「2012年の中国における反日活動」の版間の差分
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2020年6月20日 (土) 10:01時点における版
2012年の中国における反日活動とは、2012年(平成24年)に発生した香港活動家尖閣諸島上陸事件以降に中華人民共和国と で実施されている反日官製デモ活動。
特に日本政府の尖閣諸島3島の国有化以降に中国の各都市で行われた反日デモは、2005年の中国における反日活動の規模を超える最大規模のデモとなり、デモ隊が暴徒化し大規模な破壊・略奪行為に発展した。
概要
2012年(平成24年)8月15日に、中国本土・香港・マカオの活動家と、人民解放軍幹部が設立したフェニックステレビクルーが乗船する船舶が日本の領海を侵犯し、活動家数名が尖閣諸島(中国では「釣魚島」、台湾では「釣魚台」と呼ぶ)に上陸した。活動家の上陸と海上保安庁による検挙はフェニックステレビによって生中継された。この活動家等の逮捕・強制送還後、中国では反日デモが繰り広げられた。
9月10日に日本政府が尖閣諸島を民間から買い上げ国有化することを閣議決定すると、中国の各メディアは大々的に尖閣特番を編制し中国国民の反日感情を煽り連日に渡って反日デモが繰り返されるようになった。
そして土曜日となった9月15日には、日中国交正常化以降最大規模で2005年(平成17年)の中国における反日活動を超える規模となる反日デモが中国各地で発生し、日本企業への大規模な襲撃が引き起こされる事態に至った。
日系企業の工場や日系自動車会社の販売店などは徹底的に破壊された後に放火され、事後の操業が困難となった。
また、日系スーパーやコンビニエンスストアは大規模な破壊と略奪行為に晒され、中国人が経営する日本料理店や路上を走行中若しくは駐車中の中国人所有の日本車も破壊された。
このため、日本料理店や日本車所有者は被害を避けるため、閉店した上で店頭に五星紅旗を掲げたり尖閣諸島の中国領有を主張するステッカーを張るなど自衛策に追われた。
これらの騒乱では私服警察官や中国共産党員によってデモが扇動されたことが一部確認されており[1]、100元(約1,200円)をもらって官製デモに参加した人がいることや、デモを支援する出資者がいて当局による組織的動員の可能性があることも報じられている[2]。また当初は尖閣諸島国有化に対して穏便に対処する予定だった胡錦濤中国指導部だが、8月10日に李明博韓国大統領が竹島を訪問して日韓間で重大な問題になり、中国共産党内の保守派の「なぜ、中国だけが日本に弱腰なのか」という意見が強まり、次期共産党総書記に内定している保守派の習近平国家副主席の親友の栗戦書が先立って党中央弁公庁主任に就任すると、習近平が主導して対日強硬路線に転じ、反日デモを容認・推奨したことが報じられている[3]。
また、デモが拡大するにつれ参加者が毛沢東の肖像画を掲げる事例が見受けられたが、毛沢東を象徴として祭り上げるのは、経済格差が少なかった毛時代への国民の憧憬を政治利用して民衆の人気を集め、最終的に失脚した薄熙来と同じであり、経済格差による国民の不満の拡がりと保守派が台頭する中国の現状を表したものであると分析されている[4]。
中国以外にはアメリカ・オランダ・韓国でも現地在住の中国人によって反日官製デモが行われている。
反日デモの経緯
香港活動家尖閣諸島上陸事件以降
2012年(平成24年)8月15日に香港活動家尖閣諸島上陸事件で中国の活動家らが尖閣諸島魚釣島に上陸し、日本の官憲に逮捕されて強制送還されたことから、8月18日、8月19日にはインターネットでの呼びかけで集まった参加者によりデモ活動が実施された。18日には中国の4都市で尖閣諸島の領有権を主張するデモ活動が実施され、このうち河北省成安県では数百人で行われ、尖閣諸島問題に合わせて日本製品不買や「日本軍国主義」への反対も主張された[5]。
