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種子は、[[パルミチン酸]]、[[フィトステリン]]などの[[脂肪油]]と、[[アクルチン]]という[[配糖体]]を含んでいる{{sfn|田中孝治|1995|p=179}}。また葉には、[[タンニン]]、[[精油]]、[[粘液]]などを含んでいる{{sfn|田中孝治|1995|p=179}}。精油は血液循環をよくする効果、タンニンは組織を引き締める[[収斂作用]]があるので、[[神経痛]]、[[リウマチ]]、[[関節炎]]などに対して効果がある{{sfn|田中孝治|1995|p=179}}。 |
種子は、[[パルミチン酸]]、[[フィトステリン]]などの[[脂肪油]]と、[[アクルチン]]という[[配糖体]]を含んでいる{{sfn|田中孝治|1995|p=179}}。また葉には、[[タンニン]]、[[精油]]、[[粘液]]などを含んでいる{{sfn|田中孝治|1995|p=179}}。精油は血液循環をよくする効果、タンニンは組織を引き締める[[収斂作用]]があるので、[[神経痛]]、[[リウマチ]]、[[関節炎]]などに対して効果がある{{sfn|田中孝治|1995|p=179}}。 |
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[[欧米]]では[[根]]を薬用として[[ハーブ]](バードックと呼ばれている)として用いられている。また、ゴボウは[[生薬]]・[[漢方薬]]に用いられ、[[利尿]]、[[発汗]]、血液浄化、[[皮膚疾患]]([[ニキビ]]、[[湿疹]]、[[乾癬]])の薬の材料としても使われている<ref> Chan Y.-S., Cheng L.-N., Wu J.-H., Chan E., Kwan Y.-W., Lee S.M.-Y., Leung G.P.-H., Yu P.H.-F., Chan S.-W.,"A review of the pharmacological effects of Arctium lappa (burdock)" [Article in Press] ''Inflammopharmacology'' 2010</ref><ref>{{cite web|url=http://www.herbalmedicinefromyourgarden.com/great-burdock-health-benefits/ |title=Herbal Medicine From Your Garden |publisher=Herbal Medicine From Your Garden |date= |accessdate=2012-02-02}}</ref>。 |
[[欧米]]では[[根]]を薬用として[[ハーブ]](バードックと呼ばれている)として用いられている。また、ゴボウは[[生薬]]・[[漢方薬]]に用いられ、[[利尿]]、[[発汗]]、血液浄化、[[皮膚疾患]]([[尋常性痤瘡|ニキビ]]、[[湿疹]]、[[乾癬]])の薬の材料としても使われている<ref> Chan Y.-S., Cheng L.-N., Wu J.-H., Chan E., Kwan Y.-W., Lee S.M.-Y., Leung G.P.-H., Yu P.H.-F., Chan S.-W.,"A review of the pharmacological effects of Arctium lappa (burdock)" [Article in Press] ''Inflammopharmacology'' 2010</ref><ref>{{cite web|url=http://www.herbalmedicinefromyourgarden.com/great-burdock-health-benefits/ |title=Herbal Medicine From Your Garden |publisher=Herbal Medicine From Your Garden |date= |accessdate=2012-02-02}}</ref>。 |
