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「Chromium」の版間の差分

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2020年9月6日 (日) 06:40時点における版

Chromium
Chromiumのスクリーンショット
作者 Google
開発元
初版 2008年9月2日 (16年前) (2008-09-02)
最新評価版 120.0.6099.44[2] ウィキデータを編集 - 2023年12月12日 (11か月前) [±]
リポジトリ ウィキデータを編集
プログラミング
言語
使用エンジン
対応OS
プラットフォーム
種別 ウェブブラウザ
ライセンス
公式サイト www.chromium.org/Home ウィキデータを編集
テンプレートを表示

Chromium(クロミウム)は、オープンソースウェブブラウザのプロジェクトである。

特徴

ソースコード

Google Chromeはこのソースコードを引き抜いて開発されたものである[10]オペラ・ソフトウェアが開発するウェブブラウザのOperaも、2013年7月に安定版がリリースされたバージョン15以降、Chromiumをベースとしている[11]

このプロジェクトで開発されるChromiumのスナップショットは、Googleによるいくつかの追加機能を除いて、Google Chromeの最新ビルドと本質的に似ている[12]。Google ChromeにありChromiumにない代表的な機能要素は、Googleブランド、自動アップデート機能、クリックラップ契約(利用許諾に「同意する」を押下することで承諾するもの)、RLZトラッキング機能、Adobe Flash Playerの同梱などがある。

Chromiumプロジェクトの名前の由来は、鉄などのめっきに使われることで知られる金属系元素クロム英語でchromium)である。そのクロムめっきを施した金属を英語で chrome と呼ぶことから、「(Google) Chromeを作るのに使うモノ」という意味でこの名称となった[13]。Googleは自身の考えとして、開発者向けの文書上でChromiumはオープンソースプロジェクトの名称で、最終的な製品名称はChromeにすると述べた[14]。ただし、他の開発者たちはChromiumのコードを用いて"Chromium"という名前でのビルドを作成している。

プロジェクトの大きな目的のひとつとして、Chromeはウェブにおけるタブ付きのウィンドウマネージャもしくはシェルになることであり、既存のウェブブラウザとは対照的である。この考えはWindows ExplorermacOSFinderを簡素化させるのと同じようにこのアプリケーションも簡素化を図っている。このことについて開発者は「(体感および物理的に)軽量で高速に感じなければならない」と説明している[15]

ChromiumとGoogle Chromeの相違点

Chromiumはオープンソースプロジェクトに対して与えられた名称であり、Chromiumプロジェクトによってブラウザのソースコードの提供や保守を行っている[16]。最新のプリコンパイルされた状態のファイルをWindowsやLinux、Macにインストールすることができ[17]、またダウンロードしたソースコードを各々のプラットフォームにて手動でビルドさせることもできる。2016年に改めて「ChromeとChromiumの違い」を公的に発表[18]

Google Chromeには、以下の機能が加わる:

  • Flash Playerの同梱[19](ただし、2020年12月31日で提供終了)
  • Googleの名称とそのブランドロゴ
  • 自動アップデート機能 (Google Update)
  • Googleへの利用状況やクラッシュレポート送信機能
  • RLZトラッキングの送信機能
  • サンドボックス機能の常時有効化
  • Chrome Web Storeを経由したエクステンション限定

2010年6月にGoogleは、利用者がアドレスバーからGoogle検索を利用する際に任意の文字列をGoogleへ送信されるRLZトラッキングのトークン情報について公表し、これらはマーケティングプロモーションとディストリビューションパートナーから提供されたChromeに対して入っており、Googleから直接ChromeをダウンロードしたものやChromiumではバージョンに関わらずRLZの導入はしていないとコメントした。同時にRLZのソースコードが公開され、開発者がその動作の仕組みを確認することができるようになった[20]

ライセンス

Googleが作成し提供した部分についてはBSDライセンスとなっているが[21]、その他の部分についてはそれぞれ異なるオープンソース系のライセンスを採用しており、MIT LicenseLGPL、Microsoft Public License (MS-PL)、MPL/GPL/LGPLのトリプルライセンスがある[22]

歴史

Chromium 11まで使用されたロゴマーク

Chromiumはオープンソースプロジェクトであり、またGoogle Chromeの成果ともいえるため、両者の歴史は絡み合うものとなっている。Chromiumプロジェクトの全ての開発成果が発展することでChromeのリリースに繋がっている。