翌19日には18日以上に多くの都市でデモが開催され、より多くの参加者が集まった。四川省成都では当初は数十人規模のデモ隊の複数が合流していき3000人以上にまで拡大した[6]。これを受けて日系企業の各商店を地元警察官が厳重警戒することになり、伊勢丹のように安全のために臨時休業の措置をとった店舗も存在する。広東省等の一部の都市では、デモの参加者が日章旗にバツ印をつけて燃やしたり日本料理店に乱入したりガラスを割るなど、一部暴徒化する事態も発生した[7][8]。
一週間後の8月25日と8月26日にもデモが実施された。25日に山東省日照市で実施されたデモ活動には約1,000人が集まり、警察官が警備する中約5キロメートルをデモ行進し、途中で日本料理店を見つけると警察官の制止を振り切りペットボトルや小石を投げつけ、入り口や2階のガラスを割った[9]。26日のデモ活動には各地で約数百人 - 千人の参加者が集まった。中国当局が民衆の反日活動を抑制すると政府批判に転化する可能性もあることから、一部のデモを容認している模様である[10]。
3島の国有化以降
東京都の尖閣諸島購入計画を阻止することで中国の反発を和らげ「平穏かつ安定的に維持管理するため」として、2012年9月10日に日本政府は、魚釣島、北小島、南小島の国有化を最終決定し、翌11日に埼玉県在住の地権者から20億5千万円で購入、正式に日本国への所有権移転登記をして国有化を完了した。
これに対し、中国政府のほとんどのテレビや新聞などの多くのメディアが異例とも言えるほど大々的に尖閣特番を編成し、徹底的に中国国民の反日感情を煽った。
国有化が最終決定した同月10日から13日までに上海市だけでも日本人への暴行が多発し、報告されたものだけでも日本人4人が負傷した[11]。
これについて中華人民共和国版Twitter[12]とも言われる「新浪微博」では「殴るのはよいことだ。痛快だ。小日本は最終的に滅亡してしまえ」「野田(総理)が罪を犯したからこうなるんだ」等と暴行を支持する書き込みが相次いだ[13]。
また14日には広東省東莞で日本人が2、3人の中国人から背後から暴行され手や足にけがを負った[14]。
9月15日
- 国有化決定以後も比較的小規模なデモは毎日続いていたが、同月11日と13日に中華人民共和国外交部の報道官が「日本の誤ったやり方に対する義憤は理解できる」「中国全土が日本の誤った行動に憤りをたぎらせ、政府による正義の要求や対抗措置を支持している」等と発言し、暴力的なデモを容認するかのような姿勢を見せていたことから[15]、土曜日の同月15日にはデモの規模が一気に拡大し、中国の50都市以上で反日デモが発生し、各地に武装警察が投入されるほどまでに抑制が効かなくなった[16]。
- 北京の日本大使館前には、日中国交正常化以降最大の規模となる2万人のデモ隊が押しかけ、規制用の鉄柵を突破して卵や石を投げつけたり日章旗を燃やすなど暴徒化した[17][18]。
江蘇省蘇州、陝西省西安、湖南省長沙ではそれぞれ1万人規模のデモが発生し、蘇州では暴徒たちが日系スーパー「蘇州泉屋百貨」の店舗を破壊し宝飾品などの商品を略奪し[19][20]、外国企業が多数集積している高新区にある通称「商業街」(正式名 淮海街)では、主に中国人が経営する日本食レストランやゴルフショップを無差別に破壊し営業不能に陥れた[21]。西安では一部の暴徒が武装警察によってホテル内部に拘束され、これに反発した屋外の暴徒たちがホテルのガラスを割るなどした[20]。このデモに遭遇した左官業・蔡洋容は日頃食べるだけが精一杯という惨めな現状の鬱憤を晴らすため、デモにより身動きがとれなくなった一台のトヨタ・カローラに襲い掛かり、車を庇おうとした同乗していた李健利の頭部をバイクのU字ロックで数回殴り、興奮状態から上半身裸になり「愛国無罪!」「造反有利!」と叫んだ。李健利は一命は取り留めたものの、意識不明に陥り半身不随の後遺症が残った。
蔡洋容はその後、中国版ツイッターである新浪微博の投稿が元となり、中国公安当局に逮捕された[22]。長沙では当局者と見られる人物が反日スローガンを書いた横断幕を配り、暴徒たちが日章旗を焼き捨て、日本車のガラスを割ったり転覆させたり日系スーパー「平和堂」の2店舗を破壊・略奪・放火するなどした[19][23][24][25]。