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[[日本]]には[[薬草]]として[[中国]]から伝来。薬草としては発汗利尿作用のある根を'''牛旁根'''(ごぼうこん、{{Lang-en-short|'''Burdock Root'''}})と称するほか、[[浮腫]]、咽頭痛、解毒に用いる[[種子]]を'''牛旁子'''(ごぼうし)と称して用いる{{sfn|貝津好孝|1995|p=94}}。日本では[[乳腺炎]]に種をそのまま食べるか、煎じる使用法も有効として民間に口伝で知られる。ゴボウは熱をとる力が強い薬草で、熱性が強い[[風邪]]や[[咳]]によいといわれている{{sfn|貝津好孝|1995|p=94}}。 |
[[日本]]には[[薬草]]として[[中国]]から伝来。薬草としては発汗利尿作用のある根を'''牛旁根'''(ごぼうこん、{{Lang-en-short|'''Burdock Root'''}})と称するほか、[[浮腫]]、咽頭痛、解毒に用いる[[種子]]を'''牛旁子'''(ごぼうし)と称して用いる{{sfn|貝津好孝|1995|p=94}}。日本では[[乳腺炎]]に種をそのまま食べるか、煎じる使用法も有効として民間に口伝で知られる。ゴボウは熱をとる力が強い薬草で、熱性が強い[[風邪]]や[[咳]]によいといわれている{{sfn|貝津好孝|1995|p=94}}。 |
2020年8月24日 (月) 23:56時点における版
ゴボウ | ||||||||||||||||||||||||
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ゴボウの葉
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Arctium lappa L.[1] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ゴボウ | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
edible burdock greater burdock beggar's buttons |
ゴボウ(牛蒡または牛旁、悪実、英: Burdock、学名: Arctium lappa L. )は、ユーラシア大陸原産のキク科ゴボウ属の多年草である。大阪弁では「ごんぼ」と呼ぶ[2]。中国植物名(漢名)は、牛蒡(ごぼう)[3]。
特徴
ヨーロッパ、ヒマラヤ、中国など、中国東北部からヨーロッパにかけて分布する二年生草本[4][5]。アジア[6]・ヨーロッパ[3]の原産といわれ、日本へは平安時代に中国から薬草として伝わった[3][7]。世界各地に自生しているが[6]、日本では根を食用にするため、品種改良を行って様々な品種を栽培しているが、これは日本独特の習慣で、他の国々では食用にしていない[4]。外国産植物の中で、日本で作物化された唯一の例とされている[5]。
日本で自生はしていないが、縄文時代の遺跡からは植物遺存体として確認されており、縄文時代[5]に日本に伝わったとも言われている。日本人が食すようになったのは江戸時代から明治にかけてであり、根や葉を食用とする。茎の高さは1メートル (m) ほど、主根の長さは品種にもよるが50センチメートル (cm) - 1 mほどある。花期は6 - 7月。紫色のアザミに似た総苞にトゲのある花を咲かせる。
ゴボウは連作を嫌うため、同じ畑では2 - 3年後でないと作れない[8]。
品種
大別すると長根種と短根種がある[5]。関東地方では耕土が深いため、滝野川ゴボウに代表される根が細くて長い長根種が主流で、関西地方では一般に耕土が浅いため、堀川ゴボウに代表される太くて短い短根種が主流である[4][5]。また根を食用とせず、葉ゴボウとして葉を食用にする根が肥大しない越前白茎種などがある[4]。栽培の主流となっているのは長根種の滝野川ゴボウとその改良種であり、収穫時には直径3 cm、長さは1 m前後に成長する。なお、中には「博多新ゴボウ」のように水田で栽培されるゴボウも存在する[9]。
- 滝野川ゴボウ
- 江戸時代初期から東京・滝野川付近で栽培されるゴボウ[10][5]。長さ約1 m、直径2 - 3 cmで細長く、スが入りにくい[11][5]。江戸時代に現在の東京都北区で改良された長根種で、この種が多くの品種の元になっている[11]。
