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「ミトラガイナ属」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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m 種の区別: 意識していないと「たり」の呼応は忘れてしまうものですね。
Special:PermaLink/87810382#お茶をどうぞ!(ミトラガイナ属)での訴えを受けて{{ruby}}を{{読み仮名}}に差し替えあるいは解除。/ Hallea: 原語がappendiculate であった事も注釈へ。/ 属の位置付け・木材: 本文の手直し。/ 備考: 検索表の番号の数と種の数は無関係で、10種全てが問題なく含まれています。
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== 属名 ==
== 属名 ==
[[File:Mitre evolution.gif|thumb|left|ミトラ]]
[[File:Mitre evolution.gif|thumb|left|ミトラ]]
属名 {{Snamei|Mitragyna}} は<!-- [[古典ギリシア語]] -->〈[[ミトラ (司教冠)|ミトラ]]〉{{lang-grc|[[wikt:en:μίτρα|μίτρα]]}} (mítra) + 〈女〉{{lang-grc|links=no|[[wikt:en:γυνή|γυνή]]}} (gunḗ) の合成語で、[[雌蕊]]の[[柱頭]]の形状がミトラという[[キリスト教]]の聖職者の冠(僧帽)に似ていることに由来する<ref>{{Harvcoltxt|Voorhoeve|1965|p=321}}</ref>{{refnest|group="注"|この属を最初に設けた[[ピーター・ウィレム・コルトハルス|ピーテル・ウィレム・コルトハルス]]が示していたのは {{Snamei|Mitragyna africana}} [≡ {{Snamei|fr|Mitragyna inermis}}]、{{Snamei||Mitragyna parvifolia}}、[[アヘンボク]]({{Snamei||Mitragyna speciosa}})の3種である<ref>[[#歴史]]を参照。</ref>。}}。この形態的特徴は今日においても、タニワタリノキ連の中でこの属を区別する手がかりの一つとして通用する<ref>[[#種の区別]]を参照。</ref>。
属名 {{Snamei|Mitragyna}} は<!-- [[古典ギリシア語]] -->〈[[ミトラ (司教冠)|ミトラ]]〉{{lang-grc|[[wikt:en:μίτρα|μίτρα]]}} (mítra) + 〈女〉{{lang-grc|links=no|[[wikt:en:γυνή|γυνή]]}} (gunḗ) の合成語で、[[雌蕊]](めしべ)の[[柱頭]]の形状がミトラという[[キリスト教]]の聖職者の冠(僧帽)に似ていることに由来する<ref>{{Harvcoltxt|Voorhoeve|1965|p=321}}</ref>{{refnest|group="注"|この属を最初に設けた[[ピーター・ウィレム・コルトハルス|ピーテル・ウィレム・コルトハルス]]が示していたのは {{Snamei|Mitragyna africana}} [≡ {{Snamei|fr|Mitragyna inermis}}]、{{Snamei||Mitragyna parvifolia}}、[[アヘンボク]]({{Snamei||Mitragyna speciosa}})の3種である<ref>[[#歴史]]を参照。</ref>。}}。この形態的特徴は今日においても、タニワタリノキ連の中でこの属を区別する手がかりの一つとして通用する<ref>[[#種の区別]]を参照。</ref>。


== 特徴 ==
== 特徴 ==
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[[花冠]]筒は[[漏斗]]状から細く[[高杯]]状<!--hypocrateriform-->、外側が無毛で、内側は無毛から軟毛密生性; 花冠裂片は偏長形、蕾時は重なり合わない敷石状<!--valvate-->で、頂点に小さく無毛の付属物<ref group="注" name="appendage">{{lang-en-short|appendage}}</ref>があって外側が毛深いか、あるいは付属物は見られず外側は無毛である。
[[花冠]]筒は[[漏斗]]状から細く[[高杯]]状<!--hypocrateriform-->、外側が無毛で、内側は無毛から軟毛密生性; 花冠裂片は偏長形、蕾時は重なり合わない敷石状<!--valvate-->で、頂点に小さく無毛の付属物<ref group="注" name="appendage">{{lang-en-short|appendage}}</ref>があって外側が毛深いか、あるいは付属物は見られず外側は無毛である。


{{ruby|[[雄蕊]]|おしべ}}は花冠筒に高く着生し、顕著に喉から突き出てだだ広がるか、あるいは部分的か、もしくは突き出ずに直立する; [[花糸]]は短く、無毛である。
[[雄蕊]]おしべは花冠筒に高く着生し、顕著に喉から突き出てだだ広がるか、あるいは部分的か、もしくは突き出ずに直立する; [[花糸]]は短く、無毛である。


[[花柱]]は伸出する; [[柱頭 (植物学)|柱頭]]は[[ミトラ (司教冠)|僧帽]]状から細長い形-[[棍棒]]状で頂点や時に基部にも乳頭状の毛が見られる<ref group="注" name="papillate">{{lang-en-short|papillate}}</ref>か、あるいは卵状-{{ruby|切形|せっけい}}<!--truncate-->からほぼ球状で乳頭毛が表面全体に見られる。
[[花柱]]は伸出する; [[柱頭 (植物学)|柱頭]]は[[ミトラ (司教冠)|僧帽]]状から細長い形-[[棍棒]]状で頂点や時に基部にも乳頭状の毛が見られる<ref group="注" name="papillate">{{lang-en-short|papillate}}</ref>か、あるいは卵状-{{読み仮名|切形|せっけい}}<!--truncate-->からほぼ球状で乳頭毛が表面全体に見られる。


[[子房]]は2室で、各室に存在する厚く暗褐色-黒色の[[胎座]]が隔壁の少なくとも上部3分の1に接して沿着し、下垂する; [[胚珠]]は多数で、上向きに重なり合う[[鱗]]状である; 底面で接する。
[[子房]]は2室で、各室に存在する厚く暗褐色-黒色の[[胎座]]が隔壁の少なくとも上部3分の1に接して沿着し、下垂する; [[胚珠]]は多数で、上向きに重なり合う[[鱗]]状である; 底面で接する。
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小果は2小室; 外果皮は細く、丈に沿って胞背裂開<ref group="注" name="loculicidally">果実を構成する心皮それぞれの外縫線に沿って裂開するということ。</ref>し、急速に失われ、萼の残りの下に完全な形のままでは残らず、内果皮と共に裂けていく; 内果皮は厚く、角質で、胞間裂開<ref group="注">果実の各室間の隔壁が離れる形で裂開するということ。[[オトギリソウ]]などにも見られる。</ref>、次いで頂点から底にかけて胞背裂開する。
小果は2小室; 外果皮は細く、丈に沿って胞背裂開<ref group="注" name="loculicidally">果実を構成する心皮それぞれの外縫線に沿って裂開するということ。</ref>し、急速に失われ、萼の残りの下に完全な形のままでは残らず、内果皮と共に裂けていく; 内果皮は厚く、角質で、胞間裂開<ref group="注">果実の各室間の隔壁が離れる形で裂開するということ。[[オトギリソウ]]などにも見られる。</ref>、次いで頂点から底にかけて胞背裂開する。


種子は小さく多数、中心が網目状で、短い{{ruby|翼|よく}}が両端に見られ、下方の(接する)翼は浅く2裂するか、刻み目が見られる。」
種子は小さく多数、中心が網目状で、短い{{読み仮名|翼|よく}}が両端に見られ、下方の(接する)翼は浅く2裂するか、刻み目が見られる。」




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この属で初めて新種[[記載]]されたものは現在でいう {{Snamei|fr|Mitragyna inermis}} で、[[カール・ルートヴィヒ・ヴィルデノウ]]が[[ガーナ]]産{{efn|group=注|採取地はギニアと記されているが、採取者の [[:en:Paul Erdmann Isert|Paul Erdmann Isert]] が赴いたのは当時の[[デンマーク領黄金海岸|デンマーク領ギニア]]すなわち現在の[[ガーナ]]であった。{{Snamei|Uncaria inermis}} の[[アイソタイプ]](副基準標本)は少なくともデンマークの[[コペンハーゲン大学]]とロシアの{{仮リンク|コマロフ植物研究所|en|Komarov Botanical Institute}}の2ヶ所に収蔵され、このうち前者の標本<ref>[https://plants.jstor.org/stable/10.5555/al.ap.specimen.c10004661 C10004661]</ref>はタイプ産地が「ガーナ(のアダ (Ada))」と明記されている。}}の {{Snamei|Uncaria inermis}} として発表した<ref>{{Cite book|last=Wildenow|first=Carolus Lvdovicvs|year=1793|chapter=Dvae plantae africanae|editor=Pavlvs Vsteri|title=Delectvs Opvscvlorvm Botanicorvm|volume=2|pages=[https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/15048/207 199], [https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/15048/476 t. 3]|language=la|ref=harv}}</ref>文献は、{{仮リンク|パウル・ウステリ|en|Paul Usteri}}の〈植物学小論文精選集〉<!-- 種名が主題であり、原書名は脚注に書いてあるので表記ご無用に願います。当該文献の詳細など述べる場合には注釈へ。''Delectus Opusculorum Botanicorum'' -->第2巻(1793年)である。次に1795年に記載されたのは現在でいう {{Snamei||Mitragyna parvifolia}} で、[[ウィリアム・ロクスバラ]]により[[南インド]]の[[コロマンデル海岸]]産の{{仮リンク|ナウクレア属|en|Nauclea}} {{Snamei|Nauclea parvifolia}} として記載された<ref>{{Cite book|last=Roxburgh|first=William|year=1795|title=Plants of the Coast of Coromandel; Selected from Drawings and Descriptions Presented to the Hon. Court of Directors of the East India Company|volume=1|location=London|pages=[https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/14392/53 40], [https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/14392/88 t. 52]|ref=harv}}</ref>。
この属で初めて新種[[記載]]されたものは現在でいう {{Snamei|fr|Mitragyna inermis}} で、[[カール・ルートヴィヒ・ヴィルデノウ]]が[[ガーナ]]産{{efn|group=注|採取地はギニアと記されているが、採取者の [[:en:Paul Erdmann Isert|Paul Erdmann Isert]] が赴いたのは当時の[[デンマーク領黄金海岸|デンマーク領ギニア]]すなわち現在の[[ガーナ]]であった。{{Snamei|Uncaria inermis}} の[[アイソタイプ]](副基準標本)は少なくともデンマークの[[コペンハーゲン大学]]とロシアの{{仮リンク|コマロフ植物研究所|en|Komarov Botanical Institute}}の2ヶ所に収蔵され、このうち前者の標本<ref>[https://plants.jstor.org/stable/10.5555/al.ap.specimen.c10004661 C10004661]</ref>はタイプ産地が「ガーナ(のアダ (Ada))」と明記されている。}}の {{Snamei|Uncaria inermis}} として発表した<ref>{{Cite book|last=Wildenow|first=Carolus Lvdovicvs|year=1793|chapter=Dvae plantae africanae|editor=Pavlvs Vsteri|title=Delectvs Opvscvlorvm Botanicorvm|volume=2|pages=[https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/15048/207 199], [https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/15048/476 t. 3]|language=la|ref=harv}}</ref>文献は、{{仮リンク|パウル・ウステリ|en|Paul Usteri}}の〈植物学小論文精選集〉<!-- 種名が主題であり、原書名は脚注に書いてあるので表記ご無用に願います。当該文献の詳細など述べる場合には注釈へ。''Delectus Opusculorum Botanicorum'' -->第2巻(1793年)である。次に1795年に記載されたのは現在でいう {{Snamei||Mitragyna parvifolia}} で、[[ウィリアム・ロクスバラ]]により[[南インド]]の[[コロマンデル海岸]]産の{{仮リンク|ナウクレア属|en|Nauclea}} {{Snamei|Nauclea parvifolia}} として記載された<ref>{{Cite book|last=Roxburgh|first=William|year=1795|title=Plants of the Coast of Coromandel; Selected from Drawings and Descriptions Presented to the Hon. Court of Directors of the East India Company|volume=1|location=London|pages=[https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/14392/53 40], [https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/14392/88 t. 52]|ref=harv}}</ref>。


