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アン・モーティマー; Anne Mortimer
	モーティマー家; ケンブリッジ伯爵夫人
	ケンブリッジ伯爵夫人の紋章
出生	1390年12月27日; アイルランド、ウェストミーズ、ニュー・フォレスト
死去	1411年9月22日頃（20歳没）;
埋葬	ハートフォードシャー、キングス・ラングリー
配偶者	リチャード・オブ・コニスバラ
子女	イザベル（英語版）; ヘンリー; ヨーク公リチャード
父親	第4代マーチ伯ロジャー・モーティマー
母親	エレノア・ホランド（英語版）
宗教	ローマ・カトリック
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ケンブリッジ伯爵夫人アン・モーティマー（Anne Mortimer, Countess of Cambridge, 1390年 12月27日 - 1411年 9月22日頃）は、薔薇戦争の戦端を開いた第3代ヨーク公リチャード・プランタジネットの母で、イングランド王エドワード4世とリチャード3世の祖母。

生い立ち

アン・モーティマーは、1390年 12月27日、アイルランドにおけるモーティマー家の所領の一つ、ウェストミーズのニュー・フォレストで^[3]、第4代マーチ伯ロジャー・モーティマーとエレノア・ホランド（英語版）の4人の子の長子として生まれた。アンには2人の弟、第5代マーチ伯エドマンドとロジャー（1393年 4月23日 - 1413年頃）と妹エレノアがおり、エレノアはサー・エドワード・ド・コートニーと結婚したが子はなかった^[4]。

アンの母エレノアは、第2代ケント伯トマス・ホランドとアリス・フィッツアラン（英語版）の娘で、祖母アリスは第10代アランデル伯リチャード・フィッツアラン（英語版）とその2番目の妻エレノアの娘であり、曽祖母エレノアはイングランド王ヘンリー3世の孫・第3代ランカスター伯ヘンリーの娘だった^[5]。祖父のケント伯トマスはエドワード1世の曽孫で、ジョーン・オブ・ケントの最初の結婚における嫡男だった。

アンは母を通じてヘンリー3世およびエドワード1世の子孫であっただけでなく、より重要なのは、父方の祖母フィリッパ・オブ・クラレンス（ライオネル・オブ・アントワープの娘）を通じてエドワード3世の子孫であることだった^[6]。エドワード3世の長男の子であるリチャード2世に子が無かったために、アンの父である第4代マーチ伯ロジャー・モーティマーは、生涯リチャード2世の推定相続人とみなされ、1398年 7月20日にアイルランドで父が戦死すると王位継承権はアンの弟で長男のエドマンドに渡った。

1399年 9月30日、アンと彼女の弟妹の運勢は一変した。リチャード2世が、後にヘンリー4世となるヘンリー・ボリングブルックとその息子（後のヘンリー5世）率いるランカスター家によって廃位され、最初の議会でヘンリーが王位継承者として承認されたのである。アンの弟エドマンドとロジャーは新国王によってウィンザー城やバーカムステッド城（英語版）に拘留されたが礼をもって遇され、王の子であるジョンやフィリッパとともに育てられた^[7]。

R.A.Griffithsによれば、母エレノアに養育されていたアンと妹エレノアは、弟たちの様にはヘンリー4世に優遇されず、1405年の母の死後は「貧困者」として描かれている^[8]。

結婚と子女

1406年5月、アンは初代ヨーク公エドマンド・オブ・ラングリーとその最初の妻イザベラ・オブ・カスティル（カスティーリャとレオンの王ペドロ残酷王の娘でその共同相続人）の次男リチャード・オブ・コニスバラと結婚した。この結婚は保護者の同意なく行われたため^[9]、ローマ教皇の特免（papal dispensation）によって1408年 5月23日に認可された^[10]。

