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「銀河英雄伝説の登場人物・自由惑星同盟」の版間の差分

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主は螺旋迷宮の人物整理。ケーフェンヒラー、プレスブルク、アルフレッド・ローザスの記載をここに移動。一部端役除去。
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: 声 - [[島田彰]] / [[黒田崇矢]](Die Neue These 星乱)
: 声 - [[島田彰]] / [[黒田崇矢]](Die Neue These 星乱)
: 統合作戦本部次長で大将。後に統合作戦本部長(クブルスリーの後任)。のち元帥。元士官学校教官。
: 統合作戦本部次長で大将。後に統合作戦本部長(クブルスリーの後任)。のち元帥。元士官学校教官。
: 性格は小心で陰気、神経質な小役人タイプの軍官僚{{sfn|本伝|loc=第2巻3章}}。歳は40半ば。士官学校教官、憲兵隊司令官、国防委員会情報部長、第一艦隊後方主任参謀を務めた経歴を持ち、アムリッツア会戦後は現職にある{{sfn|本伝|loc=第2巻3章}}。おおよそその要職に見合うだけの能力や人望はなく、自分より士官学校時代の一番だけ席次が良かった同期生が何かしらのミスで降格処分となってドーソンの部下となった時、ねちねちいびり抜いたり、後方主任参謀時代には各艦の調理室のダストシュートを調べてまわり、じゃがいもの廃棄する部分が多いと小言を言って周囲をうんざりさせたといったエピソードにあふれる{{sfn|本伝|loc=第2巻3章}}。士官学校時代の生徒であったアッテンボローからもその嫌味ぶりな逸話の数々を披露される{{sfn|外伝|loc=第2巻}}{{sfn|外伝|loc=第4巻9章}}。他にも「建国後、30年か50年くらいの外敵がいない時期だったらドーソンでも無難に務まっただろう(要約)」と酷評され{{sfn|外伝|loc=第2巻}}、救国軍事会議からは「大将に昇進したのさえおかしい程度の男」と評され{{sfn|本伝|loc=第2巻3章}}、本部長代行になった時には宇宙艦隊司令長官であるビュコックから、(統治原則に反するが)自分が統合作戦本部長を兼任した方がマシだったと皮肉られる{{sfn|本伝|loc=第2巻3章}}。また、救国軍事会議のクーデターの序盤では、ヤンに対する個人的な嫉妬心から彼にそれぞれ離れた場所にある4ヶ所の蜂起の鎮圧を命じ、その主客転倒した現状認識で逆にクーデター勢力の目論見を外して計画を頓挫させられるのではないかとまでヤンに期待される{{sfn|本伝|loc=第2巻3章}}。そのような能力にも関わらず栄達したのは一部政治家とのコネによるとされる(トリューニヒト閥であることが示唆されている){{sfn|本伝|loc=第3巻3章}}{{sfn|本伝|loc=第5巻4章}}。ただし、実戦家としての能力は疑問視されるとはいえ、皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世亡命時に銀河帝国正統政府の面々を匿うなど、秘密保持の必要な任務については無能ではなかったとされる{{sfn|本伝|loc=第4巻4章}}。
: 性格は小心で陰気、神経質な小役人タイプの軍官僚{{sfn|本伝|loc=第2巻3章}}。歳は40半ば。士官学校教官、憲兵隊司令官、国防委員会情報部長、第一艦隊後方主任参謀を務めた経歴を持ち、アムリッツア会戦後は現職にある{{sfn|本伝|loc=第2巻3章}}。おおよそその要職に見合うだけの能力や人望はなく、自分より士官学校時代の一番だけ席次が良かった同期生が何かしらのミスで降格処分となってドーソンの部下となった時、ねちねちいびり抜いたり、後方主任参謀時代には各艦の調理室のダストシュートを調べてまわり、じゃがいもの廃棄する部分が多いと小言を言って周囲をうんざりさせたといったエピソードにあふれる{{sfn|本伝|loc=第2巻3章}}。士官学校時代の生徒であったアッテンボローからもその嫌味ぶりな逸話の数々を披露される{{sfn|外伝|loc=第2巻}}{{sfn|外伝|loc=第4巻9章}}。他にも「建国後、30年か50年くらいの外敵がいない時期だったらドーソンでも無難に務まっただろう(要約)」と酷評され{{sfn|外伝|loc=第2巻}}、救国軍事会議からは「大将に昇進したのさえおかしい程度の男」と評され{{sfn|本伝|loc=第2巻3章}}、本部長代行になった時には宇宙艦隊司令長官であるビュコックから、(統治原則に反するが)自分が統合作戦本部長を兼任した方がマシだったと皮肉られる{{sfn|本伝|loc=第2巻3章}}。また、救国軍事会議のクーデターの序盤では、ヤンに対する個人的な嫉妬心から彼にそれぞれ離れた場所にある4ヶ所の蜂起の鎮圧を命じ、その主客転倒した現状認識で逆にクーデター勢力の目論見を外して計画を頓挫させられるのではないかとまでヤンに期待される{{sfn|本伝|loc=第2巻3章}}。そのような能力にも関わらず栄達したのは一部政治家とのコネによるとされる(トリューニヒト閥であることが示唆されている){{sfn|本伝|loc=第3巻3章}}{{sfn|本伝|loc=第5巻4章}}。一方で、秘密保持の必要な種の任務には無能ではなかったとされ、銀河帝国正統政府の面々の亡命の受け入れなどでは手腕を発揮している{{sfn|本伝|loc=第4巻4章}}。
: 作中への登場は統合作戦本部長のクブルスリーがフォークの凶弾で療養を余儀なくされ、本部長代行に就任した時から{{sfn|本伝|loc=第2巻3章}}。事実上の制服軍人のトップとなるが、救国軍事会議のクーデターには何も対処できず容易く拘禁される。クーデター終結後、しばらくしてクブルスリーの引退に伴い正式に本部長となるが{{sfn|本伝|loc=第4巻5章}}、間もなく「神々の黄昏」作戦が開始される。フェザーンが帝国軍に占領された後の非常事態には日常の事務をこなばかりで{{sfn|本伝|loc=第5巻1章}}最終的には帝国軍によるハイネセン占領に伴い軍事の最高責任者として拘束される{{sfn|本伝|loc=第5巻10章}}。以後の消息は不明。
: 作中への登場は統合作戦本部長のクブルスリーがフォークの凶弾で療養を余儀なくされ、本部長代行に就任した時から{{sfn|本伝|loc=第2巻3章}}。事実上の制服軍人のトップとなるが、救国軍事会議のクーデターには何も対処できず容易く拘禁される。クーデター終結後、しばらくしてクブルスリーの引退に伴い正式に本部長となるが{{sfn|本伝|loc=第4巻5章}}、間もなく「神々の黄昏」作戦が開始される。フェザーンが帝国軍に占領された後の同盟の存亡に関わる非常事態にも狼狽するばかりで、まいには日常務を優先して現実逃避る(結果としてビュコックとチェンが同盟軍全体の指揮を執る){{sfn|本伝|loc=第5巻1章}}{{sfn|本伝|loc=第5巻4章}}。最終的には帝国軍によるハイネセン占領に伴い軍事の最高責任者として拘束される{{sfn|本伝|loc=第5巻10章}}。以後の消息は不明。
; ロックウェル ({{llang|en|Rockwell}})
; ロックウェル ({{llang|en|Rockwell}})
: 声 - [[江原正士]]
: 声 - [[江原正士]]
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: いかめしい顔つきの中年の軍人{{sfn|本伝|loc=第1巻1章}}。同盟軍の将軍の中でも歴戦の勇将だが、自分の見解に固執し、幕僚の意見を聞こうとしない悪癖を持つ{{sfn|外伝|loc=第1巻8章}}。また、ヤンに対してはその経歴を評価しつつも、およそ軍人らしくない態度かつ20代で将官の地位にあることに悪感情を抱く{{sfn|本伝|loc=第1巻1章}}。ただし、アスターテの会戦で負傷した際には「用兵家としての君の手腕を(見せてくれ)」と言って即座に指揮権を譲渡しており、また、「神々の黄昏」作戦の事前会議でも内心でヤンに期待を掛けていた。
: いかめしい顔つきの中年の軍人{{sfn|本伝|loc=第1巻1章}}。同盟軍の将軍の中でも歴戦の勇将だが、自分の見解に固執し、幕僚の意見を聞こうとしない悪癖を持つ{{sfn|外伝|loc=第1巻8章}}。また、ヤンに対してはその経歴を評価しつつも、およそ軍人らしくない態度かつ20代で将官の地位にあることに悪感情を抱く{{sfn|本伝|loc=第1巻1章}}。ただし、アスターテの会戦で負傷した際には「用兵家としての君の手腕を(見せてくれ)」と言って即座に指揮権を譲渡しており、また、「神々の黄昏」作戦の事前会議でも内心でヤンに期待を掛けていた。
: 本編最初の戦闘であるアスターテ会戦において第二艦隊を率いてラインハルト率いる帝国軍を討つべく行動を起こす。ダゴンの殲滅戦の故事に倣った第4、6艦隊との大包囲作戦で勝利を確信してところを幕僚のヤンからラインハルトが各個撃破策を取って同盟軍が追い込まれる可能性を具申されるが、これを上記の悪癖やヤンへの悪感情から却下してしまう{{sfn|本伝|loc=第1巻1章}}。その後も、ことごとくヤンの進言を無視して時間を浪費し、第4、6艦隊は壊滅させられ、最後に自分たちが数で勝る帝国軍に急襲される。そして旗艦パトロクロスの被弾によって肋骨が肺に刺さる重傷を負い、事後をヤンに託す(その後、予め事態を想定したヤンによって第二艦隊は半減するも救われる){{sfn|本伝|loc=第1巻2章}}。
: 本編最初の戦闘であるアスターテ会戦において第二艦隊を率いてラインハルト率いる帝国軍を討つべく行動を起こす。ダゴンの殲滅戦の故事に倣った第4、6艦隊との大包囲作戦で勝利を確信してところを幕僚のヤンからラインハルトが各個撃破策を取って同盟軍が追い込まれる可能性を具申されるが、これを上記の悪癖やヤンへの悪感情から却下してしまう{{sfn|本伝|loc=第1巻1章}}。その後も、ことごとくヤンの進言を無視して時間を浪費し、第4、6艦隊は壊滅させられ、最後に自分たちが数で勝る帝国軍に急襲される。そして旗艦パトロクロスの被弾によって肋骨が肺に刺さる重傷を負い、事後をヤンに託す(その後、予め事態を想定したヤンによって第二艦隊は半減するも救われる){{sfn|本伝|loc=第1巻2章}}。
: その後、第2艦隊は解体されて第13艦隊に編成され、パエッタ自身はアスターテ会戦での負傷によって帝国領侵攻作戦には参加しなかった。同戦役後に統合作戦本部長に就任したクブルスリーの後任として第1艦隊司令に着任する。その後、ラグナロック作戦では第1艦隊司令として事前の作戦会議に登場し{{sfn|本伝|loc=第5巻1章}}、ビュコック指揮下でランテマリオ星域会戦に臨む(注:原作中では第一艦隊を中核とする部隊をビュコックが直接指揮したとあるのみで、そこに具体的にパエッタが参加していたという明示的な記述はない。OVA版では参加を確認できる{{sfn|OVA|loc=第48話}}){{sfn|本伝|loc=第5巻4章}}。戦後の去就は不明である物語終盤のオーベルシュタインの草刈りによってラグプール刑務所に収監され{{sfn|本伝|loc=第10巻3章}}、その後、起こった同刑務所の暴動によって命を落とす{{sfn|本伝|loc=第10巻5章}}。
: その後、第2艦隊は解体されて第13艦隊に編成され、パエッタ自身はアスターテ会戦での負傷によって帝国領侵攻作戦には参加しなかった。同戦役後に統合作戦本部長に就任したクブルスリーの後任として第1艦隊司令に着任する。その後、ラグナロック作戦では第1艦隊司令として事前の作戦会議に登場し{{sfn|本伝|loc=第5巻1章}}、ビュコック指揮下でランテマリオ星域会戦に臨む(注:原作中では第一艦隊を中核とする部隊をビュコックが直接指揮したとあるのみで、そこに具体的にパエッタが参加していたという明示的な記述はない。OVA版では参加を確認できる{{sfn|OVA|loc=第48話}}){{sfn|本伝|loc=第5巻4章}}。戦後の去就は特に記述されず不明であるが、物語終盤のオーベルシュタインの草刈りによってラグプール刑務所に収監され{{sfn|本伝|loc=第10巻3章}}、その後、起こった同刑務所の暴動によって命を落とす{{sfn|本伝|loc=第10巻5章}}。
: 劇場版第2作『新たなる戦いの序曲』ではトリューニヒト派の軍人とされ、箔を付けるために、勝てるはずのアスターテ会戦の指揮官に選ばれたことになっている。
: 劇場版第2作『新たなる戦いの序曲』ではトリューニヒト派の軍人とされ、箔を付けるために、勝てるはずのアスターテ会戦の指揮官に選ばれたことになっている。
; ルフェーブル ({{llang|en|Lefebres}})
; ルフェーブル ({{llang|en|Lefebres}})
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=== 螺旋迷宮 ===
=== 螺旋迷宮 ===
; クリストフ・フォン・ケーフェンヒラー ({{llang|de|Christof von Kofenhiller}})
: 声 - [[矢島正明]](螺)
: 帝国軍人でエコニア捕虜収容所の捕虜。捕虜たちの自治委員会の会長。同盟への投降時は大佐。男爵。71歳。外伝『螺旋迷宮』の主要人物。
: 28歳で捕虜となり、その後43年間に渡りエコニア捕虜収容所に収容されていた老人。施設の職員や他の捕虜からも一目置かれ、所長も頭が上がらず、収容所の主とまで称される{{refn|通例であれば捕虜収容所では士官と非士官が分かれ、非士官が実権を握ることが常と説明され、大佐だったケーフェンヒラーが捕虜の代表であること自体が、指導力や人望において彼が傑物であることを示唆する。|group="注釈"}}。明敏な頭脳や老貴族らしい威厳を持つと同時に、柔軟さも合わせ持ち、初対面のヤンに興味を持って友好的に接する。第2次ティアマト会戦にも関わっており、同編で起こる事件解決のキーマンになると同時に、第2次ティアマト会戦を帝国軍人であった自分の目線でヤンに語り、同会戦の真相にヤンが辿り着く大きなきっかけとなる。
