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私市正年

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私市 正年(きさいち まさとし、1948年1月2日[1] - )は、日本イスラーム研究者。学位は、博士(史学)中央大学論文博士・2007年)。上智大学名誉教授。専攻はマグリブ・イスラーム民衆史、アルジェリア・イスラーム政治運動。

略歴

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東京都生まれ。北海道大学文学部西洋史学科卒業、東京都立大学経済学部中退、中央大学大学院博士課程(東洋史学専攻)中退。ムハンマド5世大学( (en)モロッコイブン・ハルドゥーン研究センターエジプト)、地中海アラブ・ムスリム研究センター(IREMAM (fr) フランスエクサンプロバンス)、アルジェ大学 (en) 応用開発経済研究センター(CREAD アルジェリア)などで研究に従事。

上智大学外国語学部助教授、教授[2]を経て同アジア文化研究所教授[3]、名誉教授[注釈 1]。総合グローバル学部の教授[9]であった2017年4月より科研費研究「ザーウィヤのイスラーム教育とアルジェリア独立運動へのイデオロギー的影響の研究」代表 (2020年3月終了予定)[10][11]

地中海学会[12]、日本中東学会[13][14]

学位

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2007年『マグリブ中世社会とイスラーム聖者崇拝 聖者を中心にしたイスラーム社会像の構築』[15]で、中央大学より博士(史学)の学位を取得[16]

著作

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  • 「第8章 巡礼者の道」『道のアジア史 : モノ・ヒト・文化の交流』鶴見良行、村井吉敬 (編著)、同文舘出版、1991年1月。
  • 「第6章 イスラームの地中海」『都市の文明イスラーム』佐藤次高、鈴木董 (編)、〈講談社現代新書1162・新書イスラームの世界史〉、1993年9月。
  • 「マグリブ諸国のイスラーム主義運動--社会的背景と組織の実態 (イスラーム復興主義の現在<焦点>)『国際問題』第411号、日本国際問題研究所、1994年6月。30-43頁。
  • 『イスラム聖者 奇跡・予言・癒しの世界』、講談社〈現代新書〉、1996年。
  • 『北アフリカ・イスラーム主義運動の歴史』白水社、2004年。
  • 『サハラが結ぶ南北交流』山川出版社〈世界史リブレット〉、2004年。
  • 『マグリブ中世社会とイスラーム聖者崇拝』、山川出版社、2009年。
  • 『原理主義の終焉か ポスト・イスラーム主義論』NIHUプログラムイスラーム地域研究 (監修)、山川出版社 〈イスラームを知る〉、2012年。
  • FISの勝利とアルジェリアの民主化挫折の再考 : 1988年暴動から1992年クーデターまで」『上智ヨーロッパ研究』第6号、上智大学ヨーロッパ研究所、2014年2月。95-124頁。
  • 「アルジェリア政治の現状 : 2019年大統領選挙の課題」『中東研究 = Journal of Middle Eastern studies』、中東調査会 (編)、2018年度、第3号534、2019年1月、71-82頁。
  • 「トレンド2019 混迷深めるアルジェリア政治と大統領選挙」『外交 = Diplomacy』、「外交」編集委員会 (編)、第56巻、2019年7月・8月、98-101頁。

共編著

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  • 『イスラーム地域の民衆運動と民主化』栗田禎子 (共編)、東京大学出版会〈イスラーム地域研究叢書〉、2004年。
  • 『現代イスラームを めぐるテロリズムの背景と現状』、上智大学21世紀 COE プログラム「地域立脚型グローバル・スタディーズの構築」事務局〈Sophia AGLOS Working Papers Series No.7〉、2005年。
  • 『モロッコを知るための65章』佐藤健太郎 (共編著)、明石書店〈エリア・スタディーズ〉、2007年。
  • 『アルジェリアを知るための62章』(編著)、明石書店〈エリア・スタディーズ〉、2009年。
  • 『イスラーム世界の歴史的展開』三浦徹 他 (共著)、放送大学教育振興会、2011年。
  • 『日本・アルジェリア友好の歩み = Le Japon et l'Algérie une histoire de 50 ans d'amitié : 外交関係樹立50周年記念誌』スマイル・デベシュ、在アルジェリア日本国大使館 (共編著)、千倉書房、2014年8月[17]
  • 『中東・イスラーム研究概説 : 政治学・経済学・社会学・地域研究のテーマと理論』浜中新吾・横田貴之 (編著)、明石書店、2017年[18]
  • 『中東・イスラーム世界の歴史・宗教・政治 : 多様なアプローチが織りなす地域研究の現在』高岡豊、白谷望、溝渕正季 (編著)、明石書店、2018年[17]
  • 『ザーウィヤのイスラーム教育とアルジェリア独立運動へのイデオロギー的影響の研究』2017年度 実施状況報告書、上智大学〈科研費基盤研究(C) 17K03143〉、2018年[19]

