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また、2019年の新規入国の技能実習生(技能実習1号ロ)は、167,405人であり、2015年の90,307人と比べ、約1.85倍増加している。国籍別では、ベトナム90,150人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約53.9%)、中国33,093人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約19.8%)、インドネシア15,036人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約9.0%)フィリピン、12,640人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約7.6%)であり、ベトナムと中国で約4分の3を占め、フィリピンとインドネシアを加えると全体の約9割を占める<ref name="R2 nyuukokukanri0402">{{cite press release|title=令和元年における外国人入国者数及び日本人出国者数等について|publisher=法務省出入国在留管理庁|date=2020-03-27|url=http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00002.html|accessdate=2020-04-01}}</ref><ref name="toukei_ichiran_nyukan" />。 |
また、2019年の新規入国の技能実習生(技能実習1号ロ)は、167,405人であり、2015年の90,307人と比べ、約1.85倍増加している。国籍別では、ベトナム90,150人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約53.9%)、中国33,093人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約19.8%)、インドネシア15,036人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約9.0%)フィリピン、12,640人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約7.6%)であり、ベトナムと中国で約4分の3を占め、フィリピンとインドネシアを加えると全体の約9割を占める<ref name="R2 nyuukokukanri0402">{{cite press release|title=令和元年における外国人入国者数及び日本人出国者数等について|publisher=法務省出入国在留管理庁|date=2020-03-27|url=http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00002.html|accessdate=2020-04-01}}</ref><ref name="toukei_ichiran_nyukan" />。 |
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かつては中国からの入国者だけで7割以上を占めたが、近年は中国国内の[[賃金]]上昇(製造業一般工の場合 [[上海市|上海]]:249ドル[2008年]→662ドル[2018年] [[深圳市|深セン]]:204ドル[2008年]→490ドル[2018年]<ref>{{Cite report|author=松山 昭浩|date=2019-05-08|title=アジア・オセアニア各国の賃金比較 (2019年5月)|url=https://www.bk.mufg.jp/report/insasean/AW20190508.pdf|publisher=[[三菱UFJ銀行]]国際業務部情報室|format=PDF|accessdate=2019-06-03}}</ref>)により技能実習生としての来日希望者が46,636人(2012年)から33,093人(2019年)と約3割減少した。一方でベトナムからの入国者が6,768人(2012年)から90,150人(2019年)と約13.3倍になっており、急増している<ref name="R2 nyuukokukanri0402" /><ref name=toukei_ichiran_nyukan>{{Cite web|author=法務省司法法制部|url=http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_nyukan.html|title=出入国管理統計統計表|date=|accessdate=2018-07-28}}</ref>。 |