アン・モーティマーとリチャード・オブ・コニスバラは2男1女をもうけた^[11]。

イザベル（英語版）（1409年 - 1484年 10月2日） - 1412年、ノーサンバーランド、ノアハム（英語版）のサー・トマス・グレイ（英語版）（1385年頃 - 1415年）とアリス・ネヴィル（初代ウェストモーランド伯ラルフ・ネヴィルの娘）の息子で相続人のサー・トマス・グレイ（1404年 - 1426年以前）と3歳で婚約し、一人息子をもうけた^[12]。イザベルは1426年4月25日以前に初代エセックス伯ヘンリー・バウチャーと2度目の結婚をしたが、教皇の特免による結婚の認可は遅れた。ウィリアム、サー・ヘンリー、ハンフリー（1471年没）、グロービーのフェラーズ卿ジョン（1495年没）、サー・トマス、エドワード、フルクの7人の息子と一人娘イザベルをもうけた。
ヘンリー
リチャード（1411年 9月21日 - 1460年 12月30日） - 初代ウェストモーランド伯ラルフ・ネヴィルとジョウン・ボーフォート（ジョン・オブ・ゴーントの娘でヘンリー4世の異母妹）の末娘セシリー・ネヴィルと結婚し、エクセター伯爵夫人アン（英語版）、ヘンリー、エドワード4世、ラトランド伯エドムンド、サフォーク公爵夫人エリザベス（英語版）、ブルゴーニュ公妃マーガレット、ウィリアム、ジョン、クラレンス公ジョージ、トマス、リチャード3世、アースラの12子をもうけた。

1411年 9月22日頃、アンは息子リチャードの出産後まもなく死去した。彼女はハートフォードシャー、キングス・ラングリー（英語版）のかつてキングス・ラングリー宮殿（英語版）があった敷地内の、おそらく夫の両親、エドマンド・オブ・ラングリーとイザベラ・オブ・カスティルの墓所だった修道院教会に埋葬された。

1415年、ケンブリッジ伯リチャードは、ヘンリー5世に代えてアンの弟・第5代マーチ伯エドマンドを王位に就けようと企てたが、マーチ伯自身がヘンリー5世に知らせたため、首謀者として処刑された（サウサンプトンの陰謀事件（英語版））。同年10月にはリチャードの兄・ヨーク公エドワードが子の無いままアジャンクールの戦いで戦死したため、息子リチャードが公爵位を継承した。

アンの死後、ケンブリッジ伯リチャードはモード・クリフォード（第6代ラティマー男爵ジョン・ネヴィルの離婚した妻で、第6代ド・クリフォード男爵トマス・ド・クリフォード（英語版）の娘）と再婚したが子はなかった^[13]。リチャードの死後、モードはコニスバラ城などで恵まれた暮らしをした（lived in great state）と言われている^[14]。彼女は1446年 8月26日に亡くなり、ヨークシャーのロッシュ修道院（英語版）に埋葬された。彼女は継子たちについては誰も何も言わなかったという、1446年8月15日付の遺言を残していた。

系図

ヘンリー3世

エドワード1世

エドマンド
ランカスター伯

エドワード2世

ジョーン・オブ・エーカー

ヘンリー
ランカスター伯

エドマンド・オブ・ウッドストック
ケント伯

エドワード3世

エリザベス・ド・クレア

ウィリアム・ドン・ド・バラ
アルスター伯

モード・オブ・ランカスター

エレノア・オブ・ランカスター

ジョーン・オブ・ケント

エドワード黒太子

ジョン・オブ・ゴーント
ランカスター公

エドマンド・オブ・ラングリー
ヨーク公

ライオネル・オブ・アントワープ
クラレンス公

エリザベス・ド・バラ
アルスター女伯

リチャード2世

ヘンリー4世

フィリッパ・オブ・クラレンス
アルスター女伯

エドマンド・モーティマー
マーチ伯

アリス・フィッツアラン

トマス・ホランド
ケント伯

ヘンリー5世

ヘンリー・パーシー
（ホットスパー）

エリザベス・モーティマー

ロジャー・モーティマー
マーチ伯

エレノア・ホランド

ヘンリー6世

リチャード・オブ・コニスバラ
ケンブリッジ伯

アン・モーティマー

エドマンド・モーティマー
マーチ伯

リチャード・プランタジネット
ヨーク公

祖先

アン・モーティマーの系譜

16. サー・エドマンド・モーティマー（英語版）

8. ロジャー・モーティマー (第2代マーチ伯)（英語版）

17. エリザベス・ド・バドルズミア（英語版）

4. エドマンド・モーティマー (第3代マーチ伯)

