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{{複数の問題 |
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{{Sakujo/本体|2020年2月25日|上級国民 20200225}} |
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| 独自研究 = 2021年3月 |
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| 正確性 = 2021年3月 |
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| 観点 = 2020年2月 |
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⚫ | '''上級国民'''(じょうきゅうこくみん)とは、一般国民とは |
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}} |
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{{百科事典的でない|type=IINFO|date=2021年5月}} |
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⚫ | '''上級国民'''(じょうきゅうこくみん)とは、一般国民とは異なる'''上級の[[国民]]'''を表す<ref name="現代_2016"/>、[[インターネット]]上などで用いられている[[俗語]]、[[インターネットスラング]]である<ref name="現代_2019">{{Cite book |和書 |year=2019-11-07|title= [[現代用語の基礎知識]] 2020 |publisher=[[自由国民社]]|pages=119-120,123|isbn=4426101387}}</ref><ref name="NW_2020">{{Cite book|和書|title= Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2020年2/25号[上級国民論]|year=2020-02-18|publisher=CCCメディアハウス|author= ニューズウィーク|authorlink=ニューズウィーク|pages=18-23}}</ref>。2015年と2019年に[[ユーキャン新語・流行語大賞]]の候補になった<ref name="ITMN_20151111">{{Cite web|和書|url=http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1511/10/news103.html|title=「上級国民」「ラブライバー」「刀剣女子」 新語・流行語大賞候補に|publisher=ITmedia NEWS|date=2015-11-10|accessdate=2015-11-11|archiveurl=https://web.archive.org/web/20190426212628/https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1511/10/news103.html|archivedate=2019-04-26}}</ref><ref name="ITMN_20191106">{{Cite web|和書|url=https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1911/06/news107.html|title=「○○ペイ」「タピる」「ドラクエウォーク」 新語・流行語大賞にノミネート|publisher=ITmedia NEWS|date=2019-11-06|accessdate=2020-02-26|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191217213743/https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1911/06/news107.html|archivedate=2019-12-17}}</ref><ref name="daily_20191202">{{Cite web|和書|url=https://www.daily.co.jp/gossip/2019/12/02/0012926822.shtml|title=「上級国民」がトレンドワードに、流行語大賞トップテン落選に異論相次ぐ|publisher=デイリー|date=2019-12-02|accessdate=2020-02-26|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191206022856/https://www.daily.co.jp/gossip/2019/12/02/0012926822.shtml|archivedate=2019-12-06}}</ref><ref name="SANKEI_20191106">{{Cite web|和書|url=https://www.sankei.com/life/news/191106/lif1911060032-n1.html|title=「令和」「上級国民」「タピる」「にわかファン」 流行語大賞、候補の30語発表|publisher=SANKEI NEWS|date=2019-11-06|accessdate=2020-02-26|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191106094712/https://www.sankei.com/life/news/191106/lif1911060032-n1.html|archivedate=2019-11-06}}</ref><ref name="ハフ_20191106">{{Cite web|和書|url=https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5dc270e1e4b0b0861f909537|title=【流行語大賞2019】ノミネート30語を一挙紹介。「翔んで埼玉」で「笑わない男」が「タピる」?|publisher=ハフポスト|date=2019-11-06|accessdate=2020-02-26|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200106184746/https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5dc270e1e4b0b0861f909537|archivedate=2020-01-06}}</ref>。 |
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== |
== 意味 == |
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言葉の定義は |