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*[[技能実習制度|技能実習生]]が、来日後に別の仕事を求めて実習先から姿を消すケースが増えていること<ref>{{Cite news |author=和田武士|title=在留外国人過去最多に、不法残留者は5年連続増 法務省|newspaper=[[毎日新聞社]]|language=日本語|date=2019-03-22|url=https://mainichi.jp/articles/20190322/k00/00m/040/192000c|accessdate=2019-03-22}}</ref>。背景には、就業先の劣悪な労働環境(低すぎる賃金、[[長時間労働]])がある<ref>{{Cite news|newspaper=[[共同通信]]|title=失踪実習生、最低賃金未満67% 野党が分析、「政府説明は虚偽」|url=https://this.kiji.is/442267346399560801|date=2018-12-03|accessdate=2018-12-05}}</ref>。 |
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2020年6月20日 (土) 09:09時点における版
この記事は中立的な観点に基づく疑問が提出されているか、議論中です。 (2010年7月) |
不法滞在(ふほうたいざい)とは、自らが国籍を有する以外の国に在留許可が無い状態で滞在していることを指す。在留許可がそもそもない不法入国と在留許可期間超過による不法滞留(オーバーステイ)がある[1][2][3][4][5]。
概要
俯瞰的な観点からみると、世界各国の後進国から先進国への不法入国及び不法滞在が散見され、近年は不法移民の流入によって先進国の社会不安が増大したことから、特に不法移民取締の要請が社会的に強まりつつある。ヨーロッパのように、不法入国者による犯罪、それに伴う移民反対世論に則して、移民全体に厳しい措置や法改正の傾向にある。
国難民法を立法化している国では、政治難民は不法滞在にならない。ただし不法滞在の外国人が捕まると、退去強制を逃れる手段として虚偽の難民申請をする場合が多く、難民に対する法的扱いに寛容なヨーロッパを筆頭に、不法滞在で逮捕される者の多くが、引き伸ばしの手段として難民申請を行う。不法入国者の大多数が難民認定を申請し、滞在し続けているという現状があるため、難民申請者は不法移民であるとの考えが先進国で定着してしまった。一方で悪質犯罪や反社会的行為に走るような移民を選別しようとする国も存在する。自国民より難民を優遇していると考える国民が増えたことで、難民拒否を訴える政党が議席を増加傾向にある[6][7][8][9]。
移民法可決から長きにわたり、移民受け入れに寛容とされてきたカナダも法改正を行った。移民の流入先は都市部に偏っており、移民は税収増につながらないばかりか、難民制度を悪用した不正移民及び社会不安により、移民や難民受け入れに消極的になっている[10]。
種類
不法滞在は滞在許可期間超過による不法残留とそもそも入国許可を受けていない不法入国(密入国)に大別される。EU諸国はシェンゲン協定によって、EU加盟国民のみ加盟国間を自由に往来できる制度がある。その他の国では当該国籍を持たない人(外国人)が合法的に滞在するためには、日本では一部の例外を除き、出入国管理及び難民認定法(入管法)に定める在留資格のいずれかを持たなければならないこととなっている。したがって、日本における不法滞在者とは在留資格(厳密には「在留の資格」)を持たない外国人を指すと言ってもよい。
- 不法残留・不法滞在
- 入国する際には、空港または港で上陸許可を受け、在留資格を有していたが、定められた在留期限後も出国・帰国せずに在留していること。発覚した場合には強制送還と入国禁止措置など罰則がある(オーバーステイ・超過滞在)[1][2]。
- 不法入国・不法移住(密入国)
- 上陸許可を受けず、したがって在留資格を取得せずに入国すること。または、有効でないパスポートを用いて身分を偽るなど、不正な手段で入国する行為そのものこと。不法入国の手段は、近年では偽変造パスポート行使、船舶による密航など多様化している上、人数の把握ができないため、対策が困難である。不法入国して、居住している行為は不法移住と言われる[3][4]。
日本の状況
