「山椒大夫」の版間の差分
m Bot作業依頼: 森鷗外への記事名変更に伴う変更 - log |
m Bot作業依頼: 森鷗外への記事名変更に伴う変更 - log |
||
124行目: | 124行目: | ||
* [http://www.clie.asia/ 株式会社CLIE] |
* [http://www.clie.asia/ 株式会社CLIE] |
||
{{森 |
{{森鷗外}} |
||
{{溝口健二監督作品}} |
{{溝口健二監督作品}} |
||
{{Lit-stub}} |
{{Lit-stub}} |
2020年6月18日 (木) 12:41時点における版
「山椒大夫」(さんしょうだゆう)は、説話「さんせう太夫」をもとにした森鷗外による小説で、鴎外の代表作の一つである。
出典
この小説は中世の芸能であった説経節の「五説経」と呼ばれた有名な演目の一つ「さんせう太夫」を原話として執筆され、1915年(大正4年)、森鴎外53歳の時に「中央公論」に掲載された。
さんせう太夫
岩城の判官正氏の御台所、その子安寿とつし王(厨子王)が、帝から安堵の令旨を賜るべく都へと向かう途中、人買いにたぶらかされて親子離れ離れに売られ、姉弟は丹後の長者「山椒太夫(三庄太夫)」のもとで奴隷として辛酸をなめる。姉の安寿は弟を脱走させたため山椒太夫の息子・三郎によって凄惨な拷問を受けた末に殺されてしまう。つし王は神仏により救われて出世し、山椒太夫父子に苛烈な復讐を行う。
あらすじ
平安時代の末期、陸奥国の掾であった平正氏は、上役の罪に連座して筑紫国へ左遷された。
小説化における脚色
世に知られた安寿・厨子王伝説をいかにして小説『山椒大夫』に仕立てたかを随筆「歴史其儘と歴史離れ」で鴎外自らが具体的に語っている。それによると、伝説の筋書きを基にしながら、登場人物の年齢から実際の年号を振り当て、そのうえで辻褄が合わない、あるいは鴎外の好みに合わない部分に小説的な脚色を加えていったと述べている[1]。鴎外は小説化にあたり、安寿の拷問や山椒大夫が処刑される場面など、原話で聴かせ所として具体的に描写される残酷な場面はほとんど切り捨てている。また、賃金を支払うよう命じられた一家が、その後むしろ一層富み栄えたというのも森鴎外のオリジナルである。 また、原作では焼印を押されてしまうが、森鴎外の山椒大夫では、夢の中の出来事として扱われており、お守りの地蔵に焼印が有ったとしている。
映画
山椒大夫 | |
---|---|
監督 | 溝口健二 |
脚本 |
八尋不二 依田義賢 |
製作 | 永田雅一 |
出演者 |
田中絹代 花柳喜章 香川京子 進藤英太郎 河野秋武 浪花千栄子 |
音楽 | 早坂文雄 |
撮影 | 宮川一夫 |
編集 | 宮田味津三 |
配給 | 大映 |
公開 | 1954年3月31日 |
上映時間 | 124分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
1954年3月31日公開。大映製作・配給の溝口健二監督作品。ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲得するなど、海外でも高く評価され、溝口の代表作のひとつとなった。
概要
依田義賢と八尋不二が共同で脚色し、溝口が監督した。本作は海外でも高く評価され、ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲得、『西鶴一代女』『雨月物語』に次いで3年連続でヴェネツィア国際映画祭に入賞した。ほか、国内ではキネマ旬報ベストテン第9位にランクインされた。ラストの海のシーンはジャン=リュック・ゴダールが『気狂いピエロ』で再現したほどである。
スタッフ
- 監督:溝口健二
- 製作:永田雅一
- 脚本:八尋不二、依田義賢
- 企画:辻久一
- 撮影:宮川一夫
- 録音:大谷巌
- 照明:岡本健一[2]
- 美術:伊藤熹朔
- 音楽:早坂文雄
- 編集:宮田味津三
- 助監督:田中徳三
- 進行:小澤宏
キャスト
- 玉木:田中絹代
- 厨子王:花柳喜章
- 安寿:香川京子
- 山椒大夫:進藤英太郎(東映)
- 仁王:菅井一郎(第一協団)
- 吉次:見明凡太郎
- 小萩:小園蓉子(松竹)
- 姥竹:浪花千栄子
- 巫女:毛利菊江
- 藤原師実:三津田健(文学座)
- 平正氏:清水将夫(民芸)
- 曇猛律師:香川良介
- 太郎:河野秋武
- 内蔵介工藤:小柴幹治
- 左太夫:荒木忍
- 少年時代の厨子王:加藤雅彦 (現在の津川雅彦)
- 少女時代の安寿:榎並啓子
- 遊女中君:大美輝子
- 波路:橘公子
- 汐乃:金剛麗子
- 平正末:南部彰三
- 遊女宿の親方:東良之助
- 判官代則村:大邦一公
- 金平:伊達三郎
- 奴:石原須磨男
- 木戸の番人:天野一郎
- 萱野:相馬幸子
- 船着場の女:小松みどり
テレビドラマ
「安寿と厨子王」のタイトルで、1976年12月20日~12月23日にNHKの少年ドラマシリーズの枠で放送。田中澄江脚本。出演に池上季実子、長谷川諭、天本英世、津島恵子など。
舞台
CLIEが製作する朗読演劇シリーズで森鷗外の別作品「高瀬舟」と合わせた内容で舞台化された。
- 極上文學 第9弾『高瀬舟・山椒大夫』(2015年10月、製作:CLIE・企画:MAG.net・制作:Andem)
出演
村田充、伊勢大貴、藤原祐規、松本祐一、椎名鯛造、水石亜飛夢、服部翼、松田洋治、天宮良
スタッフ
- 演出:キムラ真(ナイスコンプレックス)
- 脚本:神楽澤小虎(MAG.net)
- 音楽:橋本啓一
その他
中島みゆきが自身で構成・演出・作詞作曲・主演をつとめる『夜会』でモチーフとなる。タイトルは『中島みゆき「夜会」~夜物語~元祖・今晩屋』。 2008年11月20日~12月19日に赤坂ACTシアター、2009年1月30日~2月15日にシアターBRAVA!で行う。
脚注
- ^ 森鴎外「歴史其儘と歴史離れ」青空文庫
- ^ コトバンク