言葉の定義は明確に決まっておらず<ref name="NW_2020"/><ref name="上級_20190801">{{Cite book|和書|title=上級国民/下級国民|author=橘 玲|publisher=[[小学館]]|year=2019-08-01|isbn=4098253542}}</ref>単に[[富裕層]]や[[上流階級]]を指すこともあれば<ref name="NW_2020"/>、一般人の理解を超えた言動をする[[政治家]]・[[専門家]]・[[官僚]]らを指す場合もある<ref name="知恵蔵_2015">{{Cite web|和書|url=https://kotobank.jp/word/%E4%B8%8A%E7%B4%9A%E5%9B%BD%E6%B0%91-1736314|title=上級国民|publisher=知恵蔵mini 朝日新聞出版|date=2015-11-12|accessdate=2020-02-26|archiveurl=https://web.archive.org/web/20190427011525/https://kotobank.jp/word/%E4%B8%8A%E7%B4%9A%E5%9B%BD%E6%B0%91-1736314|archivedate=2019-04-27}}</ref>。また、政治力や財力などを利用して罪や責任から逃れる階級を指すこともある<ref name="NW_2020"/>。「上級国民」という語は一般的には普及しないながらも、[[大正時代]]から複数名により[[造語]]として使われていたが<ref name="大正_1948">{{Cite book|和書|title=[[近代日本思想大系]] 33 大正思想集1|author=今井清一|authorlink=今井清一|year=1978-02-01|pages=181-182|isbn=4480305335}}</ref><ref name="立憲_2016">{{Cite book|和書|title=立憲非立憲|author=佐々木惣一|year=2016-06-11|publisher=[[講談社]]|isbn=4062923661}}</ref><ref>『職業指導』8巻2号</ref>、2015年に発生した[[2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレム]]の[[著作権侵害]]疑惑以降、急速に広まった<ref name="NW_2020"/><ref name="知恵蔵_2015"/>。その後、2018年2月に[[東京都]][[港区 (東京都)|港区]]で起きた[[石川達紘|元東京地検特捜部長]]による自動車死亡事故や2019年4月に起きた[[池袋暴走事故 (2019年)|池袋暴走事故]]の際にネット上などで用いられた<ref name="NW_2020"/><ref name="PS_2019">{{Cite web|和書|url=https://www.news-postseven.com/archives/20190505_1366194.html|title=「上級国民」というネットスラングの大拡散が示す日本人の心中|date=2019-05-05|accessdate=2020-02-26|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200104195109/https://www.news-postseven.com/archives/20190505_1366194.html|archivedate=2020-01-04}}</ref>。 |
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[[2015年]]9月1日にオリンピック大会組織委員は、エンブレムの白紙撤回を表明した上で、「著作権侵害ではないが一般の国民から理解を得られない」<ref name="知恵蔵_2015"/> |
[[2015年]]9月1日に[[東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会|オリンピック大会組織委員]]は、エンブレムの白紙撤回を表明した上で、「著作権侵害ではないが一般の国民から理解を得られない」<ref name="知恵蔵_2015"/>「専門家にはわかるが、一般国民は残念だが理解しない」<ref name="現代_2016"/>や「専門家でのあいだではじゅうぶんわかり合えるんだけれども、一般国民にはわかりにくい、残念ながらわかりにくいですね」<ref name="上級_20190801"/>と述べた。この発言を受け、報道やネット上では「一般の人の感覚や理解を超えたもの」として反発が広まった<ref name="現代_2016">{{Cite book|和書|title=[[現代用語の基礎知識]] 2016|year=2015-11-11|publisher=[[自由国民社]]|page =1084|isbn=4426101344}}</ref><ref name="知恵蔵_2015"/>。 |
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[[佐々木惣一]]は、『[[立憲非立憲]]』において、「限られた範囲の国民」について「上級国民と云うて置かう」とあり、「[[君主]]の任命に係る者」と同列に「上級国民の指定に係る者」が並べられている<ref name="大正_1948"/><ref name="立憲_2016"/>。 |
[[佐々木惣一]]は、『[[立憲非立憲]]』(1916年)において、「限られた範囲の国民」について「上級国民と云うて置かう」とあり、「[[君主]]の任命に係る者」と同列に「上級国民の指定に係る者」が並べられている<ref name="大正_1948"/><ref name="立憲_2016"/>。 |
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== 逮捕に関する誤解との関連 == |
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⚫ | 清多英羽によれば、[[ペスタロッチ]]は「[[貧民]]と上級国民」という対立構図において、貧民教育を重視した<ref name="清多_2018">{{Cite journal| |
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[[上級国民#用例|用例]]の節にあるように、被疑者が[[逮捕]]されないことをもって、「上級国民の特権」であるとして批判する例が見られる。これについては、「逮捕は加害者に対する罰である」という誤解が根底にあることが指摘されている。すなわち、ニュースなどで被疑者の逮捕がよく報じられるため、逮捕が[[刑事罰]]的なペナルティーであるというイメージを持たれている可能性があるという<ref name="diamond-toda">{{Cite web|和書|author=戸田一法 |url=https://diamond.jp/articles/-/260200?page=3 |title=「上級国民」は逮捕されない?吉川元農相の在宅起訴で噴出する世論の不満 |website=DIAMOND online |pages=3-4 |publisher= |date=2021-01-20 |accessdate=2021-06-15}}</ref>。 |
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しかし、刑事罰は[[刑事裁判]]を経なければ与えられないのであり、捜査段階の手続にすぎない逮捕はペナルティーではない。法に定める「逮捕の必要性」がなければ逮捕は許されず、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないなど、明らかに逮捕の必要がない場合は令状すら出されない(刑事訴訟規則143条の3)<ref name="finders">{{Cite web|和書|author=渡邉祐介 |url=https://finders.me/articles.php?id=1120 |title=「上級国民」は逮捕されない?死亡事故を起こした人が受ける4つの責任【連載】FINDERSビジネス法律相談所(13) |website=FINDERS |publisher= |date=2019-07-08 |accessdate=2021-06-15}}</ref>。 |