日本では不法滞在者が1993年(平成5年)の約30万人をピークに年々減少し、2014年(平成26年)年初には59,061人に激減した。新しい入国審査制度やオンライン情報受付などによる[12]出入国管理及び難民認定法第62条や第66条に規定される報償金に対する認知向上などが効果を上げたと見られた。しかし、2015年(平成27年)以降は増加し、2020年は、82,892人となった。
原因として、
下記の日本における不法残留者数にあるタイ・フィリピン・ベトナム・インドネシア・マレーシアは2013年7月1日に緩和措置(タイ・マレーシアは査証免除)がなされており、2014年にもフィリピン・ベトナムで2回、インドネシアで3回、2015年は中国で1回、2016年はベトナムで1回、2017年は中国で1回、2018年はフィリピンで1回、2019年1月時点では中国で1回の緩和措置がされている[14]。
2020年のベトナム人不法残留者の場合、15,561人の内8,632人(ベトナム人不法残留者全体の約55.5%)が技能実習(その内、受入れ方式が団体監理型である1号ロ[入国1年目]が3,582人、2号ロ[入国2・3年目]が4,999人)で、次いで留学が3,811人(ベトナム人不法残留者全体の約24.5%)であった。一方、中国人不法残留者の場合は、10,902人の内2,663人(中国人不法残留者全体の約24.4%)が技能実習(その内、受入れ方式が団体監理型である1号ロが1,257人、2号ロが1,398人)であり、留学は1,018人(中国人不法残留者全体の約9.3%)であった。ベトナムと比べて割合が低く、短期滞在(5,494人、中国人不法残留者全体の約50.4%)が多くを占めている。技能実習の場合、ベトナムだけで不法残留技能実習生全体の約69.5%(1号ロは約67.5%、2号ロは約70.9%)で占めており、中国を加えた場合、約90.9%(1号ロは約91.1%、2号ロは約90.8%)となる。留学の場合はベトナムだけで不法残留留学生全体の約68.8%を占めており、中国が加わった場合、約87.1%となる[16]。
また、2019年の新規入国の技能実習生(技能実習1号ロ)は、167,405人であり、2015年の90,307人と比べ、約1.85倍増加している。国籍別では、ベトナム90,150人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約53.9%)、中国33,093人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約19.8%)、インドネシア15,036人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約9.0%)フィリピン、12,640人(技能実習生[技能実習1号ロ]全体に占める割合:約7.6%)であり、ベトナムと中国で約4分の3を占め、フィリピンとインドネシアを加えると全体の約9割を占める[17][18]。
かつては中国からの入国者だけで7割以上を占めたが、近年は中国国内の賃金上昇(製造業一般工の場合 上海:249ドル[2008年]→662ドル[2018年] 深セン:204ドル[2008年]→490ドル[2018年][19])により技能実習生としての来日希望者が46,636人(2012年)から33,093人(2019年)と約3割減少した。一方でベトナムからの入国者が6,768人(2012年)から90,150人(2019年)と約13.3倍になっており、急増している[17][18]。
失踪者は、2018年は9,052人であり、6年前の2,005人と比べて4.5倍と急増している。国別の内訳は2017年の7,089人の内、その多くを占めるのがベトナム(3,751人)であり、失踪者全体の約52.9%を占める。2016年までは中国の方が多かったが、ベトナム人技能実習者の失踪者数の増加(496人[2012年]→3,751人[2017年])と中国人技能実習者の失踪者数が2015年のピークを境に減少(1,177人[2012年]→3,116人[2015年]→1,594人[2017年] )したことにより、2017年はベトナムが最多となった[22]。更に、2015年~2018年の間に、技能実習生全体の約2%前後が毎年失踪している[23]。