WebKit時代

Google Chromeが最初に提供されたのは2008年の9月で、それに伴う形でChromiumのソースコードの配布も始められ、そこからビルドができるようになっていた。最初のコードはWindowsにMac OS X、さらにはLinux向けのビルドが含まれていたが、後者の環境では開発の初期的な段階で完全に機能を果たすためには不足があった。Chromium 1.0は2008年12月にリリースされ、同時にChromeもWindows版のみベータの文字列が外された[23][24]

2009年1月、devバージョンのChromium 2.0が提供され、ブックマークマネージャの搭載、グラデーションやマスクといった非標準のCSS機能に対応させた[25]

2009年5月には最初のLinux版としてアルファ版Chromiumが公開された。このアルファ版についてRyan Paulは「機能はまだなく、多くのレンダリングにバグがあるものの、明確に正しい方向へ進んでいる」と発言した。同年6月にLinuxとMac OS X向けに最初のChromeの開発版が提供されたが、Adobe Flashの再生やプライバシーや既定の検索エンジンの変更、印刷機能やお気に入りの機能には対応していなかった。7月にはLinux版においてテーマ(外装部分)がGNOMEのデスクトップ環境で利用されるGTK+を採用した[26][27][28][29]

Chromium 3.0は2009年5月28日に内部バージョン3.0.182.2としてリリースされた[30][31]。2009年9月にはJavaScriptエンジンの高速化、ユーザーが自由に変更できるテーマの新設、Omnibox(アドレスバー)の改善、「新しいタブ」ページのデザイン変更が行われた[32]

Chromium 4.0は2009年9月22日にリリースされた[30][33]。拡張機能の対応、ブックマークの同期機能が搭載され、Max OS XおよびLinux版のChromeのベータ版と共に搭載された。2010年4月末で全てのプラットフォームにおけるChrome/Chromium 4.0の市場浸透率が6.73%あると報告されている[34][35][36][37]

Chromium 5.0は2010年1月26日に5.0.306.0としてリリースされた[30][38]。OMG! Ubuntu!によればLinuxのブラウザにおけるChrome/Chromiumの利用率は36.53%であり、その他はFirefoxが55.42%、Operaは2.82%であった[35][39][40][41]

Chromium 6.0は2010年5月に6.0.397.0としてリリースされた。Chromium 6ではユーザインターフェイスの簡素化に注目し、統一された設定メニュー、ホームページボタンの非表示(設定から表示変更可能)"goボタン"の削除、"リロード"と"中止"ボタンの統合、ブックマークバーの非アクティブ化、完全なPDFリーダー機能の内蔵、フリーのVP8ビデオ圧縮技術、HTML5ビデオで利用されるWebMコーデック、URLバーのスマート化が図られた[30][42][43]。Chrome 6は安定版とベータ版の二つのバージョン (6.0.472.43) が2010年9月2日に公開された。また、セキュリティ問題やユーザインタフェースの微々な修正、オートフィルの改善、拡張及びオートフィルデータの同期機能の追加とともに速度と安定性を改善させた[44]

Chromium 7.0は2010年8月17日に7.0.497.0としてリリースされた。HTML5のパフォーマンスをChromium 6.0比で2倍にした。また、ハードウェアアクセラレーション機能も追加され、複雑なグラフィックでは225倍もの速度向上が見られた。その他、インスタント検索の統合やJavaScriptのパフォーマンスを3%向上させた[30][45][46][47]

Chromium 8は2010年10月7日と7.0のリリースから7週半程度で公開された。最初のバージョンは8.0.549.0であった。このバージョンではGoogle Chrome OSとの統合の強化に重点が置かれ、クラウドコンピューティング機能の搭載が行われた。これらはバックグラウンドでウェブアプリケーションを実行させることでシステムの起動時などでもそれが利用できる機能やリモートホスト(他のコンピューターから集中的にコンピューターを設定管理できる機能)、クラウド印刷機能が導入された[30][47]

Chromium 9.0は2010年10月23日と8.0のわずか16日後にバージョン9.0.562.0として公開された。このバージョンではなりすましたウェブサイトへ遷移する際にインフォメーションバーで告知する機能が導入された。Chrome 9をレビューしたWolfgang GruenerはChrome 9の最初のビルドのファイルサイズが圧縮された状態で28.2MBあり、これがChrome 3と比べて倍になったことについて「目立ったのは容量がより膨れあがったこと」と発言した。また、Gruenerはメジャーバージョンのナンバリングをうわべで気ままにつけることに批評し、「進行がとある基準より進んでいても、バージョンのナンバリングは度を超している。Googleは今年の終わりには7か8のバージョンを重ねるだろう。いくつかの戦略の利点について疑問を感じる。」と発言した[30][48]