初めてミトラガイナ({{Snamei|Mitragyna}})の属名を用いるには、さらに[[1839年]]まで待つことになる。この時オランダの[[ピーター・ウィレム・コルトハルス|ピーテル・ウィレム・コルトハルス]]<ref name="pwk1839">{{Harvcoltxt|Korthals|1839}}.</ref>は、既に「ナウクレア属」として新種記載済みの2種<ref group="注">{{Snamei|Nauclea africana}} {{small|{{AU|Willd.}}}} [≡ {{Snamei|fr|Mitragyna inermis}} {{small|(Willd.) {{AU|Kuntze}}}}] と先述の {{Snamei|Nauclea parvifolia}}。</ref>をミトラガイナ属に組み替えただけでなく、この時点では未知の種であった[[アヘンボク]]({{Snamei||Mitragyna speciosa}})の存在も示唆しているが、当時はまだ{{ruby|裸名|らめい}}{{efn|group=注|形態について記した文がない状態のまま新種や新属などとして示された学名を裸名({{lang-la-short|nomen nudum}})と呼ぶ。}}である<ref name="pwk1839" /><ref group="注">アヘンボクに関しては形態についての説明 (記相) が付されていなかったため、この1839年時点で新種記載は成立していない。アヘンボクは後にコルトハルス自身の手により晴れて新種記載され、その詳細は [[#Stephegyne Korth.|#''Stephegyne'' {{small|Korth.}}]] を参照。</ref><ref name="cer1978a_65">{{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|p=65}}.</ref>。後に{{いつ|date=2022年1月}} {{Snamei|Mitragyna parvifolia}} が慣習的にミトラガイナ属の[[タイプ種]]と見做されることとなった<ref>{{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|p=56}}.</ref>。そして19世紀末になると[[オットー・クンツェ|カール・エルンスト・オットー・クンツェ]]や{{Anchors|ハヴィランド}}{{仮リンク|ジョージ・ダービー・ハヴィランド|en|George Darby Haviland}}が見直し、先述の {{Snamei|Uncaria inermis}} に加えて、ナウクレア属から {{Snamei|Nauclea diversifolia}} {{small|{{AU|Wall.}} ex {{AU|G.Don}}}}、{{Snamei|N. rotundifolia}} {{small|Roxb.}}、{{Snamei|N. stipulosa}} {{small|{{AU|DC.}}}}、{{Snamei|N. tubulosa}} {{small|{{AU|Arn.}} ex {{AU|Thwaites}}}} を、[[タニワタリノキ属]]({{Snamei||Adina (plant)|Adina}})から {{Snamei|Adina rubrostipulata}} {{small|{{AU|K.Schum.}}}} をミトラガイナ属に移した<ref>{{Cite book|last=Kuntze|first=O.|year=1891|title=Revision Generum Plantarum|volume=1|location=Leipzig|publisher=Arthur Felix|pages=288–289|url=https://biodiversitylibrary.org/page/127748|ref=harv}}</ref><ref>{{Harvcoltxt|Haviland|1897|pp=71, 73}}.</ref>。
初めてミトラガイナ({{Snamei|Mitragyna}})の属名を用いるには、さらに[[1839年]]まで待つことになる。この時オランダの[[ピーター・ウィレム・コルトハルス|ピーテル・ウィレム・コルトハルス]]<ref name="pwk1839">{{Harvcoltxt|Korthals|1839}}.</ref>は、既に「ナウクレア属」として新種記載済みの2種<ref group="注">{{Snamei|Nauclea africana}} {{small|{{AU|Willd.}}}} [≡ {{Snamei|fr|Mitragyna inermis}} {{small|(Willd.) {{AU|Kuntze}}}}] と先述の {{Snamei|Nauclea parvifolia}}。</ref>をミトラガイナ属に組み替えただけでなく、この時点では未知の種であった[[アヘンボク]]({{Snamei||Mitragyna speciosa}})の存在も示唆しているが、当時はまだ{{読み仮名|裸名|らめい}}{{efn|group=注|形態について記した文がない状態のまま新種や新属などとして示された学名を裸名({{lang-la-short|nomen nudum}})と呼ぶ。}}である<ref name="pwk1839" /><ref group="注">アヘンボクに関しては形態についての説明 (記相) が付されていなかったため、この1839年時点で新種記載は成立していない。アヘンボクは後にコルトハルス自身の手により晴れて新種記載され、その詳細は [[#Stephegyne Korth.|#''Stephegyne'' {{small|Korth.}}]] を参照。</ref><ref name="cer1978a_65">{{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|p=65}}.</ref>。後に{{いつ|date=2022年1月}} {{Snamei|Mitragyna parvifolia}} が慣習的にミトラガイナ属の[[タイプ種]]と見做されることとなった<ref>{{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|p=56}}.</ref>。そして19世紀末になると[[オットー・クンツェ|カール・エルンスト・オットー・クンツェ]]や{{Anchors|ハヴィランド}}{{仮リンク|ジョージ・ダービー・ハヴィランド|en|George Darby Haviland}}が見直し、先述の {{Snamei|Uncaria inermis}} に加えて、ナウクレア属から {{Snamei|Nauclea diversifolia}} {{small|{{AU|Wall.}} ex {{AU|G.Don}}}}、{{Snamei|N. rotundifolia}} {{small|Roxb.}}、{{Snamei|N. stipulosa}} {{small|{{AU|DC.}}}}、{{Snamei|N. tubulosa}} {{small|{{AU|Arn.}} ex {{AU|Thwaites}}}} を、[[タニワタリノキ属]]({{Snamei||Adina (plant)|Adina}})から {{Snamei|Adina rubrostipulata}} {{small|{{AU|K.Schum.}}}} をミトラガイナ属に移した<ref>{{Cite book|last=Kuntze|first=O.|year=1891|title=Revision Generum Plantarum|volume=1|location=Leipzig|publisher=Arthur Felix|pages=288–289|url=https://biodiversitylibrary.org/page/127748|ref=harv}}</ref><ref>{{Harvcoltxt|Haviland|1897|pp=71, 73}}.</ref>。


[[#シノニム]]で触れるように、その後、いくつかの種は一旦、分類変更を経験するが、それらに関しても {{Harvcoltxt|Löfstrand|Krüger|Razafimandimbison|Bremer|2014}} 以降は再びミトラガイナ属として扱われた。現在、10種がこの属として知られ、{{Snamei|de|Mitragyna hirsuta}} は最も新種の記載が遅く、先述のハヴィランドによるタニワタリノキ連の見直しの際に発表された<ref>{{Harvcoltxt|Haviland|1897|p=72}}.</ref>。
[[#シノニム]]で触れるように、その後、いくつかの種は一旦、分類変更を経験するが、それらに関しても {{Harvcoltxt|Löfstrand|Krüger|Razafimandimbison|Bremer|2014}} 以降は再びミトラガイナ属として扱われた。現在、10種がこの属として知られ、{{Snamei|de|Mitragyna hirsuta}} は最も新種の記載が遅く、先述のハヴィランドによるタニワタリノキ連の見直しの際に発表された<ref>{{Harvcoltxt|Haviland|1897|p=72}}.</ref>。
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===== ''Mamboga'' Blanco, nom. rej. および ''Bamboga'' orth. var. =====
===== ''Mamboga'' Blanco, nom. rej. および ''Bamboga'' orth. var. =====
[[フィリピン]]で活動していた修道士の[[フランシスコ・マヌエル・ブランコ]]が1837年に {{Snamei|Mamboga capitata}} という新種の記載を行っている<ref name="Blanco1837">{{Cite book|last=Blanco|first=Fr Manuel|year=1837|title=Flora de Filipinas|location=Manila|pages=140–141|url=https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/9493/219}}</ref>。これは米国の[[エルマー・ドリュー・メリル]]による分析で {{Snamei||Mitragyna diversifolia}} {{small|({{AU|Wall.}} ex {{AU|G.Don}}) {{AU|Havil.}}}} と関連付けられ<ref>{{Cite book|last=Merrill|first=E. D.|year=1918|title=Species Blancoanae. A Critical Revision of the Philippine Species of Plants Described by Blanco and Llanos|publisher=Bureau of Printing, Manila|page=360|url=https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/9494/360}}</ref>、やがてそのシノニムとして扱われるようになる<ref name="cer1978a_65" />が、1837年初出の {{Snamei|Mamboga}} は1839年初出の {{Snamei|Mitragyna}} より先にあり、このような場合は[[国際藻類・菌類・植物命名規約]](ICN)の原則に定めた先取権の観点から、本来ならそれ以前にミトラガイナ属とされてきた種は全て{{Snamei|Mamboga}}属に組み替えを行う必要がある。しかしこの属は定義が{{ruby|杜撰|ずさん}}で、1897年に至っても「全く受容されてこなかった」とされており<ref>{{Harvcoltxt|Haviland|1897|p=6}}.</ref>、1905年に{{仮リンク|国際植物学会議|en|International Botanical Congress}} ([[ウィーン]]) で後に付いた {{Snamei|Mitragyna}} の方が[[保留名|保存名]]<ref group="注">{{lang-la|links=no|nomen conservandum}}。</ref>に決まった<ref>{{Cite journal|author=[[エルマー・ドリュー・メリル|Merrill, E. D.]] (聴き取り:[[:en:William Ralph Maxon|William R. Maxon]])|year=1915|title=On the application of the generic name ''Nauclea'' of Linnaeus|journal=Journal of the Washington Academy of Sciences|volume=5|number=15|page=531|url=https://www.biodiversitylibrary.org/page/2000872}}</ref>。{{Snamei|Mamboga}} は明確に廃棄名<ref group="注">{{lang-la|nomen rejiciendum}}。</ref>とされている<ref>{{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|p=56}}.</ref>{{refnest|group="注"|2018年度版のICNの保留名・廃棄名リストにも掲載されている<ref>{{cite journal|authors=[[:es:John H. Wiersema|Wiersema, J.H.]], Turland, N.J., Barrie, F.R., [[:en:Werner Greuter|Greuter, W.]], Hawksworth, D.L., Herendeen, P.S., [[:en:Sandra Knapp|Knapp, S.]], Kusber, W.-H., Li, D.-Z., Marhold, K., May, T.W., McNeill, J., Monro, A.M., Prado, J., Price, M.J. & Smith, G.F. (eds.) |date=2018年+ [継続して更新中]|journal= International Code of Nomenclature for algae, fungi, and plants (Shenzhen Code)<sup>※</sup> |pages= Appendices I–VII. |url=https://naturalhistory2.si.edu/botany/codes-proposals/|accessdate= 29 December 2021}}※=第19回国際植物学会議 (2017年7月、中国・[[深圳市]])</ref>。}}。なお表記揺れの「{{Snamei|Bamboga}}」は左記のブランコの文献の引用<ref>{{Cite book|last=Baillon|first=H.|authorlink=アンリ・エルネスト・バイヨン|year=1880|title=Histoire des plantes〈植物の歴史〉|volume=7|location=Paris|page=364|url=https://biodiversitylibrary.org/page/28858528|language=fr}}</ref>に現れたものである。
[[フィリピン]]で活動していた修道士の[[フランシスコ・マヌエル・ブランコ]]が1837年に {{Snamei|Mamboga capitata}} という新種の記載を行っている<ref name="Blanco1837">{{Cite book|last=Blanco|first=Fr Manuel|year=1837|title=Flora de Filipinas|location=Manila|pages=140–141|url=https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/9493/219}}</ref>。これは米国の[[エルマー・ドリュー・メリル]]による分析で {{Snamei||Mitragyna diversifolia}} {{small|({{AU|Wall.}} ex {{AU|G.Don}}) {{AU|Havil.}}}} と関連付けられ<ref>{{Cite book|last=Merrill|first=E. D.|year=1918|title=Species Blancoanae. A Critical Revision of the Philippine Species of Plants Described by Blanco and Llanos|publisher=Bureau of Printing, Manila|page=360|url=https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/9494/360}}</ref>、やがてそのシノニムとして扱われるようになる<ref name="cer1978a_65" />が、1837年初出の {{Snamei|Mamboga}} は1839年初出の {{Snamei|Mitragyna}} より先にあり、このような場合は[[国際藻類・菌類・植物命名規約]](ICN)の原則に定めた先取権の観点から、本来ならそれ以前にミトラガイナ属とされてきた種は全て{{Snamei|Mamboga}}属に組み替えを行う必要がある。しかしこの属は定義が{{読み仮名|杜撰|ずさん}}で、1897年に至っても「全く受容されてこなかった」とされており<ref>{{Harvcoltxt|Haviland|1897|p=6}}.</ref>、1905年に{{仮リンク|国際植物学会議|en|International Botanical Congress}} ([[ウィーン]]) で後に付いた {{Snamei|Mitragyna}} の方が[[保留名|保存名]]<ref group="注">{{lang-la|links=no|nomen conservandum}}。</ref>に決まった<ref>{{Cite journal|author=[[エルマー・ドリュー・メリル|Merrill, E. D.]] (聴き取り:[[:en:William Ralph Maxon|William R. Maxon]])|year=1915|title=On the application of the generic name ''Nauclea'' of Linnaeus|journal=Journal of the Washington Academy of Sciences|volume=5|number=15|page=531|url=https://www.biodiversitylibrary.org/page/2000872}}</ref>。{{Snamei|Mamboga}} は明確に廃棄名<ref group="注">{{lang-la|nomen rejiciendum}}。</ref>とされている<ref>{{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|p=56}}.</ref>{{refnest|group="注"|2018年度版のICNの保留名・廃棄名リストにも掲載されている<ref>{{cite journal|authors=[[:es:John H. Wiersema|Wiersema, J.H.]], Turland, N.J., Barrie, F.R., [[:en:Werner Greuter|Greuter, W.]], Hawksworth, D.L., Herendeen, P.S., [[:en:Sandra Knapp|Knapp, S.]], Kusber, W.-H., Li, D.-Z., Marhold, K., May, T.W., McNeill, J., Monro, A.M., Prado, J., Price, M.J. & Smith, G.F. (eds.) |date=2018年+ [継続して更新中]|journal= International Code of Nomenclature for algae, fungi, and plants (Shenzhen Code)<sup>※</sup> |pages= Appendices I–VII. |url=https://naturalhistory2.si.edu/botany/codes-proposals/|accessdate= 29 December 2021}}※=第19回国際植物学会議 (2017年7月、中国・[[深圳市]])</ref>。}}。なお表記揺れの「{{Snamei|Bamboga}}」は左記のブランコの文献の引用<ref>{{Cite book|last=Baillon|first=H.|authorlink=アンリ・エルネスト・バイヨン|year=1880|title=Histoire des plantes〈植物の歴史〉|volume=7|location=Paris|page=364|url=https://biodiversitylibrary.org/page/28858528|language=fr}}</ref>に現れたものである。