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== 過去の使用歴 == |
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{{main|逮捕 (日本法)}} |
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⚫ | 最初の |
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*逃亡のおそれについては、社会的地位や年齢についても考慮要素とされ、上級国民と批判される人々は社会的地位が高く(逃亡を図ることによって発生する本人へのダメージが大きく)、またほとんどのケースで高齢で体力がないため、逃亡のおそれなしとされることが多い<ref name="finders"/>。 |
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⚫ | [[1935年]]([[昭和]]10年)には、[[小山文太郎]]の講演で用いられた<ref name="小山1935a">{{Cite |
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*罪証隠滅のおそれについては、批判されやすい[[交通事故]]の事例では、[[アルコール]]や[[麻薬|違法薬物]]が関連しない限り証拠は現場に全て揃っており、警察が全て押収するので、隠滅は不可能である<ref name="diamond-toda"/>。 |
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公権力による身体拘束である逮捕は乱用すべきではないというのが司法の基本原則であり、逮捕されるべきでない事実関係において逮捕されていないことが分かることはむしろ望ましいことである<ref name="diamond-toda"/>。 |
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<!--マスコミによる「容疑者」呼称についても加筆を検討--> |
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== 用例 == |
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⚫ | 最初の用例として確認できるものは[[佐々木惣一]]によるものである。[[1916年]]大正デモクラシーの際に憲法学者の佐々木が『立憲非立憲』<ref group="注">ISBN 4062923661</ref>の中で「[[門地]]や職業に依て限られた範囲の国民」を「上級国民」と名付けた<ref name="朝日_20200125">{{Cite news |1= 和書 |title= 「上級国民」流行する国 |newspaper= [[朝日新聞]] |date= 2020-1-25 |url= https://www.asahi.com/articles/ASN1W3T4HN1HUPQJ009.html |accessdate= 2020-02-03 |page= 13 |publication-date= |archiveurl= https://web.archive.org/web/20200205092834/https://www.asahi.com/articles/ASN1W3T4HN1HUPQJ009.html |archivedate= 2020年2月5日 }}13版</ref>。 |
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⚫ | 清多英羽によれば、18 - 19世紀の教育者[[ヨハン・ハインリヒ・ペスタロッチ]]は「[[貧民]]と上級国民」という対立構図において、貧民教育を重視した<ref name="清多_2018">{{Cite journal|和書|author=清多英羽 |date=2018-03 |url=https://acguacjc.repo.nii.ac.jp/records/75 |title=フィヒテ『ドイツ国民に告ぐ』の国民教育論の展開 : ペスタロッチ受容の内実 |journal=青森中央短期大学研究紀要 |ISSN=0911-8829 |publisher=青森中央短期大学 |issue=31 |pages=23-38 |naid=120006534408 |CRID=1050564287702985216 |ref=harv}}</ref>。 |
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⚫ | [[1935年]]([[昭和]]10年)には、[[小山文太郎]]の講演で用いられた<ref name="小山1935a">{{Cite journal|和書|author=小山文太郎|authorlink=小山文太郎|url=https://doi.org/10.11501/2217123 |title=講演 上級學校と上級國民(一) |journal=職業指導 |volume=8 |issue=2 |date=1935-02 |pages=57-61}}</ref><ref name="小山1935b">{{Cite journal|和書|author=小山文太郎 |url=https://doi.org/10.11501/2217124 |title=講演 上級學校と上級國民(二) |journal=職業指導 |volume=8 |issue=3 |date=1935-03 |pages=70-75}}</ref>。ただしその具体的な意味については提示されていない。 |
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=== 東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムの策定 === |
=== 東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムの策定 === |
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[[2015年]]([[平成]]27年)には、[[2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレム]]の策定において、著作権侵害の疑惑が指摘された際に開かれた[[ |
[[2015年]]([[平成]]27年)には、[[2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレム]]の策定において、著作権侵害の疑惑が指摘された際に開かれた[[東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会|五輪組織委員会]]の記者会見の見解に対し、報道およびネット上にて使用された<ref name="知恵蔵_2015" /><ref name="gadget_20150902">{{Cite web|和書|publisher=ガジェット通信|date=2015-09-02|url=http://getnews.jp/archives/1119504|title=デザイン界は「上級国民」!? エンブレム撤回会見での「一般国民は理解しない」発言が一部で反発を呼ぶ|accessdate=2015-11-11|archiveurl=https://web.archive.org/web/20190630144826/https://getnews.jp/archives/1119504|archivedate=2019-06-30}}</ref>。 |