Chromium 10.0は2010年12月3日にバージョン10.0.602.0として公開された。

2011年10月19日にChromium 17.0にバージョンアップされ17.0.913.0として公開された。

Chromium 18.0は、2011年12月6日にバージョン18.0.964.0として公開された。

Blink時代

2013年4月3日、GoogleはChromiumのレンダリングエンジンWebKitのソースコードからフォークした新たな独自レンダリングエンジンBlinkに変更した[49][50][51]マルチプロセスアーキテクチャを採用したプログラムをエンジンにしたため、WebKitとの分岐点が明瞭になった。従って、ユーザーエージェントにAppleWebKit/537.36が、現在もそのまま残されている。

2018年11月21日時点のhtml5testの点数は535点[52]

2018年12月6日Microsoft EdgeがChromiumベースで開発されることが発表され[53]、翌2019年4月8日に64bit版Windows 10向けのプレビュー版が公開された[54]

2020年1月15日、ChromiumベースのMicrosoft Edgeが正式リリース、ダウンロード提供開始。

Chromiumベースのブラウザ

コミュニティへの提供

Chrome 4 DevにおけるAcid3のテスト結果

多くの開発者はChromiumのソースコードをコンパイルし、様々な形でLinuxとBSDの各ディストリビューションへ、またはmacOSやWindowsのユーザーへとウェブブラウザが提供されている。

Chromiumブランドでのリリース

  • Arch Linuxでは公式リポジトリのパッケージとして提供[55]
  • Debianでは利用可能[56]
  • Fedoraでは非公式のリポジトリとして提供されている。
  • FreeBSDでは2009年末からパッケージが提供され、portsシステムから受けることができる[57][58]
  • Gentoo Linuxでは2010年3月から公式リポジトリのパッケージとして提供されている[59]
  • Lubuntuは既定のブラウザとなっている[60]
  • Raspberry Pi OSでも既定のブラウザとなっている。
  • Mac OS Xでは2009年9月よりテストが始まった[61]
  • Maemoではproof-of-conceptのChromiumとしてユーザーインタフェースを変更せず2010年4月11日に提供された[62]
  • openSUSEではリポジトリから提供されている[63]
  • Puppy LinuxではChromium 5.0.342をUbuntuのリポジトリから流用したLucid Puppy 5.0.0から提供されている[64]
  • UbuntuはUbuntu 10.04 LTSのUbuntu Software CenterにあるUniversalリポジトリから提供されている。最初のバージョンは2010年4月の5.0.342.9で、同バージョンのChromeの安定版が提供されるまでChromiumのバージョンアップが続けられている[65]

CrossOver Chromium

  • CrossOver ChromiumではWineのようなプログラム上でChromiumを動作させるもので非公式ながらバンドルされており、2008年9月15日にChromium Developer Build 21からLinux及びMac OS X向けに作られている[66][67]

CoolNovo

  • CoolNovoはWindows及びLinuxで動作するブラウザで、マウスジェスチャーやリンクのドラッグ、Internet Explorerのエンジンを利用して読み込む機能がある[68]

Comodo Dragon

  • Comodo Dragonは、ネットワークセキュリティ企業のComodoが32ビット版のWindows XP、Vista、7向けに独自のロゴマークをつけたブラウザである[69]

Iron

  • SRWare Ironは、Chromiumに広告ブロックやユーザーエージェントの変更機能を付加したブラウザで、Windows、macOS、Linux、Androidに対応する[70]。日本語に対応。メンテナンス継続中。Windows用は32-Bit版、64-Bit版、32-Bit版Portable、64-Bit版Portableの4種類があり、どちらも2019年5月時点でWindows 7, 8, 10をサポートしている(Windows XPとVISTAのサポートは2016年4月30日のVer49まで、なお、Firefoxは2018年6月26日のESR 52.9.0まで)。