- 堀川ゴボウ
- 京都府左京区・堀川付近で栽培されるゴボウ[10]。京野菜のひとつで、一般のごぼうを一度掘り起こしてから、再び植え付けるという特殊な栽培方法で育てたもので、直径5 - 6 cmと太くて短く、数本に枝分かれして、表面はひび割れて内部に空洞ができるのが特徴[11][5]。筒切りした空洞部分に肉などを詰めた料理などに使われる[11]。
- 大浦ゴボウ
- 千葉県匝瑳市大浦地区で栽培されるゴボウ[10]。大浦太ゴボウは、長さ60 - 100 cm、直径約10 cmと太く、断面内部に空洞ができたところに詰め物をした煮込み料理に使われる[11]。成田山新勝寺献上用に契約栽培される[5]。
- 梅田ゴボウ
- 埼玉県などでごく少量生産されている太い品種。根皮がゴツゴツした質感であるが、肉質は軟らかく香りがよい[5]。
- 葉ゴボウ
- 根は短く、若い茎と葉を食べる品種[11]。密植して軟白栽培される[5]。代表的なものに福井県春江町の越前白茎や大阪八尾市の若ゴボウがあり、関東地方にはほとんど出回らない[5]。1月から4月ごろに出回り、油炒め、酢味噌和え、天ぷらなどにして食べられる[11]。
なお、同じキク科のオニアザミ(アザミ属)の根もゴボウの根に似ていることから、俗称で「山ゴボウ」[注釈 1]とよばれ、長野県、東北地方、北海道で生産され、漬物にして市販されている[11]。同キク科のキバナバラモンジン(フタナミソウ属)はキクゴボウ(西洋黒ゴボウ)という名前でヨーロッパで根菜として食されることがある。
利用
食用
ゴボウを日常の食材としているのは日本のみである[12]。中国では野生のものを薬用や救荒植物として利用していたが、現在も根菜としての利用はない[5]。
日本では根を食用にし、ゴボウが持つ独特の香りや歯触りが好まれて、伝統野菜として親しまれている[6]。旬は初冬(11月 - 1月ころ)で、新ゴボウの旬は初夏(6 - 7月)となる[6]。春から初夏出回る「新ごぼう」は、冬のゴボウより一回り小さくて色が薄い茶色のゴボウで、食感は軟らかく、香りもよい[10]。根はまっすぐでひげ根が少なく、太さは均一で、握ったときにしっかりした弾力があるものが良品とされ、育ちすぎや鮮度が落ちていると断面の中心に空洞が入り、切ってみると中がスカスカな状態(いわゆるスが入るという)になっていることがある[6]。
保存方法は、ゴボウを泥つきのまま乾燥しないように湿らせた新聞紙などで包んで、日の当たらない風通しのよいところで根元を下にして立てておくと日持ちする[10][7]。洗いゴボウや新ゴボウの場合では、乾燥しないようにラップなどで包んで、冷蔵庫に保存する[10]。切った生のゴボウを長期保存しておくとスが入りやすく、風味も落ちてしまうため、調理で使い切れなかったゴボウを旨味を保ちながら保存するときは、茹でて食用油で絡めて保存容器で冷蔵庫に入れておくと5 - 6日ほどは保存が利く[10]。
調理法
ゴボウの香りや旨味は根皮の部分に多く含まれていて、調理の際は皮を剥かずに泥を洗い落とす程度にして使われる[6]。下ごしらえは、根を洗ったら、たわしや包丁の背で表面をこそげ落とす程度である[7][5]。
ゴボウは空気に触れるとポリフェノールの酸化で黒っぽく変色するため、調理の際に切ったらすぐに水に浸けて灰汁(アク)が出るのを抑えるようにする[10][13]。ただし、長時間水に浸けると、かたくなってしまったり、旨味や香りも一緒に流れ出てしまうため、水にさらす時間は5分から10分程度にする[10][5]。たたきごぼうやゴボウサラダなど、白く仕上げたい料理で使うときは、アク抜きの水に少量の酢を加えたり、下ゆでの湯に酢を加えると白色に仕上がる[10]。
料理は、きんぴらゴボウやたたきゴボウなどの煮物や[11]、天ぷらのかき揚げなどの揚げ物に使われるほか、細切りにした根を湯がいてサラダにもする[3]。独特の香りが、くせのある食材の旨味を引き立てるのに役立ち、柳川鍋や八幡巻きには欠かせない食材とされる[5]。
栄養素
100 gあたりの栄養価 | |
---|---|
エネルギー | 272 kJ (65 kcal) |
15.4 g | |
食物繊維 | 5.7 g |