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2015年の夏から秋にかけて起きた一連の騒動で、 |
2015年の夏から秋にかけて起きた一連の騒動で、五輪組織委員会は、一度決定していた[[佐野研二郎]]によるデザインを9月1日に白紙撤回した。これを発表する記者会見の席上、五輪組織委員会の[[武藤敏郎]]事務総長が、選考委員長の[[永井一正]]の発言を引用する形で、デザインの独自性について「専門家にはわかるが、一般国民は残念だが理解しない<ref name="現代_2016"/><ref name="gadget_20150902"/>」という趣旨の発言した<ref name="日刊ゲンダイ_20150910"/>。発言中、「一般国民」なる表現が複数回あり<ref name="アメーバN_20150903">{{Cite web|和書|publisher=[[アメーバブログ|アメーバニュース]]|date=2015-09-03|url=http://yukan-news.ameba.jp/20150903-58/|title=「一般国民」と「上級国民」を流行語大賞候補に推す声|accessdate=2015-11-11|archiveurl=https://web.archive.org/web/20160304222226/http://yukan-news.ameba.jp/20150903-58/|archivedate=2016-03-04}}</ref>、これをデザイン界の「選民意識」だと揶揄した表現が「上級国民」である<ref name="gadget_20150902"/>。 |
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この発言は「上から目線」だと反発を招いた。[[教育評論家]]の[[尾木直樹]]は『一般国民で悪かったですね!<ref name="アメーバN_20150903"/>』と憤りを表明した。[[アメーバブログ|アメーバニュース]]によれば、こうした感想は多くの者に広まったとみなされており、「上級国民」という語が[[Twitter]]のHOTワードで上位にきたことからもそれが裏付けられるとされている<ref name="アメーバN_20150903"/>。 |
この発言は「上から目線」だと反発を招いた。[[教育評論家]]の[[尾木直樹]]は『一般国民で悪かったですね!<ref name="アメーバN_20150903"/>』と憤りを表明した。[[アメーバブログ|アメーバニュース]]によれば、こうした感想は多くの者に広まったとみなされており、「上級国民」という語が[[Twitter]]のHOTワードで上位にきたことからもそれが裏付けられるとされている<ref name="アメーバN_20150903"/>。 |
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「上級国民」という表現は、9月5日の |
「上級国民」という表現は、紙媒体でも9月5日の[[日刊ゲンダイ]]が、フリーライターの[[井上トシユキ]]のコメントとして、「エンブレム騒動は下火どころか、ネット上で〈上級国民〉などと呼ばれる[[権力者]]VS一般国民の闘争に移りつつあります」という見解を紹介する中で使用された<ref name="日刊ゲンダイ_20150905"/>。同紙では9月10日にも永井ほか審査に関わったデザイナーの代名詞として「上級国民」を用いた<ref name="日刊ゲンダイ_20150910"/>。 |
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これを受けて2015年の新語・流行語大賞の候補にノミネートされた<ref name="ITMN_20151111"/>。 |
これを受けて2015年の新語・流行語大賞の候補にノミネートされた<ref name="ITMN_20151111"/>。 |
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=== 2019年池袋暴走事故 === |
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{{See|池袋暴走事故 (2019年)}} |
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2019年(平成31年)には、東京 |
2019年(平成31年)には、東京で起きた池袋暴走事故の際の運転者(加害者)である[[飯塚幸三]]の社会的地位や扱いについてネット上などで用いられた<ref name="現代_2019"/><ref name="読売_20190510">{{Cite news|1=和書|date=2019-5-10|url=https://www.yomiuri.co.jp/national/20190510-OYT1T50294/|title=容疑者でなく元院長、加害者の呼び方決めた理由|newspaper=[[読売新聞]]|accessdate=2019-5-31|author=足立大|publication-date=|archiveurl=https://web.archive.org/web/20190530092004/https://www.yomiuri.co.jp/national/20190510-OYT1T50294/|archivedate=2019年5月30日}}</ref>。 |
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2019年4月、飯塚が運転する車が路上で暴走した。これにより、横断歩道を渡っていた31歳の母親と3歳の娘が死亡したほか、飯塚とその同乗者である妻を含めて10人が負傷したが、飯塚は入院を理由に[[逮捕]]を見送られた。一方、その2日後に[[神戸市]][[中央区 (神戸市)|中央区]]で起きた、市営バスが歩行者の列に突っ込み2人が死亡、4人が負傷した事故では運転手の男性が<ref>{{Cite news2|title=運転手「ブレーキ中に急発進」2人死亡の神戸バス事故|newspaper=アサヒ・コム|date=2019-04-21|url=https://www.asahi.com/articles/ASM4P5RZKM4PPTIL00H.html|agency=朝日新聞社|accessdate=2020-02-27}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jiji.com/jc/article?k=2019042100256&g=soc|title=市バスが歩行者はねる=2人死亡6人けが、運転手逮捕-神戸|publisher=時事ドットコム|date=2019-04-21|accessdate=2020-02-26|archiveurl=https://web.archive.org/web/20190506111637/https://www.jiji.com/jc/article?k=2019042100256&g=soc|archivedate=2019-05-06}}</ref><ref name="時事_20190422 |
