「ナイルに死す」の版間の差分
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2004年、『ナイル殺人事件』の題名で、東宝で舞台化された。演出は[[山田和也]]、上演台本は[[橋本二十四]]、キャストは[[北大路欣也]]、[[岩崎良美]]、[[小林高鹿]]、[[森ほさち]]、[[淡路恵子]]、[[友井雄亮]]、[[松田かほり]]、[[愛佳]]、[[戸井田稔]]、[[安原義人]]、[[青山達三]]、劇場は[[ル・テアトル銀座]]。 |
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2021年12月30日 (木) 00:29時点における版
ナイルに死す DEATH ON THE NILE | ||
---|---|---|
著者 | アガサ・クリスティー | |
発行日 |
1937年11月1日 1984年9月30日 | |
発行元 |
Collins Crime Club 早川書房 | |
ジャンル | 推理小説 | |
国 | イギリス | |
前作 | もの言えぬ証人 | |
次作 | 死との約束 | |
ウィキポータル 文学 | ||
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『ナイルに死す』(ナイルにしす、Death on the Nile)は、イギリスの女流作家アガサ・クリスティが1937年に発表した推理小説。名探偵エルキュール・ポアロが船上での怪事件に挑む。
クローズド・サークルものの傑作の一つ。中近東を舞台にした長編第2作で[1]、中近東シリーズ最高峰の作品でもある[2]。クリスティ作品の中でも上位にランクされている(#作品の評価参照)。
あらすじ
大富豪の娘リネット・リッジウェイはウィンドルシャム卿と婚約していたが、何事も自分の思い通りにしたがる性格のため、結婚に躊躇していた。ある日、親友のジャクリーン・ド・ベルフォールがやってきて、自分の婚約者が失業中のため、リネットの屋敷で雇って欲しいと頼んでいった。そして後日、その婚約者であるサイモン・ドイルを連れてきたところ、リネットは彼に一目惚れしてしまい、ジャクリーンから奪うようにして結婚してしまった。
エジプトに新婚旅行に出たリネットらは、しつこくつきまとってくるジャクリーンにいらだたされる。偶然エジプトに来ていた名探偵エルキュール・ポアロは、リネットから頼まれてジャクリーンをたしなめようとするが、彼女は全く聞き入れないどころか、小さなピストルを取り出して、これでリネットを撃ってしまいたくなる、と言った。
リネットらはジャクリーンから逃げるようにしてナイル川を遡る観光船に乗り込んだが、そこにもジャクリーンの姿があった。そしてある晩、展望室で事件が起こった。泥酔したジャクリーンがサイモンと口論になり、ジャクリーンがサイモンの脚を撃ってしまったのだった。ドクター・ベスナーがサイモンを介抱し、ヒステリーを起こしたジャクリーンを看護婦のバウァーズが部屋に連れて行った。
そして次の朝、リネットが部屋で死んでいるのが発見された。寝ている間に頭を撃たれたのだ。凶器はジャクリーンが持っていたピストルらしいが、そのピストルは展望室での事件の後、どこかへ行方不明になっていた。しかも、ジャクリーンが夜中に部屋を出なかったことはバウァーズが証言している。では、いったい誰がリネットを殺害したのか? 船上の殺人事件に、名探偵ポアロと友人のレイス大佐が挑む。
登場人物
- エルキュール・ポアロ - 私立探偵。
- リネット・リッジウェイ - 富と美貌を兼ね備えた女性。
- サイモン・ドイル - リネットの夫。
- ジャクリーン・ド・ベルフォール - リネットの友人で、サイモンの元婚約者。
- ルイーズ・ブールジェ - リネットのメイド。
- レイス大佐 - 英国特務機関員で、ポアロの友人[3]。途中から船に乗り込む。
- ヴァン・スカイラー - 大富豪の貴婦人。
- コーネリア・ロブスン - スカイラーの従妹。
- バウァーズ - スカイラーの看護婦。
- ジョアナ・サウスウッド - 社交界の貴婦人。リネットの友人でもある。
- ミセス・アラートン - ジョアナの従妹。
- ティム・アラートン - アラートンの息子。リネットの友人でもある。
- アンドリュー・ペニントン - リネットの財産管理人。
- スターンデイル・ロックフォード - ペニントンの共同営業者。
- ジム・ファンソープ - 弁護士。
- ウィリアム・カーマイケル - ジムの伯父。弁護士。
- ファーガスン - 社会主義者。
- ギド・リケティ - 考古学者。
- カール・ベスナー - 医者。
- サロメ・オッタボーン - 作家。
- ロザリー・オッタボーン - オッタボーンの娘。
- フリートウッド - 船の機関士。
作品の評価
- 作者ベストテンでは、1971年の日本全国のクリスティ・ファン80余名の投票で本作品は7位(1位は『そして誰もいなくなった』、2位は『アクロイド殺し』、3位は『予告殺人』)[4]、1982年に行われた日本クリスティ・ファンクラブ員の投票では5位に挙げられている(1位は『そして誰もいなくなった』、2位は『アクロイド殺し』、3位は『オリエント急行の殺人』)[5]。
- 2012年に『週刊文春』で推理作家や推理小説の愛好者ら約500名を対象に実施されたアンケートによる東西ミステリーベスト100で、本作品は99位に評価されている[6][7]。