0.1 g | |
1.8 g | |
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(0%) 1 µg |
チアミン (B1) |
(4%) 0.05 mg |
リボフラビン (B2) |
(3%) 0.04 mg |
ナイアシン (B3) |
(3%) 0.4 mg |
パントテン酸 (B5) |
(5%) 0.23 mg |
ビタミンB6 |
(8%) 0.10 mg |
葉酸 (B9) |
(17%) 68 µg |
ビタミンC |
(4%) 3 mg |
ビタミンE |
(4%) 0.6 mg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(1%) 18 mg |
カリウム |
(7%) 320 mg |
カルシウム |
(5%) 46 mg |
マグネシウム |
(15%) 54 mg |
リン |
(9%) 62 mg |
鉄分 |
(5%) 0.7 mg |
亜鉛 |
(8%) 0.8 mg |
銅 |
(11%) 0.21 mg |
セレン |
(1%) 1 µg |
他の成分 | |
水分 | 81.7 g |
水溶性食物繊維 | 2.3 g |
不溶性食物繊維 | 3.4 g |
ビオチン(B7) | 1.3 µg |
硝酸イオン | 0.1 g |
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[15]。廃棄部位: 皮、葉柄基部及び先端 | |
| |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
ゴボウは可食部となる生の根に含まれる水分の割合が約8割と野菜としては少なく、100グラムあたりの炭水化物が15.4グラム (g) とかなり多い野菜である[16]。次にたんぱく質1.8 gが多く、灰分0.9 g、脂質0.1 gと続く[16]。炭水化物は糖質と食物繊維に分けることができる[16]。
食物繊維が可食部100 g中に5.7 gと豊富で、ビタミン類は少ないがミネラル類をバランスよく含むのが特徴で、その他カリウム、マグネシウム、亜鉛などの微量ミネラルも多く含む[6][16]。食物繊維は、便秘解消に役立ち、腸の働きも活発にさせ、老廃物の排出を助け、腸内環境を整えるのに役立つ[6]。
ゴボウにはポリフェノールであるクロロゲン酸が豊富に含まれている。クロロゲン酸は、ゴボウを水にさらしたときに出てくる茶褐色の成分であり、コーヒーにも含まれ、抗酸化作用がある。ゴボウを長く水にさらすとクロロゲン酸が失われてしまうので、「皮はむかない」「水にさらさず、すぐ調理する」「大きめにゴロンと切る」ことでクロロゲン酸をより多く摂取できるとする考え方もある[17]。
ゴボウは食物繊維のなかでも、特に水溶性食物繊維が豊富であり[14]、イヌリンが水溶性食物繊維の主体を成している[18]。また長期冷蔵すると、このイヌリンが分解され糖化することで甘味が出るという[19]。
薬用
種子は、パルミチン酸、フィトステリンなどの脂肪油と、アクルチンという配糖体を含んでいる[20]。また葉には、タンニン、精油、粘液などを含んでいる[20]。精油は血液循環をよくする効果、タンニンは組織を引き締める収斂作用があるので、神経痛、リウマチ、関節炎などに対して効果がある[20]。
欧米では根を薬用としてハーブ(バードックと呼ばれている)として用いられている。また、ゴボウは生薬・漢方薬に用いられ、利尿、発汗、血液浄化、皮膚疾患(ニキビ、湿疹、乾癬)の薬の材料としても使われている[21][22]。
日本には薬草として中国から伝来。薬草としては発汗利尿作用のある根を牛旁根(ごぼうこん、英: Burdock Root)と称するほか、浮腫、咽頭痛、解毒に用いる種子を牛旁子(ごぼうし)と称して用いる[3]。日本では乳腺炎に種をそのまま食べるか、煎じる使用法も有効として民間に口伝で知られる。ゴボウは熱をとる力が強い薬草で、熱性が強い風邪や咳によいといわれている[3]。