野党7党派は2018年12月3日、失踪した技能実習生に対して法務省が2017年に実施した聞き取り調査の「聴取票」を独自に分析した結果を公表した所、全体の約67%にあたる1,939人が最低賃金(時給714円=2016年の沖縄県、宮崎県)未満で、約10%にあたる292人が月の残業時間が「過労死ライン」とされる80時間を超えていたとしている。聴取票は、失踪後に入管法違反などで摘発された実習生から入国警備官が聞き取って記入するもの。国籍・性別、失踪動機、月給、労働時間などを尋ねる項目がある。法務省は昨年、2,870人を対象に実施。失踪動機(複数回答)の最多は「低賃金」の1,929人(67.2%)で、このうち144人(5.0%)が「契約賃金以下」、22人(0.8%)は「最低賃金以下」だった。月給は「10万円以下」1,627人(56.7%)、「10万円超~15万円以下」1,037人(36.1%)などとなった。 調査対象者は2,870人だったが、聴取票は22人分の重複があり、法務省は2,892人分として開示。野党が開示データをもとに算定したところ、月給は平均10万8,000円、光熱費などの名目による控除額は平均3万2,000円だった[24]。
また、2019年3月29日、法務省の発表より、2017年1月~18年9月に不法残留等により入国警備官の聴取を受けて聴取票が作成された失踪技能実習生5,218人のうち少なくとも759人(延べ937人)に、最低賃金法違反など実習先による不正行為の疑いがあった。その内訳は、
- 最低賃金違反(当時における地域別最低賃金を下回る賃金しか支払われていないおそれのあるもの):58人
- 契約賃金違反(契約条件を下回る賃金しか支払われていないおそれのあるもの):69人
- 賃金からの過大控除(賃金から住居費や食費等が控除される場合において、実費を上回る過大な控除がなされているおそれのあるもの):92人
- 割増賃金不払い(時間外労働等に対する割増賃金が適正に支払われていないおそれのあるもの):195人
- 残業時間等不適正(36協定未締結の状態で,又は36協定に違反して,残業又は休日労働をさせているおそれのあるもの):231人
- その他の人権侵害(①~⑤に該当するもののほか,暴行・脅迫・監禁,違約金・強制預金、旅券・在留カード・預金通帳等の取上げ,正当な理由のない帰国の強制、ハラスメント等の重大な人権侵害に該当するおそれのあるもの):36人
- 書類不備(賃金台帳が備え付けられていないもの、又は保存期間の満了前に賃金台帳を廃棄した等の、重大な不備があるおそれのあるもの):222人
- その他の不正行為等(技能実習計画との齟齬、虚偽帳簿書類の提出等に該当するおそれのあるもの)34人
となっている。更に、2012年~2017年(6年分)の技能実習生の死亡事案171件の内、監理団体等の報告漏れ、入管局の記載漏れ等の43件あり、入管当局における死亡事案の把握が不十分であることが露見された。[23]
上記の理由による背景があると考えられる。
- 不法滞在者の多くは、日本での経済的利益を得ることを目的としているが、渡航費や斡旋手数料などとして莫大な前借金を負わされて日本に入国し、強制的に働かされている者もおり、人身売買として問題となっている。不法滞在者はもちろん、それを雇った事業主や不法入国を援助した者に対しても罰則がある。
- 1990年代初頭の不法滞在者数は現在と違い、1993年(平成5年)の時点でタイ人が55,380人、イラン人が同年5月1日時点で40,001人[25]となっていた
日本における不法残留者数
1995年(平成7年)~2019年(平成31年)1月までは韓国人の不法滞在者数が1位となっていたが、2019年7月以降はベトナム人が1位となっている。また、韓国とタイ、フィリピン、マレーシア、シンガポールでは女性の方が男性よりもかなり多い。
- ベトナム 15,561人(構成18.8%)≪最盛期≫
- 韓国 12,563人 〈構成比15.2%〉← 62,577人(1999年)
- 中国 10,902人 (構成比13.2%)← 39,738人(1994年)
- タイ 8,872人 (構成比10.7%)← 55,383人(1993年)
- フィリピン 6,061人 (構成比7.3%)← 42,608人(1998年)
- インドネシア 4,180人(構成比5.0%)← 7,246人(2004年)
- 台湾 3,730人(構成比4.5%)← 9,437人(1999年)
- マレーシア 1,846人(構成比2.2%)← 38,529人(1992年)
- スリランカ 1,112人(構成比1.3%)← 4,590人(2006年)
- シンガポール 994人(構成比1.2%)
- その他 17,071人(構成比20.6%)← 85,224人(1992年)
- 計 82,892人 ← 298,646人(1993年)
- 法務省資料
- 本邦における不法残留者数について(令和2年1月1日現在) 平成30年1月1日現在~令和2年1月1日現在
- 【公表資料】平成29年1月1日現在不法残留者数(PDF) 平成29年1月1日現在~平成24年1月1日現在
- 本邦における不法残留者数について 平成23年1月1日現在