- 作者自身は、著者の前書きで「"外国旅行物"の中で最もいい作品の一つと考えています」と述べている[8]。
- 青山剛昌は『名探偵コナン』のコミックにて、ポアロシリーズの中でお勧めの作品として本作を紹介している。
備考
- オッタボーン夫人が執筆している本の題名は『沙漠に降る雪』(つまり、アガサ・クリスティの処女長編作である『沙漠の雪』とほぼ同じような題名)となっており、ユーモアが感じられる。
- 『パーカー・パイン登場』に同一タイトルの短編作品「ナイル河の殺人」 (Death on the Nile) が収載されているが、本作品とは無関係である。
日本語訳版
本作品は、現在、早川書房の日本語版翻訳権独占作品となっている。
出版年月日 | タイトル | 出版社 | 文庫名等 | 訳者 | 巻末 | ページ数 | ISBNコード | カバーデザイン | 備考 |
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1957年10月31日 | ナイルに死す | 早川書房 | 世界探偵小説全集374 | 脇矢徹 | 315 | ||||
1965年 | ナイルに死す | 新潮社 | 新潮文庫 赤135D | 西川清子 | 訳者あとがき | 402 | 鈴木邦治、野中昇 ほか | ||
1977年10月 | ナイルに死す | 早川書房 | Hayakawa novels | 加島祥造 | 解説「アガサ・クリスティーの映画化」飯島正 | 429 | 真鍋博 ほか | ||
1984年9月30日 | ナイルに死す | 早川書房 | ハヤカワ・ミステリ文庫 HM1-76 | 加島祥造 | 「クリスティーと映画」双葉十三郎 | 464 | ISBN 978-4-15-070076-8 | 真鍋博 | |
2003年10月 | ナイルに死す | 早川書房 | ハヤカワ文庫. クリスティー文庫 15 | 加島祥造 | 解説 西上心太 | 581 | ISBN 978-4-15-130015-8 | Hayakawa Design | |
2020年 9月11日 |
ナイルに死す〔新訳版〕 | 早川書房 | ハヤカワ文庫. クリスティー文庫 15 | 黒原敏行 | 解説 西上心太 | 560 | ISBN 978-4-15-131015-7 | 早川書房デザイン室 | クリスティー デビュー100周年& 生誕130周年記念刊行 |
児童書
出版年月日 | タイトル | 出版社 | 文庫名等 | 訳者 | 巻末 | ページ数 | ISBNコード | カバーデザイン | 備考 |
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2008年 | ナイルに死す 上下 | 早川書房 | クリスティー・ジュニア・ミステリ 8 | 佐藤耕士 | 254 254 |
ISBN 978-4-15-208929-8 ISBN 978-4-15-208930-4 |
イラスト:横田美晴 | ||
2020年 9月11日 |
名探偵ポアロ ナイルに死す | 早川書房 | ハヤカワ・ジュニア・ミステリ 9 | 佐藤耕士 | 480 | ISBN 978-4-15-209929-7 | イラスト:二階堂 彩 イラスト編集:サイドランチ |
戯曲
『ナイル河上の殺人』 (Murder on the Nile: A Play in Three Acts) の題名で、1948年にクリスティー自身が本作を戯曲化している。ポアロは登場しない。日本でも同戯曲は長沼弘毅の訳で1955年の『宝石』増刊号に掲載されたが、2015年現在、書籍化はされていない。
映像化
- 1978年、ピーター・ユスティノフ主演で映画化。日本語題は『ナイル殺人事件』。
- 2004年、『名探偵ポワロ』シリーズでテレビドラマ化された。ロザリー・オッタボーンの恋の結末が原作と異なっている。
- 2022年、ケネス・ブラナー監督・主演で映画化。日本語題は『ナイル殺人事件』。
舞台化
2004年、『ナイル殺人事件』の題名で、東宝で舞台化された。演出は山田和也、上演台本は橋本二十四、キャストは北大路欣也、岩崎良美、小林高鹿、森ほさち、淡路恵子、友井雄亮、松田かほり、愛佳、戸井田稔、安原義人、青山達三、劇場はル・テアトル銀座。
脚注
- ^ 中近東シリーズの長編第1作は『メソポタミヤの殺人』(1936年)、第3作は『死との約束』(1938年)である。
- ^ 『アガサ・クリスティー百科事典』 数藤康雄・編(ハヤカワ文庫)より、作品事典 長編「22 ナイルに死す」を参照。
- ^ レイス大佐は本作以前に、『ひらいたトランプ』でポアロと知り合っている。ノンシリーズの『茶色の服の男』と『忘られぬ死』にも登場する。
- ^ 『ゴルフ場の殺人』(創元推理文庫、1976年)巻末解説参照。
- ^ 1982年の投票は乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10 (6) 『アクロイド殺害事件』(集英社文庫、1998年)巻末解説参照。
- ^ 作者作品では他に、1位に『そして誰もいなくなった』、5位に『アクロイド殺し』、34位に『オリエント急行の殺人』、62位に『ABC殺人事件』が選出されている。
- ^ 1985年版では本作品はノーランクだった。
- ^ 『ナイルに死す』(ハヤカワ文庫、1984年)「著者の前書き」参照。
外部リンク
- ナイルに死す〔新訳版〕 - Hayakawa Online