日下三蔵
日下 三蔵(くさか さんぞう、1968年2月21日[1] - )は、ミステリ・SF研究家、アンソロジスト、フリー編集者。本名は溝畑康史。日本推理作家協会、本格ミステリ作家クラブ各会員。日本SF作家クラブ会員。
概要
[編集]1968年、神奈川県生まれ[2]。横須賀市育ちで小学校の同級生に漫画家の久米田康治がいた。栄光学園高等学校卒業[3]。レビュアーの風野春樹は高校の同級生[4]。
専修大学文学部卒業[2][5]。ワセダミステリクラブOB[6]。出版芸術社勤務時代に「ふしぎ文学館」シリーズを企画・担当。1998年からフリー編集者、評論家として活動する[2]。『天城一の密室犯罪学教程』で第5回本格ミステリ大賞(評論・研究部門)を受賞[7][8]。
出版芸術社時代に担当した、小森健太朗『ネメシスの哄笑』(1996年)の作中に、本名で探偵役として登場している。翌1997年の小森作品『眠れぬイヴの夢』(トクマ・ノベルズ)にも登場した。[要出典]
2008年から2019年まで大森望との共編で《年刊日本SF傑作選》(創元SF文庫)を編纂していた。またその関連企画として2009年に創設された創元SF短編賞の選考委員を大森と共に務めている。2016年度から2018年度まで日本SF大賞選考委員。[要出典] 2020年度も草上仁の代理で、日本SF大賞選考委員。
2019年、聞き手・編集を担当した『筒井康隆、自作を語る』で第50回星雲賞(ノンフィクション部門)受賞[9]。2020年、大森望と共編の『年刊日本SF傑作選』が第40回日本SF大賞特別賞を受賞[7]。
山田風太郎をはじめとする「昭和のミステリ、SFの黄金時代の作品の復刻活動」仕掛け人の一人[要出典]。また、アニメ・特撮ソングの研究家という一面も持つ[10]。表現の自由を重んじており、自身のXアカウントにおいて反表現規制の論陣を張っている。
主な編書
[編集]- 木々高太郎『光とその影・決闘』(講談社大衆文学館、1997年)
- 『山田風太郎奇想コレクション』(ハルキ文庫、全5巻、1997年)
- 『江戸川乱歩全短編』(ちくま文庫、全3巻)
- 『乱歩の幻影』(ちくま文庫、1999年9月、ISBN 4480035052)
- 皆川博子『鳥少年』(徳間書店、1999年、のち創元推理文庫)
- 筒井康隆『細菌人間』(出版芸術社、2000年)
- 『山田風太郎コレクション』(出版芸術社、全3巻)
- 『怪奇探偵小説傑作選』(ちくま文庫、全5巻)
- 『山田風太郎ミステリー傑作選』(光文社文庫、全10巻)
- 『本格ミステリコレクション』(河出文庫、全6巻)
- 『皆川博子作品精華 伝奇時代小説編』(白泉社、2001年12月、ISBN 4592750063)
- 『怪奇探偵小説名作選』(ちくま文庫、全10巻)
- 『日影丈吉全集』(国書刊行会、全8巻)
- 『山田風太郎妖異小説コレクション』(徳間文庫、全4巻)
- 『山田風太郎忍法帖短篇全集』(ちくま文庫、全12巻)
- 『天城一の密室犯罪学教程』(日本評論社、2004年5月、ISBN 4535583811)
- 『天城一傑作集2 島崎警部のアリバイ事件簿』(日本評論社、2005年6月、ISBN 4535584265)
- 『天城一傑作集3 宿命は待つことができる』(日本評論社、2006年8月、ISBN 978-4535584730)
- 『都筑道夫恐怖短篇集成』(ちくま文庫、全3巻)
- 『都筑道夫少年小説コレクション』(本の雑誌社、全6巻)
- 戸板康二『中村雅楽探偵全集』(創元推理文庫、全5巻)
- 日本SF全集(出版芸術社、全6巻)
- 『年刊日本SF傑作選』(創元SF文庫、大森望と共編、2008年から刊行開始)