18. ウィリアム・モンタキュート (初代ソールズベリー伯)（英語版）

9. フィリッパ・モンタキュート

19. キャサリン・グランディスン（英語版）

2. ロジャー・モーティマー (第4代マーチ伯)

20. エドワード3世 (イングランド王)

10. ライオネル・オブ・アントワープ

21. フィリッパ・オブ・エノー

5. フィリッパ・オブ・クラレンス

22. ウィリアム・ドン・ド・バラ (第3代アルスター伯)（英語版）

11. エリザベス・ド・バラ (第4代アルスター女伯)（英語版）

23. モード・オブ・ランカスター（英語版）（15 の姉）

1. アン・モーティマー

24. ロバート・ホランド (初代ホランド男爵)（英語版）

12. トマス・ホランド (初代ケント伯)

25. モード・ラ・ズーチ

6. トマス・ホランド (第2代ケント伯)

26. エドマンド・オブ・ウッドストック (初代ケント伯)（英語版）（20 の叔父）

13. ジョーン・オブ・ケント

27. マーガレット・ウェイク（英語版）

3. エレノア・ホランド（英語版）

28. エドマンド・フィッツアラン (第9代アランデル伯)

14. リチャード・フィッツアラン (第10代アランデル伯爵)（英語版）

29. アリス・ド・ワーレン（英語版）

7. アリス・フィッツアラン（英語版）

30. ヘンリー (第3代ランカスター伯)

15. エレノア・オブ・ランカスター

31. モード・チャワース（英語版）

脚注

^ 実際に夫リチャードがケンブリッジ伯に叙されたのは、アンの死後の1414年のことである。
^ Pinches, John Harvey; Pinches, Rosemary (1974), The Royal Heraldry of England, Heraldry Today, Slough, Buckinghamshire: Hollen Street Press, ISBN 0-900455-25-X
^ Keenan 2010, p. 509.
^ Cokayne 1932, p. 450; Richardson III 2011, p. 195; Richardson I 2011, p. 547.
^ Richardson III 2011, p. 195; Richardson II 2011, pp. 496–8
^ Richardson III 2011, pp. 193–5.
^ Tout 1885–90, pp. 123–5.
^ Griffiths 2004.
^ Cokayne 1912, p. 494
^ Richardson III 2011, p. 400; Harriss 2004.
^ Richardson IV 2011, pp. 400–11.
^ Burke's Peerage & Baronetage, 106th Edition, Charles Mosley Editor-in-Chief, 1999 Page: 15, 1222
^ Richardson III 2011, pp. 400–1.
^ Cokayne 1912, p. 495