フィリピンの現地語の一つ[[タガログ語]]で {{Snamei|Mitragyna diversifolia}} は mambog と呼ばれる<ref>{{Cite book|last=Merrill|first=Elmer D.|year=1923|title=An Enumeration of Philippine Flowering Plants|volume=3|location=Manila|publisher=Bureau of Printing|page=508|url=https://www.biodiversitylibrary.org/page/33502900}}</ref>が、これはブランコ自身が {{Snamei|Mamboga capitata}} を記載する際にも示していたものである<ref name="Blanco1837" />。
フィリピンの現地語の一つ[[タガログ語]]で {{Snamei|Mitragyna diversifolia}} は mambog と呼ばれる<ref>{{Cite book|last=Merrill|first=Elmer D.|year=1923|title=An Enumeration of Philippine Flowering Plants|volume=3|location=Manila|publisher=Bureau of Printing|page=508|url=https://www.biodiversitylibrary.org/page/33502900}}</ref>が、これはブランコ自身が {{Snamei|Mamboga capitata}} を記載する際にも示していたものである<ref name="Blanco1837" />。
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===== ''Hallea'' J.-F.Leroy, nom. illeg. および ''Fleroya'' Y.F.Deng =====
===== ''Hallea'' J.-F.Leroy, nom. illeg. および ''Fleroya'' Y.F.Deng =====
1975年、フランスの{{仮リンク|ジャン=フランソワ・ルロワ (植物学者)|label=ジャン=フランソワ・ルロワ|fr|Jean-François Leroy (botaniste)}}は熱帯アフリカ産のミトラガイナ属のうち3種<ref group="注">[[バイヤ]]({{Snamei|Mitragyna ciliata}} {{small|{{AU|Aubrév.}} & {{AU|Pellegr.}}}})、{{Snamei|Mitragyna rubrostipulata}} {{small|({{AU|K.Schum.}}) Havil.}}、{{Snamei|Mitragyna stipulosa}} {{small|({{AU|DC.}}) {{AU|Kuntze}}}}。</ref>を、同じくフランス出身でアカネ科に関する著述を行っていた{{仮リンク|ニコラ・アレ|fr|Nicolas Hallé}}の姓に[[献名|ちなみ]] {{Snamei|Hallea}} という新属に組み替えた<ref>{{Harvcoltxt|Leroy|1975}}.</ref>。ルロワが記したこの3種についての記相からは、頭状花の位置・付属物を有する{{lang-en-short|appendiculate}}外側が有毛の花冠裂片・[[葯]]が直立し花冠開口部に納まっていること・[[柱頭]]の形状という点で共通性があるものとして扱われていることを読み取ることができるが、{{仮リンク|コリン・リズデイル|es|Colin Ernest Ridsdale}}は{{Snamei|Hallea}}属と狭義のミトラガイナ属の頭状花の位置・配置にはルロワが報告しているほどの明快な差異は認められないとし、3種をミトラガイナ属へと戻すこととした<ref group="注">なお3種のうちバイヤに関しては[[コートジボワール]]産の {{Snamei|Mitragyna ciliata}} の新種記載が1936年であるのに対し、それよりも早い1920年に新種記載された[[カメルーン]]産の {{Snamei|Adina ledermannii}} {{small|{{AU|K.Krause}}}} が同一の種であることが判明したために、リズデイルは新たに {{Snamei|Mitragyna ledermannii}} という組み替えを発表した。</ref><ref>{{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|pp=57, 68}}.</ref>。しかし[[鄧雲飛]]([[species:Yun Fei Deng|Deng Yunfei]])はあくまでもルロワの分類自体は正しいと考え、ただ {{Snamei|Hallea}} という属名が既に1948年にG・B・マシューズ(G. B. Matthews)により化石種の植物に用いられていて実は非合法名<ref group="注">{{lang-la|nomen illegitimum}}。</ref>であるという問題意識から、2007年に {{Snamei|Hallea}} に代わる属名として {{Snamei|Fleroya}} の提案を行った<ref>{{Cite journal|last=Deng|first=Yunfei|authorlink=species:Yun Fei Deng|year=2007|title=''Fleroya'', a substitute name for ''Hallea'' J.-F. Leroy (Rubiaceae)|journal=Taxon|volume=56|issue=1|pages=247–248|doi=10.2307/25065759<!--機能せず-->|jstor=25065759|ref=harv}}</ref>。ただ結局この {{Snamei|Hallea}} (≡ {{Snamei|Fleroya}}) という分類は {{Harvcoltxt|Razafimandimbison|Bremer|2002}} および {{Harvcoltxt|Manns|Bremer|2010}} で[[側系統]]であるという見方が示され、最終的に {{Harvcoltxt|Löfstrand|Krüger|Razafimandimbison|Bremer|2014}} により否定されることとなった。
1975年、フランスの{{仮リンク|ジャン=フランソワ・ルロワ (植物学者)|label=ジャン=フランソワ・ルロワ|fr|Jean-François Leroy (botaniste)}}は熱帯アフリカ産のミトラガイナ属のうち3種<ref group="注">[[バイヤ]]({{Snamei|Mitragyna ciliata}} {{small|{{AU|Aubrév.}} & {{AU|Pellegr.}}}})、{{Snamei|Mitragyna rubrostipulata}} {{small|({{AU|K.Schum.}}) Havil.}}、{{Snamei|Mitragyna stipulosa}} {{small|({{AU|DC.}}) {{AU|Kuntze}}}}。</ref>を、同じくフランス出身でアカネ科に関する著述を行っていた{{仮リンク|ニコラ・アレ|fr|Nicolas Hallé}}の姓に[[献名|ちなみ]] {{Snamei|Hallea}} という新属に組み替えた<ref>{{Harvcoltxt|Leroy|1975}}.</ref>。ルロワが記したこの3種についての記相からは、頭状花の位置・付属物を有する<ref group="注">{{lang-en-short|appendiculate}}</ref>外側が有毛の花冠裂片・[[葯]]が直立し花冠開口部に納まっていること・[[柱頭]]の形状という点で共通性があるものとして扱われていることを読み取ることができるが、{{仮リンク|コリン・リズデイル|es|Colin Ernest Ridsdale}}は{{Snamei|Hallea}}属と狭義のミトラガイナ属の頭状花の位置・配置にはルロワが報告しているほどの明快な差異は認められないとし、3種をミトラガイナ属へと戻すこととした<ref group="注">なお3種のうちバイヤに関しては[[コートジボワール]]産の {{Snamei|Mitragyna ciliata}} の新種記載が1936年であるのに対し、それよりも早い1920年に新種記載された[[カメルーン]]産の {{Snamei|Adina ledermannii}} {{small|{{AU|K.Krause}}}} が同一の種であることが判明したために、リズデイルは新たに {{Snamei|Mitragyna ledermannii}} という組み替えを発表した。</ref><ref>{{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|pp=57, 68}}.</ref>。しかし[[鄧雲飛]]([[species:Yun Fei Deng|Deng Yunfei]])はあくまでもルロワの分類自体は正しいと考え、ただ {{Snamei|Hallea}} という属名が既に1948年にG・B・マシューズ(G. B. Matthews)により化石種の植物に用いられていて実は非合法名<ref group="注">{{lang-la|nomen illegitimum}}。</ref>であるという問題意識から、2007年に {{Snamei|Hallea}} に代わる属名として {{Snamei|Fleroya}} の提案を行った<ref>{{Cite journal|last=Deng|first=Yunfei|authorlink=species:Yun Fei Deng|year=2007|title=''Fleroya'', a substitute name for ''Hallea'' J.-F. Leroy (Rubiaceae)|journal=Taxon|volume=56|issue=1|pages=247–248|doi=10.2307/25065759<!--機能せず-->|jstor=25065759|ref=harv}}</ref>。ただ結局この {{Snamei|Hallea}} (≡ {{Snamei|Fleroya}}) という分類は {{Harvcoltxt|Razafimandimbison|Bremer|2002}} および {{Harvcoltxt|Manns|Bremer|2010}} で[[側系統]]であるという見方が示され、最終的に {{Harvcoltxt|Löfstrand|Krüger|Razafimandimbison|Bremer|2014}} により否定されることとなった。


=== 属の位置付け ===
=== 属の位置付け ===
ミトラガイナ属はアカネ科内では {{Harvcoltxt|Schumann|1891}} が定義した[[タニワタリノキ連]]({{Sname||Naucleeae}})に含められた。このタニワタリノキ連には球形の[[頭状花序]]を特徴とするミトラガイナ属、[[タニワタリノキ属]]({{Snamei||Adina (plant)|Adina}})、[[ナウクレア属]]({{Snamei||Nauclea}})、[[カギカズラ属]]({{Snamei||Uncaria}}; シノニム: {{Snamei|Ourouparia}})などが集められ、{{Harvcoltxt|Verdcourt|1958}} もこの枠組みを追認したが逆に言えばそれぐらいしか共通性がなく、同様の特徴はアカネ科のほかの[[連 (分類学)|連]]にも見られるとして[[コリン・リズデイル]]はミトラガイナ属とカギカズラ属をタニワタリノキ連から[[キナノキ連]]({{Sname||Cinchoneae}})に移して亜連<ref group="注">{{lang-en-short|subtribe}}。連よりもさらに下の階級。</ref> Mitragyninae として括る措置を取った<ref>{{Harvcoltxt|Ridsdale|Bakhuizen van den Brink Jr|1975|p=541}}.</ref>。しかし1995年にアカネ科の複数属から代表して1種ずつ選び<ref group="注">ミトラガイナ属からは当時 {{Snamei|Hallea rubrostipulata}} と分類されていた {{Snamei|Mitragyna rubrostipulata}} が選ばれ、カギカズラ属からも[[カギカズラ]] {{Snamei||Uncaria rhynchophylla}} {{small|({{AU|Miq.}}) Miq.}} が選ばれた。</ref>、その{{仮リンク|葉緑体DNA|en|chloroplast DNA}}の[[タンパク質]]コードに関わる[[遺伝子]]&#8203;rbcLの連続(シークエンス)を分析する手法による科内の系統関係の検討が試みられたところ、キナノキ連の亜連 Mitragyninae という区分は[[側系統]]的であり、この亜連の位置付けを支持する根拠は一切存在しないという結果が得られた<ref>{{Harvcoltxt|Bremer|Andreasen|Olsson|1995|pp=383, 386, 392}}.</ref>。さらに21世紀に入ってから[[リボソームDNA]]の[[内部転写スペーサー]]<ref group="注">{{lang-en-short|[[:en:internal transcribed spacer|internal transcribed spacer]]}}; 略称: ITS。</ref>領域や葉緑体DNAのrbcL領域、それにコーディングとは無関係なtrnT-F領域の解析に形態的特徴を加味した検討も行われた結果、ミトラガイナ属はカギカズラ属などと共に再びタニワタリノキ連に置かれるようになった<ref>{{Harvcoltxt|Razafimandimbison|Bremer|2002}}.</ref>。
ミトラガイナ属はアカネ科内では {{Harvcoltxt|Schumann|1891}} が定義した[[タニワタリノキ連]]({{Sname||Naucleeae}})に含められた。このタニワタリノキ連には球形の[[頭状花序]]を特徴とするミトラガイナ属、[[タニワタリノキ属]]({{Snamei||Adina (plant)|Adina}})、[[ナウクレア属]]({{Snamei||Nauclea}})、[[カギカズラ属]]({{Snamei||Uncaria}}; シノニム: {{Snamei|Ourouparia}})などが集められ、{{Harvcoltxt|Verdcourt|1958}} もこの枠組みを追認したが逆に言えばそれぐらいしか共通性がなく、同様の特徴はアカネ科のほかの[[連 (分類学)|連]]にも見られるとして[[コリン・リズデイル]]はミトラガイナ属とカギカズラ属をタニワタリノキ連から[[キナノキ連]]({{Sname||Cinchoneae}})に移して亜連<ref group="注">{{lang-en-short|subtribe}}。連よりもさらに下の階級。</ref> Mitragyninae として括る措置を取った<ref>{{Harvcoltxt|Ridsdale|Bakhuizen van den Brink Jr|1975|p=541}}.</ref>。しかし1995年にアカネ科の複数属から代表して1種ずつ選び<ref group="注">ミトラガイナ属からは当時 {{Snamei|Hallea rubrostipulata}} と分類されていた {{Snamei|Mitragyna rubrostipulata}} が選ばれ、カギカズラ属からも[[カギカズラ]] {{Snamei||Uncaria rhynchophylla}} {{small|({{AU|Miq.}}) Miq.}} が選ばれた。</ref>、その{{仮リンク|葉緑体DNA|en|chloroplast DNA}}の[[タンパク質]]コードに関わる[[遺伝子]]&#8203;rbcLの連続(シークエンス)を分析する手法による科内の系統関係の検討が試みられたところ、キナノキ連の亜連 Mitragyninaeという区分は[[側系統]]的であり、この亜連の位置付けを支持する根拠は一切存在しないという結果が得られた<ref>{{Harvcoltxt|Bremer|Andreasen|Olsson|1995|pp=383, 386, 392}}.</ref>。さらに21世紀に入ってから[[リボソームDNA]]の[[内部転写スペーサー]]<ref group="注">{{lang-en-short|[[:en:internal transcribed spacer|internal transcribed spacer]]}}; 略称: ITS。</ref>領域や葉緑体DNAのrbcL領域、それにコーディングとは無関係なtrnT-F領域の解析に形態的特徴を加味した検討も行われた結果、ミトラガイナ属はカギカズラ属などと共に再びタニワタリノキ連に置かれるようになった<ref>{{Harvcoltxt|Razafimandimbison|Bremer|2002}}.</ref>。