翻訳

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  • ベシーム・S・ハキーム『イスラーム都市 : アラブのまちづくりの原理』佐藤次高 (監訳)、小杉泰陣内秀信、柳橋博之、小松香織 ほか (共訳)、第三書館、1990年[20][21]
  • ファーティマ・メルニーシー(en)『イスラームと民主主義 近代性への怖れ』ラトクリフ川政祥子 (共訳)、〈平凡社選書〉、2000年[22]
  • シャルル=ロベール・アージュロン(en)『アルジェリア近現代史』中島節子 (共訳)、白水社文庫クセジュ〉、2002年[23][24]
  • J=F・ゲイロー (fr)、D・セナ (fr)『テロリズム:歴史・類型・対策法』、白水社〈文庫クセジュ〉、2008年。
  • ジャン・ボベロ (en)『世界のなかのライシテ : 宗教と政治の関係史』中村遥 (共訳) 、白水社〈文庫クセジュ〉、2014年。
  • ジャン・セルヴィエ『ベルベル人:歴史・思想・文明』白谷望・野口舞子 (共訳) 、白水社〈文庫クセジュ〉、2021年。

栄典

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参考文献

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発行年順
  • 片倉もとこ、梅村坦、清水芳見 編『イスラーム世界』岩波書店、2004年2月。 
  • 『グローバル化のなかの宗教 衰退・再生・変貌』寺田勇文赤堀雅幸 (共編)、上智大学出版〈地域立脚型グローバル・スタディーズ叢書〉、2010年。 
  • 私市正年『ナショナリズム復興のなかの文化遺産 : アジア・アフリカのアイデンティティ再構築の比較 = Cultural heritage in the resurgence of nationalism : a comparison of the re-structuring of identity in Asia and Africa』2009・2010年度、上智大学アジア文化研究所〈日本私立学校振興・共済事業団学術研究振興資金報告書〉、2011年。 NCID BB05884107 
  • 生田篤「〔書評〕私市正年・寺田勇文・赤堀雅幸共編, 『グローバル化のなかの宗教-衰退・再生・変貌-』(地域立脚型グローバル・スタディーズ叢書), 東京, 上智大学出版, 2010年, 216頁, 1,900円(+税)」『文化人類学』第76巻第4号、2011年、500-503頁、doi:10.14890/jjcanth.76.4_500ISSN 1349-0648 
  • 私市正年、高橋圭 編『アジア・アフリカにおける諸宗教の関係の歴史と現状』上智大学アジア文化研究所・イスラーム研究センター〈上智大学・早稲田大学大学間連携等による共同研究「アジア・アフリカにおける諸宗教の関係の歴史と現状」〉、2016年。 NCID BB20913233 
  • 私市正年 著、上智大学イスラーム研究センター 編『Jarīda al-Rūḥ : Zāwiya al-Hāmilの青年たちの地下新聞 : 史料抄訳と解題』〈上智大学・早稲田大学大学間連携等による共同研究「アジア・アフリカにおける諸宗教の関係の歴史と現状」〉2017年3月。 
  • 「第2部 逆なでに読むナショナリズム形成史(ザーウィヤ・アル=ハーミルの青年たちと“al‐Ruh”紙—アルジェリア・ナショナリズム運動の再考)」『中東・イスラーム世界の歴史・宗教・政治 : 多様なアプローチが織りなす地域研究の現在』高岡豊、白谷望、溝渕正季 (編著)、明石書店、2018年2月。 

脚注

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注釈

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  1. ^ 上智大学の地域研究では民族の文化的アイデンティティ[4]、グローバル化が宗教社会に与える影響の考察[5][6]に取り組む。また同学の大学間連携等により早稲田大学との共同研究「アジア・アフリカにおける諸宗教の関係の歴史と現状」[7]では、史料の解題にも取り組んだ[8]

