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2021年8月18日 (水) 00:10時点における版

王になろうとした男
The Man Who Would Be King
監督 ジョン・ヒューストン
脚本 ジョン・ヒューストン
グラディス・ヒル英語版
原作 ラドヤード・キップリング王になろうとした男
製作 ジョン・フォアマン英語版
出演者 ショーン・コネリー
マイケル・ケイン
音楽 モーリス・ジャール
撮影 オズワルド・モリス
編集 ラッセル・ロイド英語版
製作会社 コロンビア ピクチャーズ
配給 コロンビア映画
アライド・アーティスツ・ピクチャーズ・コーポレーション
公開 アメリカ合衆国の旗 1975年12月18日
上映時間 129分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
イギリスの旗 イギリス
言語 英語
製作費 $8,000,000[1]
興行収入 $11,000,000[2]
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王になろうとした男』(おうになろうとしたおとこ、原題:The Man Who Would Be King)は、1975年公開のアメリカイギリス映画。ラドヤード・キップリング同名小説の映画化作品。ショーン・コネリーマイケル・ケインが演じる、王になることを夢見た二人の英印軍退役軍人が、アフガニスタン辺境部の国カフィリスタン英語版を冒険する物語である。

あらすじ

再会

イギリス領インド帝国ラホールにある北極星新聞の記者キップリングは、一人オフィスに残り記事を書いていた。そこに、乞食のような男が現れ、キップリングとの再会を喜ぶ。キップリングは彼が何者か分からなかったが、「君の前で契約を交わした」という言葉を聞き、その男が3年前に出会ったカーネハンだと気付く。キップリングは、契約を交わしたもう一人の男ドレイボットの行方を尋ねるが、カーネハンは彼が死んだことを告げ、二人で交わした「王になる」という夢の顛末を語り始める。

夢の始まり

3年前のラホール。退役軍人のカーネハンはラホール駅でキップリングの懐中時計を盗むが、時計にはフリーメイソンの紋章が刻まれていた。キップリングが自分と同じフリーメイソン会員だと気付いたカーネハンは、慌てて汽車に乗り込み彼に時計を返す。意気投合したカーネハンは途中の駅で下車し、キップリングに次の駅にいるドレイボットに伝言を頼む。キップリングはドレイボットに伝言を伝えるが、彼らが藩王を脅迫しようとしていることを知り、地区長官に密告する。長官は二人を逮捕するが、キップリングはフリーメイソン会員の二人を釈放するように要請し、二人は釈放される。キップリングはラホールのオフィスに戻り記事を書くが、そこに二人が現れる。彼らは「王になる」という夢を実現するためにアフガニスタン辺境部のカフィリスタンに向かおうとしており、キップリングを証人に「王になるまでは女と酒を断つ」という契約を交わす。20丁のマルティニ・ヘンリー銃を手に入れた二人はカフィリスタンに向けて出発し、キップリングは選別としてフリーメイソンの紋章をドレイボットに渡す。

夢の成就

ドレイボットとカーネハンはアフガニスタンを横断し、大河を超えて雪山に入るが、カフィリスタンを目前にして行く手を巨大なクレバスに遮られてしまう。食料も焚き木も使い果たした二人は死を覚悟するが、雪崩によってクレバスが埋まり、二人はカフィリスタンに入国する。カフィリスタンに到達した二人は、女性を襲う仮面の部族に出くわし、マルティニ・ヘンリー銃で部族を追い払う。二人は捕虜を連れて襲われていた部族の城に向かうが、そこには英語を話す男ビリー・フィッシュがいた。彼はインド軍所属のグルカ兵で、数年前に地形調査隊の一員としてカフィリスタンを訪れていた。二人はビリーを仲間に引き込み、首長ウータを丸め込みイギリス式の軍事訓練を施し、ウータを利用してカフィリスタンを征服しようと企む。二人は部族を率いて仮面の部族に戦争を仕掛けて降伏に追い込む。その際、ドレイボットの胸に矢が命中するが、サム・ブラウン・ベルトに当たり命拾いする。それを見た部族たちは、ドレイボットが伝説で語られる、かつてカフィリスタンを征服した神シカンダー(アレクサンダー大王)の息子だと信じ出す。