ミトラガイナ属とほかのタニワタリノキ連の属との区別に関しては[[#特徴]]で述べた通りである。これは[[花粉]]や[[分子系統学]]的な観点からの研究が進められてから構築された区分方法であるが、かつてミトラガイナ属とカギカズラ属をタニワタリノキ連から分離しようと試みた {{Harvcoltxt|Ridsdale|Bakhuizen van den Brink Jr|1975|p=543}} は花粉の関係しない形態の面から以下のような検索表を設定している。なお {{Harvcoltxt|Ridsdale|Bakhuizen van den Brink Jr|1975}} はほかに[[ヤマタマガサ属]]({{Snamei||Cephalanthus}})もタニワタリノキ連から除いてアカネ科内で独立の連 Cephalantheae を為すとしており、また後に当時の既知の種から{{Snamei||Diyaminauclea}}属、{{Snamei||Khasiaclunea}}属、{{Snamei||Ludekia}}属、{{Snamei||Ochreinauclea}}属などを新属として設けて移した際、リズデイルはこれらも彼のいう「狭義のタニワタリノキ連」("Naucleeae ''s.s.''") の下に配置している<ref>{{Harvcoltxt|Ridsdale|1978b}}.</ref>ということ、またこの時は[[ヨヒンベノキ属]]({{Snamei||Corynanthe}}; シノニム: {{Snamei|Pausinystalia}})もタニワタリノキ連には含まれていなかった<ref>{{Harvcoltxt|Razafimandimbison|Bremer|2002|p=1027}}.</ref>ということに留意されたい。なおヤマタマガサ属やヨヒンベノキ属に関しては {{Harvcoltxt|Razafimandimbison|Bremer|2002}} で改めてタニワタリノキ連の下に置かれるようになった。
ミトラガイナ属とほかのタニワタリノキ連の属との区別に関しては[[#特徴]]で述べた通りである。これは[[花粉]]や[[分子系統学]]的な観点からの研究が進められてから構築された区分方法であるが、かつてミトラガイナ属とカギカズラ属をタニワタリノキ連から分離しようと試みた {{Harvcoltxt|Ridsdale|Bakhuizen van den Brink Jr|1975|p=543}} は花粉の関係しない形態の面から以下のような検索表を設定している。なお {{Harvcoltxt|Ridsdale|Bakhuizen van den Brink Jr|1975}} はほかに[[ヤマタマガサ属]]({{Snamei||Cephalanthus}})もタニワタリノキ連から除いてアカネ科内で独立の連 Cephalantheae を為すとしており、また後に当時の既知の種から{{Snamei||Diyaminauclea}}属、{{Snamei||Khasiaclunea}}属、{{Snamei||Ludekia}}属、{{Snamei||Ochreinauclea}}属などを新属として設けて移した際、リズデイルはこれらも彼のいう「狭義のタニワタリノキ連」("Naucleeae ''s.s.''") の下に配置している<ref>{{Harvcoltxt|Ridsdale|1978b}}.</ref>ということ、またこの時は[[ヨヒンベノキ属]]({{Snamei||Corynanthe}}; シノニム: {{Snamei|Pausinystalia}})もタニワタリノキ連には含まれていなかった<ref>{{Harvcoltxt|Razafimandimbison|Bremer|2002|p=1027}}.</ref>ということに留意されたい。なおヤマタマガサ属やヨヒンベノキ属に関しては {{Harvcoltxt|Razafimandimbison|Bremer|2002}} で改めてタニワタリノキ連の下に置かれるようになった。
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* 「狭義のタニワタリノキ連」およびヤマタマガサ属……2つの胎座は隔壁に様々な接し方をしている; 上部3分の1で接している場合は2本の短い上向きの腕と長い下向きの足でY字形となっているか、あるいは小さく短い倒卵形の突起である; 中間で隔壁に接している場合は中央に結合<!--attachment-->のある円盤状か、あるいは横長からわずかに2裂し枝分かれがない; 胎座の色は淡色である; 胎座ごとの胚珠や種子は下垂する(こちらの方が優勢)か、あるいは全方向にだだ広がり、決して胎座の全長に沿って上向きに重なり合わない。小果の集合は花托と結合せずに内果皮が下から上へ裂けるか、あるいは緩く結合して不裂開か、あるいは子房と小果の集合が融合して(疑似的な)集合果となる。花冠裂片は鱗状に重なり合う(アジアや[[マレー群島区系]]では重なり合わないものもある)
* 「狭義のタニワタリノキ連」およびヤマタマガサ属……2つの胎座は隔壁に様々な接し方をしている; 上部3分の1で接している場合は2本の短い上向きの腕と長い下向きの足でY字形となっているか、あるいは小さく短い倒卵形の突起である; 中間で隔壁に接している場合は中央に結合<!--attachment-->のある円盤状か、あるいは横長からわずかに2裂し枝分かれがない; 胎座の色は淡色である; 胎座ごとの胚珠や種子は下垂する(こちらの方が優勢)か、あるいは全方向にだだ広がり、決して胎座の全長に沿って上向きに重なり合わない。小果の集合は花托と結合せずに内果皮が下から上へ裂けるか、あるいは緩く結合して不裂開か、あるいは子房と小果の集合が融合して(疑似的な)集合果となる。花冠裂片は鱗状に重なり合う(アジアや[[マレー群島区系]]では重なり合わないものもある)
さらに同じ前提のもとで {{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|p=56}} が設定したミトラガイナ属とカギカズラ属とを区別するための検索表は以下の通りである。
さらに同じ前提のもとで {{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|p=56}} が設定したミトラガイナ属とカギカズラ属とを区別するための検索表は以下の通りである。
* ミトラガイナ属……[[高木]]性である; 鉤は見られない。[[托葉]]が全縁である。花や小果が花托上に(ほぼ)無柄でつく; 花同士の間に[[小苞]]が必ず存在し、[[へら]]状で、柄<!--shaft-->が広い(糸状ではない)。花冠管が無毛である; 裂片が先端には小さな無毛の付属物<ref group="注" name="appendage" />を有し外側が毛深い(アフリカ産の3種のみ)か付属物を持たず外側が無毛である(アフリカ産1種、アジア産および[[[ニューギニア]]を含む]マレー群島区系産の全種)。[[柱頭]]が僧帽状から細長い形-[[棍棒]]状で先端、時に基部にもわずかに乳頭毛が見られる<ref group="注" name="papillate" />か、あるいは卵形-{{ruby|切形|せっけい}}<!--truncate-->からほぼ球形で表面全体に乳頭毛がある。小果が薄い外果皮つきで、縦に胞背裂開<ref group="注" name="loculicidally" />していき、急激に枯れていく。種子が両端に短い{{ruby|翼|よく}}を持ち、下方の翼が浅く2裂するか刻み目がつく。
* ミトラガイナ属……[[高木]]性である; 鉤は見られない。[[托葉]]が全縁である。花や小果が花托上に(ほぼ)無柄でつく; 花同士の間に[[小苞]]が必ず存在し、[[へら]]状で、柄<!--shaft-->が広い(糸状ではない)。花冠管が無毛である; 裂片が先端には小さな無毛の付属物<ref group="注" name="appendage" />を有し外側が毛深い(アフリカ産の3種のみ)か付属物を持たず外側が無毛である(アフリカ産1種、アジア産および[[[ニューギニア]]を含む]マレー群島区系産の全種)。[[柱頭]]が僧帽状から細長い形-[[棍棒]]状で先端、時に基部にもわずかに乳頭毛が見られる<ref group="注" name="papillate" />か、あるいは卵形-{{読み仮名|切形|せっけい}}<!--truncate-->からほぼ球形で表面全体に乳頭毛がある。小果が薄い外果皮つきで、縦に胞背裂開<ref group="注" name="loculicidally" />していき、急激に枯れていく。種子が両端に短い{{読み仮名|翼|よく}}を持ち、下方の翼が浅く2裂するか刻み目がつく。
* カギカズラ属……[[つる植物|つる]]性である; [[鉤]]を用いてよじ登る。托葉は全縁か2裂である。花や小果は有柄で花同士の間に小苞は存在しない(アジア産やマレー群島区系産の種の場合)か、あるいは存在する(アメリカ産の種の場合); あるいは花托上に(ほぼ)無柄でつき、花同士の間に糸状から線形-へら状の小苞が見られるが、幾分不明瞭であり、托葉は2裂する(まれに[[デルタ]]字 ([[Δ]]) 状から半円形のものもあるがその場合は花冠裂片の外側に軟毛が見られる)。花冠管の外側は無毛から軟毛つきである; 裂片に付属物は見られず、外側は無毛か粉質ないしは軟毛つきから毛深い。柱頭は球状から棍棒状で、先端に乳頭毛が見られる。小果は厚い外果皮つきで胞背裂開するが宿存萼<ref group="注">花期を終えて果実が実る頃になっても落ちずに残り続ける性質を持つ萼のこと。</ref>の残りの下は裂けず、急に枯れてはいかない。種子は両端に長い翼を持ち、下方の翼は深く2裂する。
* カギカズラ属……[[つる植物|つる]]性である; [[鉤]]を用いてよじ登る。托葉は全縁か2裂である。花や小果は有柄で花同士の間に小苞は存在しない(アジア産やマレー群島区系産の種の場合)か、あるいは存在する(アメリカ産の種の場合); あるいは花托上に(ほぼ)無柄でつき、花同士の間に糸状から線形-へら状の小苞が見られるが、幾分不明瞭であり、托葉は2裂する(まれに[[デルタ]]字 ([[Δ]]) 状から半円形のものもあるがその場合は花冠裂片の外側に軟毛が見られる)。花冠管の外側は無毛から軟毛つきである; 裂片に付属物は見られず、外側は無毛か粉質ないしは軟毛つきから毛深い。柱頭は球状から棍棒状で、先端に乳頭毛が見られる。小果は厚い外果皮つきで胞背裂開するが宿存萼<ref group="注">花期を終えて果実が実る頃になっても落ちずに残り続ける性質を持つ萼のこと。</ref>の残りの下は裂けず、急に枯れてはいかない。種子は両端に長い翼を持ち、下方の翼は深く2裂する。


