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しかし[[イラン・イラク戦争]]や[[湾岸戦争]]でスカッドが大量に使用されたほか、[[ソ連崩壊]]によって[[弾道ミサイル]]と関連技術・技術者が[[第三世界]]に拡散したことで、これらの[[戦術弾道ミサイル]]への対策が求められるようになった。まず応急的な施策が行われたのち、1993年に成立した[[ビル・クリントン|クリントン]]政権において、[[アメリカ合衆国本土]]防衛のための国家ミサイル防衛(National Missile Defence, NMD)と、同盟国および海外展開米軍部隊の防衛のための戦域ミサイル防衛(Theater Missile Defense, TMD)の二本柱として再編成された。これらの新しいBMD体制では、先行する[[戦略防衛構想]]で検討されていたような宇宙配備システムは棄却され、地上配備システムと海上配備システムに注力することとされた。そしてこの海上配備システムのプラットフォームとして、[[イージス艦]]が期待されるようになった{{Sfn|香田|2018}}。 |
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続く[[ジョージ・W・ブッシュ|ブッシュ]]政権では、[[大量破壊兵器]]や弾道ミサイルの世界的な拡散に対処するため、BMDをさらに推進した。これに伴ってNMDとTMDの区別を廃止して単に"MD"と称することになり、弾道ミサイルの飛翔過程をブースト、ミッドコース、ターミナルの3段階に区分して、それぞれに対処するBMDシステムを整備する縦深的な防御態勢が志向された。そしてイージスBMDは、まずミッドコース迎撃を担当する海上配備システムとして整備されていくことになった{{Sfn|香田|2018}}。 |
2020年12月26日 (土) 00:43時点における版
イージス弾道ミサイル防衛システム(イージスBMDシステム、英語: Aegis Ballistic Missile Defense System)は、イージス艦を用いた弾道ミサイル防衛(Ballistic Missile Defence, BMD)システム。
来歴
艦隊への経空脅威の増大に対抗するため、アメリカ海軍は冷戦下の1960年代末よりイージス武器システム(AEGIS Weapon System、AWS)の開発に着手し、1983年よりタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦、また1991年からはアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦にも搭載して、艦隊に配備した[1]。このAWSは、有人の攻撃機・爆撃機や、これらの航空機または艦艇から発射される対艦ミサイルの排除を目的とする究極の艦載防空システムとして位置付けられていた。当時、ソビエト連邦軍はSS-20中距離弾道ミサイルやスカッド短距離弾道ミサイルを配備していたものの、西側諸国からは、SS-20は準戦略兵器として、またスカッドは欧州の地上戦での長距離砲兵として捉えられており、これらを撃墜することによる防衛は重視されなかった[2]。
しかしイラン・イラク戦争や湾岸戦争でスカッドが大量に使用されたほか、ソビエト連邦の崩壊によって弾道ミサイルと関連技術・技術者が第三世界に拡散したことで、これらの戦術弾道ミサイルへの対策が求められるようになった。まず応急的な施策が行われたのち、1993年に成立したクリントン政権において、アメリカ合衆国本土防衛のための国家ミサイル防衛(National Missile Defence, NMD)と、同盟国および海外展開米軍部隊の防衛のための戦域ミサイル防衛(Theater Missile Defense, TMD)の二本柱として再編成された。これらの新しいBMD体制では、先行する戦略防衛構想で検討されていたような宇宙配備システムは棄却され、地上配備システムと海上配備システムに注力することとされた。そしてこの海上配備システムのプラットフォームとして、イージス艦が期待されるようになった[2]。