: 表向きの前歴は男爵家の若き当主かつ地方行政官として出世コースに乗り、辺境惑星を転々としていた。しかし、25歳の時に突如内務省を辞めて軍に入隊し、28歳で大佐、情報参謀となり、参加していた第2次ティアマト会戦の敗北で同盟の捕虜となる。帝国には残してきた妻もいるという。しかし、真相は結婚して間もない最愛の妻が伯爵家の次男と不倫し、真実の愛を見つけたと語って離婚しようとする妻や、手切れ金などで離婚を認めさせようとする伯爵家に反発して離婚を認めなかったことが原因であった。辺境惑星に回されたのも伯爵家の嫌がらせであったが、それは特に気にしていなかったところを、妻が間男の子供を産んだという知らせを聞いて絶望し、死ぬために軍に入隊する。3年後に上記の通り同盟の捕虜となるが、自分が死ねば妻と間男を喜ばせるだけだと気づき、以降、自分が生き続ける=妻は間男と正式に再婚できない、という復讐心で生きながらえてきた。歴代所長の半数はケーフェンヒラーに好意的で、捕虜交換の名簿に彼の名を載せようとしたことも何度もあったが、その都度、それを拒絶していた。
: 第2次ティアマト会戦ではコーゼル大将の麾下にいたが、そのコーゼルから直々にミヒャールゼンについて諮問されたこと、後に捕虜生活の中でミヒャールゼンが暗殺されたことなどを聞き、同盟・帝国に跨る巨大な陰謀について密かに調査をしていた。自分の当時の記憶や、新たに得た情報などから、ミヒャールゼンの死の真相や、アッシュビーの不敗神話の正体などについてかなり確度の高い推測を持っていた。
: 物語には参事官として収容所にやってきたヤンを自治委員会の会長として迎えたところから登場する。ヤンがケーフェンヒラーの経歴を知って第2次ティアマト会戦やそれにまつわる人物たちに興味を持って尋ねてきたことから、逆にヤンに興味を持つ。その後、プレスブルクによる暴動が起こると、自ら人質となることを申し出て同じく人質となったヤンと様々な会話を交わす。暴動の黒幕が不正の発覚を恐れたコステアであることなどをヤンに明かし、同事件の解決に貢献する。その後、ムライの計らいによって同盟市民権と退役大佐の格の年金付きで釈放されるもハイネセンに向かう道中で心筋梗塞により眠るように死亡する。ケーフェンヒラーが残した書物や日記などの記録物はヤンが引き継いだ後に、B級重要事項に指定され、機密情報として25年間封印されることとなった。
; バーナビー・コステア
; バーナビー・コステア
: 声 - [[坂下光一郎]](螺)
: 声 - [[坂下光一郎]](螺)
: 惑星エコニアにある捕虜収容所所長。大佐。59歳。外伝『螺旋迷宮』の登場人物で作中事件の黒幕。
: 大佐。惑星エコニアにある捕虜収容所の所長。当時59歳。一兵卒からの叩き上げであり、第二次ティアマト会戦ではフレデリック・ジャスパーの艦隊に所属していた。初対面の時ヤンが受けた印象は「ややかたくるしい(小説)」と「思ったよりも偉ぶらない(アニメ)」というものだった。長年に渡って公金を横領していたが、ヤンがそれを調査に来たと勘違いして謀殺を画策、ヤンが赴任した夜に捕虜の脱走/立てこもり事件を引き起こすがヤン達によって鎮圧されて、身柄を拘束されている。
: ヤンから見てやや堅苦しい印象の軍人{{sfn|外伝|loc=第4巻5章}}。第2次ティアマト会戦の参加者(当時16歳)で、執務室にジャスパー提督の肖像画を飾るなど今も敬愛している。一兵卒からの叩き上げで極めて平凡に出世して現在の地位・階級におり、若くして少佐にまで出世していたヤンにも友好的に接する{{sfn|外伝|loc=第4巻5章}}。ところが、実は長年に渡って収容所の予算を横領しており、事態を把握していたケーフェンヒラーによれば、その横領額は、佐官級のコステアが現状で受け取れる退職金の百倍余りの規模に達していたという{{sfn|外伝|loc=第4巻6章}}。このため、既にエル・ファシルの英雄として名声を得ていたヤンがわざわざ派遣されてきたのは自分の汚職調査のためと勘違いし、プレスブルクら捕虜達を唆して暴動事件を引き起こし、ヤンや、予てより邪魔者とみなしていたケーフェンヒラーの謀殺を図る{{sfn|外伝|loc=第4巻6章}}{{sfn|外伝|loc=第4巻7章}}。しかし、ヤンやケーフェンヒラーに裏を掛かれ、計画は失敗の上、逆に拘束されてしまう。事件の調査官としてやってきたムライに、ヤンが捕虜暴動の首謀者などと虚偽の報告をして最後の悪あがきをするものの、エコニア到着前に既に不正の実態をムライに暴かれており、速やかに摘発される{{sfn|外伝|loc=第4巻7章}}。
: しかし事件の調査に来たムライに審問される際には、一転してコステアはヤンが捕虜たちと共謀して暴動を起こしたと主張している。OVA版ではムライは横領の具体的な証拠がなく、状況証拠とヤン達による脅迫による自白だけではコステアを起訴出来ないとヤン達に述べており、コステアの罪が問われない可能性を示していたが、小説、OVA版ともに既にムライがエコニアに来る前にフェザーンの銀行に設けられたコステアによる匿名の口座を調べたことで容疑が固まり、公金横領の罪で逮捕され、収容所の管理責任と合わせて軍法会議にかけられることになった。小説では彼の汚職が暴かれる過程で、同盟軍において一兵卒から大佐にまで昇進して定年退官する者が受け取る退職金の額が、20万ディナールであることが描かれた。
; ジェニングス
; ジェニングス
: 惑星エコニアにある捕虜収容所副所長。中佐。36歳。外伝『螺旋迷宮』の登場人物。
: 中佐。惑星エコニアにある捕虜収容所の副所長。当時36歳。官僚的な能力では一兵卒からの叩き上げであるコステア所長を上回っており、それがゆえに所長との仲はあまり良くない。当人の主観では勤勉と義務感から、所長の偏見では不眠症であるがため、深夜3時の巡回を毎日欠かさない。ヤンが赴任した当日に起きた暴動で当初捕虜側の人質となるが、ヤンとパトリチェフが身代わりとなって解放される。その後の戦闘による砲撃で負傷し入院したため、ヤンが最高責任者として暴動収束後の事後処理にあたることになった。
: 1年4ヶ月程前に赴任してきた人物{{sfn|外伝|loc=第4巻6章}}。極めて官僚的な人物で、必ず夜中の3時に所内を巡回するなど神経質な面がある。官僚的な能力でコステアを上回っており、その相反する経歴も含めてコステアと対立している{{sfn|外伝|loc=第4巻6章}}。捕虜達の暴動において真っ先に人質となり、ヤンとパトリチェフが身代わりとなって解放される{{sfn|外伝|loc=第4巻6章}}。ところが、その後の戦闘での砲撃の余波で全身打撲を負い入院加療となる。このため、事後処理をヤンがやることとなった{{sfn|外伝|loc=第4巻7章}}。
; ボーリィ
; プレスブルク ({{llang|de|Pressburg}})
: 声 - [[遠藤哲司]](螺)
: 声 - [[鉄野正豊]](螺)
: 少佐。惑星エコニアにある捕虜収容所の警備主任。アニメでは豊かな口ひげを生やした長身の黒人。所長の意を汲んで動くことが多く、捕虜による反乱事件の時はヤンに向かって婉曲的な表現で人質交換に応じるよう仕向けた。
: 帝国軍人でエコニア捕虜収容所の捕虜。同盟への投降時は中尉。外伝『螺旋迷宮』の登場人物。
: 貴族出身の青年軍人{{sfn|外伝|loc=第4巻6章}}。貴族の子弟らしい上品げな容姿をしており、年齢は不明だが、士官学校を出たばかりでヤンとほぼ同輩だろうと推測されている{{sfn|外伝|loc=第4巻6章}}。若者らしい短慮な面はあるものの、帝国軍人や帝国貴族としての矜持を持ち、暴動の主犯となってヤンを人質にとるも、彼から悪意や反感は抱かれなかった{{sfn|外伝|loc=第4巻6章}}。
: ケーフェンヒラーの不正を暴く(そして、その見返りとして恩赦を与える)とコステアに唆され、表向きは脱獄を目的とした暴動を引き起こす{{sfn|外伝|loc=第4巻6章}}{{sfn|外伝|loc=第4巻7章}}。ジェニングス、続いてヤンとパトリチェフ、さらにケーフェンヒラーを人質にとるが、邪魔者をまとめて消し去りたいコステアの裏切りで危機に瀕する。結果的にヤンとケーフェンヒラーに助けられる形となり、すべてを白状する{{sfn|外伝|loc=第4巻6章}}。脱出後にはヤンらの黙認でコステアに報復を行い、彼の自白を引き出す{{sfn|外伝|loc=第4巻7章}}。
: 事件後の身柄については、ケーフェンヒラーからムライに帝国への送還を希望されたものの、作中では別の収容所に移送されたとあるのみである{{sfn|外伝|loc=第4巻7章}}。
; チャン・タオ
; チャン・タオ
: 声 - [[たてかべ和也]](螺)
: 声 - [[たてかべ和也]](螺)
: 惑星エコニアにある捕虜収容所の職員。一等兵。外伝『螺旋迷宮』の登場人物。
: 一等兵。惑星エコニアにある捕虜収容所でのヤンの従卒。従卒ひとすじ35年のベテランで、「おかげで人を撃ったり撃たれたりせずにすんだ」とヤンに語った。ヤンにいわく「安宿の番頭」のような印象の持ち主。勤続年金も獲得しており兵士ではあるが生活は比較的裕福である。ウォリス・ウォーリックの従卒を務めた経験がある。彼の730年マフィア評は「大変立派な方たちばかりでした」という単純なものだった。スキャンダルで失脚したウォーリックに関しては「あの方のまわりには、時々ろくでもないものたちがおりましてな」と擁護している。
: 参事官としてやってきたヤンの従卒に任命された初老の軍人{{sfn|外伝|loc=第4巻5章}}。従卒ひとすじ35年を自称し、言動も兵士というより安宿の番頭のような人物。薄給の一兵卒ながら勤続30年の恩給もあって生活には困っていないという{{sfn|外伝|loc=第4巻5章}}。730年マフィアであるウォリス・ウォーリックの従卒を務めた経験もあり、彼を崇拝している{{sfn|外伝|loc=第4巻5章}}。そのため、ヤンから730年マフィアの面々について聞かれるも、「大変立派な方たちばかりでした」と漠然としたことをしか話さず、ヤンの考察には何ら寄与しなかった{{sfn|外伝|loc=第4巻7章}}。
: なお、中国語版では「江涛」という字が当てられている。
; アルフレッド・ローザス
; ミンツ
: 同盟軍退役大将。元宇宙艦隊総参謀長。730年マフィアの一人。78歳。外伝『螺旋迷宮』の登場人物。
: ファーストネームは不明。 いわゆる「エルファシルの奇跡」直後の宇宙暦788年10月2日、無役の[[ヤン・ウェンリー|ヤン]]がキャゼルヌの執務室に呼び出された時、ブルース・アッシュビー謀殺疑惑に関する資料を持ってきた士官。その時の年齢は30代半ばで、髪の色は亜麻色。小説版ではユリアン・ミンツとの関係は描写されていないが、『銀河英雄伝説ハンドブック』では父親と紹介されており、道原版では、明確にユリアンの実父であると描写されている。ユリアンの父は建国以来の名門の家系であり、母親の反対を押し切って、帝国から亡命した平民の家系の女性と結婚する。宇宙暦790年、大尉の時に8歳のユリアンを遺し戦死する。ヤン以上の茶道楽であり、息子に紅茶の種類や淹れ方の極意を伝授した。妻と息子に対する母親の態度について、どう思っていたかは記述がない。
: かつてアッシュビーの参謀長を務め、存命する730年マフィアの最後の一人である老提督{{sfn|外伝|loc=第4巻1章}}。730年マフィアの中では目立つような偉才に恵まれていたわけではなく、指揮官としては「平凡よりややまし」という程度の能力であったが、幕僚としては非凡な才を持ち、個性的な730年マフィアの調整役・緩衝役として組織としての力を大幅に引き上げたと評される{{sfn|外伝|loc=第4巻2章}}。過去の業績のみならず、その人格はヤンに好印象を与える{{sfn|外伝|loc=第4巻2章}}。
: アッシュビーは謀殺されたという投書の件でヤンの訪問を受け、彼を気に入り、謀殺疑惑は否定したものの、730年マフィアの面々についての昔話に花を咲かせる{{sfn|外伝|loc=第4巻2章}}。しかし、それから数日後に、自殺とも事故死とも言い難い睡眠薬の大量服用によって死亡する(最終的にはミリアムに残した遺書によって自殺と判明する){{sfn|外伝|loc=第4巻3章}}{{sfn|外伝|loc=第4巻4章}}{{sfn|外伝|loc=第4巻9章}}。その後、生前の功績を讃えて元帥号が追贈される{{sfn|外伝|loc=第4巻7章}}。
: 外伝『螺旋迷宮』の登場人物だが、本伝にも回顧録の執筆者としてわずかに名が登場している{{sfn|本伝|loc=第10巻5章}}。
; ミリアム・ローザス
; ミリアム・ローザス
: 声 - [[かかずゆみ]](螺)
: 声 - [[かかずゆみ]](螺)
: アルフレッド・ローザスの孫娘。外伝『螺旋迷宮』の登場人物。
: アルフレッド・ローザスの孫。理髪で、挑発的な言動もしばしばである。ブルース・アッシュビーが祖父の功績を偸んだと考えており、非難の色を隠さない。当初は調査に来たヤンを”憲兵さん”と呼ぶなどやや非好意的な態度を示したが、ローザスの葬儀の席では好意的に接している。アッシュビーの功績をめぐる彼女の意見について、ヤンは「特殊論のよそおいをした一般論」と感じている。ローザスの選んだ15歳年上の商船の機関士と婚約している。
: ポニーテールで17、8歳の少女{{sfn|外伝|loc=第4巻2章}}。利発で挑発的な言動もしばしばある。ローザス大将の唯一の肉親で、ローザスに会いに家にやってきたヤンを出迎える{{sfn|外伝|loc=第4巻2章}}。その際に「アッシュビーは祖父の功績を盗んだ」とヤンに言い興味を惹かせる。その後の祖父の葬儀では喪主を務め、参列者のヤンに祖父がヤンを気に入っていたことなどを明かす{{sfn|外伝|loc=第4巻4章}}。終盤ではさらに祖父の死が自殺であったことをヤンに伝える{{sfn|外伝|loc=第4巻9章}}。
; ミンツ
: ファーストネームは不明。 いわゆる「エルファシルの奇跡」直後の宇宙暦788年10月2日、無役の[[ヤン・ウェンリー|ヤン]]がキャゼルヌの執務室に呼び出された時、ブルース・アッシュビー謀殺疑惑に関する資料を持ってきた士官。その時の年齢は30代半ばで、髪の色は亜麻色。小説版ではユリアン・ミンツとの関係は描写されていないが、『銀河英雄伝説ハンドブック』では父親と紹介されており、道原版では、明確にユリアンの実父であると描写されている。ユリアンの父は建国以来の名門の家系であり、母親の反対を押し切って、帝国から亡命した平民の家系の女性と結婚する。宇宙暦790年、大尉の時に8歳のユリアンを遺し戦死する。ヤン以上の茶道楽であり、息子に紅茶の種類や淹れ方の極意を伝授した。妻と息子に対する母親の態度について、どう思っていたかは記述がない。