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">{{Cite web|和書|url=https://www.j-cast.com/2019/04/22355961.html|title=池袋暴走「逮捕されない」本当の理由とは 弁護士が指摘する「あえてしない」可能性|date=2019-04-22|accessdate=2020-02-26}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.sankei.com/affairs/news/190423/afr1904230024-n1.html|title=捜査関係者「ネット上の批判は把握している」 池袋暴走|publisher=SANKEI NEWS|date=2019-04-23|accessdate=2020-02-26|archiveurl=https://web.archive.org/web/20190423154514/https://www.sankei.com/affairs/news/190423/afr1904230024-n1.html|archivedate=2019-04-23}}</ref>、同年5月8日に[[滋賀県]][[大津市]]で起きた保育園児2人が亡くなった事故では運転していた女性が、それぞれ[[現行犯逮捕]]された<ref>{{Cite news2|title=容疑者「前をよく見ていなかった」大津の園児死亡事故|newspaper=アサヒ・コム|date=2019-05-08|url=https://www.asahi.com/articles/ASM584SD0M58PTIL017.html|agency=朝日新聞社|accessdate=2020-02-27}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jiji.com/jc/article?k=2019050800464&g=soc|title=園児の列に車突っ込む=2人死亡、1人重体-直前に衝突事故、女逮捕・大津|publisher=時事ドットコム|date=2019-05-08|accessdate=2020-02-26|archiveurl=https://web.archive.org/web/20190510011538/https://www.jiji.com/jc/article?k=2019050800464&g=soc|archivedate=2019-05-10}}</ref>。 |
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また、報道で飯塚が「元[[官僚]]」や「元院長」のように「[[容疑者]]」を用いない呼称で報道されたこと<ref name="現代_2019"/><ref name="NW_2020"/><ref name="西日本_20190503">{{Cite web|和書|url=https://www.nishinippon.co.jp/item/n/507412/|title=「上級国民」…|publisher=[[西日本新聞]]|date=2019-05-03|accessdate=2020-02-26|archiveurl=https://web.archive.org/web/20190613060304/https://www.nishinippon.co.jp/item/n/507412/|archivedate=2019-06-13}}</ref>、元旧[[通商産業省]]の高級官僚であり<ref name="現代_2019"/>、退官後も業界団体会長や大手機械メーカーの取締役などを歴任していたこと<ref name="上級_20190801"/><ref name="時事_20190422"/>などから、「上級国民」だから不当に免責されているのだという意見がネットを中心に広まった<ref name="NW_2020"/><ref name="時事_20190422"/><ref>{{Cite web|和書|url=https://hochi.news/articles/20190425-OHT1T50052.html|title=玉川徹氏、池袋暴走事故で加害者が上級国民だから番組が忖度とのネット批判に「心外。そんなこと考えてもない」|date=2019-04-25|publisher=スポーツ報知|accessdate=2020-02-26|archiveurl=https://web.archive.org/web/20190426033550/https://hochi.news/articles/20190425-OHT1T50052.html|archivedate=2019-04-26}}</ref>。実際に逮捕されなかったのは治療のために入院が必要であった<ref name="時事_20190422"/>ためであり、また逮捕されていなかったことから「容疑者」の呼称が用いられることもなかった<ref name="上級_20190801"/><ref name="西日本_20190503"/><ref name="時事_20190422"/>。 |
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これらを受けて2019年の新語・流行語大賞の候補にノミネートされた<ref name="NW_2020"/><ref name="ITMN_20191106"/><ref name="daily_20191202"/><ref name="SANKEI_20191106"/><ref name="ハフ_20191106"/>。また、[[大辞泉]]が毎月選定している「今年の新語」の5月度に選出され、「第4回[[大辞泉が選ぶ新語大賞]]」でも一般から寄せられた単語の中で投稿数が3番目に多かった<ref>{{Cite news|title=大辞泉の新語大賞2019は「イートイン脱税」に決定|newspaper=おたくま経済新聞|date=2019-12-02|url=https://otakei.otakuma.net/archives/2019120203.html|accessdate=2019-12-02|publication-date=|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191224023149/https://otakei.otakuma.net/archives/2019120203.html|archivedate=2019年12月24日}}</ref><ref name="大辞泉">{{Cite web|和書|url=https://daijisen.jp/shingo/|title=第4回大辞泉が選ぶ新語大賞 あなたの新語も辞書に載せよう。2019|accessdate=2020-02-27|archiveurl=https://web.archive.org/web/20190630095817/https://daijisen.jp/shingo/|archivedate=2019-06-30}}</ref>。 |
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同年8月に[[橘玲]]が[[小学館]]から上梓した『上級国民/下級国民』は発行部数13万部にも及んだ<ref name="NW_2020"/>。 |
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=== 黒川弘務検事長の賭け麻雀による辞任 === |
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[[2020年]]、[[検事総長]]への起用も取りざたされていた[[黒川弘務]][[検事長]]が、知人の新聞記者らと[[賭博|賭け]][[麻雀]]をしていたとして辞任に追い込まれた際、[[森まさこ]][[法務大臣]]は処分を[[訓告]]にとどめ、[[退職金]]などはそのまま支給されたが、これは公務員の賭博行為に対する処分としては異例の軽さだと批判された<ref>{{Cite web|和書|url=https://web.archive.org/web/20200522231612/https://this.kiji.is/636555440369566817|title=「訓告」、首相と法相で食い違い |