続くブッシュ政権では、大量破壊兵器や弾道ミサイルの世界的な拡散に対処するため、BMDをさらに推進した。これに伴ってNMDとTMDの区別を廃止して単に"MD"と称することになり、弾道ミサイルの飛翔過程をブースト、ミッドコース、ターミナルの3段階に区分して、それぞれに対処するBMDシステムを整備する縦深的な防御態勢が志向された。そしてイージスBMDは、まずミッドコース迎撃を担当する海上配備システムとして整備されていくことになった[2]。
なお開発はアメリカ合衆国国防総省ミサイル防衛局とアメリカ海軍の主導下で行われているが、日本も開発に参加しており、アメリカ海軍と海上自衛隊が導入している。
構成
イージスBMDシステム
BMD機能は、従来のAWSの機能とは大きく異なることから、イージスBMD(AEGIS Ballistic Missile Defense, ABMD)として独自のバージョン管理がなされている[3]。開発にあたってはスパイラルモデルが採択されている[4]。
イージスBMD 3.0シリーズ
第一段階としてのイージスBMD 3.0シリーズでは、短距離弾道ミサイル(short-range ballistic missile, SRBM)および準中距離弾道ミサイル(medium-range ballistic missile, MRBM)への迎撃能力が整備された[5]。
まず2004年9月、交戦機能を省いて、遠距離の捜索と追跡(Long range surveillance & track)機能だけを実装したバージョンとしてBMD 3.0Eが先行して実用化された。これにより、コンピュータ・プログラムの改良によって、レーダー・エネルギーを集中させて弾道ミサイルを追尾することができるようになったほか、IBS(Integrated Broadcast Service、統合同軸報送信サービス)に接続するための端末装置であるJTT(Joint Tactical Terminal)が搭載された[6]。続いて2005年春には、SM-3ブロックIによる交戦機能を追加したBMD 3.0が実用化された。この時点では、BMD 3.0を搭載したのはいずれもタイコンデロガ級であり、アーレイ・バーク級の改修内容は、BMD 3.0Eによる捜索・追跡機能に限られた[3]。
その後、2006年8月には、SM-3ブロックIAの運用に対応したBMD 3.6が承認された[3]。BMD 3.0はあくまで予備的な交戦機能(Preliminary Engagement Capability)しか備えていなかったのに対し、BMD 3.6は実戦的な交戦機能(Operational Engagement Capability)を備えたものと位置付けられている[5]。スタンダードSM-3の精密な射撃のため、発射直前まで精確なGPSデータを算出するシステム(VGI)が導入されており、膨大な情報を処理するため、C&Dに補助コンピュータが追加されているほか、Mk.41発射機も、SM-3発射時の圧力に耐えられるように強化されるとともに、データ転送用の光ファイバー回線も追加された。これにより、発射時の座標は、個々のミサイル・セルの単位で直前まで正確に計算され、入力される。こちらはタイコンデロガ級とアーレイ・バーク級の両方に搭載されていったほか、日本のこんごう型でも搭載された[3]。サブバージョンとしてのBMD 3.6.1では初期的なLOR(Launch on Remote)が導入された[5]。これは自艦の前方に展開した他のセンサーからの情報に基づいてSM-3を発射、自艦のレーダーで目標を捉えた時点で最終誘導に入って迎撃するものである[4]。
イージスBMD 4.0シリーズ
第二段階としてのイージスBMD 4.0シリーズでは、迎撃ミサイルをSM-3ブロックIBに更新することで、SRBM・MRBMに加えて、限定的ながら中距離弾道ミサイル(IRBM)への迎撃能力も付与される。またLOR機能も更に拡張されるほか[5]、新型のBSP(BMD Signal Processor)を導入するなど、レーダー信号処理能力の強化も図られる[4]。
イージスBMD 5.0シリーズ