長沙の平和堂の2店舗は売り場全域が徹底的に破壊され、衣服、酒類、高級時計などの商品のほとんどが略奪され、被害総額は10億円超、数か月は営業ができない被害を受けた[26]。
- 山東省青島でも数千人規模のデモ隊の一部が暴徒化し、日系スーパー「ジャスコ黄島店[27]」のガラスを鉄パイプで破壊した後に商品を略奪し、パナソニックとミツミ電機の工場やトヨタと日産自動車の販売店を襲撃し徹底的に破壊した後に放火した[19][28]。
徹底的に破壊・略奪されたイオン黄島店は商品の8割が略奪され被害総額は25億円に上り、現地社長の日本人は「これはデモではなく官製テロだ」と語った[29]。
重慶市では3,000人規模のデモが発生し、四川省成都でも「セブン-イレブン」3店が破壊・略奪されるなどした[19][23][30][31][32]。
9月16日
- 9月16日には地方の中小都市を含む少なくとも108の都市で反日デモが行われ、全土で数十万人が官製デモに参加したと見られ[33]、各地では前日に比べて警察による警備体制が大幅に強化された。広東省広州では1万人規模のデモが行われ、一部の暴徒たちが日本総領事館への侵入を企て、総領事館と同じ敷地にあるホテル「花園酒店」のロビーや日本食レストラン、日本車を破壊した[34]。
また同省深圳市では複数の数千人規模のデモが発生し、暴徒たちが市共産党委員会の庁舎に侵入したり警察車両を破壊し、これを止めようとした警察官に暴行したため、武装警察が放水し催涙弾も発射した[34]。北京の日本大使館前では武装警察が大幅に増員されたことから、デモは前日ほどの混乱にはいたらなかった。
- 日本人が暴行を受けたという情報はないが、北京では日本人がレストランで日本語を話すと脅迫され、タクシーの乗車拒否をされる事態が相次いでおり、深センでは日本人滞在者が嫌がらせの電話を受けた事例もあった[35]。
- 西安におけるデモ隊のリーダーの一人は西安警察幹部である中国共産党員の朱錮であることが確認されている[1]。その他の地域におけるデモも私服警官や治安部隊が指揮を執って行われた[1]。
9月17日
- 複数の都市でデモが行われたが、各地で警備が大幅に強化された上に平日ということもあり官製デモの規模は格段に縮小した。また同日には地元警察が、15日に山東省青島や広東省の広州で破壊活動を行った暴徒の一部を特定して拘束したことを発表した。
また陝西省西安では地元警察が15日の破壊活動に関する容疑者の情報提供を呼びかけ、市内中心部でのデモを禁止した[36]。
9月18日
- 9月18日は満州事変の発端となった柳条湖事件の発生した日であり「国恥日」として中国国内では毎年反日が盛り上がることから、日系企業や日本人にとって今回の相次ぐ官製デモで最も危険な日と認識されていた。このため被害を受けていない各地の日系企業の生産工場や日系商店でも危険を避けるため臨時休業とする事例が相次いだ。
また9月16日に東シナ海での休漁期間が開け、9月18日には中国の漁業監視船「漁政」が1,000隻の漁船を引きつれて尖閣諸島にやってくると日中のメディアで報じられ、領海を侵犯して日本の海上保安庁や警察勢力と衝突し、近海に展開した自衛艦[37]と中国海軍艦艇の衝突の可能性も懸念されていたことから、中国国内のデモの行方についても一層緊張感が高まった[38]。結局、過去最多となる12隻の中国公船(海洋監視船「海監」10隻と漁業監視船「漁政」2隻)が接続水域に進入し、3隻が一時領海を侵犯したが、1,000隻の大漁船団は現れなかった[39]。
これに対して海上保安庁は日本全国から巡視船を増派し過去最大の50隻体制で警備にあたった。
- この日のデモはこれまでで最大となる110都市以上で行われ、遼寧省瀋陽市では2000人がデモに参加し、日本総領事館に投石しガラス67枚を割り、周囲の日系企業や日本食レストランにもペットボトルなどを投げつけた。