=== その他OVAのオリジナルエピソード ===
=== その他OVAのオリジナルエピソード ===

2019年10月24日 (木) 13:49時点における版

銀河英雄伝説 > 銀河英雄伝説の登場人物 > 銀河英雄伝説の登場人物・自由惑星同盟

本項では田中芳樹のSF小説『銀河英雄伝説』の登場人物のうち、自由惑星同盟に所属する人物について解説する。

なお、特に断りがない場合、原作の記述・設定をメインとして説明している。出典や声優の記載ルールなど、凡例は銀河英雄伝説の登場人物#凡例を参照のこと。

ヤン・ウェンリーとその縁者

ヤン・ウェンリー
本作の同盟側の主人公。第2艦隊次席幕僚の准将(本編開始時)。後に第13艦隊司令兼イゼルローン要塞司令。最終は元帥。
ユリアン・ミンツ
同盟側の準主人公。戦争孤児でヤンの養子。ヤンの後継者。物語終盤でイゼルローン革命軍司令官となる。
フレデリカ・グリーンヒル
ヤンの副官。後に妻。宇宙艦隊総参謀長グリーンヒル大将の一人娘。物語終盤でイゼルローン共和政府代表となる。
ヤン・タイロン
声 - 宗矢樹頼(螺) / 田中秀幸(Die Neue These)
ヤンの父。自由惑星同盟の交易商人。故人。
同盟の交易商人の中でも手腕に富んだ男として知られていた人物[1]。やり手の商売人らしい性格・言動で、始まりは小商船主だったが商売で大成功を収め、普段の口癖から「金銭(かね)育ての名人」と呼ばれていた[1]。また、趣味の古美術(西暦年間のもの)に傾倒しており、稼いだ大金を注いでいた。抜け目ない商売人であるがゆえに、家族より金や美術品を大事にする言動を無意識にしてしまい周りの反感を買うこともあったが、息子ヤンには金の大事さを説く以外にも、ルドルフが独裁者となった原因について、単にルドルフを悪党とするだけではなく「民衆が楽をしたがったから」と回答して感心させ、ヤンの歴史観や人格形成に影響を与える[1]。ヤンは父は変人ではあったが、息子に愛情らしきものはあったと述べている[2]
浪費癖のある最初の妻と離婚した後、軍人の未亡人だった美女と結婚し、一人息子のヤン・ウェンリーが生まれる[1]。5歳の時に妻と死別し、仕事柄、家にいないことが多いためにハイネセンの自宅でメイドに息子を任せていたが、臨終の際の言動や息子の扱いを巡って妻の遺族から反感を買う。彼らから養育能力がないと見なされ、養育権の訴訟を起こされると、誘拐同然に息子を連れ去り、以降は定住せず恒星間商船での生活を送った。その後、16歳を間近に控え、歴史に興味を持ったヤンがハイネセン記念大学の歴史学科を受けることも快く承知し、学費などの支援を約束するも、ヤンが16歳になる数日前に宇宙船の核融合炉の事故で死亡する[1]。48歳没[2]。生前は、会社の資産や美術品など、多額の遺産を渡せることを豪語していたものの、会社は借金の抵当に入っており、美術品は万暦赤絵の壷以外は偽物で、ヤンが引き継げるものはほぼ無かった[1][3]。このため、ヤンは学費が免除され、歴史が学べる大学として、国防軍士官学校戦史研究科に入学することとなる[1]
中国語版の表記では「楊泰隆」となっている。
カトリーヌ・ルクレール・ヤン
ヤンの母。故人。33歳没。
軍人だった夫と死別した後にタイロンと再婚したという美女で、ヤンが5歳の時に急死した[1]。本編中では名前は不明で、外伝『螺旋迷宮』においてヤンの墓参りの中で名が登場する[2]。ヤンによればあまり母の記憶は残っていないものの「暖かくて優しい…」といった印象は残っているという[2]
元帥
ヤンの自宅で飼っているネコ。OVA版オリジナルキャラクター。
ユリアンがトラバース法によってヤンの官舎に来る時に道中で拾った拾いネコ。当初は子ネコであったが本編開始時点までには成長してやや肥満体となっている。劇中ではヤンが自宅でくつろいでいたり、転居する必要に迫られた時などにしばしば登場する。ハイネセン脱出の際にキャゼルヌ家に預けられ、以降は同家の飼いネコとして登場する。なお、名前の由来については「飼い主はどうせ元帥になんてなれないから」というものから。ウィークリービデオ第2期特典の『銀河英雄伝説第1期・第2期設定資料集』にはアッテンボローが名付け親とある。
OVA版オリジナルキャラクターであり、原作や道原版には登場しない。特に原作では外伝『ユリアンのイゼルローン日記』でヤン家ではペットを飼っていないと描写されている。藤崎版はOVA版の設定を受けて登場しており、特にユリアンがネコを拾うエピソードが掘り下げられている。名前の元帥はヤンが適当に呼び始めたという形になっている。