BMD 4.0をもとに、AWSベースライン9.C1と統合したのがBMD 5.0である。BMD 4.0以前では、対空戦(Anti-aircraft warfare, AAW)機能とミサイル防衛(BMD)機能とで異なるプログラムを切り替えて使用していたが、BMD 5.0では同時に使用できるようになり、IAMD(integrated air and missile defense)が実現される。改良型のBMD 5.0CUでは、SM-6の運用にも対応し、終末段階での弾道ミサイル迎撃も可能となった[5]。
BMD 5.1はAWS ベースライン9.C2と統合されたものとなり、迎撃ミサイルをSM-3ブロックIIAに更新してIRBMへの本格的な対処能力を獲得するとともに、EOR(Engage on Remote)にも対応する[5]。これは、イージスBMD艦自身のレーダーで目標を探知する前に、地上レーダーや衛星などからの情報だけで迎撃ミサイルを発射し、前方のレーダーに管制を委ねて迎撃するものであり、これによりSM-3ブロックIIAの長射程を活かし、自艦のレーダー範囲外の目標も迎撃することができる[4]。
迎撃ミサイル
もともと、イージス艦によるTMDは、下層防衛を担当するSM-2ERブロックIVAによる海軍地域防衛(Navy Area Defense, NAD)と、上層防衛を担当するSM-3による海軍戦域広域(Navy Theater Wide, NTW)の2種類があり、NADのほうが先行していたものの、2001年末にこちらは中止されたため、NTWとイージスBMDは同義となった[3]。その後、SM-2ERブロックIVAにかわる下層防衛用の迎撃ミサイルとして、SM-6を用いたSBT(sea-based terminal)の実験がなされている[7]。
フライト・テスト
2002年からSM-3を用いて23回の大気圏外での迎撃実験が行われ18回で迎撃に成功した。うち5回は日本の海上自衛隊によるもので4回の実験が成功を収めた。SM-2ブロック4を用いた大気圏内迎撃実験は、3回行われ全てで成功した。これらの実験とは別に、軌道を外れた人工衛星USA-193が2008年2月20日にSM-3ブロック1Aを用いて撃墜された[8]。
国防省の運用試験評価局は、SM-3ブロック1Aを用いたミッドコース段階での準中距離弾道ミサイルを迎撃する能力を継続的に示していることを確認したとしている。
初めての試験であるFM-2は2002年1月25日に行われ、SM-3を用いてUnitary TTV short-range targetを大気圏外で迎撃することに成功した。
2003年6月18日に行われたFM-5では、初めて目標の迎撃に失敗した。
2005年11月17日に行われたFTM 04-2 (FM-8)では、初めて分離型の準中距離ターゲットが目標として用いられ、撃墜に成功した。
2007年12月17日に行われたJFTM-1では、海上自衛隊の「こんごう」がカウアイ島の太平洋ミサイル試射場から発射された分離型の準中距離ターゲットの撃墜に成功した[9]。
2008年11月19日のJFTM-2では、海上自衛隊の「ちょうかい」が分離型の準中距離ターゲットの撃墜に失敗した[10]。
2009年10月17日に行われたJFTM-3では、海上自衛隊の「みょうこう」が分離型の準中距離ターゲットの撃墜に成功した。レイク・エリーとポール・ハミルトンが目標追跡に協力した[11]。
2010年10月28日に行われたJFTM-4では、海上自衛隊の「きりしま」が分離型の準中距離ターゲットの撃墜に成功した。レイク・エリーとラッセルが目標追跡に協力した[12]。
2011年4月14日に行われたFTM-15では、ブロック1Aを用いて中距離弾道ミサイルの迎撃に成功した。「Launch on Remote」が初めて試みられた例でありクェゼリン環礁から発射された射程3000-5500kmのトライデント改造標的を1000km以上離れたウェーク島のAN/TPY-2が探知し、情報をオカーンに伝達してSM-3を発射した[13]。
ブロック1Bを使用する初のテストとなったFTM-16は2011年9月1日におこなわれ、「レイク・エリー」は短距離弾道ミサイルの撃墜に失敗した[14]。
2017年2月3日に行われたSFTM-01では、ブロック2Aを使用する初のテストとなり、「ジョン・ポール・ジョーンズ」が準中距離弾道ミサイル標的の撃墜に成功した[15]。