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黒川氏問題、答弁に「疑義」も|publisher=一般社団法人共同通信社|date=2020-05-23|accessdate=2020-08-20}}</ref><ref name="nnh">{{Cite web|和書|url=https://www.nishinippon.co.jp/item/n/611267/|title=なぜ?黒川氏「訓告」止まり 内閣の責任問題回避か|publisher=西日本新聞社|author=河合仁志|date=2020-05-26|accessdate=2020-08-20}}</ref>。また、告発を受けた[[東京地方検察庁]]も黒川を不起訴処分とした<ref>{{Cite web|和書|url=https://web.archive.org/web/20200710084908/https://www.jiji.com/jc/article?k=2020071000918&g=soc|title=黒川前検事長を不起訴 社会的制裁考慮、記者側も―賭けマージャン問題・東京地検|publisher=時事通信|date=2020-07-10|accessdate=2020-08-20}}</ref>。 |
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こうした事の成り行きは、ネット上で様々な批判を呼び、その中で「さすがは上級国民。何をしても優遇されていいね」といった表現が用いられた<ref name="nnh" />。[[堀江貴文]]は「検察官は違法行為をしても逮捕起訴されないんですよ! これこそまさに上級国民」と[[ツイート]]し、多くの反響を呼んだ<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.chunichi.co.jp/article/23744|title=堀江貴文氏「検察官は違法行為をしても逮捕起訴されないんですよ!これこそまさに上級国民」黒川検事長”賭け麻雀問題”に言及|date=2020-05-21|publisher=中日新聞社|accessdate=2020-08-20}}</ref>。 |
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== 下級国民 == |
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「上級国民」の対義語として、「下級国民」という言葉がメディアで使用されることがある。 |
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=== 安倍晋三襲撃事件 === |
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[[2022年]]、[[安倍晋三]]元首相が銃撃された際、犯人に対して[[極刑]]を求める意見が出る一方で、不幸な生い立ちに擁護や同情の声が上がったことについて、[[作家]]の[[橘玲]]は[[週刊SPA!]]にて「下級国民の[[テロリズム]]」「経済的・社会的弱者にとってのダークヒーロー、“下級国民の神”になりつつあると感じます」と表現した。「下級国民」の定義は様々あるが、記事では「本来は社会の主流派([[マジョリティ]])であるはずなのに、社会からも性愛からも排除され、『いつのまにか底辺に追いやられた』と感じている人たちを指す」とし、「[[リベラル]]化・知識社会化が進む社会では、『自由な競争』や『自分らしく生きる』ことが至上の価値とされる一方で、競争に敗れた者は『自己責任』として社会の底辺に追いやられる。こうして“[[ルサンチマン]]を抱えた弱者”が増えていけば、いったい何が起きるのか……怖さを感じます」とした<ref>[https://nikkan-spa.jp/1853388 週刊SPA! 2022年08月23日]</ref>。 |
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== 脚注 == |
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=== 出典 === |
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{{Reflist|refs= * <ref name="日刊ゲンダイ_20150905">[[日刊ゲンダイ]] 2015年9月5日付 [http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163405/1 五輪ロゴ騒動終わらず ネット住民の怒り買った“次の標的”(1)] {{Wayback|url=http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163405/1 |date=20150908013826 }}および[http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163405/2 (2)] {{Wayback|url=http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163405/2 |date=20190430095031 }}および[http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163405/3 (3)]2015年11月11日閲覧。</ref> |
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*<ref name="日刊ゲンダイ_20150910">[[日刊ゲンダイ]] 2015年9月10日付 [http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163702 五輪ロゴ騒動 シンポジウムで“上級国民”ダンマリの異常事態(1)] {{Wayback|url=http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163702 |date=20160119014806 }}および[http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163702/2 (2)] {{Wayback|url=http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163702/2 |date=20160119003009 }}2015年11月11日閲覧。</ref>}} |
*<ref name="日刊ゲンダイ_20150910">[[日刊ゲンダイ]] 2015年9月10日付 [http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163702 五輪ロゴ騒動 シンポジウムで“上級国民”ダンマリの異常事態(1)] {{Wayback|url=http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163702 |date=20160119014806 }}および [http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163702/2 (2)] {{Wayback|url=http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163702/2 |date=20160119003009 }}2015年11月11日閲覧。</ref>}} |