脚注

  1. ^ Chromium Blog: Intent to Explain: Demystifying the Blink Shipping Process”. 7 May 2020閲覧。
  2. ^ "Android: Version120.0.6099.44"; 閲覧日: 2023年12月20日; 出版日: 2023年12月12日.
  3. ^ Chromium (Google Chrome)”. Ohloh.net. 8 February 2012閲覧。
  4. ^ Chromium coding style”. Google Open Source. Google Source. 29 March 2017閲覧。
  5. ^ Chromium Browser on FreeBSD”. 28 March 2020閲覧。
  6. ^ Open-sourcing Chrome on iOS!” (2017年). 28 March 2020閲覧。
  7. ^ Download Chromium”. The Chromium Project. 17 August 2019閲覧。
  8. ^ OpenBSD Ports”. 28 March 2020閲覧。
  9. ^ Updates to Chrome platform support”. Google Blog (2015年). 31 March 2017閲覧。
  10. ^ 西村 賢 (2009年3月30日). “開発者に聞く、Google Chromeが目指すもの”. @IT (アイティメディア). http://www.atmarkit.co.jp/news/200903/30/chrome.html 2010年10月27日閲覧. "Google Chromeはオープンソースの「Chromium」をベースとしているため" 
  11. ^ 佐藤 由紀子 (2013年7月3日). “「Opera 15」の安定版リリース 「Opera 12」も並行して提供継続”. ITmedia. http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1307/03/news028.html 2015年9月3日閲覧。 
  12. ^ McAllister, Neil (2008年9月11日). “Building Google Chrome: A first look”. Fatal Exception (InfoWorld). http://weblog.infoworld.com/fatalexception/archives/2008/09/building_google.html 2008年9月16日閲覧. "As the name suggests, Chromium is a rawer, less polished version of Chrome. The UI is mostly identical, with only a few very minor visual differences...The most readily evident difference is the logo, which sheds the Google colors in favor of a subdued blue design" 
  13. ^ Welcome to Chromium”. The Chromium Blog (2008年9月2日). 2010年10月26日閲覧。 “The open source project is called Chromium - after the metal used to make chrome.”
  14. ^ Coding Style (Chromium Developer Documentation)”. Chromium Developer Documentation. dev.chromium.org (2009年). 2009年7月5日閲覧。.
  15. ^ User Experience (Chromium Developer Documentation)”. Chromium Developer Documentation. dev.chromium.org (2009年). 2009年7月5日閲覧。
  16. ^ Google Chrome, Chromium, and Google”. blog.chromium.org/. The Chromium Blog (2008年). 2010年2月17日閲覧。
  17. ^ Danger: Mac and Linux builds available”. blog.chromium.org/. The Chromium Blog (2009年). 2010年5月24日閲覧。
  18. ^ 外部リンク webcache.googleusercontent.comからのアーカイブ 5 Jan 2018 14:57:51 UTC 以前は執拗に著作権管理のため除去を行っていたものの、2018年現在PDFビューアはChromiumに正規に組み込まれ、対応メディアコーデックもGoogle Chromeと変わらない。
  19. ^ Bringing improved support for Adobe Flash Player to Google Chrome
  20. ^ Google (2010年6月). “In The Open, For RLZ”. 2010年6月20日閲覧。
  21. ^ Home (Chromium Developer Documentation)”. Chromium Developer Documentation. dev.chromium.org (2009年). 2009年5月5日閲覧。
  22. ^ Chromium Terms and Conditions”. Google Code (2008年9月2日). 2008年9月3日閲覧。
  23. ^ Paul, Ryan (2008年9月). “Google unveils Chrome source code and Linux port”. 2010年6月19日閲覧。
  24. ^ Paul, Ryan (2008年12月). “Google releases Chrome 1.0”. 2010年6月19日閲覧。
  25. ^ Paul, Ryan (2009年1月). “Hands on: Google leaps forward with Chrome 2.0 dev. preview”. 2010年6月19日閲覧。
  26. ^ Paul, Ryan (2009年5月). “Hands on: Google Chromium browser alpha for Linux”. 2010年6月20日閲覧。
  27. ^ Paul, Ryan (2009年6月). “Google releases Chrome preview for Mac OS X and Linux”. 2010年6月20日閲覧。
  28. ^ Paul, Ryan (2009年7月). “Google Chromium gains native theming support on Linux”. 2010年6月20日閲覧。
  29. ^ Smith, Mike and Karen Grunberg (2009年6月). “Danger: Mac and Linux builds available”. 2010年6月22日閲覧。
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  31. ^ Chromium Project (2009年5月). “Log of /releases/3.0.182.2”. 2010年10月23日閲覧。
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  33. ^ Chromium Project (2010年9月). “Log of /releases/4.0.212.0”. 2010年10月23日閲覧。
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  51. ^ “「Chromium」ベースの「Edge」、初のプレビュー版がリリース”. CNET Japan. (2019年4月9日). https://japan.cnet.com/article/35135453/ 2019年4月9日閲覧。 
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関連項目

外部リンク