2017年6月21日に行われたブロック2Aを使用するSFTM-02では、「ジョン・ポール・ジョーンズ」が中距離弾道ミサイル標的の撃墜に失敗した[16]。
2018年9月12日に行われたJFTM-5では、海上自衛隊の「あたご」がSM-3ブロック1Bにより分離型の準中距離ターゲットの大気圏外での迎撃に成功した[17]。
2020年11月16日に行われたFTM-44では、「ジョン・フィン」がSM-3ブロック2Aにより大陸間弾道ミサイル標的の撃墜に成功した。SM-3シリーズにとって初のICBMを標的とした試験である[18]。
配備
アメリカ海軍
FY2011時点で23隻のタイコンデロガ級巡洋艦とアーレイ・バーク級駆逐艦がBMD能力を獲得しており、111のSM-3ミサイルが配備されている。現在の計画ではFY2016までにBMD能力獲得艦は33隻に増勢し、SM-3ミサイルの数は257発に増加する[7]。
日本
海上自衛隊
1993年5月29日の北朝鮮によるミサイル発射実験を受けて、同年12月、日米による戦域弾道ミサイル防衛(TMD)検討の作業部会が設置され、日本政府でもミサイル防衛能力について本格的な検討が開始された[19]。また平成7年度からは、正式に「我が国の防空システムの在り方に関する総合的調査研究」に着手した[20]。そして1998年8月31日のテポドン1号の発射実験を受けて、対処手段の具体的検討に入り、1999年より海上配備型システムについて海自と米海軍による日米共同技術研究が開始され[21]、2003年12月には、小泉純一郎政権下で安全保障会議及び閣議(第2次小泉内閣)において「弾道ミサイル防衛態勢の整備」を決定した[22]。
そして2004年4月、航空自衛隊のパトリオットミサイル・システムの能力向上やBADGEシステムの改修とともに、こんごう型(63DDG)へのイージスBMDシステム搭載が決定された[4]。これを受けて、平成16年度から平成19年度予算で、同型4隻へのイージスBMD 3.6システム搭載改修が順次に実施された。各艦は改修後、カウアイ島沖の太平洋ミサイル試射場での迎撃実験を経て帰国し、配備についている。これらの艦に搭載するSM-3ブロック1Aミサイルは、有償援助調達(FMS)によって36発が購入された。上記のとおり、各艦が1回ずつの迎撃実験を行っており、毎回1発ずつを発射していることから、残弾は32発である。これらのミサイルの調達や各艦のBMD改修、迎撃実験などに要したコストは、合計で約1,500億円であった。また続いて建造されたあたご型(14DDG)は、建造当初はイージスBMDシステムを搭載していなかったが、AWSをベースライン9にアップデートするのとあわせてイージスBMD 5.0システムを搭載することになり、2016年より改修が開始されている[19]。
また日本はSM-3ブロック2Aの開発に参加しており、クラムシェル型ノーズコーンと第二弾ロケットモーター、キネティック弾頭の一部を担当している。2波長赤外線シーカーについては日米で異なる種類のものを開発し、どちらかを採用する[23]。
2009年4月5日に行われた北朝鮮によるミサイル発射実験の際には、ロケット本体や破片が日本の領土、領海に落下した場合に迎撃することが決定された。事前に防衛大臣(当時:浜田靖一、麻生内閣)から「弾道ミサイル等に対する破壊措置命令」が発出され、自衛隊はBMD統合任務部隊を編成した。「こんごう」および「ちょうかい」が日本海へ、PAC-3部隊が東北地方と首都圏の自衛隊駐屯地に展開された。ミサイルは11時37分頃に東北地方から太平洋に通過し破壊措置命令は解除された。
2012年4月に予定されている北朝鮮によるミサイル発射実験では、ミサイルは黄海沿岸の平安北道鉄山郡東倉里から南方に打ち上げられ沖縄県先島諸島上空を通過すると見られる。2009年の際と同様に領土領海への破片落下の際に迎撃することが決定し、3月30日に破壊措置命令が発令された。沖縄周辺海域に2隻、日本海に1隻のこんごう型護衛艦を配置する。
2016年8月3日に北朝鮮が発射の兆候が掴みにくい移動式発射台からノドンを発射し、秋田県男鹿半島の西の海域に落下した。これを受け、それ以降破壊措置命令は3ヶ月毎に更新され続けており「常時発令」体制となっている。防衛省の敷地内にPAC-3・日本海にイージス艦という配置にて北朝鮮のミサイルに対する継続警戒を行っている[24]。