出典

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  1. ^ 『読売年鑑 2016年版』読売新聞東京本社、2016年、312頁。 
  2. ^ 2004年度 研究成果報告書概要 『現代イスラーム地域における民衆と宗教運動の総合的比較研究-歴史的背景と社会的実態の調査・分析-』(科研費研究代表)”. KAKENHI-PROJECT-14401024. 2019年8月8日閲覧。
  3. ^ 私市 正年”. KAKEN. 2019年8月8日閲覧。 “2014年度 – 2019年度: 上智大学, 総合グローバル学部, 教授
    2013年度: 上智大学, 外国語学部, 教授
    1999年度 – 2006年度: 上智大学, 外国語学部, 教授
    1997年度 – 1998年度: 上智大学, アジア文化研究所, 教授 1990年度: 上智大学, アジア文化研究所, 助教授”
  4. ^ 日本私立学校振興・共済事業団 2011.
  5. ^ 寺田、赤堀 2010.
  6. ^ 文化人類学 2011, pp. 500–503.
  7. ^ 早稲田大学大学間連携等による共同研究 2016.
  8. ^ 早稲田大学大学間連携等による共同研究 2017.
  9. ^ 2017年度 研究成果報告書『Ruh紙の分析とアルジェリア民族運動の再考―ザーウィヤの青年たちの思想と活動―』 (科研費研究代表)”. KAKENHI-PROJECT-25370839. 2019年8月8日閲覧。
  10. ^ ザーウィヤのイスラーム教育とアルジェリア独立運動へのイデオロギー的影響の研究”. KAKEN. 2019年8月8日閲覧。
  11. ^ 岡、白谷、溝渕 2018.
  12. ^ 樺山紘一ほか 編「マグリブ中世社会のユダヤ教徒 : 境域の中のマイノリティ」『イスラーム世界の発展 : 7-16世紀』岩波書店〈岩波講座世界歴史10〉、1999年。ISBN 4000108301 
  13. ^ イスラーム世界 2004.
  14. ^ 私市正年「アルジェリア研究の現在:日本における研究とアルジェリアにおける研究の比較(<特集> 日本中東学会30年の回顧と展望)」『日本中東学会年報』第30巻第2号、2014年、127-136頁。 
  15. ^ 太田敬子「書評 私市正年著『マグリブ中世社会とイスラーム聖者崇拝』」『地中海学研究』第33号、地中海学会、2010年、119-124頁、ISSN 0911-8802NAID 40017223205 
  16. ^ 私市正年 (2007). マグリブ中世社会とイスラーム聖者崇拝 : 聖者を中心にしたイスラーム社会像の構築 (Thesis). 中央大学. NAID 500000442724報告番号(博士論文):乙第372号。
  17. ^ a b 科研費研究 & 2013-2017.
  18. ^ 「イスラーム世界研究」編集委員会, ed (2018-03). “書評 私市正年・浜中新吾・横田貴之(編著)『中東・イスラーム研究概説 : 政治学・経済学・社会学・地域研究のテーマと理論』 明石書店 2017年 390頁”. イスラーム世界研究 = Kyoto bulletin of Islamic area studies 11: 410-412. 
  19. ^ 岡、白谷、溝渕季 2018.
  20. ^ 三浦徹(著)、日本オリエント学会(編)「紹介「ベシーム S.ハキーム、佐藤次高監訳『イスラーム都市--アラブのまちづくりの原理』」」『オリエント』第34巻第1号、1991年、148-151頁。 
  21. ^ 武藤亜子「ベシーム・S・ハキーム著/佐藤次高監訳/佐藤次高・小杉泰・私市正年・陣内秀信・柳橋博之・小松香織訳『イスラーム都市-アラブのまちづくりの原理-』、第三書館, 一九九〇・一二刊, B5, 二三五頁」『史学雑誌』第100巻第3号、1991年、412頁、doi:10.24471/shigaku.100.3_412 
  22. ^ 林博之「〔書評〕ファーティマ・メルニーシー著, 私市正年、ラトクリフ川政祥子訳, 『イスラームと民主主義-近代性への怖れ-』, (平凡社選書 210), 平凡社, 二〇〇〇, 一一刊四六, 三三八頁, 二八〇〇円」『史学雑誌』第111巻第1号、2002年、111-112頁。 
  23. ^ 小山田一興「新刊紹介 シャルル=ロベール・アージュロン著 私市正年・中島節子訳『アルジェリア近現代史』(文庫クセジュ 857)」『史学雑誌』第112巻第7号、2003年7月、1283-1285頁、doi:10.24471/shigaku.112.7_1283 
  24. ^ 小山田 紀子(著)、津田塾大学国際関係研究所所報編集委員会(編)「アルジェリア近現代史研究への視点」『津田塾大学国際関係研究所報』第46号、2011年12月20日、35-43頁。 
  25. ^ 令和5年春の叙勲 瑞宝小綬章等受章者 東京都” (PDF). 内閣府. p. 2 (2023年4月29日). 2023年5月30日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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