民間療法では、湿疹・おでき・腫れ物などの化膿性疾患に、牛蒡子1日量5 - 8グラムを600 ccの水で半量になるまで煎じた煎じ液(水性エキス)を、3回に分けて服用する用法が知られる[20]。風邪・のどの痛み・咳には、牛蒡子1日量2-3グラムを水400 ccで煎じて3回分服する[3]。むくみには、牛蒡子を粉末にして、1日量で3 - 6グラムほどを3回分服する[20]。神経痛、リウマチ、関節炎には、火であぶって軟らかくした生葉を、患部に貼って冷湿布すると、痛みを和らげるのに役立つと言われている[20]。夏場に採集して日干し保存しておいた葉は、浴湯料やうがい薬に使うこともでき、浴湯料として使えば湿疹、かぶれに効果があるとし、乾燥葉を煎じた液で1日数回うがいすれば、口内炎・扁桃炎・歯茎の腫れなどの炎症性疾患に効果があるといわれている[20]。
根は繊維質が多く、便秘などの生活習慣病の予防に効果があるとされる[6]。ゴボウに含まれる水溶性食物繊維イヌリン、セルロースなどは、乳酸菌の働きを活発にさせて便秘解消に効果的であるほか、血糖値の上昇抑制の効果があり、糖尿病の予防に役立つといわれている[7]。
不溶性食物繊維のリグニンは、増加傾向にある大腸ガンの予防に有効であるといわれ、コレステロールを原料にしてつくられている胆汁酸を体外に排泄することによって、血液中の悪玉コレステロールを下げる働きをする[6][16]。大腸がん・直腸がん予防に効果があるとするむきもあるが、一方ではこれは正確ではなく、現在[いつ?]のところでは試験管レベルの実験で酸素状態の悪い成長した大腸がんの細胞に対して選択的に倍加した毒性を発揮する性質があるとされている[23]。
アレルギー
キク科植物に対しアレルギー性を有している場合は、注意が必要である[24]。
ゴボウが関連する言葉
- ごぼう抜き - リレー走や駅伝競走などで、後方からほかの選手を一気に抜き去ること、または、多数抜き去ることをごぼう抜きと言うことがある。『広辞苑』(第5版)には、「(牛蒡を土中から引き抜くように)一気に抜きあげること。」とある。なお、「ごぼう抜き」という言葉には、座り込みなどを行う人物を力ずくで排除するという用法もある。
- ごんぼ(牛蒡)掘り - 青森県の方言に「ごんぼほり」(牛蒡掘り)というのがある。ぐずぐず不平を言って譲らない、酔ってくだを巻く(時に居座る)、強情である、ふてくされる(特に子供)、といった態度(あるいはそのような態度の者)ぐらいの意。なだめたり、お引き取り願うことはゴボウを「掘る」ことと同じくらい難儀であることから、であろうか。秋田県にも同様の言い回しがあり、秋田のローカルヒーローである「超神ネイガー」には「ゴンボホリー」という悪役が登場する。
- 太平洋でごぼうを洗う - 男女の性交において、女性の膣の締め付けがゆるいと同時に、男性の陰茎が細いため、男女とも十分な満足感が得られないたとえ。
- 牛蒡剣 - 三十年式銃剣の俗称。
- 牛蒡積み - 石垣の工法の1つ。奥行きのある直方体に近い石を短辺面が外側になるように積んでいく工法。名称の由来は石の積み方がゴボウの束を積み重ねたようだから。大洲城、若松城、彦根城、松江城などのものが有名であるが、これらの城に限ったものではなく、戦国時代から近世の石垣で現在まで残っている石垣は、玉石積みを除いたほとんどが牛蒡積みである。
食文化の違いによる誤解
太平洋戦争中に英米人捕虜がゴボウを「木の根」だと思い、木の根を食べることを強要し虐待されたとして、戦後、日本人将兵が戦犯として裁かれたことがあった。
太平洋戦争時の捕虜虐待とゴボウ
ゴボウにまつわる食文化の違いがもたらした悲劇的な逸話として、「戦時中、外国人捕虜にゴボウを与えたところ、木の根を食べさせられたと誤解され、戦後にBC級戦犯として虐待の罪で処罰された」というものがある。1952年(昭和27年)12月10日に行われた第15回国会参議院法務委員会で法務省保護局長齋藤三郎が行った米国派遣報告では
裁判のときには相当国情が違い、日本の事情を知らない人が裁判をしたため不当と言えば不当と言える裁判があるのだ。一例としては、俘虜収容所の所員が、終戦真際食糧が非常に不足している。併しこれに対してできるだけいい食物を与えたいというのでごぼうを買つて来て食わした。その当時ごぼうというのは我々はとても食えなかつたのだ。我々はもう大豆を二日も三日も続けて食うというような時代で、ごぼうなんてものはなかなか貴重品であつた。そのごぼうを食わしたところが、それが乾パン代りに木の根を食わして虐待したというので、五年の刑を受けたという、こういう例もある
