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「食肉目」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
改名提案
m Moss がページ「ネコ目」を「食肉目」に、リダイレクトを残して移動しました: 2018年に日本哺乳類学会で提唱された標準和名に合わせるため
(相違点なし)

2021年7月30日 (金) 09:47時点における版

ネコ目(食肉目)
Carnivora
地質時代
前期暁新世 - 現世
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
上目 : ローラシア獣上目 Laurasiatheria
: ネコ目(食肉目) Carnivora
学名
Carnivora Bowdich1821
亜目

ネコ目(ネコもく)は脊椎動物亜門 哺乳綱に属する動物分類群学名Carnivora を直訳して食肉目(しょくにくもく)、食肉類(しょくにくるい)ともいう。

本来は捕食者として特化したグループであり、獲物を捕えるのに必要な触毛(ひげ)などの感覚器官と知能がよく発達しており、運動能力も高い。

特徴

ネコ目は、真獣類のうちで、肉を裂くためのハサミ状の頬歯である裂肉歯を1対もつもの(およびその子孫)のグループと定義することもできる。現生の海棲のグループ(いわゆる鰭脚類)では、その食性もあって裂肉歯は失われている。ネコ目に属するほとんどすべての動物が肉食であるが、部分的にはヒグマツキノワグマといった雑食性の種も見られ、特にタケを主食とするジャイアントパンダレッサーパンダなどはほぼ完全な草食性である。

進化史

2010年時点で知られている最古の化石記録は、中華人民共和国北アメリカから報告されている古第三紀の前期暁新世ダニアン期)のものである。ミアキス上科英語版に分類される初期のネコ目は種数・個体数ともに少ないグループであったが、後期始新世ネコ亜目イヌ亜目が出現し、多様化を遂げた[1]

分類

分類小史

ネコ目は、主に陸生のネコ亜目(裂脚亜目:れっきゃくあもく)と、主に海棲のアシカ亜目(鰭脚亜目:ききゃくあもく)に二分されてきた。近年[いつ?]、鰭脚類の起源がクマ類の近縁グループであることが明らかになり、裂脚類・鰭脚類を同レベルの分類単位とするのが適切でないことがわかっている。そのことから、たとえば「クマ・鰭脚類」というグループを、下目(クマ下目)の下位・上科(クマ上科)の上位に設定し、ここにクマ上科(化石群を含むクマのグループ)と鰭脚支目(かつての鰭脚亜目)を位置づけるという考え方がある。しかし、一般用語としては、まだ裂脚類・鰭脚類の二分法が用い続けられている。

ネコ亜目(裂脚亜目)は、かつて[いつ?]はイヌ上科 Canoidea(イヌ科クマ科アライグマ科イタチ科)とネコ上科 Feloidea(ネコ科ジャコウネコ科ハイエナ科マングース科)の2上科に分けられていた(絶滅グループのミアキス上科を含めると3上科)。後に[いつ?]、化石種においてイヌ科がネコ科に近いことなど、類縁関係についての新知識を踏まえて、クマ上科 Arctoidea ・マングース上科 Herpestoidea ・イヌネコ上科 Cynofeloidea の3上科(ミアキス上科を合わせると4上科)に分ける分類が提唱された。

その後も、前述した鰭脚類の問題などによってネコ目(食肉目)の分類には諸説がある。現在[いつ?]では、イヌ下目(イヌ類のみ)とクマ下目(イタチ類・アライグマ類や鰭脚類を含む)などからなるイヌ亜目と、ジャコウネコ類・ハイエナ類・マングース類を含むネコ亜目とに分ける分類法などがある。

最新の学説による分類

英語版などより。分子解析による分類。

系統

2005年のJ.J.Flynnの系統樹に拠る[2]

   ネコ目   
ネコ亜目

ニムラブス科ディニクティス

ステノプレシクティス科 Stenoplesictidae

ペルクロクタ科 PercrocutidaeDinocrocuta

キノボリジャコウネコ科 Two-spotted palm civet

ネコ上科 Feloidea

オビリンサン科 Prionodontidaeブチリンサン

バルボロフェリス科 Barbourofelidae

ネコ科 ヤマネコ

ジャコウネコ上科 Viverroidea

ジャコウネコ科 African civet

マングース上科 Herpestoidea

ハイエナ科 シマハイエナ

マングース科 シママングース

マダガスカルマングース科 コバマングース属

   イヌ亜目   

アンフィキオン科 AmphicyonidaeYsengrinia americana

イヌ科 アフリカンゴールデンウルフ

   クマ下目 Arctoidea   
   

ヘミキオン科 Hemicyonidae

クマ科 ツキノワグマ

鰭脚類

エナリアルクトゥス科 EnaliarctidaeEnaliarctos mealsi

   

アザラシ科 ゼニガタアザラシ

   

アシカ科 カリフォルニアアシカ

セイウチ科 セイウチ

   イタチ上科 Musteloidea
   

レッサーパンダ科 レッサーパンダ

   

スカンク科 シマスカンク

   

アライグマ科 アライグマ

イタチ科 European polecat

伝統的な分類

脚注

  1. ^ 冨田幸光、伊藤丙雄、岡本泰子『新版 絶滅哺乳類図鑑』丸善出版、2011年1月30日、105-115頁。ISBN 978-4-621-08290-4 
  2. ^ Flynn, J. J.; Finarelli, J. A.; Zehr, S.; Hsu, J.; Nedbal, M. A. (April 2005). “Molecular phylogeny of the Carnivora (Mammalia): Assessing the impact of increased sampling on resolving enigmatic relationships”. Systematic Biology 54 (2): 317–37. doi:10.1080/10635150590923326. PMID 16012099.