北京の日本大使館では早朝にガラス球や金属などでガラス6枚が割られているのが発見され、大使館前では5,000人が「島を返せ」等と叫びながらデモ行進をし厳重に警備する警官隊ともみ合いになった。上海の日本総領事館でも1万6千人あまりが官製デモに参加し「日本を滅ぼし沖縄を取り戻せ」等と書かれたプラカードを掲げてデモを行ったが[40]、現地警察が厳重に警備・統制をしたため15日のような大きな破壊行為はなかった。広東省広州でも日本総領事館の前で1,000人あまりがデモを行った[41]。
雲南省珠江のアウディの販売店では中国人スタッフ達が「也要殺光日本人、也要収復釣魚島(日本人を皆殺しにしろ、魚釣島を取り戻せ)」という横断幕を掲げたことから、アウディジャパンはTwitterの公式アカウントで日本国民に謝罪した[42]。また上海のユニクロの店舗が現地従業員の判断で中国の尖閣領有を主張する張り紙を掲げたため、ユニクロと持株会社のファーストリテイリングは「一企業が政治・外交に関していかなる立場もとるべきでない」との考えから遺憾の意を示し、再発防止に努めることを発表した[43]。
9月19日
- 中国政府が反日デモの抑制を強め各都市でデモ禁止の通達を出したことから、中国全土で数箇所でしかデモは行われなかった。また「新浪微博」では、当局の規制(金盾)により「反日」のキーワード検索が出来無くなった。
反日デモに対する反応
各国の政界
- 日本政府
- 野田佳彦総理は9月16日に出演したNHK『日曜討論』において、「中国政府に対し抗議するとともに、安全確保を強く求めていきたい」と述べ、日本のとるべき対応の二本柱として「毅然とした対応」と「冷静さ」をあげた[44]。翌17日には藤村修官房長官、米村敏朗内閣危機管理監、河相周夫外務事務次官を総理大臣公邸に呼び、情報収集と中国国内の邦人保護に緊張感を持って対応するよう指示した[45]。また不測の事態に備えて、同日に開催された2012年9月民主党代表選挙の福岡での立会演説会を欠席し、東京からインターネット中継で参加した。
- 中国政府
- 9月17日に中国外交部の洪磊副報道局長は、反日デモに参加した暴徒たちにより日系企業が襲撃され大きな被害が出たことについて「その責任は日本が負うべきだ」と主張し、「事態が深刻化するかどうかは日本側の対応にかかっている」と日本側の尖閣諸島護持の動きをけん制した[46]。
- 9月18日に北京でアメリカのレオン・パネッタ国防長官と会談した国防相の梁光烈は一連の暴力的なデモ活動について「騒ぎを起こした責任は完全に日本にある」と主張し、前日にパネッタ国防長官が尖閣諸島が日米安全保障条約の適用対象であることに言及したことに「断固反対する」と表明した[47]。
- また、翌19日にパネッタ国防長官と会談した次期中国共産党総書記に内定している習近平国家副主席は、日本の尖閣諸島国有化について「日本は中国の主権と領土を侵害する過った言動をただちに止めるべきだ」「日本国内の一部の政治勢力が茶番を演じている」「国有化が領土問題を激化させた」と批判し、尖閣諸島に対する日米安保の適用について「米国が釣魚島の主権問題に介入せず、事態を複雑化させないことを望む」と牽制した[48]。
- アメリカ政府・議会
- 9月17日に東京で行われた森本敏防衛大臣との会談後の共同記者会見で、パネッタ国防長官は、両国が冷静に対応し平和裏に問題を解決することに期待する考えを示し、尖閣諸島が日米安全保障条約の適用範囲内であることにも言及した。ただし他国の領土問題に関して特定の立場をとらないアメリカの基本的外交政策を踏まえて、領有権の正当性に関することには言及しなかった[49]。
- 9月20日、上院外交委員会の東アジア太平洋小委員会委員長のジム・ウェッブ民主党議員は「梁光烈中国国防相が発言した『日本に対して、さらなる行動を取る権利がある』と主張したのは『軍事力を使う』と脅かしているようにしか聞こえない。これは、アメリカにも直接影響を与える」と述べ、中国の姿勢に強い懸念を示した[50]。また反日デモについては「中国政府に扇動されている」とし官製デモであると非難した[51]。
- 東京都