ヤン艦隊

正式名は自由惑星同盟軍第13艦隊。イゼルローン駐留艦隊を兼務し、同盟滅亡後はイゼルローン革命軍となる。

ヤン艦隊首脳部

ヤン・ウェンリー
第2艦隊次席幕僚の准将(本編開始時)。後に第13艦隊司令兼イゼルローン要塞司令。最終は元帥。
ユリアン・ミンツ
戦争孤児でヤンの養子。ヤンの後継者。物語終盤でイゼルローン革命軍司令官となる。
フレデリカ・グリーンヒル
ヤンの副官。後に妻。宇宙艦隊総参謀長グリーンヒル大将の一人娘。物語終盤でイゼルローン共和政府代表となる。
アレックス・キャゼルヌ
同盟軍後方主任参謀(登場時)。後にイゼルローン要塞事務総監、司令代理。
ムライ (Murai)
声 - 青野武 / 大塚芳忠(Die Neue These)
第13艦隊の参謀長(首席幕僚)。准将(最終は中将)。
堅苦しく神経質そうな痩せた中年男性[4]。独創性は欠くものの緻密で整理された頭脳を持つと称され、仕事に対する処理能力と判断能力は非凡なものを持ち、一方で、その外見通り無愛想で口やかましく常識と秩序を重んじる[4][5]。アッテンボローやポプランからは「歩く叱言(こごと)」と煙たがれているが、そこに陰湿さはなく、アウトロー気質のヤン艦隊にあって最低限の組織秩序を守る役割を自他共に認識し、担っていた[6][7]。参謀長という役職ではあるが、ヤンが稀代の策士であるため、いわゆる軍師的な意味での参謀(作戦参謀)は期待されておらず、ヤンからはムライが常識論を呈することで作戦立案と決断の参考にする役目として採用された[4]。また、情報処理や事務処理、決まった方針や作戦に基づいて計画を立て遂行する近代以降の軍事組織における参謀としての職務ぶりは作中でしばしば登場する。
時系列上の初登場は惑星エコニアの騒乱(『螺旋迷宮』)[5]。当時はエコニアの捕虜収容所の上部機関、タナトス警備管区の参事官で、中佐。当初は、その外見からヤンに自分の苦手なタイプと偏見を持たれるが、陰謀に巻き込まれたヤンやパトリチェフから的確にまた公正に事情聴取を行い、さらに迅速にコステアの不正を糾弾したことでヤンから関心される。さらにはケーフェンヒラーに恩情を出し、ヤンが申し訳なく思うほどに騒動の後始末まで行い、ヤンからもし自分が間違って出世したら採用したいという後の伏線となる[8]。本編開始後に、第13艦隊が編成されるとヤンから参謀長に任命される[4]。作中では上記のように方針や作戦会議において、あえて奇を衒わない常識的な発言に徹し(たとえば亡命してきたメルカッツに対しても彼がスパイである可能性に言及する[9])、メンバーの理解などを深める役割を担う。また、バーミリオン星域会戦では先遣偵察の作戦指揮を行うといったシーンもある[10]。戦後に第13艦隊が解体された際は「動くシャーウッドの森」には参加せず同盟軍に残り、自宅待機[11]ののち辺境の軍務に就く[12]。そのため、ヤン奪還にも参加しなかったが、帝国の再侵攻の際にはハイネセンに招集され、チュン・ウー・チェンより、同盟軍本隊には加わらず、フィッシャー、パトリチェフらと共にヤンに合流するよう命令を受ける[13]。その後もヤン艦隊の幕僚長として活躍するが、回廊の戦いを経てヤンが暗殺されると、将来の禍根になりそうな不満分子を取り除くという役目から、イゼルローンより離脱する[14][注釈 1]
その後、ハイネセンに戻るが、政治的計算もあって新領土総督のロイエンタールからは特に処罰されず[16]、逆に第2次ランテマリオ会戦では、これに先立ってロイエンタール側の特使としてイゼルローンに派遣される[17]。味方に付くよう破格の条件を提示するが、ユリアンに拒否され、交渉は失敗に終わる(戦略的にはロイエンタール側につくべきでないことはムライも理解しており、むしろ、目先の利益に負けて提案を受けようとすればユリアンを叱責するつもりでいた)。戦後、オーベルシュタインの草刈りによってラグプール刑務所に収監されるも[18]、その後に起こった同刑務所の暴動では一命を取り留める[19]。物語最終盤まではこの治療のため長らく入院生活を送ることとなり、シヴァ星域会戦後に久しぶりにハイネセンに戻ったユリアンの見舞いを受けると、イゼルローン放棄の予定を聞いて、イゼルローン時代を懐かしみつつ、自分と違う若いユリアンには次のステップになって欲しいと願う[7]
石黒監督版OVAにおけるキャラデザイナーは湖川友謙で、外見のモデルとなったのは俳優の寺田農[20]
フョードル・パトリチェフ (Fyodor Patirchev)
声 - 塩屋浩三 / 岩崎征実(Die Neue These)
第13艦隊の副参謀長(次席幕僚)。大佐(最終は少将)
丸顔に長いもみあげが特徴の巨漢で[4]、オペラ歌手なみの低音と声量を持つ男性[10]。ポプランからは無能ではないが参謀の才能が一番欠けると評されるなど[21]、およそ参謀型の軍人には見えず、むしろファイターと称され[4]、本来はデスクワークより前線指揮に向いた男とされる[10]。陽気で活力に満ちており、ヤンからは一緒にいると奇妙な安堵感を与えるとも評される[22]。副参謀長という役職ながら、ムライと同様に稀代の策士であるヤンの配下としては作戦参謀としての役割は期待されておらず、第13艦隊への採用は兵士への叱咤激励役とされ[4]、また、会議においてパトリチェフがヤンの計画に「なるほど」とその豊かな声で相づちを打つことで周囲に安堵感を与えることもヤンの計算の内にあった[10]。3次元チェスが下手であり、後に回廊の戦い後の講和会議でヤンから自分の随行員に選ばれたのは、同じく下手くそであるヤンと互角の腕前だったからと噂される[23]
時系列上の初登場はヤンが参事官として惑星エコニアへ派遣された時(『螺旋迷宮』)[22]。当時は参事官補、大尉。ヤンの副官として3ヶ月ほど行動を共にすることとなり、その人柄はヤンから好印象を抱かれる[22]。この時の縁が元で、第13艦隊が編成されるとヤンから副参謀長に任命される[4]。上記の通り、作戦計画や戦闘時の幕僚としては期待されていないため、作中における登場は少ない。物語中盤のバーミリオン星域会戦後に第13艦隊が解体された際は「動くシャーウッドの森」には参加せず同盟軍に残り、自宅待機となった[11]のち辺境の軍務に就く(これに前後して少将となる[注釈 2][12]。そのためヤン奪還にも参加しなかったが、帝国の再侵攻の際にはハイネセンに招集され、チュン・ウー・チェンより、同盟軍本隊には加わらず、ムライらと共にヤンに合流するよう命令を受ける[13]。終盤、回廊の戦い後のラインハルトとの会談に向けて、ヤンの随行員の一人となる。その道中で帝国兵に扮する地球教の暗殺者たちに襲われ、ヤンを守るためにブルームハルトらと迎え撃つも衆寡敵せず、射殺される。死してなお、その巨体がドアを塞ぎ、ヤンが逃げるための時間を稼いだが、結局はヤンを守ることは果たせなかった[23]
エドウィン・フィッシャー (Edwin Fischer)
声 - 鈴木泰明 / 園江治(Die Neue These)
第13艦隊の副司令官。登場時は准将(最終は中将)。物語開始時点では第4艦隊所属。乗艦はシヴァ(回廊の戦い)。
「艦隊運用の名人」と評される老練な艦隊指揮官[4]。銀色の髪とひげの初老の男性で[4]、寡黙で自己主張をあまりしない地味な人物[24]。ユリアンからは「地味が軍服を着て物陰に黙って立っているような」と評される[21]。作中で目立った登場はほぼないが、ヤン艦隊の不敗神話は、彼自身の智謀に加え、その作戦を完全に実行できるフィッシャーの艦隊運用能力があってこそと評され[23]、ヤンからは絶大な信頼を寄せられ、その必要性はユリアンからシェーンコップにも劣らないとまで評されるほど[21]、艦隊における重要人物であった。
設定上の初登場はアスターテ会戦で、壊滅した第4艦隊の残存兵力を束ね生還を果たす[4]。物語への初登場は戦後、第13艦隊が編成されるにあたってヤンの要望で副司令という要職に就くこととなった際[4]で、第7次イゼルローン攻防戦の功績によって少将に昇進する。以降、上記の通り目立った登場はないものの、ヤンの主だった戦闘にほぼ参加しており、艦隊の会議でもその名を見せる。バーミリオン星域会戦による同盟降伏後は、キャゼルヌと同じく「動くシャーウッドの森」には参加せず、そのままハイネセンに戻ると自宅待機の身となる[11]
その後、ヤン拘束に伴い発生した一連の騒動には関与しておらず(辺境地の軍務についていたとある[12])、帝国の再侵攻の際にはチュン・ウー・チェンより、同盟軍本隊には加わらず、ムライらと共にヤンに合流するよう命令を受ける[13]。その後はその艦隊運用能力によって再びヤン艦隊を支えたが、回廊の戦いの終盤においてビッテンフェルトの攻撃を受けて戦死する(これはヤン艦隊首脳陣の中で最初の死者でもある)[24]。この死によってヤン側の継戦能力はほぼ奪われたと言ってよい致命的な損害であったが、それを知らない帝国側から講和が提案され、終戦することとなった[23]。アッテンボローからは「うちの生きた航路図が、死んだ航路図になってしまった。これからはうっかりピクニックにもいけんぞ」と嘆かれる。死の直前にはヤンに「戦いが終わったら、自分もアッテンボローに倣って本を書く」と冗談を話していた[25]
石黒監督版OVAにおけるキャラデザイナーは湖川友謙で、外見のモデルは野球解説者の関根潤三[20]
ダスティ・アッテンボロー
第13艦隊分艦隊司令。また物語終盤では事実上のイゼルローン革命軍司令官代理。
ワルター・フォン・シェーンコップ
ローゼンリッター連隊第13代連隊長。後にイゼルローン要塞防御指揮官。
オリビエ・ポプラン
第13艦隊所属の単座式戦闘艇「スパルタニアン」のエースパイロット。撃墜王。
ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ
帝国軍大将。後に同盟に亡命し、ヤン艦隊の客将となる。
バグダッシュ (Bagdash)
声 - 神谷明 / 牛山茂(Die Neue These 星乱)
中佐(最終は大佐)。情報主任幕僚。当初は軍情報部所属の救国軍事会議メンバーであり、後にヤン艦隊に転向する。
諜報や破壊工作の専門家である男[26]。性格は非常に図々しく横着しているが、一方で利に聡く、早々に救国軍事会議を見限り、「主義主張は方便に過ぎない」と公言する[27]。転向後、ヤンからは再度裏切ることはないと評されていたものの、元々ヤン暗殺を狙っていたことや、ヤンがこっそりとブラスターの貸与を認めた時に彼にふざけて銃口を向けたこと、さらにその普段の態度などから、他の幕僚たちからの信頼は薄く、特にユリアンからは露骨に敵意を抱かれる[27][28]。しかし、ヤン奪還作戦で活躍して信頼されるようになり、情報部門の長としてヤン艦隊を支える。
救国軍事会議の中核メンバーの一人でフレデリカの記憶によればクーデターより5年前に、グリーンヒル大将の書斎を訪れ現状の政治体制について不満を述べていたという[27]。ルグランジュ率いる第11艦隊がヤン艦隊を迎え撃つにあたって、情報の錯乱及び、次善の策としてヤン暗殺の使命を帯びて、ハイネセンからの脱出者と偽り、ヤン艦隊に潜入する[27]。第11艦隊の情報など事実を交えて信頼を得ようとするが、早々に正体を見破られ、シェーンコップによって眠らされる。目覚めた時にはドーリア会戦が終わっていたという状況に追い込まれるが、ヤンに救国軍事会議を裏切ることを直訴し、彼に認められてヤンの部下となる。以降、クーデターではヤン艦隊のスポークスマンとなってハイネセン侵攻前に、救国軍事会議の糾弾を行う[29]。だが、クーデター鎮圧後はバグダッシュ向けの任務も無かったこともあり、特に活躍もなく無為徒食とまで称される[28]
バーラトの和約体制下で起こったヤン拘束、及びそれを受けての奪還作戦において、情報の収集分析やレベロ襲撃計画に大きく貢献する[26]。以降は同僚たちからも信頼されるようになり、第10次イゼルローン攻防戦では情報戦で防衛責任者のルッツを混乱させ、またユリアンに交渉技術について助言するなど、同戦役に貢献する[30]。ヤンの死後もユリアンに従って残り、情報主任幕僚としてイゼルローン軍を支える[25]
OVA版の石黒監督の一番のお気に入りのキャラクターである[要出典]

薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊

正確な職制では独立した陸戦隊でヤン艦隊指揮下では無かったが物語展開上ここに記載する。

ワルター・フォン・シェーンコップ
ローゼンリッター連隊第13代連隊長。後にイゼルローン要塞防御指揮官。
カスパー・リンツ (Kasper Linz)
声 - 小杉十郎太 / 浜田賢二(Die Neue These)
ローゼンリッター連隊第14代連隊長。大佐。
脱色した麦わらのような髪とブルーグリーンの瞳をした機能的な身体つきの青年[31]。古くからシェーンコップの信頼する部下として活躍し[32]、シェーンコップがイゼルローン要塞防御指揮官になるのに伴って第14代連隊長となる[31]。バーミリオン星域会戦後には「動くシャーウッドの森」に参加し、メルカッツと行動、作中最後の戦いとなるシヴァ星域の会戦まで活躍する。猛々しいローゼンリッターのイメージに反して、画才に秀でており、少年時代は画家を目指していたという[24]。また歌も連隊一の名手とされる[33]
時系列上の初登場はヴァンフリート4=2の地上戦(当時は大尉で24歳)。当時副隊長だったシェーンコップの主だった部下の一人としてブルームハルト、デッケンと共にその名が呼ばれる[32]。「ヴァンフリート4=2」「第6次イゼルローン攻防戦」と二度にわたるシェーンコップとリューネブルクの因縁の対決にもその場に居合わせる[33]。本編では第8次イゼルローン攻防戦時で、シェーンコップの後任のローゼンリッター連隊長として初登場する(OVA版では第7次イゼルローン攻防戦にも姿を見せている)[31]。バーミリオン星域会戦後は「動くシャーウッドの森」に参加してメルカッツに従い[11]、ヤン合流後も引き続き、シェーンコップに次ぐ白兵戦部隊の長として行動する。シヴァ星域の戦いにもブリュンヒルト突入メンバーの一人として活躍し、致命傷は避けたものの瀕死の重傷を負っていたところを、ギリギリで停戦命令を受けて生還を果たす[34]。戦後は、フェザーンに向かった不在のユリアンに代わり、スーンやラオらと共にイゼルローン要塞の放棄の準備を行う[35]
OVA版のモデルは、剣豪の佐々木小次郎[要出典]
ライナー・ブルームハルト (Rainer Blumhardt)
声 - 難波圭一 / 最上嗣生(Die Neue These)
ローゼンリッター連隊長代行(本編登場時)。中佐。
褐色の髪の青年。年若い(特に外伝では若さが強調される)がその白兵戦技はシェーンコップから高く評価され、リンツと共に古くから重用される[32]。シェーンコップからは部下であり弟子とも表現される[14]。外伝では22歳で大尉という異例の出世を遂げていたことが明かされている[32]。指揮官としても非凡な才能を見せるが、一方でプライベートでは漁色家であるシェーンコップに対して奥手な一面も見せる[36]。亡命者となった理由としてはレンネンカンプとの会話の中で、祖父が共和主義思想家だと無実の罪を着せられて帝国内務省に捕まり、拷問のあげく殺されたためだと答えている[26]
時系列上の初登場はヴァンフリート4=2の地上戦(当時は中尉で22歳)。当時副隊長だったシェーンコップの主だった部下の一人としてリンツ、デッケンと共にその名が呼ばれる[32]。「ヴァンフリート4=2」「第6次イゼルローン攻防戦」と二度にわたるシェーンコップとリューネブルクの因縁の対決にもその場に居合わせる[37]
本編での初登場はバーラトの和約体制下で起こったヤン奪還作戦である[26]。連隊長のリンツが「動くシャーウッドの森」に参加したことを受け、連隊長代行として法制上のローゼンリッターの最高指揮官となる。部下を率いてシェーンコップと共にヤンの奪還やレンネンカンプ誘拐を行う[26]。終盤、回廊の戦い後のラインハルトとの会談に向けて、護衛役としてシェーンコップの推薦を受けヤンの随行員の一人となる。その道中で帝国兵に扮する地球教の暗殺者たちに襲われ、ヤンを守るためにパトリチェフやスールらと迎え撃つ。勇戦して多くの暗殺者達を返り討ちにするも衆寡敵せず、致命傷を追う。シェーンコップらが駆けつけた時にはまだ息があり、彼にヤンの安否を問うた後、看取られながら絶命する[14]
オットー・フランク・フォン・ヴァーンシャッフェ
ローゼンリッター連隊第12代連隊長。大佐。故人。外伝『千億の星、千億の光』の登場人物。
#千億の星、千億の光