- 第1表から第3表,第1図・第2図(PDF) 平成23年1月1日現在~平成18年1月1日現在
- 本邦における不法残留者数について平成17年1月1日現在
- 【第1表】 不法残留者総数及び性別とその推移平成2年7月1日現在~平成17年1月1日現在
- 【第3表】 在留資格別 不法残留者数の推移平成4年5月1日現在~平成17年1月1日現在
入国者収容所等に収容されている不法滞在者の状況
査証の有効期限を過ぎても日本にとどまるなどして不法滞在となり、入国者収容所等に6カ月以上長期収容されている外国人が増えている。長期化している主な理由として
- 東京入国管理局が2010年に強制送還しようとしたガーナ国籍の男性(当時45歳)が飛行機の中で死亡したこと。男性を「猿ぐつわ」や結束バンドで拘束し、前かがみの姿勢を取らせていたことが問題となり、3年弱は強制送還がなされず、再開後は帰国を拒否する収容者が増えたこと。
- 不法滞在者の国籍国の駐日大使館等が送還忌避者(退去強制令書が発付され、本来なら国籍国へ送還されるべき立場にもかかわらず、諸般の事情等により直ちに送還できないことから、一時的に収容を解かれている者)に係る臨時旅券の職権発給を拒否し、身柄取引が出来ず強制送還できないこと。
- 入管法第61条の2の6第3項の規定により、難民手続中は強制送還が停止される。その為、この事情を知って申請する収容者が多くなったこと(2016年の退令仮放免者(3,555人)中、約半数(1,759人)の者が難民認定申請していた。)
- 入国管理局に対して処分取消請求訴訟を提起することで、「裁判を受ける権利」に配慮して,訴訟係属中の者に対しては裁判の終結まで事実上送還を行っていないこと
- 法務省が施設外での生活を認める「仮放免」の審査を厳しくしたこと
2016年末に収容されていた1,133人中、6カ月以上の「長期収容者」は313人(約28%)だったが、2017年末は1,351人中576人(約43%)と人数、割合がともに増加した。2018年に入ってからも急増し、7月末時点で1,309人中709人(約54%)だった。収容が5年を超える人もいる。[26]
医療面に関しては、全国にある17の入管施設で常勤医がいるのは東日本入国管理センターのみである。しかし、常勤医は日勤で、医師のいない夜間は朝まで待つか、職員の判断で救急搬送するしかない。いずれも、近隣の民間医療機関などの医師が輪番で勤務しているが、入管当局の幹部は「土日や夜間でも相談できる常勤医師がいないと困る。救急の場合など、外部医療機関への搬送が増える」とこぼす。外部へ搬送するには、逃走防止のため職員数人が交代制で付き添わなければならない上、健康保険が適用されず高額の医療費がかかってしまう。そのため、隣接の医師会へ呼びかけるなどして常勤医の募集をしているが、一向に集まらない。背景には、民間医療機関の医師と比較した給料の低さや最先端の医療から取り残される不安があるためである。[27][28]
また、少なくとも東日本入国管理センターでは、かつてはシャワー室前に監視カメラが設置されていたが、プライバシー権の侵害だと問題視され、2018年10月12日に撤去された。更に、居室外に出られるのが午前・午後の3時間ずつだけで、運動場には金網の天井が張り巡らされている。[28]
不法滞在者による犯罪
2018年(平成30年)の 外国人犯罪者の日本全体の刑法犯検挙件数に占める割合は、約3.1%であり、総検挙人員は約2.8%であった。 外国人犯罪者の約29.8%(刑法犯:約6.3%、特別法犯:約56.1%)が不法滞在者であり、2018年(平成30年)の 外国人犯罪者の総検挙者数の内訳では、正規滞在は7,777人(内 刑法犯:5,478人、特別法犯:2,299人)、不法滞在の犯罪者3,305人(内 刑法犯:366人、特別法犯:2,939人)である。不法滞在者による犯罪には、まず窃盗(不法滞在刑法犯検挙人員の約64.2%[235件])や入管法違反(不法滞在特別法犯検挙人員の約96.8%[2,846件])が多く、次いで覚醒剤、大麻、麻薬及び向精神、危険ドラッグの密輸入及び違法製造・栽培、密売、所持の薬物事犯(不法滞在特別法犯検挙人員の約1.9%[55件])、さらに知能犯(不法滞在刑法犯検挙人員の約11.7%[43件])などがある[29]。
- チャイニーズドラゴン関係者らによる事件
- 平成29年6月、中国人の男らは、平成29年2月、飲食店において同席した中国人の男性らに対し、瓶で殴るなどの暴行を加え、傷害を負わせた。同年6月、中国人の男2人(定住者)を傷害罪で逮捕した。
- 中国人及び日本人の男女らは、平成29年7月、カラオケ店に日本人女性を呼び出して監禁し、頭部等を殴打するなどの暴行を加えて現金を脅し取ろうとした。同年9月、中国人の男女5人(永住者、日本人の配偶者等、定住者、技能)及び日本人の女1人を監禁罪、傷害罪及び恐喝未遂罪で逮捕した。