- 9月19日に石原慎太郎東京都知事は、中国公船の領海侵犯への日本の対応について「もっと過剰、過激なことになったら『寄らば切るぞ』と言ったらいい」と主張し、暴力的なデモについては「酷い。これはテロ。民度が低い」と批判し「本質的に反権力、反体制のエネルギーだと思うが、共産党政権がうまい具合に矛先をそらして日本に向けさせており、作為的。やらせだ」と分析した[52]。
各国のメディア
- 日本メディア
- 読売新聞は9月17日と9月19日付の社説で、一連の破壊行為を「狼藉」と位置づけ「日本の対中感情は悪化するばかり」とし、中国政府による容疑者の厳正な処分、海上保安庁による万全の尖閣警備、日本政府から中国政府への日系企業と邦人の安全確保の強い申し入れ、日米両国の協力による中国への働きかけ、在日米軍の機能強化、尖閣諸島の日本領有に関する国際的アピール等の必要性を訴えた[53][54]。
- 中国メディア
- 多くの中国メディアは各地で暴徒が日系企業等を襲撃、放火、略奪したことを伝えず「理性的な態度で現場警察の誘導に従い、皆さんの協力に感謝する」「デモは秩序的に行われた」などと報じ、当局の統制のもとで虚偽報道を行った[55][56]。
- 一方、9月16日の中国メディア『財訊』は「破壊活動の最大の被害者は中国人民で、反日デモを反中国政府デモに繋げることこそ日本政府のシナリオ」とし、「中国製品やサービスの質を向上させることで、日本製品やサービスを退出させることが、破壊的な反日デモよりも良い」と主張した[57]。翌9月17日の中国共産党の機関紙『人民日報』は「日本政府による国有化という茶番に有効に反撃した」と反日デモを評価する一方で、「同胞の財産に損害を与えたり、中国に滞在する日本人に怒りをぶつけたりするのは極めて不当だ」として暴徒化については批判した。また共産主義青年団の機関紙『中国青年報』も「日本のメディアが他人の不幸を喜ぶかのように中国の反日が『暴徒化した』と伝えている」と報じ反日デモ参加者の暴徒化を戒めた[58]。
- 欧米メディア
- 9月16日付けニューヨーク・タイムズは、反日デモを伝える記事で、「どうして日本は新たに失われた10年を求めるようなことをするのか。20年も歴史を遡るようなことをしようとするのか。中国は常に経済カードを非常に注意深く切ってきた。しかし、主権をめぐる争いで、もし日本が挑発を続けるならば中国もその戦いに立ち上がるだろう」と結論付けた。これについてロバート・キャンベルは、「この記事は、一番大切な結論のところで人民日報の社説をそのまま引用している。すごく挑戦的な言葉で締めくくっている。」と評した[59]。
- また9月18日付けのタイムズも「日本の短気で性急な言動は日本全体に冷たい風を吹かせている」と、一連の騒動の非は日本にもあると書いた。これに対して宮崎哲弥は「日本のPRベタ。日本側は挑発なんかしていない。自国の領土を国有化しただけだ。」と評した[59]。
- ウォール・ストリート・ジャーナルは「理解に苦しむ中国デモ隊の反日過激行動」と題した9月19日付の社説で、反日の憎しみの炎を煽ってその後沈静化させるのは中国政府の典型的手段であり、中国共産党の歴史的正当性は侵略者である日本を駆逐したことであるから、反日感情をくすぶらせ続けるのは中国共産党にとって恩恵があると分析し、中国が自国民からの都合の悪い経済ニュースや政治的スキャンダルから目を逸らそうとしていると分析した。また、石原東京都知事は摩擦をもたらす極端なナショナリストで、野田総理は尖閣諸島を国有化することで中国との摩擦を避けるため責任ある行動をしたと評した。そして、「究極的に中国は、外国貿易や投資を育んで安定的で理性的で信頼できる大国としての評判を得るという国益よりも、ナショナリスト的な衝動を優先したことによって、代償を支払うだろう。問題は、中国の指導者たちがその最悪の衝動を抑えようとしないならば、その代償が高価にならざるを得ず、その代償を支払わなければならないのは中国以外の何者でもない、ということだ。」と結論付けた[60]。
各国の民間
- 日本の民間
- 在外中国人