と述べている[25]。また、翌1953年(昭和28年)7月2日の参議院厚生委員会では日本社会党の藤原道子が「ごぼうを食べさしたものを木の根を食べさせたのだということで二十五年の禁錮を受けておる」と発言している[26](ただし、量刑が異なっている)。漫画 『はだしのゲン』でも「捕虜にヤマゴボウを食べさせて25年の重労働を課された」とあり、映画『私は貝になりたい』では「ゴボウを食べさせて5年の懲役を受けた」という話が出てくる。
新潟県の直江津町(現上越市)にあった東京俘虜収容所第4分所の所長らが、終戦後、収容されていたオーストラリア人捕虜達から「木の根を食べさせられた」という告発を受け、うち所長を除く8名が横浜裁判で絞首刑となった(直江津捕虜収容所事件[27])。また、長野県下伊那郡天龍村にあった東京俘虜収容所第12分所(満島捕虜収容所)に勤務していた警備員1名が無期懲役の判決となり、その裁判中にゴボウを食べさせたことが虐待として扱われた[28]。相馬暁は1996年の著書の中で「アメリカ人捕虜にゴボウを食べさせたために、昭和21年に、横浜の戦犯裁判で捕虜収容所の関係者が、二人が死刑、三人が終身刑、二人が十後年以上の有期刑の判決を受けた」と述べている[29]。また、村山有が捕虜にゴボウを差し入れたことを理由に戦犯容疑者としてGHQに逮捕された[30]。このほか極東国際軍事裁判時の弁護団だった清瀬一郎は「ある捕虜収容所」のケースとして「牛蒡をオックス・テイル(牛の尾)、豆腐をロツン・ビーンズ(腐った豆)と誤訳したため、捕虜から不満が出た」と述べている[31]。 ただ、虐待の告発内容はゴボウを食べさせられたというものだけでなく、必ずしもゴボウだけが原因で判決を受けたのではない。(ゴボウを食べさせていなかったら告発はなかったというものではない。)
脚注
注釈
- ^ 標準和名としての「ヤマゴボウ」はヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の一種Phytolacca esculentaの和名である。
出典
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- ^ [1] (PDF) (2010年12月16日時点のアーカイブ)
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- ^ 上坂冬子『貝になった男 直江津捕虜収容所事件』1986年、文春文庫1989, p.136
- ^ 1996年11月10日の朝日新聞連載記事『地球・食材の旅』。ただし、この警備員はまもなく釈放されたといい、実際に本人に取材を行ったがこの話については語ってくれなかった、と述べられている。
- ^ 1996年『野菜学入門』
- ^ 飯田正孝信濃毎日新聞記者による報告、松本高麗大学Asi-Pon第30号(1993年12月8日)[2]
- ^ 『秘録東京裁判』(中公文庫)
参考文献
- 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、104 - 105頁。ISBN 978-4-415-30997-2。
- 貝津好孝『日本の薬草』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年7月20日、94頁。ISBN 4-09-208016-6。
- 講談社編『旬の食材:秋・冬の野菜』講談社、2004年。ISBN 4062701367。
- 講談社編『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』講談社、2013年5月13日、154 - 157頁。ISBN 978-4-06-218342-0。
- 主婦の友社編『野菜まるごと大図鑑』主婦の友社、2011年2月20日、182 - 185頁。ISBN 978-4-07-273608-1。
- 田中孝治『効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法』講談社〈ベストライフ〉、1995年2月15日、178 - 179頁。ISBN 4-06-195372-9。