陸上自衛隊
2017年、日本政府はイージス・アショア(英: Aegis Ashore、陸上配備型のイージス・システム)の導入を決定した。防衛省は防衛白書においてその背景を北朝鮮の核実験、ミサイル発射の頻陸上配備型のイージスBMDシステム発等説明している[25]。
配備地は秋田、山口に決定され、2019年現在の地元住民への説明を行っている段階で[26]、報告書に誤りが発覚し、また、2019年6月に秋田市で開催された説明会では住民の怒号が飛び交い、説明会で防衛省東北防衛局調達部次長が居眠りをするなどの失態もあり、怒った住民参加者により、伊藤茂樹防衛省東北防衛局長のマイクが奪われるなどの混乱も生じた[27][28]。
これらの事態を受け、6月17日に岩屋毅防衛大臣が秋田県庁や秋田市役所を訪れ、佐竹敬久秋田県知事及び穂積志秋田市長に対し、謝罪を行った[29]。
山口県でも地元萩市の藤道健二市長から「調査に対する信頼が損なわれることにもなりかねない」との批判が出るなどし[27]、7月3日に岩屋毅防衛大臣が山口県庁を訪れ、村岡嗣政山口県知事や、藤原萩市長に謝罪を行った[30]。
一連の事態に関し、岩屋防衛大臣は更迭人事などは行わない方針を示していたが、7月10日付の人事で、本省では計画を担当した深澤雅貴官房審議官がサイバーセキュリティ・情報化審議官に異動となり、東北防衛局でも伊藤東北防衛局長が報道官に、説明会で居眠りをした調達部次長が北関東防衛局調達部付にそれぞれ異動となるなどした[28]。
9月には自由民主党秋田県支部連合会会長の金田勝年衆議院議員が、「ずさんな調査や緩みがあったことは残念だ」と防衛省の対応を批判した上で、全候補地のゼロベースでの再調査を申し入れ、これを受けた防衛省は、秋田県、青森県、山形県の20の国有地の再調査を行った[31][32]。
2020年6月15日、河野太郎防衛大臣はSM-3のイージス・アショア配備に関するプロセスを停止することを表明した。迎撃ミサイルを発射する際に使う「ブースター」と呼ばれる推進補助装置を、演習場内に落下させると説明していたが、確実に落下させるためには、ソフトウェアの改修だけでは不十分だと分かったため[33][34][35][36]。
ヨーロッパ
欧州ミサイル防衛システム(英語: NATO missile defence system)の強化計画であるEPAA(European Phased Adaptive Approach)の一角を担うものとして採用された。米国が進めるIAMD(統合防空ミサイル防衛)と歩調を合わせる形で、BMD対応イージス艦と陸上型システムであるイージス・アショアが導入される。1つのイージス・アショアは陸上型SPY-1レーダーと24基のSM-3ミサイルを備えるVLS(Vertical Launching System, 垂直発射システム)から構成される。VLSは海軍のイージス艦で用いられている既存のVLSを基に移動可能なものが開発される[37]。
EPAAは以下の4段階に分けられ、2011年から2020年にかけて漸進的に進められる[38]。
- 第一段階 - 2011年までにブロック1Aを装備したアメリカ海軍の既存のBMD対応イージス艦をヨーロッパに配備する。以後の段階でヨーロッパに配備されるイージス艦も増強される。最初に派遣されたのはノーフォーク海軍基地を母港とする「モンテレー」で、2011年3月から半年間地中海に配備された。2011年10月5日にアメリカとスペイン、NATOは共同で、4隻のBMD能力獲得イージス艦をスペインのロタに2014年から前進配備させると発表した。
- 第二段階 - 2015年を目標としてイージス・アショア・サイトを1つ南ヨーロッパ(ルーマニアを予定)に建設し、SM-3ブロック1Bが新たに配備される。
- 第三段階 - 2018年を目標として新たに中距離弾道ミサイルにも対応し、2つ目のイージス・アショア・サイトを北ヨーロッパ(ポーランドを予定)に建設する。SM-3ブロック2Aが新たに配備される。
- 第四段階 - 約10年後を目標としてブロック2Bを用いて中東からの大陸間弾道ミサイルに対応させる。
脚注
注釈
出典
- ^ O'Rourke 2016, pp. 1–2.