- 9月15日に本国のデモ活動に合わせて、サンフランシスコで3000人の在米中国人や中国系アメリカ人が「日本は釣魚島から出ていけ」等と書かれたプラカードを掲げてデモを行った。一部のデモ参加者は在サンフランシスコ日本総領事館にも押しかけたが大きな混乱はなかった[61]。翌16日にはニューヨークで中国系アメリカ人1,000人が「日本軍国主義を打倒せよ」などのスローガンを掲げて反日デモを行った[62]。
- 9月19日にはオランダハーグの日本大使館前で300人の在オランダ中国人が[63]、9月20日には韓国ソウルの日本大使館前で在韓中国学人学者連合会の会員70人が尖閣デモを行った[64]。
経済的影響
関連項目
- 官製デモ
- ジャパンバッシング - 同様に日本製品が破壊された。
- 2012年尖閣諸島抗議デモ
- 田母神俊雄
- 尖閣諸島中国漁船衝突事件
- 五・四運動*五・三〇事件*一二・九運動
- 通州事件、通化事件、尼港事件、漢口事件
- 南京事件
- 義和団の乱(北清事変)
- 成都事件
- 上海日本人水兵狙撃事件、漢口邦人巡査射殺事件
- 水晶の夜
脚注
- ^ a b c Behind China’s Anti-Japan Protests, the Hand of Officials Epoch Times September 16, 2012
- ^ 「千円もらって参加」中国、組織的に動員か 背後に当局の影、産経ニュース 2012年9月20日
- ^ 対日強硬策、習近平氏が主導 韓国大統領の竹島上陸など機に一変、産経新聞 2012年9月19日
- ^ クローズアップ2012:中国・反日デモ 指導部、対日強硬崩せず 党大会前、保守派の影、毎日新聞 2012年9月17日
- ^ 島を返せ・日本車お断り…中国4都市で反日デモ : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
- ^ 中国で大規模反日デモ 成都では3000人以上が参加 :日本経済新聞
- ^ 中国で大規模反日デモ 広東省では日の丸燃やす :日本経済新聞
- ^ 日本料理店に乱入…中国の尖閣領有デモが暴徒化 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
- ^ 中国山東省で反日1000人デモ 日本料理店が被害 :日本経済新聞
- ^ 「日本製品ボイコット」中国広東省で尖閣デモ : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
- ^ 邦人への暴行多発、4人負傷=尖閣国有化で-上海、時事通信 2012年9月13日
- ^ 中華人民共和国においてTwitterそのものについてはアクセスできない。
- ^ 「反日」緊張高まる=尖閣国有化、週末に各地でデモ-邦人に広がる不安・中国、時事通信 2012年9月14日
- ^ 広東省で日本人男性襲われけが、NHKニュース 2012年9月17日
- ^ 中国「憤りたぎらせ」反日デモ一部容認、ニッカンスポーツ 2012年9月13日
- ^ 中国各地で反日官製デモ 相次ぎ暴徒化、NHKニュース 2012年9月15日
- ^ 中国反日デモ、異例の規模に=北京・大使館前に2万人集結-日系商店の襲撃相次ぐ、時事通信 2012年9月15日
- ^ 反日デモ2万人に拡大=北京、時事通信 2012年9月15日
- ^ a b c d トヨタ、日産店舗襲う 中国の反日官製デモ、最大規模、2012年9月16日
- ^ a b 中国各地で大規模な反日デモ 日系スーパーや企業など襲撃される、FNNニュース 2012年9月16日
- ^ 日本料理店“ここまでやるのか”、NHKニュース 2012年9月16日 07:18
- ^ 日本車運転の中国人、半身不随に=西安の反日デモ暴徒化-中国紙、時事通信 2012年9月21日
- ^ a b 中国全土の約40カ所で反日デモ デモ隊が一部で暴徒化、FNNニュース2012年9月15日
- ^ 反日デモ、各地で暴徒化 20都市で4万人超、尖閣国有化に反発、中国新聞 2012年9月15日
- ^ 中国反日デモ 日の丸燃やし大歓声 若者中心で3000人規模に、スポニチ 2012年9月15日
- ^ 百貨店の平和堂 デモ被害10億超、NHKニュース 2012年9月16日