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* [[天龍人 (ネット用語)]] - 同様に階級格差を表す台湾のインターネットスラング |
* [[天龍人 (ネット用語)]] - 同様に階級格差を表す台湾のインターネットスラング |
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* [[金のさじ]] - 同様に階級格差を表す韓国のインターネットスラング |
* [[金のさじ]] - 同様に階級格差を表す韓国のインターネットスラング |
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* [[ディープステート]] |
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* [[オリガルヒ]] - 旧ソ連崩壊後の新興財閥 |
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* [[太子党]] - [[中国共産党]]の高級幹部の子弟等で特権的地位にいる者たちの総称として、マスコミが名づけたもの |
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2024年11月25日 (月) 16:00時点における最新版
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上級国民(じょうきゅうこくみん)とは、一般国民とは異なる上級の国民を表す[1]、インターネット上などで用いられている俗語、インターネットスラングである[2][3]。2015年と2019年にユーキャン新語・流行語大賞の候補になった[4][5][6][7][8]。
意味
[編集]言葉の定義は明確に決まっておらず[3][9]単に富裕層や上流階級を指すこともあれば[3]、一般人の理解を超えた言動をする政治家・専門家・官僚らを指す場合もある[10]。また、政治力や財力などを利用して罪や責任から逃れる階級を指すこともある[3]。「上級国民」という語は一般的には普及しないながらも、大正時代から複数名により造語として使われていたが[11][12][13]、2015年に発生した2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムの著作権侵害疑惑以降、急速に広まった[3][10]。その後、2018年2月に東京都港区で起きた元東京地検特捜部長による自動車死亡事故や2019年4月に起きた池袋暴走事故の際にネット上などで用いられた[3][14]。
2015年9月1日にオリンピック大会組織委員は、エンブレムの白紙撤回を表明した上で、「著作権侵害ではないが一般の国民から理解を得られない」[10]「専門家にはわかるが、一般国民は残念だが理解しない」[1]や「専門家でのあいだではじゅうぶんわかり合えるんだけれども、一般国民にはわかりにくい、残念ながらわかりにくいですね」[9]と述べた。この発言を受け、報道やネット上では「一般の人の感覚や理解を超えたもの」として反発が広まった[1][10]。
佐々木惣一は、『立憲非立憲』(1916年)において、「限られた範囲の国民」について「上級国民と云うて置かう」とあり、「君主の任命に係る者」と同列に「上級国民の指定に係る者」が並べられている[11][12]。
逮捕に関する誤解との関連
[編集]用例の節にあるように、被疑者が逮捕されないことをもって、「上級国民の特権」であるとして批判する例が見られる。これについては、「逮捕は加害者に対する罰である」という誤解が根底にあることが指摘されている。すなわち、ニュースなどで被疑者の逮捕がよく報じられるため、逮捕が刑事罰的なペナルティーであるというイメージを持たれている可能性があるという[15]。
しかし、刑事罰は刑事裁判を経なければ与えられないのであり、捜査段階の手続にすぎない逮捕はペナルティーではない。法に定める「逮捕の必要性」がなければ逮捕は許されず、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないなど、明らかに逮捕の必要がない場合は令状すら出されない(刑事訴訟規則143条の3)[16]。
- 逃亡のおそれについては、社会的地位や年齢についても考慮要素とされ、上級国民と批判される人々は社会的地位が高く(逃亡を図ることによって発生する本人へのダメージが大きく)、またほとんどのケースで高齢で体力がないため、逃亡のおそれなしとされることが多い[16]。
- 罪証隠滅のおそれについては、批判されやすい交通事故の事例では、アルコールや違法薬物が関連しない限り証拠は現場に全て揃っており、警察が全て押収するので、隠滅は不可能である[15]。
公権力による身体拘束である逮捕は乱用すべきではないというのが司法の基本原則であり、逮捕されるべきでない事実関係において逮捕されていないことが分かることはむしろ望ましいことである[15]。
用例
[編集]最初の用例として確認できるものは佐々木惣一によるものである。1916年大正デモクラシーの際に憲法学者の佐々木が『立憲非立憲』[注 1]の中で「門地や職業に依て限られた範囲の国民」を「上級国民」と名付けた[17]。
清多英羽によれば、18 - 19世紀の教育者ヨハン・ハインリヒ・ペスタロッチは「貧民と上級国民」という対立構図において、貧民教育を重視した[18]。
1935年(昭和10年)には、小山文太郎の講演で用いられた[19][20]。ただしその具体的な意味については提示されていない。
東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムの策定
[編集]2015年(平成27年)には、2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムの策定において、著作権侵害の疑惑が指摘された際に開かれた五輪組織委員会の記者会見の見解に対し、報道およびネット上にて使用された[10][21]。
2015年の夏から秋にかけて起きた一連の騒動で、五輪組織委員会は、一度決定していた佐野研二郎によるデザインを9月1日に白紙撤回した。これを発表する記者会見の席上、五輪組織委員会の武藤敏郎事務総長が、選考委員長の永井一正の発言を引用する形で、デザインの独自性について「専門家にはわかるが、一般国民は残念だが理解しない[1][21]」という趣旨の発言した[22]。発言中、「一般国民」なる表現が複数回あり[23]、これをデザイン界の「選民意識」だと揶揄した表現が「上級国民」である[21]。
この発言は「上から目線」だと反発を招いた。教育評論家の尾木直樹は『一般国民で悪かったですね![23]』と憤りを表明した。アメーバニュースによれば、こうした感想は多くの者に広まったとみなされており、「上級国民」という語がTwitterのHOTワードで上位にきたことからもそれが裏付けられるとされている[23]。
「上級国民」という表現は、紙媒体でも9月5日の日刊ゲンダイが、フリーライターの井上トシユキのコメントとして、「エンブレム騒動は下火どころか、ネット上で〈上級国民〉などと呼ばれる権力者VS一般国民の闘争に移りつつあります」という見解を紹介する中で使用された[24]。同紙では9月10日にも永井ほか審査に関わったデザイナーの代名詞として「上級国民」を用いた[22]。
これを受けて2015年の新語・流行語大賞の候補にノミネートされた[4]。
2019年池袋暴走事故
[編集]2019年(平成31年)には、東京で起きた池袋暴走事故の際の運転者(加害者)である飯塚幸三の社会的地位や扱いについてネット上などで用いられた[2][25]。