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以下は {{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|pp=58–59}} で設定された、本属の構成種10種すべてを網羅した検索表である。リズデイルが扱った10種はいずれも[[キュー植物園]]系データベース [[:en:World Checklist of Selected Plant Families|World Checklist of Selected Plant Families]]({{Harvcoltxt|Govaerts ''et al.''|2021}})において独立種として認められている。
以下は {{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|pp=58–59}} で設定された、本属の構成種10種すべてを網羅した検索表である。リズデイルが扱った10種はいずれも[[キュー植物園]]系データベース [[:en:World Checklist of Selected Plant Families|World Checklist of Selected Plant Families]]({{Harvcoltxt|Govaerts ''et al.''|2021}})において独立種として認められている。
* 1.
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** 1a. [[花冠]]裂片に小さく頂生で無毛の付属物<ref group="注" name="appendage" />があり、外側が毛深い。[[葯]]は直立し、花冠筒からは突出しないか、突出したとしても部分的である。[[柱頭]]は卵形-{{ruby|切形|せっけい}}<!--truncate-->からほぼ球形で、表面全体にわたって乳頭毛が見られる<ref group="注" name="papillate" />。アフリカ産で{{Snamei|Hallea}}属に分類されたことがある…… 8. へ
** 1a. [[花冠]]裂片に小さく頂生で無毛の付属物<ref group="注" name="appendage" />があり、外側が毛深い。[[葯]]は直立し、花冠筒からは突出しないか、突出したとしても部分的である。[[柱頭]]は卵形-{{読み仮名|切形|せっけい}}<!--truncate-->からほぼ球形で、表面全体にわたって乳頭毛が見られる<ref group="注" name="papillate" />。アフリカ産で{{Snamei|Hallea}}属に分類されたことがある…… 8. へ
** 1b. 花冠裂片に付属物は見られず、外側は無毛である。葯は直立あるいはだだ広がり、花冠筒から顕著に突出する。柱頭は僧帽状から細長い形-[[棍棒]]形で、乳頭毛が見られるのは先端(ただし時に基部も)のみである。分布はアフリカ、アジア、[[マレー群島区系]][[[ニューギニア]]を含む]のいずれか。…… 2. へ
** 1b. 花冠裂片に付属物は見られず、外側は無毛である。葯は直立あるいはだだ広がり、花冠筒から顕著に突出する。柱頭は僧帽状から細長い形-[[棍棒]]形で、乳頭毛が見られるのは先端(ただし時に基部も)のみである。分布はアフリカ、アジア、[[マレー群島区系]][[[ニューギニア]]を含む]のいずれか。…… 2. へ
* 2.
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=== 木材 ===
=== 木材 ===
ミトラガイナ属のうち[[熱帯アフリカ]]産の3種([[バイヤ]] {{Snamei|Mitragyna ledermannii}} (シノニム: {{Snamei|M. ciliata}})、{{Snamei|Mitragyna rubrostipulata}}、{{Snamei|Mitragyna stipulosa}})は木材として利用される<ref name="SekaiMokuzai">{{Harvcoltxt|ウォーカー 編|2006}}.</ref>(いずれも分類は{{Snamei|Hallea}}属の時期があった)。バイヤの心材は個体によって色も[[気乾比重]]も変化に富む。色は淡黄色または帯桃褐色から赤橙色、薄茶色まで、[[気乾比重]]は0.46-0.69(平均気乾比重は0.56)と振れ幅があり<ref name="SekaiMokuzai" />、その用途は内装、[[合板]]などである<ref name="NSY_bahia" /><ref name="SekaiMokuzai" />。{{Snamei|M. rubrostipulata}} と {{Snamei|M. stipulosa}} は[[ウガンダ]]に自生し、[[ガンダ語]]由来の〈ンジング〉「nzingu」の呼称で販売される<ref>{{Cite book|last=Beentje|first=H.J.|authorlink=:en:Henk Jaap Beentje|year=1994|url=http://www.nzdl.org/cgi-bin/library?e=d-00000-00---off-0unescoen--00-0----0-10-0---0---0direct-10---4-------0-1l--11-en-50---20-about---00-0-1-00-0-0-11----0-1-&a=d&c=unescoen&cl=CL1.6&d=HASH01b88f73433d5003648dbf5b.12.100|title=Kenya Trees, Shrubs and Lianas|location=Nairobi, Kenya|publisher=[[:en:National Museum of Kenya|National Museum of Kenya (ケニア国立博物館)]]|language=en|isbn=9966-9861-0-3|ref=harv}}</ref><ref>{{Cite book|last=Katende|first=A. B.|last2=Birnie|first2=Ann|last3=Tengnäs|first3=Bo|year=2000|title=Useful Trees and Shrubs for Uganda: Identification, Propagation and Management for Agricultural and Pastoral Communities|url=https://apps.worldagroforestry.org/usefultrees/pdflib/Hallea_stipulosa_UGA.pdf|format=pdf|page=354|location=Nairobi, Kenya|publisher=Sida's Regional Land Management Unit|language=en|isbn=9966-896-22-8|ncid=BA64717723}}</ref><ref name="SekaiMokuzai" />。
ミトラガイナ属のうち一時期{{Snamei|Hallea}}属に分類されていたことのある[[熱帯アフリカ]]産の3種([[バイヤ]] {{Snamei|Mitragyna ledermannii}} (シノニム: {{Snamei|M. ciliata}})、{{Snamei|Mitragyna rubrostipulata}}、{{Snamei|Mitragyna stipulosa}})は木材として利用される<ref name="SekaiMokuzai">{{Harvcoltxt|ウォーカー 編|2006}}.</ref>。バイヤの心材は個体によって色も[[気乾比重]]も変化に富む。色は淡黄色または帯桃褐色から赤橙色、薄茶色まで、[[気乾比重]]は0.46-0.69(平均気乾比重は0.56)と振れ幅があり<ref name="SekaiMokuzai" />、その用途は内装、[[合板]]などである<ref name="NSY_bahia" /><ref name="SekaiMokuzai" />。{{Snamei|M. rubrostipulata}} と {{Snamei|M. stipulosa}} は[[ウガンダ]]に自生し、[[ガンダ語]]由来の〈ンジング〉「nzingu」の呼称で販売される<ref>{{Cite book|last=Beentje|first=H.J.|authorlink=:en:Henk Jaap Beentje|year=1994|url=http://www.nzdl.org/cgi-bin/library?e=d-00000-00---off-0unescoen--00-0----0-10-0---0---0direct-10---4-------0-1l--11-en-50---20-about---00-0-1-00-0-0-11----0-1-&a=d&c=unescoen&cl=CL1.6&d=HASH01b88f73433d5003648dbf5b.12.100|title=Kenya Trees, Shrubs and Lianas|location=Nairobi, Kenya|publisher=[[:en:National Museum of Kenya|National Museum of Kenya (ケニア国立博物館)]]|language=en|isbn=9966-9861-0-3|ref=harv}}</ref><ref>{{Cite book|last=Katende|first=A. B.|last2=Birnie|first2=Ann|last3=Tengnäs|first3=Bo|year=2000|title=Useful Trees and Shrubs for Uganda: Identification, Propagation and Management for Agricultural and Pastoral Communities|url=https://apps.worldagroforestry.org/usefultrees/pdflib/Hallea_stipulosa_UGA.pdf|format=pdf|page=354|location=Nairobi, Kenya|publisher=Sida's Regional Land Management Unit|language=en|isbn=9966-896-22-8|ncid=BA64717723}}</ref><ref name="SekaiMokuzai" />。


「カイム」の名でまとめて紹介<ref>{{Harvcoltxt|熱帯植物研究会 編|1996|p=424}}.</ref>される {{Snamei|Mitragyna parvifolia}} と {{Snamei|Mitragyna diversifolia}} は、材は淡青黄色から明褐色へと変わり、[[木理]]はまれに波状、[[肌目]]は均一で精、気乾比重は0.67。乾燥による表面割れや節割れを起こす恐れがある点、また加工中に[[逆目]]を起こす恐れがある点が指摘される。耐久性は中で、用途は建築材や[[家具]]、[[玩具]]や[[彫刻]]、[[櫛]]などの細工品。
「カイム」の名でまとめて紹介<ref>{{Harvcoltxt|熱帯植物研究会 編|1996|p=424}}.</ref>される {{Snamei|Mitragyna parvifolia}} と {{Snamei|Mitragyna diversifolia}} は、材は淡青黄色から明褐色へと変わり、[[木理]]はまれに波状、[[肌目]]は均一で精、気乾比重は0.67。乾燥による表面割れや節割れを起こす恐れがある点、また加工中に[[逆目]]を起こす恐れがある点が指摘される。耐久性は中で、用途は建築材や[[家具]]、[[玩具]]や[[彫刻]]、[[櫛]]などの細工品。

2022年2月1日 (火) 03:23時点における版

ミトラガイナ属
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク上群 superasterids
階級なし : キク類 asterids
階級なし : asterids I
: リンドウ目 Gentianales
: アカネ科 Rubiaceae
亜科 : キナノキ亜科 Cinchonoideae
: タニワタリノキ連 Naucleeae
: ミトラガイナ属 Mitragyna
学名
Mitragyna Korth., nom. cons.
タイプ種
Mitragyna parvifolia (Roxb.) Korth., typus cons.
シノニム
  • Bamboga Baill., orth. var.
  • Fleroya Y.F.Deng
  • Hallea J.-F.Leroy, nom. illeg.
  • Mamboga Blanco, nom. rej.
  • Paradina Pierre ex Pit.
  • Stephegyne Korth.

本文参照

ミトラガイナ属[1](ミトラガイナぞく)あるいはミトラギナ属[2](ミトラギナぞく; Mitragyna)はアカネ科の一つである。全ての種が木本であり、#分布インドから東南アジアを中心とし、熱帯アフリカにも見られる。花は頭状花を特徴とし、様々な検討を経てアカネ科内では同じ特徴を持つ他の属とともにタニワタリノキ連Naucleeae[注 1]に入れられており、そのタニワタリノキ連内ではめしべ柱頭キリスト教聖職者の被る冠(ミトラ)のような形状をしているという点などが他属と異なる[3]。東南アジア原産で国によっては麻薬扱いされることもあるアヘンボクMitragyna speciosa、通称クラトム)をはじめアルカロイドを含む樹種は#薬用となり、アフリカ産のバイヤMitragyna ledermannii)などは#木材として用いられる。

属名

ミトラ

属名 Mitragyna は〈ミトラ古代ギリシア語: μίτρα (mítra) + 〈女〉古代ギリシア語: γυνή (gunḗ) の合成語で、雌蕊(めしべ)の柱頭の形状がミトラというキリスト教の聖職者の冠(僧帽)に似ていることに由来する[4][注 2]。この形態的特徴は今日においても、タニワタリノキ連の中でこの属を区別する手がかりの一つとして通用する[6]

特徴

以下は Ridsdale (1978a:56–57) により定義されたミトラガイナ属全体の形態的特徴である。

「木本性; 若い小枝は角張っているか丸く、無毛か軟毛あり。

枝は分枝する; 節ごとに2連続で蕾がつく; 末生側枝は鉤状にはならない。托葉は全縁で、わずかにあるいは強く竜骨状となり、頭状花を葉腋に抱くものは時に葉状となり、内部は基部に粘液毛英語版がある; 縁は全縁で、粘液毛はない。

葉は全ての軸上で対生で、傾斜屈性の枝の側面の若枝の葉の器官はふつう小さく退化した葉から苞にかけて求頂的に大きさが小さくなっていく; ダニ室がふつう側脈の葉腋に見られる。

頭状花は傾斜屈性の枝の側面の若枝上に頂生(恐らく数種では傾斜屈性の枝上に頂生するがこの点ははっきりしない); 傾斜屈性の枝の側面の若枝は長さが求基的に増していき、単枝や複2枝集散花序の形に分枝するか、あるいは(比較的まれに)密錐花序英語版[注 3]でその全ての枝に頂生の頭状花が見られる形に分枝する。若枝の頂生部は連続する蕾のうち開花し得るもの全てから頭状花を咲かせ得、そして頂生の複散形花序のようになり得る。

花は5数性で、花托上に(半)無柄でつく; 花托は毛深い; 花同士の間の小苞へら状で、柄は広いが、糸状ではない。

萼筒英語版は無毛かまれにまばらに毛が少数見られる程度である; 萼は短管状もしくは長管状である; 萼片は鈍角、3角あるいは線形から線-へら状で、無毛かまばらに毛が少数見られる程度である; 萼状総苞が見られるものとそうでないものとがある。

花冠筒は漏斗状から細く高杯状、外側が無毛で、内側は無毛から軟毛密生性; 花冠裂片は偏長形、蕾時は重なり合わない敷石状で、頂点に小さく無毛の付属物[注 4]があって外側が毛深いか、あるいは付属物は見られず外側は無毛である。