- 『日本SF短編50』(ハヤカワ文庫、全5巻、北原尚彦・山岸真・星敬と共編)
- 『仁木悦子少年小説コレクション』(論創社、全3巻)
- 『皆川博子コレクション』全10巻、出版芸術社、2013-17
- 『江戸川乱歩名作選』(新潮文庫、2016年6月、ISBN 978-4101149028)
- 『日本SF傑作選』(ハヤカワ文庫JA、全6巻)
- 『日本SF傑作選1 筒井康隆 マグロマル/トラブル』ISBN 9784150312893(2017年8月)
- 『日本SF傑作選2 小松左京 神への長い道/継ぐのは誰か?』ISBN 9784150312978(2017年10月)
- 『日本SF傑作選3 眉村卓 下級アイデアマン/還らざる空』ISBN 9784150313081(2017年12月)
- 『日本SF傑作選4 平井和正 虎は目覚める/サイボーグ・ブルー』ISBN 9784150313173(2018年2月)
- 『日本SF傑作選5 光瀬龍 スペースマン/東キャナル文書』ISBN 9784150313258(2018年4月)
- 『日本SF傑作選6 半村良 わがふるさとは黄泉の国/戦国自衛隊』ISBN 9784150313326(2018年6月)
- 『筒井康隆、自作を語る』(早川書房、2018年9月、ISBN 978-4152097989)
- 『皆川博子長篇推理コレクション』1-4 柏書房、2020-21
- 『日本ハードボイルド全集』(創元推理文庫、全7巻、2021年4月 - 2023年9月) - 共編:北上次郎、杉江松恋
著書
[編集]- 『越境する本格ミステリ 映画・TV・漫画・ゲームに潜む本格を探せ!』小山正共著(2003年4月、扶桑社。ISBN 4594039499)
- 『日本SF全集・総解説』(2007年11月、早川書房。ISBN 978-4152088765)
- 『ミステリ交差点』(2008年8月、本の雑誌社。ISBN 978-4860110840)
脚注
[編集]- ^ “会員名簿 日下三蔵|日本推理作家協会”. 日本推理作家協会. 2022年4月24日閲覧。
- ^ a b c “「論創ミステリ叢書」第100巻刊行記念 横井司さん×日下三蔵さんトークショー”. 東京堂書店. 2022年4月24日閲覧。
- ^ 東雅夫「牛込間借り日記」11月19日(2020年10月17日閲覧)による。学研M文庫「伝奇ノ匣1」の著者献本が届く等の記述から、2001年11月と思われる。
- ^ 「風野春樹の読冊日記」1997年12月15日(2020年10月17日閲覧)で、溝畑康史を「は私の高校時代の同級生」と語っている。
- ^ 出典:本格ミステリ作家クラブ 会員名簿[リンク切れ](2013年9月19日閲覧)
- ^ 出典:早稲田祭2007 企画紹介 道尾秀介講演会[リンク切れ](2013年9月19日閲覧)
- ^ a b “日下三蔵”. www.kawade.co.jp. 河出書房新社. 2022年4月24日閲覧。
- ^ 出典:本格ミステリ作家クラブ 第5回本格ミステリ大賞[リンク切れ](2013年9月19日閲覧)
- ^ “2019年 第50回星雲賞”. www.sf-fan.gr.jp. 日本SFファングループ連合会議. 2022年4月24日閲覧。
- ^ 『本の雑誌』巻頭連載「本棚が見たい!」を書籍化した『絶景本棚』の日下三蔵編による。「魔窟」と呼ばれる積み重なった膨大な蔵書のうちには漫画単行本も多い。
外部リンク
[編集]- 『超弦領域 年刊日本SF傑作選』序文―「Webミステリーズ!」掲載記事
- 日下三蔵 (@sanzokusaka) - X(旧Twitter)