カーネハンは伝説を利用してドレイボットを「神の息子」に仕立て上げ、戦わずに周辺部族を従属させるが、そこに聖都シカンダルグルの大司祭セリムの使者が現れ、シカンダルグルへの出頭を命令する。二人はシカンダルグルに出頭するが、そこでセリムは「本当の神か確かめる」としてドレイボットを剣で刺そうとする。その際、抵抗したドレイボットがフリーメイソンの紋章を所持しているのを見たセリムは、彼をシカンダーの息子として認める。不思議に思ったドレイボットとカーネハンに対し、セリムは祭壇に刻まれた紋章を見せる。そこにはフリーメイソンの紋章が刻まれており、フリーメイソンが数千年前にカフィリスタンに存在していたことを示唆していた。

夢の終わり

「シカンダー2世」としてカフィリスタン王に即位したドレイボットは人々から崇められ、将軍になったカーネハンと共にシカンダーが残した莫大な財宝を手に入れる。悲願を達成したことを喜ぶカーネハンは、「雪解けを待ち、財宝を手にインドに戻ろう」と提案するが、王座の魅力に憑りつかれたドレイボットはカフィリスタンに留まることを選択する。ドレイボットは戦争中に見かけた、シカンダーの妃と同じ名前を持つ美女ロクサネを王妃に迎えることを決める。これに対し、「神と人間の結婚」にセリムたち高僧は反発し、カーネハンとビリーも正体が露見することを恐れて反対するが、ドレイボットは聞き入れず強引に結婚を宣言する。結婚式の前日、カーネハンはドレイボットに別れを告げて出発しようとするが、ドレイボットに「せめて結婚式は見届けて欲しい」と懇願され、結婚式に参列することを決める。

翌日、カフィリスタン中の人々が集まり結婚式が執り行われた。しかし、「神に愛された女は灰になる」という言い伝えを信じたロクサネは、恐怖のあまりドレイボットの頬を噛んでしまう。不死身のはずのドレイボットから血が流れる姿を見たセリムは、彼が神を騙る偽物だと気付き、二人は怒り狂う群衆から逃げようとする。ドレイボットは銃兵に攻撃を命令するが、群衆の数に圧倒され全滅し、二人を逃がそうとしたビリーも殺されてしまう。二人は群衆に捕まり死刑を宣告され、ドレイボットは吊り橋を渡るように命令される。死を覚悟した二人はイギリスの歌を歌い始め、ドレイボットは切り落とされた吊り橋と共に3,000メートル下の谷に落ちていく。カーネハンは磔にされるが、翌日になっても死ななかったため、奇跡を信じた群衆によって解放され、1年かけてラホールに辿り着く。

王になろうとした男

冒険の顛末を語り終えたカーネハンは、「ドレイボットは私を見捨てず、私も彼の頭を見捨てなかった」と告げ、キップリングにドレイボットの首を渡す。驚くキップリングに対し、カーネハンは「急用がある」と言い残してオフィスを後にする。ドレイボットの首は白骨化していたが、その頭上にはカフィリスタン王の証である王冠が輝いていた。

キャスト

役名 俳優 日本語吹替
テレビ朝日 機内上映版
ダニエル・ドレイボット英語版 ショーン・コネリー 上條恒彦 若山弦蔵[3]
ピーチ・カーネハン マイケル・ケイン 羽佐間道夫 大平透
ラドヤード・キップリング クリストファー・プラマー 津嘉山正種 寺島幹夫
ビリー・フィッシュ サイード・ジャフリー 富山敬 仲木隆司
ウータ首長 ドラミ・ラルビ
地区長官 ジャック・メイ英語版 宮内幸平
カフ・セリム カルーム・ベン・ボウリ
バフ モハマド・シャムシ 村松康雄
グラム アルバート・モーゼス英語版 野本礼三
ムルバニー ポール・アントリム
役人 グラハム・エイカー
ロクサネ シャキーラ・ケイン英語版
不明
その他
石森達幸
広瀬正志

スタッフ

日本語版

- テレビ朝日版 機内上映版
演出 左近允洋
翻訳 額田やえ子
調整 高橋久義 栗林秀人
効果 PAG
選曲 東上別符精
担当 余宮雅人JAL
製作 日本航空
制作 グロービジョン 電通
グロービジョン