雄蕊(おしべ)は花冠筒に高く着生し、顕著に喉から突き出てだだ広がるか、あるいは部分的か、もしくは突き出ずに直立する; 花糸は短く、無毛である。

花柱は伸出する; 柱頭僧帽状から細長い形-棍棒状で頂点や時に基部にも乳頭状の毛が見られる[注 5]か、あるいは卵状-切形せっけいからほぼ球状で乳頭毛が表面全体に見られる。

子房は2室で、各室に存在する厚く暗褐色-黒色の胎座が隔壁の少なくとも上部3分の1に接して沿着し、下垂する; 胚珠は多数で、上向きに重なり合う状である; 底面で接する。

小果は2小室; 外果皮は細く、丈に沿って胞背裂開[注 6]し、急速に失われ、萼の残りの下に完全な形のままでは残らず、内果皮と共に裂けていく; 内果皮は厚く、角質で、胞間裂開[注 7]、次いで頂点から底にかけて胞背裂開する。

種子は小さく多数、中心が網目状で、短いよくが両端に見られ、下方の(接する)翼は浅く2裂するか、刻み目が見られる。」


上述の特徴のうち#属名の由来通りに僧帽状の雌蕊を有するという点や、室ごとに多数の胚珠が底面につく(Razafimandimbison & Bremer (2002))といった点に加えて、花粉がH字状の内口[注 8]付きの3-帯溝孔[注 9]である点(Huysmans, Robbrecht & Smets (1994))が、ミトラガイナ属をほかのタニワタリノキ連下の属と区別する上での鍵となる[7]

種の区別

10種が認められる。全種の区別の詳細は#検索表に譲るが、特に Mitragyna diversifoliaMitragyna parvifolia の2種は形態的に明確な違いと言えるのは花同士の間にある小苞の柄に対する萼の位置[注 10]や、花冠裂片の2倍を基準とした花冠管の長さ[注 11]といった点ぐらいであり、かつては前者が後者と誤同定されたり[注 12]、前者が後者の変種と考えられたりしたこと[注 13]もある。また本属のうち熱帯アフリカ産の3種が一時期 Hallea (あるいは Fleroya) という別属に分類されていたことがあったが、そのうちバイヤMitragyna ledermannii)と Mitragyna stipulosa の2種は現在のコンゴ共和国にあたる地域では有用植物としての利用の際も特に区別せずに用いられてきた[11][12]。この両者の形態的な違いは萼片の形状やその縁の毛の有無、小苞に対する萼片の高さ、枝につく花の個数といった点に見られる[13]

分類

歴史

この属で初めて新種記載されたものは現在でいう Mitragyna inermis で、カール・ルートヴィヒ・ヴィルデノウガーナ[注 14]Uncaria inermis として発表した[15]文献は、パウル・ウステリ英語版の〈植物学小論文精選集〉第2巻(1793年)である。次に1795年に記載されたのは現在でいう Mitragyna parvifolia で、ウィリアム・ロクスバラにより南インドコロマンデル海岸産のナウクレア属英語版 Nauclea parvifolia として記載された[16]

初めてミトラガイナ(Mitragyna)の属名を用いるには、さらに1839年まで待つことになる。この時オランダのピーテル・ウィレム・コルトハルス[17]は、既に「ナウクレア属」として新種記載済みの2種[注 15]をミトラガイナ属に組み替えただけでなく、この時点では未知の種であったアヘンボクMitragyna speciosa)の存在も示唆しているが、当時はまだ裸名らめい[注 16]である[17][注 17][9]。後に[いつ?] Mitragyna parvifolia が慣習的にミトラガイナ属のタイプ種と見做されることとなった[18]。そして19世紀末になるとカール・エルンスト・オットー・クンツェジョージ・ダービー・ハヴィランド英語版が見直し、先述の Uncaria inermis に加えて、ナウクレア属から Nauclea diversifolia Wall. ex G.DonN. rotundifolia Roxb.N. stipulosa DC.N. tubulosa Arn. ex Thwaites を、タニワタリノキ属Adina)から Adina rubrostipulata K.Schum. をミトラガイナ属に移した[19][20]

#シノニムで触れるように、その後、いくつかの種は一旦、分類変更を経験するが、それらに関しても Löfstrand et al. (2014) 以降は再びミトラガイナ属として扱われた。現在、10種がこの属として知られ、Mitragyna hirsuta は最も新種の記載が遅く、先述のハヴィランドによるタニワタリノキ連の見直しの際に発表された[21]

シノニム

以下ではミトラガイナ属のシノニムについて、原則として文献に現れた順で記述を行うこととする。

Mamboga Blanco, nom. rej. および Bamboga orth. var.

フィリピンで活動していた修道士のフランシスコ・マヌエル・ブランコが1837年に Mamboga capitata という新種の記載を行っている[22]。これは米国のエルマー・ドリュー・メリルによる分析で Mitragyna diversifolia (Wall. ex G.Don) Havil. と関連付けられ[23]、やがてそのシノニムとして扱われるようになる[9]が、1837年初出の Mamboga は1839年初出の Mitragyna より先にあり、このような場合は国際藻類・菌類・植物命名規約(ICN)の原則に定めた先取権の観点から、本来ならそれ以前にミトラガイナ属とされてきた種は全てMamboga属に組み替えを行う必要がある。しかしこの属は定義が杜撰ずさんで、1897年に至っても「全く受容されてこなかった」とされており[24]、1905年に国際植物学会議英語版 (ウィーン) で後に付いた Mitragyna の方が保存名[注 18]に決まった[25]Mamboga は明確に廃棄名[注 19]とされている[26][注 20]。なお表記揺れの「Bamboga」は左記のブランコの文献の引用[28]に現れたものである。

フィリピンの現地語の一つタガログ語Mitragyna diversifolia は mambog と呼ばれる[29]が、これはブランコ自身が Mamboga capitata を記載する際にも示していたものである[22]

Stephegyne Korth.

コルトハルスは1840年代初頭になってアヘンボクの形態の記相を行った[30]が、この際にそれ以前の段階で使用していた属名 Mitragyna を突如 Stephegyne というものに差し替えようとした[9]。しかしこの時に同文献に掲載した図版(#図版を参照)に添えられた学名は Mitragyna speciosa のままであり、結果的に Mitragyna speciosa としてのアヘンボクの命名者をコルトハルスとするか、あるいは後にコルトハルスの文献を引用したハヴィランドとするかで混乱が生じることとなった[注 21]

Paradina Pierre ex Pit.

フランスのジャン・バティスト・ルイ・ピエール英語版が当時既に記載されていた Mitragyna hirsuta Havil. を新たな属に組み替えるために使用したもので、シャルル=ジョゼフ・マリー・ピタール英語版Flore générale de l’Indo-Chine 第3巻、p. 39 で正式に記載したが、結局ミトラガイナ属に戻された[31]

Hallea J.-F.Leroy, nom. illeg. および Fleroya Y.F.Deng

1975年、フランスのジャン=フランソワ・ルロワフランス語版は熱帯アフリカ産のミトラガイナ属のうち3種[注 22]を、同じくフランス出身でアカネ科に関する著述を行っていたニコラ・アレフランス語版の姓にちなみ Hallea という新属に組み替えた[32]。ルロワが記したこの3種についての記相からは、頭状花の位置・付属物を有する[注 23]外側が有毛の花冠裂片・が直立し花冠開口部に納まっていること・柱頭の形状という点で共通性があるものとして扱われていることを読み取ることができるが、コリン・リズデイルスペイン語版Hallea属と狭義のミトラガイナ属の頭状花の位置・配置にはルロワが報告しているほどの明快な差異は認められないとし、3種をミトラガイナ属へと戻すこととした[注 24][33]。しかし鄧雲飛Deng Yunfei)はあくまでもルロワの分類自体は正しいと考え、ただ Hallea という属名が既に1948年にG・B・マシューズ(G. B. Matthews)により化石種の植物に用いられていて実は非合法名[注 25]であるという問題意識から、2007年に Hallea に代わる属名として Fleroya の提案を行った[34]。ただ結局この Hallea (≡ Fleroya) という分類は Razafimandimbison & Bremer (2002) および Manns & Bremer (2010)側系統であるという見方が示され、最終的に Löfstrand et al. (2014) により否定されることとなった。

属の位置付け

ミトラガイナ属はアカネ科内では Schumann (1891) が定義したタニワタリノキ連Naucleeae)に含められた。このタニワタリノキ連には球形の頭状花序を特徴とするミトラガイナ属、タニワタリノキ属Adina)、ナウクレア属Nauclea)、カギカズラ属Uncaria; シノニム: Ourouparia)などが集められ、Verdcourt (1958) もこの枠組みを追認したが逆に言えばそれぐらいしか共通性がなく、同様の特徴はアカネ科のほかのにも見られるとしてコリン・リズデイルはミトラガイナ属とカギカズラ属をタニワタリノキ連からキナノキ連Cinchoneae)に移して亜連[注 26] Mitragyninae として括る措置を取った[35]。しかし1995年にアカネ科の複数属から代表して1種ずつ選び[注 27]、その葉緑体DNA英語版タンパク質コードに関わる遺伝子​rbcLの連続(シークエンス)を分析する手法による科内の系統関係の検討が試みられたところ、「キナノキ連の亜連 Mitragyninae」という区分は側系統的であり、この亜連の位置付けを支持する根拠は一切存在しないという結果が得られた[36]。さらに21世紀に入ってからリボソームDNA内部転写スペーサー[注 28]領域や葉緑体DNAのrbcL領域、それにコーディングとは無関係なtrnT-F領域の解析に形態的特徴を加味した検討も行われた結果、ミトラガイナ属はカギカズラ属などと共に再びタニワタリノキ連に置かれるようになった[37]

ミトラガイナ属とほかのタニワタリノキ連の属との区別に関しては#特徴で述べた通りである。これは花粉分子系統学的な観点からの研究が進められてから構築された区分方法であるが、かつてミトラガイナ属とカギカズラ属をタニワタリノキ連から分離しようと試みた Ridsdale & Bakhuizen van den Brink Jr (1975:543) は花粉の関係しない形態の面から以下のような検索表を設定している。なお Ridsdale & Bakhuizen van den Brink Jr (1975) はほかにヤマタマガサ属Cephalanthus)もタニワタリノキ連から除いてアカネ科内で独立の連 Cephalantheae を為すとしており、また後に当時の既知の種からDiyaminauclea属、Khasiaclunea属、Ludekia属、Ochreinauclea属などを新属として設けて移した際、リズデイルはこれらも彼のいう「狭義のタニワタリノキ連」("Naucleeae s.s.") の下に配置している[38]ということ、またこの時はヨヒンベノキ属Corynanthe; シノニム: Pausinystalia)もタニワタリノキ連には含まれていなかった[39]ということに留意されたい。なおヤマタマガサ属やヨヒンベノキ属に関しては Razafimandimbison & Bremer (2002) で改めてタニワタリノキ連の下に置かれるようになった。

  • ミトラガイナ属およびカギカズラ属……2つの胎座が隔壁に沿着するか、あるいは上部3分の1で接し、長く下垂し、厚く、暗褐色から黒色である; 胎座ごとの胚珠や種子が胎座全体に沿って上向きの状に重なり合っている。小果の集合が花托と結合しておらず、果実の内果皮が上から下へ裂ける。花冠裂片が互いに重ならずに接し合う敷石状である。
  • 「狭義のタニワタリノキ連」およびヤマタマガサ属……2つの胎座は隔壁に様々な接し方をしている; 上部3分の1で接している場合は2本の短い上向きの腕と長い下向きの足でY字形となっているか、あるいは小さく短い倒卵形の突起である; 中間で隔壁に接している場合は中央に結合のある円盤状か、あるいは横長からわずかに2裂し枝分かれがない; 胎座の色は淡色である; 胎座ごとの胚珠や種子は下垂する(こちらの方が優勢)か、あるいは全方向にだだ広がり、決して胎座の全長に沿って上向きに重なり合わない。小果の集合は花托と結合せずに内果皮が下から上へ裂けるか、あるいは緩く結合して不裂開か、あるいは子房と小果の集合が融合して(疑似的な)集合果となる。花冠裂片は鱗状に重なり合う(アジアやマレー群島区系では重なり合わないものもある)