2019年4月、飯塚が運転する車が路上で暴走した。これにより、横断歩道を渡っていた31歳の母親と3歳の娘が死亡したほか、飯塚とその同乗者である妻を含めて10人が負傷したが、飯塚は入院を理由に逮捕を見送られた。一方、その2日後に神戸市中央区で起きた、市営バスが歩行者の列に突っ込み2人が死亡、4人が負傷した事故では運転手の男性が[26][27][28][29]、同年5月8日に滋賀県大津市で起きた保育園児2人が亡くなった事故では運転していた女性が、それぞれ現行犯逮捕された[30][31]。
また、報道で飯塚が「元官僚」や「元院長」のように「容疑者」を用いない呼称で報道されたこと[2][3][32]、元旧通商産業省の高級官僚であり[2]、退官後も業界団体会長や大手機械メーカーの取締役などを歴任していたこと[9][28]などから、「上級国民」だから不当に免責されているのだという意見がネットを中心に広まった[3][28][33]。実際に逮捕されなかったのは治療のために入院が必要であった[28]ためであり、また逮捕されていなかったことから「容疑者」の呼称が用いられることもなかった[9][32][28]。
これらを受けて2019年の新語・流行語大賞の候補にノミネートされた[3][5][6][7][8]。また、大辞泉が毎月選定している「今年の新語」の5月度に選出され、「第4回大辞泉が選ぶ新語大賞」でも一般から寄せられた単語の中で投稿数が3番目に多かった[34][35]。
同年8月に橘玲が小学館から上梓した『上級国民/下級国民』は発行部数13万部にも及んだ[3]。
黒川弘務検事長の賭け麻雀による辞任
[編集]2020年、検事総長への起用も取りざたされていた黒川弘務検事長が、知人の新聞記者らと賭け麻雀をしていたとして辞任に追い込まれた際、森まさこ法務大臣は処分を訓告にとどめ、退職金などはそのまま支給されたが、これは公務員の賭博行為に対する処分としては異例の軽さだと批判された[36][37]。また、告発を受けた東京地方検察庁も黒川を不起訴処分とした[38]。
こうした事の成り行きは、ネット上で様々な批判を呼び、その中で「さすがは上級国民。何をしても優遇されていいね」といった表現が用いられた[37]。堀江貴文は「検察官は違法行為をしても逮捕起訴されないんですよ! これこそまさに上級国民」とツイートし、多くの反響を呼んだ[39]。
下級国民
[編集]「上級国民」の対義語として、「下級国民」という言葉がメディアで使用されることがある。
安倍晋三襲撃事件
[編集]2022年、安倍晋三元首相が銃撃された際、犯人に対して極刑を求める意見が出る一方で、不幸な生い立ちに擁護や同情の声が上がったことについて、作家の橘玲は週刊SPA!にて「下級国民のテロリズム」「経済的・社会的弱者にとってのダークヒーロー、“下級国民の神”になりつつあると感じます」と表現した。「下級国民」の定義は様々あるが、記事では「本来は社会の主流派(マジョリティ)であるはずなのに、社会からも性愛からも排除され、『いつのまにか底辺に追いやられた』と感じている人たちを指す」とし、「リベラル化・知識社会化が進む社会では、『自由な競争』や『自分らしく生きる』ことが至上の価値とされる一方で、競争に敗れた者は『自己責任』として社会の底辺に追いやられる。こうして“ルサンチマンを抱えた弱者”が増えていけば、いったい何が起きるのか……怖さを感じます」とした[40]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d 『現代用語の基礎知識 2016』自由国民社、2015年11月11日、1084頁。ISBN 4426101344。
- ^ a b c d 『現代用語の基礎知識 2020』自由国民社、2019年11月7日、119-120,123頁。ISBN 4426101387。
- ^ a b c d e f g h i j ニューズウィーク『Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2020年2/25号[上級国民論]』CCCメディアハウス、2020年2月18日、18-23頁。
- ^ a b “「上級国民」「ラブライバー」「刀剣女子」 新語・流行語大賞候補に”. ITmedia NEWS (2015年11月10日). 2019年4月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月11日閲覧。
- ^ a b “「○○ペイ」「タピる」「ドラクエウォーク」 新語・流行語大賞にノミネート”. ITmedia NEWS (2019年11月6日). 2019年12月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月26日閲覧。
- ^ a b “「上級国民」がトレンドワードに、流行語大賞トップテン落選に異論相次ぐ”. デイリー (2019年12月2日). 2019年12月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月26日閲覧。
- ^ a b “「令和」「上級国民」「タピる」「にわかファン」 流行語大賞、候補の30語発表”. SANKEI NEWS (2019年11月6日). 2019年11月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月26日閲覧。
- ^ a b “【流行語大賞2019】ノミネート30語を一挙紹介。「翔んで埼玉」で「笑わない男」が「タピる」?”. ハフポスト (2019年11月6日). 2020年1月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月26日閲覧。
- ^ a b c d 橘 玲『上級国民/下級国民』小学館、2019年8月1日。ISBN 4098253542。
- ^ a b c d e “上級国民”. 知恵蔵mini 朝日新聞出版 (2015年11月12日). 2019年4月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月26日閲覧。
- ^ a b 今井清一『近代日本思想大系 33 大正思想集1』1978年2月1日、181-182頁。ISBN 4480305335。
- ^ a b 佐々木惣一『立憲非立憲』講談社、2016年6月11日。ISBN 4062923661。
- ^ 『職業指導』8巻2号
- ^ “「上級国民」というネットスラングの大拡散が示す日本人の心中” (2019年5月5日). 2020年1月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月26日閲覧。
- ^ a b c 戸田一法 (2021年1月20日). “「上級国民」は逮捕されない?吉川元農相の在宅起訴で噴出する世論の不満”. DIAMOND online. pp. 3-4. 2021年6月15日閲覧。
- ^ a b 渡邉祐介 (2019年7月8日). “「上級国民」は逮捕されない?死亡事故を起こした人が受ける4つの責任【連載】FINDERSビジネス法律相談所(13)”. FINDERS. 2021年6月15日閲覧。
- ^ 「「上級国民」流行する国」『朝日新聞』2020年1月25日、13面。オリジナルの2020年2月5日時点におけるアーカイブ。2020年2月3日閲覧。13版
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- ^ 小山文太郎「講演 上級學校と上級國民(一)」『職業指導』第8巻第2号、1935年2月、57-61頁。
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- ^ a b c “デザイン界は「上級国民」!? エンブレム撤回会見での「一般国民は理解しない」発言が一部で反発を呼ぶ”. ガジェット通信 (2015年9月2日). 2019年6月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月11日閲覧。
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