- 中国人の男は、他の者と共謀の上、平成29年8月、カラオケ店に中国人男性を呼び出して監禁し、顔面や頭部等を殴打するなどの暴行を加えて現金を脅し取ろうとした 同年10月 中国人の男1人(特定活動)を監禁罪、傷害罪及び恐喝未遂罪で逮捕した[30]。
- ベトナム人による窃盗等事件
- ベトナム人の男女らは、平成28年10月から同年11月にかけて、佐賀県、熊本県及び福岡県の衣料品販売店において衣料品を窃取し、東京都のマンションの一室に郵送し、航空機を利用して海外へ運搬していた。平成29年7月までに、ベトナム人の男3人(不法残留)を窃盗罪で逮捕し、盗品を海外へ運搬していたベトナム人の女2人(短期滞在)を盗品等運搬罪で逮捕した[30]。
- 有印公文書偽造による入管法違反
- 不正取得した旅券や在留カードを使用して、不法出国と不法入国を繰り返す犯罪もある。2012年(平成24年)に愛知県で起きた韓国人女性による入管法違反の事件では、2009年(平成21年)10月から2010年(平成22年)4月までの間、不法滞在の女性が不正取得した旅券を使用し、日本人女性になりすまして日韓間の出入国を何度も繰り返していた事件がある[31]。
- 偽装認知
- 不法滞在の外国人が在留資格を得る目的で、実の子と偽って日本人に認知してもらうことをいう。2009年(平成21年)2月に、東京都で起きた中国人による偽装認知事件では、中国人2人の間にできた子供を日本人男性との間にできた子供と偽り、日本人男性が認知したとする虚偽の届け出を市役所に提出し、中国人が日本国籍の実子を養育していたもので、中国人父母と日本人男性の間に面識はなかった。
- 不法出入国
- 日本国内での犯罪から逃亡するために[32]、また不法滞在者が用事などで一時帰国せざるを得なくなり、その際に正規手続きによって日本から出国をすると不法滞在が判明してしまう為、これを防ぐ目的での「不法出国」が増加している。2006年(平成18年)に、海上保安庁が摘発した不法出国者数は41人。このうち36人が韓国人で、そのほとんどは女性であった[33]。2013年には、福岡県で釜山広域市へ帰るため、釣り船を待っていた不法滞在の韓国人女性6人が摘発されている[34]。女性らは韓国へ退去強制されたが、再び日本へ渡航するために釣り船による密航を行なっている。警察では「日本の上陸拒否期間を知った上で組織的に行われた悪質な犯行」としている[34]。
デマ
2015年7月8日、それまでの外国人登録証から新たな在留カードへ移行する期限を迎えたが、このとき「この移行に伴い、同年7月9日以降在日は全員不法滞在者になり、強制送還される」という噂が、インターネット上に広がった[35]。この結果、法務省入国管理局に寄せられる不法滞在の通報メールが、7月から9月までで1万件程度に及び、在日朝鮮人らに関する根拠のない情報が大幅に増えた[35]。
入国管理局は受け付けを一時停止し、業務妨害等に当たらないか警察に相談し「外国人を中傷する電子メールは、通報システムの目的にそぐわず、まったく遺憾だ」としている[35]。通報メールは2004年に導入され、日本弁護士連合会は、2005年「一般市民に、不法滞在者ではないかという注意を向けさせ、外国人への偏見や差別を助長する」などと、中止を求める意見書を法務大臣宛てに提出、2015年11月、市民団体「移住者と連帯する全国ネットワーク」が法務省に対し「差別の扇動につながる」と指摘していた[35]。
特別永住者が在留カードの切り替えを行わなかった場合でも在留資格の喪失はない、ただしみなし再入国許可の適応はない[36]。
脚注
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- ^ 「JR西日暮里スプレー噴射事件 密入国ルート」2006年4月12日統一日報
- ^ 「不法出国 90%は韓国女性」2007年5月2日 統一日報
- ^ a b 風俗店に就業するため日本へ密航しようとした女性らを摘発=韓国 サーチナ 2013年(平成25年)5月13日
- ^ a b c d “不法滞在の通報、前年比3倍超 ネット上のデマ影響か”. 朝日新聞. (2015年12月23日)
- ^ “在留カード、特別永住者証明書への切り替えは、お早めにお願いします。”. 世田谷区. 2020年2月2日お閲覧。
関連項目
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2019年5月6日). “【アメリカを読む】「不法移民は聖域都市へ」トランプ氏挑発が浮かび上がらせた寛容のジレンマ”. 産経ニュース. 2019年10月31日閲覧。