- ^ a b c 香田 2018.
- ^ a b c d e 野木 2009.
- ^ a b c d e 山崎 2010.
- ^ a b c d e f O'Rourke 2016, p. 4.
- ^ 岡部 2006.
- ^ a b O'Rourke 2016, p. 6.
- ^ O'Rourke 2016, p. 41.
- ^ “Japan/U.S. Missile Defense Flight Test Successful”. Missile Defense Agency (17 December 2007). 2012年3月30日閲覧。
- ^ “Japan/U.S. Missile Defense Flight Test Completed”. Missile Defense Agency (November 19, 2008). 2012年3月30日閲覧。
- ^ “Japan/U.S. Missile Defense Flight Test Successful”. Missile Defense Agency (October 28, 2009). 2012年3月30日閲覧。
- ^ “Joint Japan-U.S. Missile Defense Flight Test Successful”. Missile Defense Agency (October 29, 2010). 2012年3月30日閲覧。
- ^ “Sea-based Missile Defense Flight Test Results in Successful Intercept”. Missile Defense Agency (April 15, 2011). 2012年3月30日閲覧。
- ^ “Sea-Based Missile Defense Test Conducted”. Missile Defense Agency (September 1, 2011). 2012年3月30日閲覧。
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- ^ “イージス護衛艦「あたご」からのSM-3ブロックⅠB発射試験の結果について”. 防衛省 (2018年9月12日). 2018年9月13日閲覧。
- ^ “U.S. successfully conducts SM-3 Block IIA Intercept Test against an Intercontinental Ballistic Missile Target”. Missile Defense Agency. 2020年11月24日閲覧。
- ^ a b 岡部 2018.
- ^ 防衛庁 (1999年). “弾道ミサイル防衛に関する日米共同技術研究”. 2017年12月21日閲覧。
- ^ 官報資料版 平成11年4月7日、首相官邸
- ^ 内閣官房長官談話、首相官邸、平成15年12月19日
- ^ 参考資料ー自衛隊の現状と課題ー、防衛庁、平成16年7月13日
- ^ 破壊措置を「常時発令」=北朝鮮ミサイル警戒で - 時事通信 2016年8月8日
- ^ “コラム|<解説>陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)について”. 平成30年版防衛白書. 防衛省・自衛隊. 2019年6月15日閲覧。
- ^ “陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)に関する秋田県及び山口県への説明について”. 防衛省・自衛隊. 2019年6月15日閲覧。
- ^ a b イージス候補地「いい加減にしろ」 相次ぐ失態に不信感 - 朝日新聞デジタル 2019年6月10日
- ^ a b 「地上イージス担当者が異動 調査ミスや居眠り 問題続出」 - 東京新聞 2019年7月10日
- ^ イージス・アショア防衛相が秋田県知事に陳謝 - NHK 2019年6月17日
- ^ 秋田に続き山口でも批判噴出 陸上イージス、報告書巡り - 朝日新聞デジタル 2019年7月4日
- ^ 地上イージス再調査で防衛省に要望 本県選出の自民国会議員 - 秋田魁新報 2019年9月5日
- ^ 「秋田県選出の自民議員、イージスアショア配備で再調査を要求」 - 毎日放送 2019年9月6日
- ^ 河野防衛相「イージス・アショア」配備計画停止を表明 - NHK 2020年6月15日
- ^ イージスアショアの配備プロセスを停止=河野防衛相 - トムソンロイター 2020年6月15日
- ^ 「イージス・アショア」国内配備停止 防衛相が表明 - 毎日新聞 2020年6月15日
- ^ イージス・アショアの配備について - 防衛省 2020年6月15日
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参考文献
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- 岡部, いさく「海自イージス艦のBMD能力」『世界の艦船』第874号、海人社、2018年2月、78-95頁。
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