空戦隊

オリビエ・ポプラン
第13艦隊所属の単座式戦闘艇「スパルタニアン」のエースパイロット。撃墜王。
イワン・コーネフ(Ivan Konev)
声 - 鈴置洋孝 / 鳥海浩輔(Die Neue These)
ヒューベリオン所属。第2空戦隊(コーネフ戦隊)戦隊長。大尉(のち少佐)。
スパルタニアンのパイロットで「クラブのエース」の称号を持つ撃墜王[38]。ポプランと並ぶ作中屈指の空戦技術の達人であり、また彼とは互いに毒づきつつも信頼しあう親友のような関係でもあった。性格は女好きで陽気なポプランとは正反対で、玄武岩でつくられたように物堅いと称され、しかし性格が相反するからこそ歩調のそろったコンビと評される[39]。原作中ではプライベートの様子を説明した描写は少ないが、ポプランが女漁りをしているのと対象的に辞書ほどの厚さのクロスワード・パズルの本を解いているという一節があり[39]、OVA版ではクロスワードを解いているシーンが多い。特にOVA版ではバーミリオン会戦の直前に、パズルの答えが「FUNERAL(葬式)」で、後の死が暗示される描写が挿入される。
作中ではヤン艦隊の主だった空戦に参加しており、ヒューズら亡くなった帝国領侵攻作戦での激闘でも生き残る[38](のち少佐に昇進)。ポプランと共に空戦隊のツートップとして活躍するが、バーミリオン会戦における激闘の中で巡航艦からの砲撃によって戦死する[40]。その死は空戦隊の過半数が撃墜された激闘でもコーネフなら生き残ると考えていたポプランに強いショックを与える。
死亡後もポプランの述懐の中でよく名前が登場し、特にカリンの将来性を高く評価する中で「第2のイワン・コーネフ」と引き合いに出している[41]。また、かつてのイゼルローンを懐かしむユリアンも、他のヤン艦隊の主要人物らと共にコーネフの名を挙げている[42]
本編開始以前を扱った外伝では、時系列上は他のエースらと共に第6次イゼルローン攻略戦に登場したのが初出である(当時は中尉)[33]。レグニツァの戦いにも参加しており、ポプランと共同で巡航艦一隻の撃破という功績を挙げる[43]
作中ではコーネフという名前の者がイワンを含め3人登場するが、少なくともボリス・コーネフとはいとこ関係である[44]
ウォーレン・ヒューズ (Warren Hughes)
声 - 矢尾一樹(千) / 大原崇(Die Neue These)
大尉。ヒューベリオン所属。
スパルタニアンのパイロットで「スペードのエース」の称号を持つ撃墜王[38]。やせ型で、あごと鼻のとがった、茶髪の青年[33]。帝国領侵攻時のケンプ艦隊との交戦において当初はいつも通りの活躍を見せ、苛立ったケンプの指令による3機による後方からの半包囲にも無難に対応する。しかし、敵艦の副砲までは考慮できず、撃たれ戦死する[38]
外伝では第6次イゼルローン攻略戦に他の3人のエースと共に登場しており(当時は中尉)、帝国軍のワルキューレを相手に4人で瞬く間に敵機を計12機撃墜する活躍をする[33]
道原版では娘マーガレットがいる。
サレ・アジズ・シェイクリ (Saleh Aziz Shakely)
声 - 平野義和(千) / 河口博(Die Neue These)
大尉。ヒューベリオン所属。
スパルタニアンのパイロットで「ダイヤのエース」の称号を持つ撃墜王[38]。淡い褐色肌に黒髪に黒目で巻毛の青年[33]。帝国領侵攻時のケンプ艦隊との交戦において当初はいつも通りの活躍を見せるが、ヒューズが撃墜された後に、自身も同じ戦法で撃墜される[38]
外伝では第6次イゼルローン攻略戦に他の3人のエースと共に登場しており(当時は中尉)、ケンプ艦隊を相手に4人で瞬く間に敵機を計12機撃墜する活躍をする[33]
コールドウェル
声 - 広森信吾
ヒューベリオン所属。第2空戦隊(コーネフ戦隊)副戦隊長(のち戦隊長)。大尉。
コーネフ戦隊の副戦隊長で、彼の戦死後に隊長代行として隊をまとめ、ポプランにコーネフの戦死を報告する[40]。その後の詳細は不明だが、空戦隊の長であるポプランが地球に赴く際に、自身の代わりとしてコールドウェルの名を挙げており、動くシャーウッドの森に参加していることはわかる[12]。また、外伝「ユリアンのイゼルーロン日記」には、救国軍事会議のクーデターの前の捕虜交換式頃に行われたフライングボール大会でMVPを受賞したとある[45]。当時は少尉。
カーテローゼ・フォン・クロイツェル (Katerose von Kreutzer)
声 - 三石琴乃
通称カリン。シェーンコップの娘(非嫡出子)。伍長。空戦隊所属。
薄くいれた紅茶の色の豊かな髪に青紫色の、生気にとんだ瞳を持つ美少女[41]。性格は凛としており強気。まだ15歳ながら空戦隊に所属し、上官のポプランから第2のイワン・コーネフになれるかもしれない逸材と評される[41]。実はシェーンコップの実娘で、彼と寝た数多の女の一人ローザライン・エリザベート・フォン・クロイツェルが密かに産んだ子であった[46](付き合ったのは3日ほどで、シェーンコップは忘れていた)。バーミリオン会戦の直前頃に母が死に、その死と自分の存在をシェーンコップに伝えるなど[47]、作中では母の件に関して単純に恨んでいるとも言えない父シェーンコップとの複雑な関係が展開される。また、ユリアンとの関係も展開され、互いに不器用ながら関係を少しずつ深めていき、シヴァ星域会戦後に正式に付き合う仲となる[7]
初登場は主要人物の中でも遅く第6巻3章である。それ以前の来歴は不明瞭であるが、「動くシャーウッドの森」で、スパルタニアンのパイロットとしてポプランの手ほどきを受けていた[41]。地球に調査へ向かう予定のユリアンに対し、ポプランが有望な若手として紹介したのが、作中への最初の登場であり、ユリアンとの出会いでもある(この時はそっけない態度を取る)。その後、しばらく作中でカリン本人が登場することはなく、もっぱらシェーンコップに娘がいるとして、アッテンボローらの会話の中に登場するのみである[47]。第7巻後半の第10次イゼルローン攻防戦において、参加を志願するが、シェーンコップに拒絶され、この理由を問うという名目で母のことを問いただそうと彼の執務室を訪れるのが父との初対面となる[46]。結局、軽くあしらわれた挙げ句に要塞戦には参加できず、次の回廊の戦いが初陣となり、敵機一機を撃墜するという功績を上げる[48]。この初陣では初めての焦りの中で思わずユリアンの顔が思い浮かぶなど、彼を気にかけている描写も登場し、ヤンの死後に後継者となったユリアンの前にしばしば登場しては彼を叱咤し、一方ユリアンもカリンを気になりだすなど、互いに不器用ながら関係を少しずつ深めていく。少なくもシヴァ星域会戦では「恋人未満」と明記されているが[34]、周囲からは公然の仲とみなされていた[25][49]。冷戦状態だったシェーンコップとの関係も最後には彼から娘として扱われ、逆にカリンもまた、師であるポプラン、そしてユリアンと並んで父の安否を気遣う。シヴァ星域会戦後に父の戦死の報を聞く中で、ユリアンに慰められながら涙を流し、また、そこで正式に付き合うようになる[7]。最終盤の仮皇宮にもユリアンのパートナーとして同行しており、特に物語の最後にはユリアンから2人の将来について示唆する一文がある[35]

ヤン艦隊の軍人

ルイ・マシュンゴ (Louis Machengo)
声 - 中尾隆聖
同盟軍准尉。長身の黒人。重装甲服のポイント・カラーはレッド。ポプランと共にユリアンの左右を守り、敵に取り囲まれた戦場を駆け抜けた。卓越した白兵戦技の腕前と上官への強い忠誠心の持ち主で、ヤンが査問会で召還された際にシェーンコップが警護役に推薦(「片手で1個小隊は片付ける」と評されている)した。また、その時の実績から、ユリアンがフェザーンに赴く際にはヤンが警護役に任じている。ユリアンと共にフェザーンを脱出した際に、ヘンスロー弁務官の脱出に協力したことと帝国軍の駆逐艦を奪取した功績によって少尉に昇進する。
その後はユリアン曰く「新たな命令が無いため」ユリアンやポプランと一緒に地球やオーディンにまで赴き、ごく自然にユリアンの護衛として家族同然に付き従っており、監視に来た帝国軍兵士も最初からヤン一家の一員と疑わなかった。最期はシヴァ星域会戦時ユリアンの盾となってブリュンヒルト艦内で戦死する。OVA版では第1期の救国軍事会議によるクーデターの終結後、グリーンヒル大将とエベンス大佐の遺体を運ぶ兵士として初登場している。
「人は運命には逆らえませんから」が口癖であり、アニメ版での臨終の台詞にもなっている。ポプランたちの冗談に冷静な観点から突っ込む発言が多い。酒豪で次々に注がれる酒に困惑していたユリアンの代わりに飲み、ポプランに「象に飲ませるようなもの」と言わせた。
ピアッツィ
大尉。フィッシャー分艦隊に所属する陸戦隊員。ランテマリオの戦いの後に接近してきた帝国駆逐艦(ユリアン搭乗)の確認のためにハーメルンIVに移乗した。
グエン・バン・ヒュー (Nguyen Van Thieu)
声 - 小室正幸 / 三宅健太(Die Neue These 星乱)
登場時は准将。後に少将に昇進。イゼルローン駐留機動艦隊分艦隊司令官。小説では、ドーリア星域の会戦において、救国軍事会議側第11艦隊を中央突破して分断する役で登場するが、アニメ版では、アムリッツァ星域会戦の後にヤンがイゼルローン要塞に赴任した様子を描いているシーンで、ダスティ・アッテンボローの直前のカットに登場している。帝国側で言えばフリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルトに似た猛将タイプ[50]で攻勢に強い。
「司令官の冷静なコントロールの下でこそ絶大な破壊力を振るえるタイプ」であり、ドーリア星域では功を立てたが、ガイエスブルク要塞戦では救援部隊の一つを率いていたアラルコン少将と争う形で双方合わせて5000隻余りの艦艇(アニメ版の描写)でミュラーの敗残部隊を過剰に深追いするミスを犯し、救援に駆けつけたミッターマイヤーとロイエンタールの待ち伏せにあって全滅し、戦死している。
乗艦はマウリア。当初(ドーリア会戦等)のアニメ版では、他の同盟軍の戦闘艦艇と同じ深緑色に塗られていたが、ガイエスブルク要塞戦では虎縞柄の派手な塗装に変わっていた(小説にはマウリアの塗装に関する本件の記述はない)。
アニメ版では髪があるが、道原版ではスキンヘッドのキャラクターとして描かれている(小説には特に描写はない)。
中国語訳では「阮 邦修」という字が当てられている。
スーン・スール
声 - 小野健一
本名(旧姓)はスーン・スールズカリッター (Soulzzcuaritter)。心臓発作で倒れたファイフェルに代わってアレクサンドル・ビュコックの副官となる。珍姓奇名をしばしば周囲からネタにされていたが、ビュコックからスール (Soul)という通称で呼ばれるようになった。OVA版では「スールズカリの少佐」と呼ばれて副官に任命された。その後、「スール」という呼び名を気に入り、本名として正式に改名手続きまでしてしまう。帝国軍再侵攻の際ビュコックの命でムライ、フィッシャー、パトリチェフに同行しヤン艦隊の一員となる。皇帝ラインハルトとの会見に向かうヤンの随員となり、地球教に襲われるが随員の中で唯一生還し、ユリアンからすれば彼だけでも救出できたことは、大きな慰めとなった。ビュコック、ヤンと二人の上官に先立たれたことを後悔し続けていた。また一人だけ生き残ってしまったと苦しい息の下からユリアンに訴えたが、ユリアンに励まされ立ち直った。アンドリュー・フォークとは士官学校の同期生であり、アッテンボローの1期下、ヤンの3期下に当たる。フォークについての印象をヤンたちの死の直前に話している。
小説では3次元チェスの腕前が下手と評されるヤンと同レベルな人物として、パトリチェフとブルームハルトが挙げられるが、OVA版においてはスールがこれに加わっている(ヤンとラインハルトとの会見の随員として、ヤンが3次元チェスに勝てそうな相手が選ばれたと、パトリチェフから推測されている。またポプランからはビュコックの代理として選ばれたと言われている)。
階級は初登場から最終巻(外伝には登場しない)まで少佐だが、道原版ではビュコックの元帥叙任式で初登場し、その場でアイランズ国防委員長から「少佐に任命」されており、「生者に二階級特進なし」の不文律からそれまでは大尉であったことになる。
作者によれば、彼の名は全作品中で唯一、自分がオリジナルで創造した名前である(他の人物の名前は、国際年鑑などから拾った人名を組み合わせて命名されている)。作者の夢の中に出てきた謎の人物の名であり、夢の中でこの「スールズカリッター氏」に散々追い回されたと語っている。
ラオ (Lao)
声 - 亀山助清 / 畠中祐(Die Neue These)
同盟軍少佐。最終階級は大佐。アスターテ会戦で第2艦隊の幕僚としてヤンを補佐する。ヤン艦隊結成後はアッテンボロー分艦隊の主任参謀にまわり、物語の最後までアッテンボローを支える。ヤンやアッテンボローらと付き合ううちに苦労症になってしまったらしい。
石黒監督版OVAでは、その出番と役割をダスティ・アッテンボローにとって替わられており、ほぼ出番はない(劇場版第2作『新たなる戦いの序曲』では、第2艦隊人員として数カット登場する)。『Die Neue These』ではアッテンボローに先駆けてキャラクター名とキャストが発表。アスターテ星域会戦では概ね小説通りの立ち位置で行動する。壊滅した艦隊で生き残った3人の1人という経験を持ち自らをラッキーボーイと称し、戦闘前からヤンに信頼を寄せるなどアスターテの時点までは楽天主義的な性格であったことが付け加えられている。アスターテ会戦時からシヴァ星域会戦後のイゼルローン革命軍解散までヤン(のちユリアン)の部下として在籍し、生存が確認された数少ない人物である。
中国語版では「拉歐」という字が当てられている。
ベルンハルト・フォン・シュナイダー (Bernhard von Schneider)
声 - 目黒裕一 / 平川大輔(Die Neue These 星乱)
帝国軍時代からのメルカッツの副官。上官であるメルカッツを強く慕っている。当時の階級は少佐。帝国にいた頃は「甘いマスクのハンサム」といわれた。リップシュタット戦役の後、メルカッツに自決を思いとどまらせて亡命を勧め、自身も同盟に亡命する。メルカッツやポプランからラインハルトの旗下だったら出世出来ただろうと言われている。メルカッツが亡命によって階級が下がったのに付き合い2階級降格を申し出るが1階級降格の大尉となった(銀河帝国正統政府では中佐となり、以降は中佐として表現される)。
通常はメルカッツにつきそい補佐役に徹しているが、メルカッツを護るために、時にブラウンシュヴァイク公やヤン艦隊の面々が相手でも食ってかかろうとする姿勢を見せたり、いつヤンがメルカッツのような境遇になるかと不安に苛まれるユリアンとはその意味で同志であるため、迂闊に愚痴も漏らせないので彼に甘えて愚痴る中で銀河帝国正統政府に対して冷笑的な論評を口にするなど、激情家であり毒舌家でもある一面を披露している。ただし、これについてはヤン艦隊で朱に交わって赤くなった部分も少なくない。シヴァ星域の会戦で、死に瀕したメルカッツの最期を看取った後、メルカッツの遺族にその死を報告するためにユリアンと後の再会を約束して旧帝国首都星オーディンに向かった。
小説2巻によれば金髪。道原版ではそれに準じているが、OVAでは茶髪になっている。
デッシュ (Desh)
声 - 宮田浩徳
同盟軍准将。宇宙暦799年12月2日、小惑星ルジアーナで新規に建造されていた駆逐艦や巡航艦を率いて脱出。約半数を失いながらも途中で兵員と物資を集めながら50日をかけてエル・ファシルに到着し、ヤン艦隊に合流する(OVA版では上司のバウンスゴールに脱出の指揮を託され、苦渋の表情で上司と別れる様子が描かれている)。その後は回廊の戦いにも艦隊の一部を率いて参加している。
マリノ (Marino)
声 - 荒川太郎
大佐、後に准将に昇進。ヤンが第13艦隊の司令官となった時点でのヒューベリオンの初代艦長。その後バーミリオン会戦・回廊の戦いなどで分艦隊を指揮、伏兵として帝国軍を苦しめる。分艦隊司令に転じた際の旗艦はムフウエセ(シュモクザメのような独特のシルエットを持つ戦艦)。
ヤン艦隊の艦隊運用を担っていたフィッシャーの死後に、その後継者に擬せられた時は、その面では故人に及ばないことを自他ともに認めている。その後、実際に艦隊運用を担当したという作中の描写はなく、第11次イゼルローン攻防戦でも作中での登場はない。
ボーステック社などのゲームでは、アッテンボローには譲るものの、有能な艦隊幕僚、司令としての能力値を設定されていることが多い。
アサドーラ・シャルチアン
声 - 小島敏彦
中佐。マリノが分艦隊司令官に昇進転属したため、第二代ヒューベリオン艦長に着任しバーミリオン海戦に参加。旗艦が前に出すぎ、集中砲火の的になるリスクを避けるため、司令官ヤンの許可を得て後方に下がるが、「何でこんなに下がるんだ。指揮がしにくいじゃないか」と愚痴を言われてしまった。ただし同盟唯一の残存戦力であったヤン艦隊の旗艦の艦長を大過なくこなしている。のちにヒューベリオンがメルカッツの旗艦になった後の処遇は不明で、シヴァ会戦での撃沈時にも記述はない。
ニルソン (Nilson)
声 - 大林隆之介
同盟軍中佐、799年に大佐に昇進。戦艦ユリシーズ艦長。石黒監督版OVAでは第4次ティアマト星域会戦の時点で第2艦隊に所属し、既にユリシーズの艦長を務めていた。原作では第8艦隊所属としてアムリッツァ星域会戦時に初登場、艦隊の9割が失われるなか生還している。ヤン艦隊に配属されて以降も最後の最後まで生き残り、回廊の戦い以降は乗艦が艦隊総旗艦にまでなっているが、アムリッツァ会戦での「軽微だが深刻な損害(トイレの汚水処理システムが破壊され、汚水が艦内に流れ出した)」から「トイレを壊された戦艦」と評され、ヤン艦隊では笑いのネタにされてしまった。ゆえに後年ユリシーズのクルーはひがみっぽくなった、とも評される。他にもユリシーズがイゼルローン放棄作戦(箱船作戦)の時には赤ん坊とその母親600人を乗艦させ避難させる役を担わされ、ニルソン自身も不機嫌な様子をクルーから「実はユリアンに惚れていた」などと冗談のネタにされたりしていた(この時は実は歯痛に悩んでいただけだった)。さらにOVA版ではガイエスブルク要塞のイゼルローン回廊出現にも遭遇しており、「ユリシーズを偵察に出すと必ず敵を引き連れて戻ってくる」と言われるなどユリシーズ共々話題に事欠かない存在であった。
劇場版第1作においては、ヤンとアッテンボローとあわせて3人で、ユリシーズを乗艦として囮部隊を率いるという任務に参加している。この時のニルソン曰く、ユリシーズは「じゃじゃ馬で他の人にはとてもじゃないが任せられない」とか。この時ニルソンは巧みな操艦技術でラインハルトの乗艦ブリュンヒルトの真下に接近し、事実上ラインハルトを人質に取るという作戦に貢献している。
フィールズ (Fields)
声- 島田敏
戦艦ユリシーズの航法士官で中尉。冗談口をたたくのが得意(というか趣味)で、艦長のニルソンを少年愛嗜好者とガセネタを流したり、イゼルローン脱出時に艦に乳児と母親を載せることに対して、「女性が一番美しいのは出産直後だ」とクルーを励ましたりしている。
エダ (Eda)
声 - 山口晃
戦艦ユリシーズ副長。階級は少佐。イゼルローンからの脱出時、赤ん坊と母親600人を乗せろという指示を艦長のニルソンに伝えた。その後もユリシーズに乗艦しており、ダヤン・ハーン基地にて地球へ向かうユリアンを見送る際や、「8月の新政府」樹立時の同盟国歌合唱時に登場している(OVA版)。
トダ (Toda)
声 - 大森章督 / 勝杏里(Die Neue These)
技術大尉(OVA版では技術少佐[51])。帝国領侵攻作戦の際の、ヒューベリオンの整備主任。ケンプ艦隊との交戦に出撃したオリビエ・ポプランから機銃の照準が9-12度狂っていたことから味方殺しと文句を言われて反論し、殴り合いを演じた(OVA版では整備中の女性兵にポプランが声をかけており、それをトダがとがめた直後に出撃している)。KOされる寸前にシェーンコップ(OVA版ではイワン・コーネフ)が制止に入り、その場は収まったが、ポプランはそれをいささか根に持っている様子。
新アニメ版(Die Neue These)では原作と同様に技術大尉、不眠不休で作業をしており、パイロットとは違って食事も満足に出来ないことで手落ちがあったかもしれないと謝罪し、ポプランとは和解している。
ボーステック社のゲームではアムリッツァ会戦以降、戦死扱いになっている。
ゼノ (Zeno)
中佐。レダIIの艦長。査問会に向うヤンとフレデリカを送り届ける途中、スパルタニアンと輸送艦の人為的ミスによる事故について触れ、後方管理の不備に対して怒りと不満を述べている。
ルイシコフ
中佐。レダIIの艦長。ゼノの後任。ヤンらと共にラインハルトとの会談に赴く。帝国艦の接近に伴い警戒態勢をとるが、ロムスキーらが帝国艦を迎え入れたことによって艦内に地球教徒の暗殺団の侵入を許してしまう。その後の生死は不明。
ウノ (Uno)
大佐。同盟軍の帝国領侵攻の時に第13艦隊の補給を担当していた士官。帝国軍の焦土作戦で物資が逼迫したため、帝国人民を自分達が養う意味をヤンに問い、「我々がルドルフにならないためさ」と返答されている。
J・ギブソン
大佐。イゼルローン要塞哨戒部隊指揮官。帝国方面宙域でガイエスブルク要塞のワープアウトを観測し、イゼルローンに通報した。アニメではユリシーズのニルソン中佐に変更されている。
ブラッドジョー
大佐。参謀。小説2巻で、帝国軍の戦艦ブロッケンが持ってきた捕虜交換の話を相談する幹部会議に出席している。
ボーステック社のゲームではグラフィックが設定され、黒人男性となっている。
ハムディ・アシュール
声 - 中博史
少佐。艦隊戦術オペレーターとしての手腕に優れる。799年7月16日、レサヴィク星域にて「バーラトの和約」に基づく同盟艦船の廃棄作業に従事していたが、ヤンの意を汲んだメルカッツ麾下の動くシャーウッドの森艦隊の襲撃に遭遇、「専制政治に抵抗する志のある者は我々と合流されたし」との呼びかけに応じそのままシャーウッドの森艦隊に合流する。総勢4,000余名から成る志を同じくして参加した「お調子者集団」の中で最も階級が上だったこともあり、合流直後に代表者としてメルカッツと面会をする。その際、メルカッツに艦隊の行動理念とそれに基づく艦隊総司令としての資格を臆することなく問い質し、シュナイダーから「何と理屈の多い男だ」と評された。
その後、「8月の新政府」樹立時の同盟国歌合唱時に描写されている(OVA版)。
エド、サイモン、ハズキ
声 - 田中和実飛田展男草尾毅
第13艦隊ヒューベリオンの乗組員。OVA版のオリジナル人物。
帝国側のオリジナルキャラクターであるクルトとトニオに対応する人物であり、視聴者に対しヤン艦隊の一般兵の信条を明らかにする役目を持っている。

