 「会員紹介」一覧を参照。
- ^ a b c d 日本推理作家協会 - 「会員名簿 笹川吉晴」におけるプロフィールを参照。
- ^ 本格ミステリ作家クラブ - 「2003年度 会員名簿」一覧に記載あり。
- ^ 本格ミステリ作家クラブ - 「2008年度 会員名簿」一覧に記載なし。
- ^ a b Twitterアカウントにおける自身のプロフィールに記載。
- ^ 国立国会図書館サーチ|書誌詳細|作家論 ゼラチン・コミック--伝奇仕掛けの粘液 2001-04
- ^ 国立国会図書館サーチ|書誌詳細|作家論 北野勇作天国の話 2002-06
- ^ 国立国会図書館サーチ|書誌詳細|最新事情(国内篇) 今、怪奇幻想に出来ること 2014-08
- ^ ハヤカワ・オンライン - ミステリマガジン 2014年8月号 特集:幻想と怪奇 乱歩生誕120周年
- ^ 株式会社 角川春樹事務所 - 戦国自衛隊
- ^ 東京創元社 - 誰もわたしを倒せない【単行本版】 - 伯方雪日
- ^ 講談社BOOK倶楽部 - 推理小説年鑑:『ザ・ベストミステリーズ2005』(日本推理作家協会、笹川吉晴、石田衣良、戸梶圭太、山口雅也、伊坂幸太郎、石持浅海、池永陽、朝松健、三雲岳斗、法月綸太郎、田中啓文、北原尚彦、草上仁、飛鳥部勝則、中島らも、柄刀一、朱川湊人、荻原浩、蒼井上鷹)
- ^ 講談社BOOK倶楽部 - 推理小説年鑑:『ザ・ベストミステリーズ2006』(日本推理作家協会、平山夢明、明川哲也、古川日出男、田中啓文、伊坂幸太郎、北森鴻、道尾秀介、三崎亜記、石持浅海、連城三紀彦、米澤穂信、遠藤徹、森谷明子、あせのごまん、大沢在昌、笹川吉晴)
- ^ 東京創元社 - 地を穿つ魔 - ブライアン・ラムレイ / 夏来健次 訳
- ^ 国立国会図書館サーチ|書誌詳細|作家論 北野勇作天国の話 2002-06
- ^ 国立国会図書館サーチ|書誌詳細|狂い咲く薔薇を君に 牧場智久の雑役 連作本格推理(光文社)2009
外部リンク
[編集]- 笹川吉晴の徒然怪奇帖 - 公式ブログ
- 笹川吉晴 @sasakumamonjiro - 自身のTwitterアカウント
- 国書文芸カレッジ - ウェイバックマシン(2006年5月1日アーカイブ分)
- 武蔵多摩 怪奇長屋