製作

ジョン・ヒューストンは1950年代から、クラーク・ゲーブルハンフリー・ボガードを主演に本作の映画化を計画していた[4]。しかし、映画化の権利を取得する前の1957年にボガードが死去し、ゲーブルも1960年に死去してしまう。その後、主演はバート・ランカスターカーク・ダグラスリチャード・バートンピーター・オトゥールにそれぞれ変更された。1970年代に入ると、主演はロバート・レッドフォードポール・ニューマンが検討されたが、ニューマンは「主演は英国人俳優が演じなければならない」とヒューストンに助言し、ショーン・コネリーマイケル・ケインを推薦した[5]

ロクサネ役は、ロアルド・ダールパトリシア・ニールの娘テッサ・ダール英語版が予定されており、彼女はオファーを快諾して減量や歯の矯正を行い役作りを進めた[6][7]。しかし、ヒューストンはよりアラブ的な女性を求め、「私たちはどこかでアラブの姫を探さなければいけない」とケインとの会食時に語っている。その会食には、ケインの妻シャキーラ・ケイン英語版が同席しており、彼女はガイアナ出身だったため、ヒューストンは彼女を説得してロクサネ役に起用した[8]。撮影はパインウッド・スタジオフランスモロッコで行われた[9][10]

評価

ニューヨーク・マガジンのジョン・シモンは「ジョン・ヒューストンにとって、『アフリカの女王』を超える最高の作品」と絶賛した[10]タイム誌ジェイ・コックスは「ジョン・ヒューストンは20年以上映画化を望んでいましたが、待つだけの価値はありました」と批評している[11]ロジャー・イーバートは四つ星満点を与え、「『王になろうとした男』は、ひどくスリリングで楽しいエンターテインメントのため、時間を忘れてしまいます」と批評した[12]

バラエティ誌はケインの演技について、「それがジョン・ヒューストンの意図であろうとなかろうと、この冒険とアクションの映画はマイケル・ケインの低い演技力のために大雑把なコメディになっている」と批評している[13]

ノミネート

第48回アカデミー賞では四つの賞にノミネートされた[14]

この他にモーリス・ジャールゴールデングローブ賞 作曲賞に、イーディス・ヘッドがBAFTA衣裳デザイン賞英語版に、オズワルド・モリス英国アカデミー賞 撮影賞にそれぞれノミネートされた。

出典

  1. ^ Box Office Information for The Man Who Would Be King. IMDb. Retrieved September 18, 2013.
  2. ^ Top 20 Films of 1975 by Domestic Revenue. Box Office Report via Internet Archive. Retrieved September 18, 2013.
  3. ^ “若山弦蔵インタビュー”. 吹替の帝王. オリジナルの2016年9月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160928121656/http://video.foxjapan.com/library/fukikae/interview/interview12/ 2019年1月31日閲覧。 
  4. ^ TimesTalks: Michael Caine: Five Favorite Films | The New York Times on YouTube
  5. ^ Huston, J. (1975). The making of the man who would be king. Allied Artists Pictures.
  6. ^ People Weekly: What's It All About, Alfie?”. 2017年7月28日閲覧。
  7. ^ Patricia Neal: An Unquiet Life by Stephen Shearer (pg 313)
  8. ^ Michael Caine Remembers Nearly 40 Years in Film by Glenn Whipp
  9. ^ Pinewood Studios: Filmography and history”. Simply Networking Solutions. 7 January 2013閲覧。
  10. ^ a b Simon, John (12 January 1976). “Over the Mountains, Across the Oceans, Beyond the Pale”. New York: 58. 
  11. ^ Cocks, Jay (29 December 1975). “Cinema: Rogues' Regiment”. Time. http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,945453,00.html 7 January 2012閲覧。. 
  12. ^ Roger Ebert (23 February 1976). “The Man Who Would Be King”. rogerebert.com. 25 January 2010閲覧。
  13. ^ The Man Who Would Be King”. Variety (31 December 1974). 8 January 2013閲覧。
  14. ^ “The Man Who Would Be King (1975)”. The New York Times. https://movies.nytimes.com/movie/31123/The-Man-Who-Would-Be-King/awards 30 December 2008閲覧。 

参考文献

  • Kipling, Rudyard (2008). The Man Who Would Be King. NuVision Publications. ISBN 978-1-59547-609-8 

外部リンク