主要人物の家族・縁者

オルタンス・キャゼルヌ
声 - 松尾佳子
アレックス・キャゼルヌの妻。最初はキャゼルヌ夫人だったが、ファンから名前はなんというのかという質問が多く寄せられ、オルタンスと名前がついた。本編中では単にキャゼルヌ夫人と記述される例が多い。旧姓はミルベール。シャルロット・フィリスとその妹の母親。ヤンがエコニアの捕虜収容所参事官職を解かれてハイネセンに帰還した時に婚約者として初めて紹介され、第8艦隊司令部作戦課に勤務する直前に結婚式をあげる。この時点で23歳。父親はキャゼルヌの上官だったが、それほど栄達せず退役し、この時点では在郷軍人会の事務をしていたので、出世目当てにキャゼルヌが結婚したのでは無いことが物語に明記されている。
料理の腕前や家政の手際さらに夫をも凌駕する論客ぶりで、実質的なキャゼルヌ家の支配者である。ヤン陣営の中でも1、2を争う毒舌家であるキャゼルヌも彼女の前では精彩を欠き、娘に言い訳するのが精一杯である。また、他者の性格や行動原理を見抜く能力があり、夫からしばしば予言者呼ばわりされる。母親らしい優しさと同時に厳しさも備えており、ユリアンからヤンの訃報をフレデリカに伝える役を頼まれた時にきっぱりと拒絶し、ユリアン自身が伝えなければならないことを諭している。イゼルローン1の実力者とも言われ、夫はもちろんヤンやユリアンも頭が上がらず、シェーンコップも、ヤンの死をフレデリカに誰が伝えるか決める際には彼女が適任かもしれないなと述べている。
シャルロット・フィリス・キャゼルヌ
声 - 天野由梨
アレックス・キャゼルヌとオルタンス・キャゼルヌ夫妻の長女。登場時は8歳。アニメでは母親と同じ髪の色をしている。バーラトの和約以降監視されることになったキャゼルヌ夫妻とヤン夫妻の家を、妹と一緒に往来し、ラズベリーのパイに隠したメモの伝令役を務めたことがある(本人は意識していなかった様子)。父親が勝手にユリアンと結婚させることを考えていたが、当のユリアンがカリンと恋仲になってしまったため、その計画は頓挫した。しばしばヤンをおじちゃま呼ばわりして、ヤンの心を傷つけている(フレデリカはおねえちゃまと呼ばれている)。OVA版ではヤン家で飼われていた猫をヤンから預かっている。ポプランからは妹と合わせて全く不幸でない環境で育った存在として評されている。
ビュコック夫人
声 - 沼波輝枝
ヤンが査問会に呼び出された時、フレデリカとマシュンゴが襲撃され、その後ビュコックの家に避難/逗留した。その時にフレデリカと話をしている。OVA版でラインハルトが再度宣戦布告した時、退役していたビュコックが決意の表情を浮かべるのと同時にその意図を察し、軍服を出して手渡している。なお、息子が2人いたらしいが、どちらも戦死している。
パトリック・アッテンボロー
声 - 井上和彦(螺[52]
ジャーナリスト。軍隊の批判記事が得意。有能だが協調性に欠けるためしばしば職場を異動する。職業軍人の娘と結婚したが、その際、100回以上の口論と3回の殴り合いの末に生涯の伴侶を獲得したと記述があり、OVA版・道原かつみによる漫画版でもダスティ・アッテンボローにそう語った。少なくとも4人の子供をもうける。その4番目の子供で最初の息子がダスティ。義父との生前の約束でジャーナリスト志望の息子を無理やり軍人の道に進ませてダスティに恨まれているが、どこか憎み切れない性格の持ち主で、息子も半ば諦めて軍人の道を歩んでいる。後にユリアンに贈られることになる、錆びついた青銅製の「幸運の鍵」を息子に譲ったが、彼にとっての幸運とは息子が軍人になることであった。そのため、ダスティの受験する大学の不合格を熱心にその鍵に祈ったという。ダスティが軍人になるという犠牲になることで、自分自身を含めた家族が幸福になるという、とんでもない発言をして当の息子の怒りを買った。
シェーンコップ祖父
声 - 中博史(Die Neue These)
シェーンコップの祖父。帝国貴族。同盟への亡命者。故人。
男爵家分家の下級貴族。軍務省の経理局次長にまで出世し、退職まであと数年というところで連帯保証人になっていた知人の負債を抱え込んでしまい財産と屋敷を失う。それでも完済はできず投獄されそうになったが、男爵家の家名が傷つくことを恐れた親族によってフェザーン経由の旅費だけ与えられ、6歳のシェーンコップと一緒に追放同然のかたちで同盟に亡命した。以上は外伝『ユリアンのイゼルローン日記』にてシェーンコップからユリアンに語られる。
Die Neue These版の第7話にシェーンコップの回想という形で登場している。門閥貴族の狡猾な手段によって全財産を奪われた上に、皇帝に対する叛意の濡れ衣を着せられ亡命を決意したという設定に変更されている。シェーンコップは祖父の形見として帝国の国章が入った万年筆を肌身離さず携えており、これが第7次イゼルローン攻防戦のキーアイテムになる。