- ^ 日本ではジャスコの名は2011年3月1日で「イオン」に統一されたが、海外では「ジャスコ」のまま残っている。
- ^ 中国の暴徒 日系スーパーで略奪も、NHKニュース 2012年9月15日
- ^ 被害の日系スーパー社長「デモでなくテロ」、TBS 2012年9月17日
- ^ 中国27都市で反日デモ…当局の制御利かず、読売新聞 2012年9月15日
- ^ 北京の日本大使館に数千人、投石も 中国反日デモ、日本経済新聞 2012年9月15日
- ^ 反日デモ:中国11都市に拡大 日系スーパーなど襲撃、毎日新聞 2012年9月15日
- ^ 反日デモ、100都市超える=過去最大規模、各地で破壊行為―連日暴徒化・中国、時事通信 2012年9月17日
- ^ a b 中国80都市でデモ 一部暴徒化、NHKニュース 2012年9月16日
- ^ 中国85都市でデモ 影響も広がる、NHKニュース 2012年9月17日
- ^ 反日デモ暴徒化 各地で容疑者拘束、NHKニュース 2012年9月17日
- ^ 政府、尖閣の監視を強化 中国漁船出港など警戒、日本経済新聞 2012年9月17日
- ^ 尖閣周辺に中国の海洋監視船10隻 東海大・山田教授の解説、FNNニュース 2012年9月18日
- ^ 接続水域の航行は12隻に、NHKニュース 2012年9月18日
- ^ 「日本滅ぼし沖縄取り戻せ」上海デモ、毛沢東肖像も、産経ニュース 2012年9月18日
- ^ 中国110余都市で反日デモ、NHKニュース 2012年9月18日
- ^ アウディジャパン、雲南省店舗の反日横断幕について謝罪、IT media 2012年9月18日
- ^ 上海ユニクロで「尖閣は中国の領土」と張り紙 襲撃回避狙う?「従業員の独断、すぐ撤去」、産経ニュース 2012年9月18日
- ^ 中国デモ、日系企業を襲撃 野田首相が抗議、WSJ 2012年9月17日
- ^ 「緊張感もって対応を」首相、反日デモの邦人保護で、日本経済新聞 2012年9月17日
- ^ 襲撃被害「責任は日本が負うべき」中国外務省、産経ニュース 2012年9月17日
- ^ 中国国防相、尖閣の安保適用「断固反対」米との会談で、朝日新聞 2012年9月18日
- ^ 習氏、尖閣国有化「領土問題を激化」…初の言及、読売新聞 2012年9月19日
- ^ 米長官 日中関係平和裏解決を、NHKニュース 2012年9月17日
- ^ “尖閣問題 米公聴会で中国の姿勢に懸念の声”. 日テレNEWS24 (日本テレビ放送網). (2012年9月21日) 2012年9月23日閲覧。
- ^ 中国の威嚇、米に直接影響=反日デモは「官製」-有力上院議員、時事通信 2012年9月21日
- ^ 石原知事、監視船に「寄らば切るぞと言ったらいい」 デモには「酷い、これはテロ」、産経ニュース 2012年9月19日
- ^ 反日過激デモ 中国政府はなぜ容認するのか(9月17日付・読売社説)、読売新聞 2012年9月17日
- ^ 反日デモ続く 対中感情の悪化を招くだけだ(9月19日付・読売社説)、読売新聞 2012年9月19日
- ^ 中国反日デモ 一部で暴徒化、NHKニュース 2012年9月16日
- ^ 中国紙、暴徒化報じず「秩序ある抗議に感謝」とも新京報は破壊行為に言及
- ^ 破壊された日本車は中国人の所有物、損失最大は中国人=中国報道、サーチナ 2012年9月17日
- ^ 中国紙、暴徒化を批判「日本人に怒りぶつけるのは不当」、産経ニュース 2012年9月17日
- ^ a b 発信力で負けてる日本!米有力紙「ニューヨークタイムズ」中国べったり、JCAST 2012年9月19日
- ^ 【社説】理解に苦しむ中国デモ隊の反日過激行動、WSJ 2012年9月19日
- ^ 米西部でも中国系が反日デモ、産経ニュース 2012年9月16日
- ^ NYでも反日デモ、約千人が参加 産経新聞 2012.9.17
- ^ オランダでも反日デモ
- ^ 中国人留学生、駐韓日本大使館で釣魚島国有化反対デモ、中央日報 2012年9月20日