さらに同じ前提のもとで Ridsdale (1978a:56) が設定したミトラガイナ属とカギカズラ属とを区別するための検索表は以下の通りである。

  • ミトラガイナ属……高木性である; 鉤は見られない。托葉が全縁である。花や小果が花托上に(ほぼ)無柄でつく; 花同士の間に小苞が必ず存在し、へら状で、柄が広い(糸状ではない)。花冠管が無毛である; 裂片が先端には小さな無毛の付属物[注 4]を有し外側が毛深い(アフリカ産の3種のみ)か付属物を持たず外側が無毛である(アフリカ産1種、アジア産および[ニューギニアを含む]マレー群島区系産の全種)。柱頭が僧帽状から細長い形-棍棒状で先端、時に基部にもわずかに乳頭毛が見られる[注 5]か、あるいは卵形-切形せっけいからほぼ球形で表面全体に乳頭毛がある。小果が薄い外果皮つきで、縦に胞背裂開[注 6]していき、急激に枯れていく。種子が両端に短いよくを持ち、下方の翼が浅く2裂するか刻み目がつく。
  • カギカズラ属……つる性である; を用いてよじ登る。托葉は全縁か2裂である。花や小果は有柄で花同士の間に小苞は存在しない(アジア産やマレー群島区系産の種の場合)か、あるいは存在する(アメリカ産の種の場合); あるいは花托上に(ほぼ)無柄でつき、花同士の間に糸状から線形-へら状の小苞が見られるが、幾分不明瞭であり、托葉は2裂する(まれにデルタ字 (Δ) 状から半円形のものもあるがその場合は花冠裂片の外側に軟毛が見られる)。花冠管の外側は無毛から軟毛つきである; 裂片に付属物は見られず、外側は無毛か粉質ないしは軟毛つきから毛深い。柱頭は球状から棍棒状で、先端に乳頭毛が見られる。小果は厚い外果皮つきで胞背裂開するが宿存萼[注 29]の残りの下は裂けず、急に枯れてはいかない。種子は両端に長い翼を持ち、下方の翼は深く2裂する。

下位分類

まず種同士を形態的な特徴から区別する#検索表を示す。そしてそれぞれの種の詳細についてはその次の#種の一覧を参照されたい。

検索表

以下は Ridsdale (1978a:58–59) で設定された、本属の構成種10種すべてを網羅した検索表である。リズデイルが扱った10種はいずれもキュー植物園系データベース World Checklist of Selected Plant FamiliesGovaerts et al. (2021))において独立種として認められている。

  • 1.
    • 1a. 花冠裂片に小さく頂生で無毛の付属物[注 4]があり、外側が毛深い。は直立し、花冠筒からは突出しないか、突出したとしても部分的である。柱頭は卵形-切形せっけいからほぼ球形で、表面全体にわたって乳頭毛が見られる[注 5]。アフリカ産でHallea属に分類されたことがある…… 8. へ
    • 1b. 花冠裂片に付属物は見られず、外側は無毛である。葯は直立あるいはだだ広がり、花冠筒から顕著に突出する。柱頭は僧帽状から細長い形-棍棒形で、乳頭毛が見られるのは先端(ただし時に基部も)のみである。分布はアフリカ、アジア、マレー群島区系ニューギニアを含む]のいずれか。…… 2. へ
  • 2.
    • 2a. 花同士の間の小苞萼筒の長さの2倍を超え、若い頭状花中の花冠や小果の集合よりも高い位置に見られる。アフリカ産。…… Mitragyna inermis
    • 2b. 花同士の間の小苞は萼と萼筒の長さの2倍未満であり、若い頭状花中の花冠や小果の集合よりも相当低い位置に見られる。分布はアジアとマレー群島区系[ニューギニアを含む]…… 3. へ
  • 3.
    • 3a. 萼片が線形から線-へら状で、長さは1.5ミリメートルを超える(#図版も参照)。…… M. hirsuta
    • 3b. 萼片は鈍角から浅く波状縁、あるいは3角形で、長さ1.5ミリメートル以下である…… 4. へ
  • 4.
    • 4a. 萼が長管状、長さが2.5ミリメートルを超え、実った小果上にも残る宿存萼である。南インドおよびスリランカに分布。…… M. tubulosa
    • 4b. 萼は短管状あるいは漏斗状から状、長さ2.5ミリメートル未満で、早落性あるいはやや宿存性である…… 5. へ
  • 5.
    • 5a. 萼が花同士の間にある小苞の柄の中間の高さに位置し、若い頭状花では小苞で隠れる。花冠管が最短でも花冠裂片の長さの2倍はあるか、ない場合は側脈が(9-)11-15対となっている; 喉(開口部)が無毛あるいは有毛である。…… 6. へ
    • 5b. 萼は柄の中間よりも高い位置にあり、およそ花同士の間にある小苞の先端部分の高さか、少し高いか、わずかに低く、若い頭状花では小苞で隠れるか小苞の上に突出する。花冠管は必ず花冠裂片の2倍未満で、喉は有毛である。側脈は5-10対である。…… 7. へ
  • 6.
    • 6a. 花冠筒が最短でも花冠裂片の長さの2倍はあり、喉が無毛でまばらに毛が生えているものもあるがその場合に毛は突出しない。花同士の間の小苞は密に細かく繊毛が生えているか、あるいは無毛からまばらに繊毛が生えている(インド北東部産、ビルマ産)ものの場合、葉の形状が多様で、概して8×4センチメートル以下、側脈が5-8対である。大陸アジア産。…… M. parvifolia
    • 6b. 花冠筒は花冠裂片の2倍未満であり、喉は有毛で、毛は顕著に突出する。花同士の間の小苞は無毛からまばらに繊毛が生えている。葉は卵形から楕円形で、概して8×4センチメートルを超え、側脈は(9-)11-15対である。ビルマ、タイ(栽培品)、マレー群島区系[ニューギニアを含む]に分布する…… アヘンボク (M. speciosa)
  • 7.
    • 7a. 萼の長さがほぼ萼筒の長さと等しい; 萼片がふつう花同士の間にある小苞の先端部分よりも高い位置にあるため、若い頭状花中にははっきりと視認できる; 花同士の間にある小苞がふつう無毛で、繊毛が見られるのは例外的な事例である。成熟した葉が平均6-14×3-9センチメートルで、側脈が中肋から(55-)60-75度の角度で伸びる。ビルマ、タイ、ラオスカンボジアベトナム、マレー群島区系産。…… M. diversifolia
    • 7b. 萼の長さは萼筒の長さの半分にも満たない; 萼片は花同士の間にある小苞の先端と同じ高さかわずかに低い位置にあり、若い頭状花では小苞で隠れる; 花同士の間にある小苞は縁に繊毛が見られる。成熟した葉は平均14-25×10-20センチメートルで、側脈は中肋から35-60度の角度で伸びる。アッサム、ビルマ、アンダマン諸島、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム、雲南に分布…… M. rotundifolia
  • 8.
    • 8a. 萼には明瞭に分かれた裂片がついており、萼片は細楕円形あるいは3角形で長さ(1-)1.25-2ミリメートルである; 萼状総苞がふつう存在する。葉の先端はふつう先鋭形である。…… M. rubrostipulata
    • 8b. 萼は幾分か杯状で、萼片は萼の基部まで明瞭には分かれておらず、切形から波状縁形、時に小歯状からわずかにデルタ字(Δ)状である。葉の先端はふつう円形である…… 9. へ
  • 9.
    • 9a. 萼片が切形から波状縁形で、縁は無毛、花同士の間の小苞と同じ高さに位置するかあるいはそれよりわずかに短めで、若芽中には視認できない。枝につく頭状花の数がふつう10未満である…… M. stipulosa
    • 9b. 萼片は短い小歯状からわずかにデルタ字状で、縁に繊毛があり、花同士の間の小苞よりも高い位置にあり、若い頭状花中にははっきりと視認できる。枝につく頭状花の数はふつう10を超える[注 30]…… バイヤ (M. ledermannii)

種の一覧

この節では種を種小名のアルファベット順で列挙し、さらに日本語名やシノニム[注 31]、分布情報[注 32]、用途も付したものを一覧の形で紹介する。

Mitragyna diversifolia (Wall. ex G.Don) Havil.
Mitragyna hirsuta Havil.
Mitragyna inermis (Willd.) Kuntze
Mitragyna ledermannii (K.Krause) Ridsdale
Mitragyna parvifolia (Roxb.) Korth.
Mitragyna rotundifolia (Roxb.) Kuntze
Mitragyna rubrostipulata (K.Schum.) Havil.
Mitragyna speciosa
アヘンボク
Mitragyna stipulosa (DC.) Kuntze
  • 学名: Mitragyna stipulosa(Wikispecies) (DC.) Kuntze
  • シノニム: Fleroya stipulosa (DC.) Y.F.DengHallea stipulosa (DC.) J.-F.LeroyMitragyna chevalieri K.KrauseNauclea stipulosa DC. など
  • 分布: 熱帯アフリカ[注 48]
  • 用途: #木材#薬用を参照。
Mitragyna tubulosa

利用

ミトラガイナ属には薬や木材として利用する種が知られている。

薬用

アヘンボク(通称: クラトム)の葉

アヘンボクMitragyna speciosa)は通称をクラトム[注 50]と言い、多数のインドールアルカロイドを含むが、その主成分はミトラギニン[注 51]といい、化学的にヨヒンビン[注 52]シロシビン[注 53]に類似した非常に強い精神作用性物質である[52]。19世紀の時点で既にアヘンの代替物やアヘン中毒の治療薬としての使用が報告され、個人的な研究や文献中の描写からコカインに似た興奮作用とモルヒネのような鎮静作用をあわせ持つ点が明らかである[2]。服用方法は乾燥した葉を吸うか噛む、あるいはそれをエキス剤とする[2]。新鮮な葉を噛んだ場合、5-10分以内に興奮作用が現れ始める[2]日本では同属の別種との交雑種も含め、厚生労働省がミトラジニンと共に省令により2016年3月に指定薬物に規定[1][注 54]、医療などの目的を除き製造、輸入、販売、所持、使用等が禁止された[1]

アヘンボクの自生地の一つであるタイでも非合法化されていたが、2021年8月下旬に一定の条件[注 55]付きで解禁された[53]

またコートジボワールでは M. inermis の樹皮や葉のついた枝は主に解熱剤として煎じて服用する。リンコフィリン[注 56]など多種多様なアルカロイドを含む[54]。同国では解熱剤としてバイヤMitragyna ledermannii; シノニム: M. ciliata)や Mitragyna stipulosa も用いるほか、その樹皮や葉が時に淋疾赤痢の処置に使用されることがある[55]。これらの樹種から分離されるアルカロイドの〈ミトリネルミン〉 mitrinermine、ミトラフィリン[注 57]、〈ミトラバルシン〉mitraversine には局所麻酔の作用があり、血圧を低げて心拍数を上昇させ、腸の自律神経細胞を激しく興奮させる。ゾウリムシの駆虫薬としても使われる[55]

コンゴ共和国にもバイヤと M. stipulosa は分布するが、こちらでは解熱剤としての使用は極めてまれであり、むしろ通経剤、赤痢への処方がよく知られている[11]

木材

ミトラガイナ属のうち一時期Hallea属に分類されていたことのある熱帯アフリカ産の3種(バイヤ Mitragyna ledermannii (シノニム: M. ciliata)、Mitragyna rubrostipulataMitragyna stipulosa)は木材として利用される[56]。バイヤの心材は個体によって色も気乾比重も変化に富む。色は淡黄色または帯桃褐色から赤橙色、薄茶色まで、気乾比重は0.46-0.69(平均気乾比重は0.56)と振れ幅があり[56]、その用途は内装、合板などである[42][56]M. rubrostipulataM. stipulosaウガンダに自生し、ガンダ語由来の〈ンジング〉「nzingu」の呼称で販売される[57][58][56]

「カイム」の名でまとめて紹介[59]される Mitragyna parvifoliaMitragyna diversifolia は、材は淡青黄色から明褐色へと変わり、木理はまれに波状、肌目は均一で精、気乾比重は0.67。乾燥による表面割れや節割れを起こす恐れがある点、また加工中に逆目を起こす恐れがある点が指摘される。耐久性は中で、用途は建築材や家具玩具彫刻などの細工品。

諸言語における呼称

中国ではミトラガイナ属を「帽蕊木属」 (ピンイン: mào ruǐ mù shǔ) と呼ぶ[40]

コンゴ共和国にはバイヤMitragyna ledermannii; シノニム: M. ciliata)と Mitragyna stipulosa の2種が生育するが、この2種と、時には一部のアカネ科ナウクレア属の種は区別されず、以下のような共通の現地語名で呼ばれる[11]