同盟軍

軍首脳部

シドニー・シトレ (Sidney Sithole)
声 - 内海賢二 / 佐藤正治(黄) / 相沢まさき(Die Neue These)
統合作戦本部長。元帥。元士官学校校長。
物語開始時点における同盟軍の制服軍人のトップ。2メートルほどの身長を持つ偉丈夫で初老の黒人[3][53]。ヤンが士官学校に在籍していた当時の校長で、ヤンの天賦の才能を早くから知っていた数少ない一人[3]。権力中枢に近いこともあって、ロボスと派閥争いを繰り広げたり、軍政のトップであるトリューニヒトと鍔迫り合いをしているが、基本的に現実的・良識的な人物で、軍内外に広く人望がある[3]。士官学校の校長時代(中将)には、開明的な教育家としても当時生徒であったヤンから高く評価され、さらにヤンに事実上、蔵書庫を解放する便宜を図るなど、名校長と評される[54]。このためヤンからはグリーンヒル大将、ビュコックと共に尊敬する上官と評されるが[21]、逆にヤンの性格を熟知しているがゆえに老練な手腕で彼を手玉にとることにも長ける。
ヤンが第13艦隊司令となると彼を呼び出し、彼の才を高く評価するがゆえにイゼルローン要塞の攻略という難題を命令する[3]。この背景にはロボスとの軍上層部の派閥争いという側面もあり、結果として要塞攻略が成功したため、自身の立場を堅めることに成功する[4]。ところがこれが原因で巻き返しをはかるロボス派から帝国領侵攻作戦が立案されるに至り、シトレとしてはその無謀な計画に大反対であったが、成功しても失敗しても退役する状況に追い込まれる(成功した場合はロボスを本部長に就けて功績に報いるため、失敗した場合は軍人のトップとして責任を取らされるため)[55]。結局、戦役の失敗を受けて責任を取らされる形で退役する(元凶のロボスとは違い、巻き込まれる形となったために同情の声もあったという)[56]。そして故郷の惑星カッシナに帰り果樹園を営み始める[57]
その後は同盟に民主共和制の危機が訪れると、端役としてしばしば登場する。救国軍事会議のクーデターでは隠棲先から駆けつけて、ヤンとヤン艦隊が同盟政府と民主主義を守るものだと支持を表明し、クーデター勢力に少なくないダメージを与える[29]。物語後半に同盟が完全に帝国に併呑された後に行われたグエン・キム・ホア広場での集会及び騒乱にも参加しており、かつての同盟要人として新領土総督となったロイエンタールと引見する[53]。ロイエンタールの問いに対して、発生した騒乱について何ら弁明せず、むしろ釈放すれば今度こそ行動を起こすと宣言したがためにラグプール刑務所に移送される。後に同刑務所の暴動に巻き込まれるも、一命は取り留める[19]。以降は作中に登場しない。
外伝では『黄金の翼』に、第5次イゼルローン攻略戦の総司令官(大将)として登場する(この戦い自体は外伝3巻『千億の星、千億の光』でも触れられる)。乗艦はヘクトル。当時のグリーンヒル中将、ビュコック中将らを指揮し、並行追撃策を用いて、要塞主砲トゥールハンマーの使用を封じ込め、要塞壁に肉薄する活躍をする。結果としては帝国側が味方の犠牲を厭わずにトゥールハンマーを使用したため失敗に終わるが、それまで寄り付くことも不可能であった要塞壁に大きな損害を与えたことは高く評価され、後に元帥に昇進する。
OVA版ではレベロと旧知の仲という設定が加えられ、2人の会話シーンがある。
ラザール・ロボス (Lassalle Lobos)
声 - 大木民夫 / 花輪英司(Die Neue These)
宇宙艦隊司令長官。元帥。帝国領侵攻作戦の遠征軍総司令官。グリーンヒルの上官。座乗艦はアイアース(石黒監督版OVA)。
物語開始時点における制服軍人のナンバー2。母が帝国からの亡命者という出身で[58]、小太りの男。軍部のトップであるシトレとは四半世紀にわたるライバルとされ[55]、現在の職責に見合う優れた戦術指揮能力で前線指揮官として輝かしい功績を挙げてきた軍人[38]。第6次イゼルローン攻防戦ではおおざっぱな点はあるが、戦術展開能力にすぐれ、指揮官として熟練していると評され、さらに、これを堅実で理知的な幕僚のグリーンヒルが補佐するというコンビであった[5]。ところが急速に衰えを見せたとされ、本編時間軸ではおよそ最高指揮権者らしくない無能ぶりを晒す[38]
帝国領侵攻作戦において遠征軍総司令官に任命され、作戦総司令部となるイゼルローン要塞に在陣する[38]。参謀長のグリーンヒルよりもフォークを信任し、艦隊司令官らからの通信を取次としてフォークが間に介入するなど、彼の専横を許し、実質的にフォークの傀儡と化す[38]。戦役終盤の前線の危機にも、昼寝の邪魔をするなと訓令するなど、同盟軍全体の足を引っ張る[38]。最終盤では総参謀長グリーンヒルの撤退進言を無視してアムリッツァに部隊集結を命じ(これは同盟政府の要望でもあった)、ヤンの活躍で一矢報いることには成功するもさらなる犠牲を増やす[59]。戦後は敗戦の責任を取らされる形で退役し[56]、以降物語には登場しない。
本編以前を扱った外伝では登場頻度が多い。まず時系列上の初登場は『千億の星、千億の光』でのヴァンフリート星域の会戦で、続く第6次イゼルローン攻防戦に総司令官として登場する。上記のようにこの段階では指揮能力を高く評価されるも、ヤンが立案したラインハルト艦隊への対処案に対して、兵力を出し惜しんだ結果として彼を取り逃がし、後の禍根を残す失態を犯している[5]。時系列上の次のエピソードである『星を砕く者』から、後の衰えの片鱗を見せるようになり、第3次ティアマト会戦で自派閥のホーランド中将を失って精神衛生にいささかの害を及ぼしたとされ、その戦後には余計な訓令でグランド・カナル事件と呼ばれる戦闘事故を引き起こさせてしまう[58]。ただし、総司令として指揮を執った第4次ティアマト会戦は結果として敗北するが、その混戦の中でグリーンヒルの進言を受けて難しい絶妙の用兵を行い、戦術的手腕を示すなど[60]、戦術的能力の高さを示している。
ドワイト・グリーンヒル 
作品開始時の統合作戦本部次長で、宇宙艦隊総参謀長。フレデリカ・グリーンヒルの父。
#救国軍事会議
クブルスリー (Kubersly)
声 - 田中信夫 / 高階俊嗣(Die Neue These 星乱)
第1艦隊司令官、中将。後に統合作戦本部長(シトレの後任)、大将。
温厚な人柄で筋の通った性格の軍人。士官学校を優秀な成績で卒業し、堅実な成果を挙げ、いずれ軍部のトップに就くと目されていた。物語開始時点では首都警備や治安維持を任務とする第1艦隊司令官の職にあったため、アスターテ会戦や帝国領侵攻作戦には参加しておらず、いずれの敗戦の責を負っていなかった。帝国領侵攻作戦後、軍首脳部の総退陣に伴い制服軍人のトップである統合作戦本部長に就任する[56]。ヤンを高く評価しており、本部長への着任に伴って彼を統合作戦本部の幕僚総監に就任することを望んでいた。就任後間もなく、職務復帰の直訴をしてきたフォークを正論で拒絶するが、逆上した彼に撃たれて負傷し療養を余儀なくされる[57]。後にこれは救国軍事会議のクーデター計画の1つであったと判明する。
クーデター終結後に現場復帰するも、軍首脳部がトリューニヒト派で固められるなか病気を理由に引退する[61]
アレクサンドル・ビュコック
第5艦隊司令官。中将。後に宇宙艦隊司令長官(ロボスの後任)、大将のち元帥。
チュン・ウー・チェン (Trung Yu Chang)
声 - 大塚明夫
元士官学校教授。ビュコック体制下での宇宙艦隊総参謀長。中将のち大将。
「パン屋の2代目」と渾名されるほど軍人としては風采の上がらない外見の男性[62]。しかし、戦略家・戦術家としては卓越した能力を持つ。大親征当時は38歳で妻子がいる。帝国軍のフェザーン侵攻と前後して、士官学校の教授から宇宙艦隊副参謀長に抜擢される。直後に総参謀長のオスマンが病気で更迭されため、後任として総参謀長に昇格する[62]。のちにビュコックの元帥昇進にあわせて大将に昇進[63]。以降、宇宙艦隊司令長官ビュコックの腹心としてマル・アデッタ星域会戦で共に戦死するまで彼に付き従い、有用な献策によってヤンに対しても多大な貢献をする。
初登場は上記の通り「神々の黄昏」作戦で抜擢されてからであり、ヤンをイゼルローンに拘泥させず、自由に動かさせるなど、有用な献策を行い、ビュコックら同盟軍首脳部の方針を決めていく[62]。ランテマリオ星域会戦では敗北後に自決しようとしたビュコックに、ほぼ正しく今後の展望を予期してみせ、軍部で責任を取る者が必要と説得して思い留ませる(実際にはラインハルトの計らいでドーソンの拘禁のみで済む)[63]。戦後は自身は軍に留まり、総参謀長のまま宇宙艦隊司令長官代理を兼務する[64]。大親征に対しても、現場復帰したビュコックに従い、自分たちが指揮してもラインハルトには負けるという予測からムライらに貴重な残存戦力の一部を託し、ヤンの元へ送る[13]。その後、マル・アデッタ星域会戦にて数にも勝るラインハルトら帝国軍本隊を迎え撃ち、民主共和制に殉じてビュコックと共に戦死する[65]
作者の設定では漢字表記は「淳于建」であるが、中国語版では「邱吾權」、「邱吾权」の字が当てられている。
ドーソン (Dawson)
声 - 島田彰 / 黒田崇矢(Die Neue These 星乱)
統合作戦本部次長で大将。後に統合作戦本部長(クブルスリーの後任)。のち元帥。元士官学校教官。
性格は小心で陰気、神経質な小役人タイプの軍官僚[57]。歳は40半ば。士官学校教官、憲兵隊司令官、国防委員会情報部長、第一艦隊後方主任参謀を務めた経歴を持ち、アムリッツア会戦後は現職にある[57]。おおよそその要職に見合うだけの能力や人望はなく、自分より士官学校時代の一番だけ席次が良かった同期生が何かしらのミスで降格処分となってドーソンの部下となった時、ねちねちいびり抜いたり、後方主任参謀時代には各艦の調理室のダストシュートを調べてまわり、じゃがいもの廃棄する部分が多いと小言を言って周囲をうんざりさせたといったエピソードにあふれる[57]。士官学校時代の生徒であったアッテンボローからもその嫌味ぶりな逸話の数々を披露される[21][66]。他にも「建国後、30年か50年くらいの外敵がいない時期だったらドーソンでも無難に務まっただろう(要約)」と酷評され[21]、救国軍事会議からは「大将に昇進したのさえおかしい程度の男」と評され[57]、本部長代行になった時には宇宙艦隊司令長官であるビュコックから、(統治原則に反するが)自分が統合作戦本部長を兼任した方がマシだったと皮肉られる[57]。また、救国軍事会議のクーデターの序盤では、ヤンに対する個人的な嫉妬心から彼にそれぞれ離れた場所にある4ヶ所の蜂起の鎮圧を命じ、その主客転倒した現状認識で逆にクーデター勢力の目論見を外して計画を頓挫させられるのではないかとまでヤンに期待される[57]。そのような能力にも関わらず栄達したのは一部政治家とのコネによるとされる(トリューニヒト閥であることが示唆されている)[67][63]。一方で、秘密保持の必要な種の任務には無能ではなかったと評され、銀河帝国正統政府の面々の亡命の受け入れなどでは手腕を発揮している[68]
作中への登場は統合作戦本部長のクブルスリーがフォークの凶弾で療養を余儀なくされ、本部長代行に就任した時から[57]。事実上の制服軍人のトップとなるが、救国軍事会議のクーデターには何も対処できず容易く拘禁される。クーデター終結後、しばらくしてクブルスリーの引退に伴い正式に本部長となるが[61]、間もなく「神々の黄昏」作戦が開始される。フェザーンが帝国軍に占領された後の同盟の存亡に関わる非常事態にも狼狽するばかりで、しまいには日常業務を優先して現実逃避する(結果としてビュコックとチェンが同盟軍全体の指揮を執る)[62][63]。最終的には帝国軍によるハイネセン占領に伴い軍事の最高責任者として拘束される[69]。以後の消息は不明。
ロックウェル (Rockwell)
声 - 江原正士
後方勤務本部長。大将。後に統合作戦本部長(バーラトの和約後)。
トリューニヒト派の軍人として知られる人物[70]。軍人としてよりも、政治的思惑や自己保身で行動することが多く、作中では一貫してヤンの足を引っ張る。最期は自己保身からの言動が災いし、帝国に処断される。
ヤンに対する査問会で登場し、トリューニヒト派の軍人としてヤンを糾弾する(また、彼が後方勤務本部長にいることがトリューニヒトの軍への強い浸透をヤンに悟らせる)[70]。バーラトの和約でドーソンが帝国に拘束されると、後任の統合作戦本部長に就任する(階級は大将のまま)[47]。そしてレンネンカンプやレベロの意を受けてヤンの拘束や奪還阻止の作戦の指揮を取る[26]。その後、大親征において、マル・アデッタ星域会戦で同盟軍が敗北し、帝国による首都占領が間近となると、保身のためにレベロを殺害する(ただし、これはまったく無意味な行為だとレベロにも指摘される)[71]。ラインハルトの引見の際にレベロ殺害を以て助命を乞うが無意味な主殺しを侮蔑され、思惑が外れたことから咄嗟にラインハルトの傍らにいたファーレンハイトを「自分と同じ」転向者として弁明してしまう。これが決定的となり、ラインハルトより任されたファーレンハイトに「処断」される[71]

艦隊司令官

肩書は特に断りがなければ登場時のもの。物語開始時点では第12艦隊まであり、パエッタ、パストーレ、ムーアはアスターテ会戦、それ以外は同盟による帝国領侵攻作戦時である。第13艦隊はアスターテ会戦後に新設、第14、15艦隊は「神々の黄昏」作戦の発生に応じる形で新設される。