参考文献

Cokayne, George Edward (1912). The Complete Peerage, edited by H.A. Doubleday. II. London: St. Catherine Press. pp. 493–5
Cokayne, George Edward (1932). The Complete Peerage, edited by H.A. Doubleday. VIII. London: St. Catherine Press. pp. 445–53
Griffiths, R.A. (2004). Mortimer, Edmund (V), fifth earl of March and seventh earl of Ulster (1301–1425). Oxford Dictionary of National Biography 2 October 2012閲覧。 (subscription required)(要購読契約)
Harriss, G.L. (2004). Richard , earl of Cambridge (1385–1415). Oxford Dictionary of National Biography 4 October 2012閲覧。
Keenan, Desmond (2010). Ireland 1170–1509, Society and History. pp. 509–10
Pugh, T.B. (1988). Henry V and the Southampton Plot of 1415. Alan Sutton ISBN 0-86299-541-80-86299-541-8
Richardson, Douglas (2011). Magna Carta Ancestry: A Study in Colonial and Medieval Families, ed. Kimball G. Everingham. I (2nd ed.). Salt Lake City ISBN 14499663731449966373
Richardson, Douglas (2011). Magna Carta Ancestry: A Study in Colonial and Medieval Families, ed. Kimball G. Everingham. II (2nd ed.). Salt Lake City ISBN 14499663811449966381
Richardson, Douglas (2011). Magna Carta Ancestry: A Study in Colonial and Medieval Families, ed. Kimball G. Everingham. III (2nd ed.). Salt Lake City ISBN 144996639X144996639X
Richardson, Douglas (2011). Magna Carta Ancestry: A Study in Colonial and Medieval Families, ed. Kimball G. Everingham. IV (2nd ed.). Salt Lake City ISBN 14609927091460992709
Tout, Thomas Frederick (1885–90). Mortimer, Edmund de (1391–1425). 39. Dictionary of National Biography, 1885–1890. pp. 123–5 2 October 2012閲覧。

外部リンク

The Cambridge conspiracy in The History of Sir John Oldcastle

[1] 実際に夫リチャードがケンブリッジ伯に叙されたのは、アンの死後の1414年のことである。

[2] Pinches, John Harvey; Pinches, Rosemary (1974), The Royal Heraldry of England, Heraldry Today, Slough, Buckinghamshire: Hollen Street Press, ISBN 0-900455-25-X

[3] Keenan 2010, p. 509.

[4] Cokayne 1932, p. 450; Richardson III 2011, p. 195; Richardson I 2011, p. 547.

[5] Richardson III 2011, p. 195; Richardson II 2011, pp. 496–8

[6] Richardson III 2011, pp. 193–5.

[Tout_1885-90_123-5-7] Tout 1885–90, pp. 123–5.

[8] Griffiths 2004.

[9] Cokayne 1912, p. 494

[Richardson_III_2011_400-10] Richardson III 2011, p. 400; Harriss 2004.

[11] Richardson IV 2011, pp. 400–11.

[12] Burke's Peerage & Baronetage, 106th Edition, Charles Mosley Editor-in-Chief, 1999 Page: 15, 1222

[13] Richardson III 2011, pp. 400–1.

[14] Cokayne 1912, p. 495

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 | 死亡日 = [[1411年]][[9月22日]]頃（20歳没）
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 == 生い立ち ==
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 アンの母エレノアは、第2代[[ケント公|ケント伯]]{{仮リンク|トマス・ホランド (第2代ケント伯)|label=トマス・ホランド|en|Thomas Holland, 2nd Earl of Kent}}と{{仮リンク|アリス・フィッツアラン (ケント伯爵夫人)|label=アリス・フィッツアラン|en|Alice FitzAlan, Countess of Kent}}の娘で、祖母アリスは第10代[[アランデル伯爵|アランデル伯]]{{仮リンク|リチャード・フィッツアラン (第10代アランデル伯)|label=リチャード・フィッツアラン|en|Richard FitzAlan, 10th Earl of Arundel}}とその2番目の妻{{仮リンク|エレノア・オブ・ランカスター|label=エレノア|en|Eleanor of Lancaster}}の娘であり、曽祖母エレノアはイングランド王[[ヘンリー3世 (イングランド王)|ヘンリー3世]]の孫・第3代[[ランカスター伯爵|ランカスター伯]][[ヘンリー (第3代ランカスター伯)|ヘンリー]]の娘だった<ref>{{Harvnb|Richardson III|2011|p=195}}; {{Harvnb|Richardson II|2011|pp=496–8}}</ref>。祖父のケント伯トマスは[[エドワード1世 (イングランド王)|エドワード1世]]の曽孫で、[[ジョーン・オブ・ケント]]の最初の結婚における嫡男だった。