図版

以下にミトラガイナ属の一部の種のうち、図版に花の様子まで描いたものを示す。順番は上記の#検索表においてどの種であるかが確定した順である。

Mitragyna inermis (Willd.) Kuntze
出典: Wildenow (1793:t. 3)(Uncaria inermis として)
Mitragyna hirsuta Havil.
c. [右上]: 花(4.7倍)。d. [左上]: 果実(4.7倍)。出典: Ridsdale (1978a:60)
Mitragyna tubulosa
b. [左上]: 頭状花(0.5倍)。c. [右下]: 小苞のある頭状花の詳細(7倍)。d. [右]: 花(3.5倍)。e. [左下]: 小苞(14.5倍)。出典: Ridsdale (1978a:62, 63)
Mitragyna parvifolia (Roxb.) Korth.
出典: Beddome, R. H. (1869). The Flora Sylvatica for Southern India. 1. Madras: Gantz Brothers. p. t. 34. https://archive.org/details/florasylvaticafo01bedd/page/34/mode/2up Nauclea parvifolia Roxb. として)
アヘンボクMitragyna speciosa (Roxb.) Korth.
出典: Korthals (1839–1842:t. 35)
Mitragyna diversifolia (Wall. ex G.Don) Havil.
A-D: 葉、花、果実のついた枝。E: 葉の一部。F-S: 花や果実の様子を分析したもの。
出典: Koorders, S. H.; Valeton, Th. (1915) (ドイツ語). Atlas der Baumarten von Java: im Anschluss an die „Bijdragen tot de Kennis der Boomsoorten van Java”. 3. Leiden: Buch- und Steindruckerei von Fa. P. W. M. TRAP. p. Figur 513. https://www.biodiversitylibrary.org/page/47163400 Mitragyna javanica Koord. & Valeton として)
Mitragyna rotundifolia (Roxb.) Kuntze
d. [右上]: 花(4.7倍)。出典: Ridsdale (1978a:66)
Mitragyna stipulosa (DC.) Kuntze[注 58]
0.4倍。出典: Ridsdale (1978a:52)

またバイヤMitragyna ledermannii)に関しては Aubréville (1959:259) や Voorhoeve (1965:323) に Mitragyna ciliata として花の構造を含む図版が掲載されている。

参考文献

本文の典拠を記述言語により分類する。

日本語
  • 熱帯植物研究会 編「アカネ科 RUBIACEAE」『熱帯植物要覧』(第4版)養賢堂、1996年、416–429頁。 ISBN 4-924395-03-X
  • エイダン・ウォーカー(総編集)、ニック・ギブス、ルシンダ・リーチ、ビル・リンカーン、ジェーン・マーシャル 著、乙須敏紀 訳『世界木材図鑑』産調出版、131頁。 ISBN 4-88282-470-1
原題: Walker, Aidan (総編集), Nick Gibbs, Lucinda Leech, Bill Lincoln, Jane Marshall. The Encyclopedia of Wood, Quarto, 1989 & 2005.
原書: Schultes, Richard Evans ; Hofmann, Albert ; Ratsch, Christian. Plants of The Gods: Their Sacred, Healing and Hallucinogenic Powers. Healing Arts Press, サイモン・アンド・シュスター (販売), 2001. 改訂増補版。主著者クリスティアン・レッチュは民俗学と民俗薬学の知見を提供、2名の研究者を招き科学面からこの古典を増補し改訂した。
ラテン語で記述
オランダ語とラテン語で併記
ドイツ語
英語とラテン語で併記
英語
フランス語

関連文献

英語:

脚注

注釈

  1. ^ かつてはこれに異を唱える学者もいた。詳細は#属の位置付けを参照。
  2. ^ この属を最初に設けたピーテル・ウィレム・コルトハルスが示していたのは Mitragyna africana [≡ Mitragyna inermis]、Mitragyna parvifoliaアヘンボクMitragyna speciosa)の3種である[5]
  3. ^ ライラックの花のように密に分枝し、主軸が不明瞭な一方で側軸は明瞭な花序のことをいう。
  4. ^ a b c : appendage
  5. ^ a b c : papillate
  6. ^ a b 果実を構成する心皮それぞれの外縫線に沿って裂開するということ。
  7. ^ 果実の各室間の隔壁が離れる形で裂開するということ。オトギリソウなどにも見られる。
  8. ^ : endoapertures
  9. ^ : 3-zonocolporate。花粉の外膜に細長い切れ目と丸い穴を持つ発芽口が赤道上に3つ存在するということ。
  10. ^ M. diversifolia の方が高い。
  11. ^ M. diversifolia は基準よりも必ず短く、対する M. parvifolia は基準よりも長い。
  12. ^ Korthals (1839–1842:161) が Stephegyne parvifolia (Roxb.) Korth. [≡ M. parvifolia] として紹介したものの一部(現在のインドネシアジャワ島カラワンあるいはその周辺地域の低地林で採取したもの)が1902年に Mitragyna javanica Koord. & Valeton という新種として記載[8]、これは後に M. diversifolia のシノニムとされるがタイプ標本(基準標本)が明確に指定されておらず、さらに後になってからそのレクトタイプ(選定基準標本)としてコルトハルスがカラワンで採取した標本(オランダ国立植物標本館所蔵: L 0000739)が指定されることとなった[9]。なおコルトハルスが左記の扱いを行った1841年当時はまだ Mitragyna diversifolia という分類は存在せず、ナウクレア属に分類されていた[9]
  13. ^ ドイツ出身のヴィルヘルム・ズルピッツ・クルツ による1877年の Nauclea parvifolia var. diversifolia (Wall. ex G.Don) Kurz[10]
  14. ^ 採取地はギニアと記されているが、採取者の Paul Erdmann Isert が赴いたのは当時のデンマーク領ギニアすなわち現在のガーナであった。Uncaria inermisアイソタイプ(副基準標本)は少なくともデンマークのコペンハーゲン大学とロシアのコマロフ植物研究所英語版の2ヶ所に収蔵され、このうち前者の標本[14]はタイプ産地が「ガーナ(のアダ (Ada))」と明記されている。
  15. ^ Nauclea africana Willd. [≡ Mitragyna inermis (Willd.) Kuntze] と先述の Nauclea parvifolia
  16. ^ 形態について記した文がない状態のまま新種や新属などとして示された学名を裸名(: nomen nudum)と呼ぶ。
  17. ^ アヘンボクに関しては形態についての説明 (記相) が付されていなかったため、この1839年時点で新種記載は成立していない。アヘンボクは後にコルトハルス自身の手により晴れて新種記載され、その詳細は #Stephegyne Korth. を参照。
  18. ^ ラテン語: nomen conservandum
  19. ^ ラテン語: nomen rejiciendum
  20. ^ 2018年度版のICNの保留名・廃棄名リストにも掲載されている[27]
  21. ^ a b ハヴィランドを命名者とする場合はコルトハルスによる Stephegyne speciosa を基となる学名(バシオニム英語版)、1897年のハヴィランドによるコルトハルスの文献からの引用を Stephegyne speciosa からミトラガイナ属への組み替えと見做し、学名の表示は Mitragyna speciosa (Korth.) Havil. となる。
  22. ^ バイヤMitragyna ciliata Aubrév. & Pellegr.)、Mitragyna rubrostipulata (K.Schum.) Havil.Mitragyna stipulosa (DC.) Kuntze
  23. ^ : appendiculate
  24. ^ なお3種のうちバイヤに関してはコートジボワール産の Mitragyna ciliata の新種記載が1936年であるのに対し、それよりも早い1920年に新種記載されたカメルーン産の Adina ledermannii K.Krause が同一の種であることが判明したために、リズデイルは新たに Mitragyna ledermannii という組み替えを発表した。
  25. ^ ラテン語: nomen illegitimum
  26. ^ : subtribe。連よりもさらに下の階級。
  27. ^ ミトラガイナ属からは当時 Hallea rubrostipulata と分類されていた Mitragyna rubrostipulata が選ばれ、カギカズラ属からもカギカズラ Uncaria rhynchophylla (Miq.) Miq. が選ばれた。
  28. ^ : internal transcribed spacer; 略称: ITS。
  29. ^ 花期を終えて果実が実る頃になっても落ちずに残り続ける性質を持つ萼のこと。
  30. ^ Aubréville (1959:259) の Mitragyna ciliata の図版も参照されたい。
  31. ^ 数が多いものもあるため、原則として記事中で言及されたもののみに限る。そのほかのものに関してはウィキスピーシーズのリンク先を参照。なお太字は現行の学名の基となったバシオニム英語版であることを表す。
  32. ^ 特に断りが無い場合は Govaerts et al. (2021) による。
  33. ^ a b 熱帯植物研究会 編 (1996:424)、インドでの呼称の一つ kaim より(Beddome (1869) によれば keim はヒンドゥスターニー語での呼称の一つである)。ただしこの 熱帯植物研究会 編 (1996) では Mitragyna diversifolia があたかも Mitragyna parvifolia(しかも命名者が Korth. ではなく "Hav." とされている)のシノニムであるかのような扱いが為されている。この2種に関しては#種の区別を参照。
  34. ^ 中国南中央部: 雲南省; バングラデシュ; ビルマ(少なくとも西部からバゴーまで[9])、タイ(全土[9])、カンボジアラオスベトナム; マレー半島ジャワフィリピン
  35. ^ ベトナム、カンボジア、ラオス、タイ、ビルマ
  36. ^ モーリタニアマリセネガルガンビアギニアビサウギニアシエラレオネリベリアコートジボワールガーナトーゴベナンブルキナファソニジェールナイジェリア; コンゴ民主共和国中央アフリカ共和国カメルーン; チャド、スーダン(南スーダンも含む[41]
  37. ^ コートジボワールアニ語: bahia[43]
  38. ^ ナイジェリア名: abura
  39. ^ 少なくともギニア、シエラレオネ、リベリア、コートジボワール、ガーナ、ナイジェリア
  40. ^ カメルーン、赤道ギニアギニア湾諸島、ガボンコンゴ共和国アンゴラカビンダ州、コンゴ民主共和国、中央アフリカ共和国
  41. ^ スリランカ、インド(タミル・ナードゥ州ケーララ州カルナータカ州マイソールアーンドラ・プラデーシュ州マハーラーシュトラ州マディヤ・プラデーシュ州パンジャーブ州ヒマーチャル・プラデーシュ州ウッタル・プラデーシュ州ビハール州オリッサ州西ベンガル州アッサム州)、バングラデシュ。ビルマは少なくともバゴーの例あり[45]
  42. ^ 上ビルマおよび下ビルマ
  43. ^ アッサム州、トリプラ州
  44. ^ 上ビルマおよび下ビルマ[47]
  45. ^ 北部、南西部[47]
  46. ^ ガボン、カメルーン、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、ブルンジルワンダ; エチオピア; ケニアウガンダタンザニア; マラウイモザンビーク
  47. ^ カンボジア、タイ; マレー半島、スマトラ、ボルネオ、フィリピン; ニューギニア
  48. ^ セネガル、ガンビア、ギニアビサウ、ギニア、シエラレオネ、リベリア、コートジボワール、ガーナ、トーゴ、ベナン、ナイジェリア; カメルーン、ガボン、コンゴ共和国、アンゴラ領カビンダ州、コンゴ民主共和国、中央アフリカ共和国; チャド、スーダン; ウガンダ; ザンビアアンゴラ
  49. ^ 少なくともケーララ州およびタミル・ナードゥ州[49]
  50. ^ タイ語: กระท่อม [kra.tʰɔ̂ːm] クラトーム
  51. ^ ミトラガイニンミトラジニンという表記例も見られる。英: mitragynine
  52. ^ ヨヒンビン(: yohimbine)という成分はアルカロイドで、ミトラガイナ属と同じアカネ科タニワタリノキ連ヨヒンベノキCorynanthe johimbe K.Schum.; シノニム: Pausinystalia johimbe (K.Schum.) Pierre)などから得られる。その化合物である塩酸ヨヒンビンは催淫剤となる[50]
  53. ^ シロシビン(英: psilocybine)は幻覚作用のあるアルカロイドの一種で、シビレタケ属Psilocybe)などのキノコに含まれシロシンリン酸エステル化合物である[51]
  54. ^ 2016年3月、薬事・食品衛生審議会薬事分科会指定薬物部会の判断を経た。
  55. ^ たとえば輸出入を認可制とする、18歳未満の人・妊娠中の女性・乳児への販売は禁止とする、規定の量を超えて販売してはならない、など。
  56. ^ リンコフィリン(英: rhynchophylline)は mitrincomine 〈ミトリンコミン〉ともいう。
  57. ^ : mitraphylline
  58. ^ 厳密にはシノニムの一つ Mitragyna chevalieri K.Krause が新種記載された際にタイプ標本として指定された Chevalier 第7571番のもの。

出典

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  3. ^ 詳細は#特徴を参照。
  4. ^ Voorhoeve (1965:321)
  5. ^ #歴史を参照。
  6. ^ #種の区別を参照。
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  12. ^ 具体的な呼称の一覧は#諸言語における呼称を参照。
  13. ^ 詳細は#検索表を参照。
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関連項目

外部リンク