クブルスリー (Kubersly)
第1艦隊司令官。中将。後に統合作戦本部長(シトレの後任)、大将。
#軍首脳部
パエッタ (Paetta)
声 - 徳丸完 / ふくまつ進紗(Die Neue These)
第2艦隊司令官。中将。ヤンの上官(本編開始時)。後に第1艦隊司令官(クブルスリーの後任)。乗艦はパトロクロス。
いかめしい顔つきの中年の軍人[1]。同盟軍の将軍の中でも歴戦の勇将だが、自分の見解に固執し、幕僚の意見を聞こうとしない悪癖を持つ[43]。また、ヤンに対してはその経歴を評価しつつも、およそ軍人らしくない態度かつ20代で将官の地位にあることに悪感情を抱く[1]。ただし、アスターテの会戦で負傷した際には「用兵家としての君の手腕を(見せてくれ)」と言って即座に指揮権を譲渡しており、また、「神々の黄昏」作戦の事前会議でも内心でヤンに期待を掛けていた。
本編最初の戦闘であるアスターテ会戦において第二艦隊を率いてラインハルト率いる帝国軍を討つべく行動を起こす。ダゴンの殲滅戦の故事に倣った第4、6艦隊との大包囲作戦で勝利を確信してところを幕僚のヤンからラインハルトが各個撃破策を取って同盟軍が追い込まれる可能性を具申されるが、これを上記の悪癖やヤンへの悪感情から却下してしまう[1]。その後も、ことごとくヤンの進言を無視して時間を浪費し、第4、6艦隊は壊滅させられ、最後に自分たちが数で勝る帝国軍に急襲される。そして旗艦パトロクロスの被弾によって肋骨が肺に刺さる重傷を負い、事後をヤンに託す(その後、予め事態を想定したヤンによって第二艦隊は半減するも救われる)[72]
その後、第2艦隊は解体されて第13艦隊に編成され、パエッタ自身はアスターテ会戦での負傷によって帝国領侵攻作戦には参加しなかった。同戦役後に統合作戦本部長に就任したクブルスリーの後任として第1艦隊司令に着任する。その後、ラグナロック作戦では第1艦隊司令として事前の作戦会議に登場し[62]、ビュコック指揮下でランテマリオ星域会戦に臨む(注:原作中では第一艦隊を中核とする部隊をビュコックが直接指揮したとあるのみで、そこに具体的にパエッタが参加していたという明示的な記述はない。OVA版では参加を確認できる[73][63]。戦後の去就は特に記述されず不明であるが、物語終盤のオーベルシュタインの草刈りによってラグプール刑務所に収監され[18]、その後、起こった同刑務所の暴動によって命を落とす[19]
劇場版第2作『新たなる戦いの序曲』ではトリューニヒト派の軍人とされ、箔を付けるために、勝てるはずのアスターテ会戦の指揮官に選ばれたことになっている。
ルフェーブル (Lefebres)
声 - 今西正男
第3艦隊司令官。中将。座乗艦はク・ホリン(OVA版)。
帝国領侵攻作戦に参加し、作中ではアムリッツァ星域会戦前にワーレン艦隊の猛攻を受けたとあるのみで詳細は不明である(アムリッツァ星域会戦前には参加しておらず、戦死または捕虜となったことが暗示されている)[38]
OVA版ではアムリッツァ星域会戦の前哨戦の一つであるレーシング星域の戦いにおいてワーレン艦隊と交戦し、被弾した護衛艦と盾にしていた小惑星の間に座乗艦が挟まれて沈没、戦死する。
パストーレ (Pastolle)
声 - 佐藤正治 / 石井康嗣(新) / 目黒光祐(Die Neue These)
第4艦隊司令官。中将。座乗艦はレオニダス。
パエッタから「百戦錬磨」と評される将官[72]。物語開始冒頭のアスターテ会戦において、第2、6艦隊と共同でラインハルト率いる帝国軍を包囲殲滅しようとしたが、他の艦隊より最も艦艇数が少なかったこともあって、ラインハルトの各個撃破策の最初の標的となる。交戦状態になってもラインハルトの策を読めず「敵の司令官は用兵を知らぬ」と軽んじた発言を行い、大した抵抗もできず、ファーレンハイト艦隊の攻撃によってまたたく間に壊滅させられ戦死する[72]。反応の遅さから、ラインハルトには無能者と呼ばれる[72]
劇場版第2作『新たなる戦いの序曲』ではトリューニヒト派の軍人とされ、箔を付けるために、勝てるはずのアスターテ会戦の指揮官に選ばれたことになっている。
アレクサンドル・ビュコック
第5艦隊司令官。中将。後に宇宙艦隊司令長官(ロボスの後任)、大将のち元帥。
ムーア (Moore)
声 - 平野正人 / 櫻井トオル(Die Neue These)
第6艦隊司令官。中将。ラップの上官。座乗艦はペルガモン。
良く言えば軍人としての気骨のある猛将。物語開始冒頭のアスターテ会戦において、第2、4艦隊と共同でラインハルト率いる帝国軍を包囲殲滅しようとしたが、ラインハルトの各個撃破策によって第4艦隊の交戦を報を聞くとパエッタと同様に救援に向かい、第4艦隊を壊滅させた帝国軍からは次の標的として狙われる[72]。幕僚には第2艦隊のヤンと同様に敵の意図を見抜き、適切な献策をしたラップがいたものの、これを無視する。さらには敵の急襲に対してラップの反対を無視して敵前回頭するという愚行を冒し、すぐに壊滅状態に陥る。敵の降伏勧告を「無能であっても卑怯者にはなれん」と言って拒絶し、ラップら部下を巻き込んで玉砕する[72]
劇場版第2作『新たなる戦いの序曲』ではトリューニヒト派の軍人とされ、箔を付けるために、勝てるはずのアスターテ会戦の指揮官に選ばれたことになっている。
藤崎版ではより悪辣な人物として描写されており、ラップの進言をことごとく拒絶して暴力まで振るい、最期は自らの死を認識する間もなく座乗艦を攻撃され死亡する。
ホーウッド (Hawood)
声 - 小川真司 / 藤井隼(Die Neue These)
第7艦隊司令官。中将。座乗艦はケツアルコアトル(OVA版)。
帝国領侵攻作戦に参加し、作中では帝国の焦土作戦で物資が欠乏したがために占領地で民衆暴動が発生したことや、キルヒアイスが「すでに第7艦隊を敗走させていた」とあるのみで詳細は不明[38]
OVA版では原作でのわずかな記述が掘り下げられる形となっており、物資が欠乏した占領地域の治安維持に頭を悩まさせられ、配下のヴァーリモントに食糧問題を解決するよう命令する。その後、ドヴェルグ星域でキルヒアイス艦隊と遭遇し、降伏する。
『Die Neue These』では原作通りキルヒアイス艦隊と交戦して追い込まれるが、これ以上戦う必要はないと放置される。しかし、無謀なアムリッツァへの集結を行う第13艦隊を助けるためにこれを追撃するキルヒアイス艦隊を追いかけ、再度交戦、ヤンに事後を託す。
アップルトン (Appleton)
声 - 石森達幸 / 宝亀克寿(Die Neue These)
第8艦隊司令官。中将。
帝国領侵攻作戦に参加し、作中ではもっぱら第8艦隊として名前が出るのみでその動向や人物像の詳細は不明。アムリッツァ星域会戦の前哨戦においてはメックリンガー艦隊の猛攻を受けたとあるが[38]、逃げ切ったようで、続くアムリッツァ星域会戦に参戦する[59]。第13艦隊(ヤン艦隊)と隣接した宙域に陣形を敷くが、その間を強引にビッテンフェルト艦隊に突入され、その猛々しい猛攻により壊滅する(そこでビッテンフェルトは勝利を確信してヤン艦隊も壊滅させようと勝ち急いだために、ヤンの逆襲を受け、同会戦の帝国側の唯一の敗北者になる)[59]。最終的にアップルトン自身は戦死したのか投降したのかは不明。
OVA版では明白にアムリッツァ星域会戦に参加しており、ビッテンフェルト艦隊の攻撃によって旗艦クリシュナが損壊、恒星アムリッツァに墜落していく中で脱出を拒み、艦と運命を共にする。
アル・サレム (Al Salem)
声 - 北川米彦 / 酒井敬幸(Die Neue These)
第9艦隊司令官。中将。
帝国領侵攻作戦に参加し、作中ではアムリッツァ星域会戦前にミッターマイヤー艦隊の猛攻を受ける。この時、追撃するミッターマイヤー艦隊が俊敏すぎて標的の第9艦隊を追い抜いてしまい、「疾風ウォルフ」の異名を取るようになったというエピソードがある。そのような混戦の中で、肋骨を折る重傷を負い、副司令官のモートンに指揮権を委譲したところで登場を終え、その後の去就は不明である(第9艦隊自体は、その後のモートンの活躍で全滅を免れている)[38]
OVA版ではロボスがアムリッツァへの集結命令を出した時点では生存が確認できるが、その後は登場せず、DVDパッケージ裏の解説では戦死したことになっている。道原版ではヤンの台詞で、アムリッツァ星域に撤退する前に戦死したとある。
ウランフ (Uranff)
声 - 大林隆之介 / 桜井敏治(Die Neue These)
第10艦隊司令官。中将。アッテンボローの元上官。
色黒で筋骨逞しく両眼は鋭い壮年の軍人[55]。古代地球世界の半ばを征服した騎馬民族の血を引く勇将であり、用兵家・戦術家としても一流、同盟軍の諸提督のなかでも市民からの人気も高い[55]。ヤンやビュコックからも高く評価・信頼される[38][74]。ヤンはボロディンと共にその死を惜しみ、せめてどちらかでも生きていれば、ラインハルトとの戦いも楽になっただろうと評する[59][75]
作中での登場は帝国領侵攻作戦の事前会議の場から[55]。フォークの作戦説明に対して諸提督として率先して極めて常識的な疑問を呈し、「高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する」の迷言を引き出させる。その後の侵攻作戦ではラインハルトの焦土作戦に対して同盟軍全体が危機に陥る中、ヤンから撤退案をまず初めに打診され、その妥当性を認めて賛同する[38]。その後、アムリッツァ会戦の前哨戦においてビッテンフェルト艦隊の急襲を受け、数や士気に勝る相手に対し勇戦する。包囲されても艦隊統制を失わず、敵陣突破での脱出策を講じて多くの自軍を逃すことに成功するも、ウランフ自身は戦死を遂げる[38]。残存兵力はヤン艦隊と合流し、アムリッツァ会戦に臨むこととなる[59]
外伝では『星を砕く者』に登場する。第三次ティアマト会戦においてビュコックと共に、自己能力を過信するホーランドの対処に困り、彼の戦死後の戦場の混乱を収める[76]。第4次ティアマト会戦にも登場し、ミュッケンベルガー率いる帝国軍本隊を強襲して戦果を挙げるも、ラインハルトの救援によって退けられる[60]
各派生作品では、後に登場したアッテンボローがウランフ指揮下にあったという設定、また外伝2巻『ユリアンのイゼルローン日記』において全滅を防いで残存兵力を率いたと明かされたことから[77]、ウランフの最期のシーンにおいて信頼するアッテンボローに事後を託す描写が多い[注釈 3]
ルグランジュ
第11艦隊司令官。中将。救国軍事会議のメンバー。
#救国軍事会議
ウィレム・ホーランド
声 - 堀川仁(千)
第11艦隊司令官。中将。本編開始時点では故人。外伝『星を砕く者』『千億の星、千億の光』の登場人物。座乗艦はエピメテウス(OVA版)。
ロボス派の有力軍人[58]。容姿も雰囲気も鋭く引きしまっており、32歳で艦隊司令、中将となる異例の出世を遂げ、将来を嘱望されている少壮の指揮官[76][37]。自らを同盟の歴史上の英雄アッシュビーに擬え、その用兵には多大な自信を持つ。その兵法の常道を無視した艦隊運用は敵からも見事と賞され、一定の戦果を挙げる一方で、ラインハルトやビュコック、ウランフといった物語における一流の用兵家からは欠点を手厳しく批判され、最終的には戦死している[76]
時系列上の初登場は第6次イゼルローン攻防戦で、当時はロボス配下の分艦隊司令、少将。この時、総司令のロボスに作戦具申を行い、これが彼が目をかけている少壮の参謀フォークと同じものであったため採用される(これはロボスがホーランドの作戦能力を疑問視していたということではなく、分艦隊司令と参謀という役割分担を正しく見極めていたことによる)[37]。要塞の攻略という目標は達成できなかったものの、戦闘での働きを評価され、間もなくして第11艦隊司令に任命される[76]
第3次ティアマト会戦ではビュコックやウランフといった歴戦の用兵家と出撃するが彼らを軽んじ、協調を無視した独断行動で用兵の常識や理屈を無視した艦隊運用を行う。これは結果としてミュッケンベルガー率いる帝国軍を混乱せしめるが、冷静に欠点を見抜いていたラインハルトには通用せず、限界点に達したところをわずか1回の主砲斉射三連で旗艦を撃たれ戦死、続く第2射で艦隊も混乱に陥り壊滅させられる[76]。その死はロボスを非常に後悔させ、それが遠因でグランド・カナル事件と呼ばれる戦闘事故を引き起こしている[58]
ボロディン (Borodin)
声 - 池田勝 / 木村雅史(Die Neue These)
第12艦隊司令官。中将。
部下からの信頼厚く充分に円熟した用兵家と称される勇将[60][36]。作中での登場・活躍はほとんどないが、ヤンがウランフと共にその死を惜しむほどの指揮官であり、有望な人材を多く抱えるローエングラム陣営に対して、せめて、最低でもウランフと共に生きていれば互角の戦いが望めたとまで言わしめる[59][75]。同様にビュコックからの評価も高く、ウランフに次いで信頼できると評される[74]
本編においては直接登場したのはアムリッツァ会戦の前哨戦のみであり、そこでルッツ艦隊に急襲され、わずか8隻になるまで抵抗したが、最期はブラスターで頭部を撃ち抜き自殺する[38]。もっぱらその名は上記の通り、ヤンの述懐などで登場するのみである。外伝では『星を砕く者』『千億の星、千億の光』に端役なら登場しており、ヴァンフリート4=2の戦い[74][36]や、第4次ティアマト会戦に参加している[60]
ヤン・ウェンリー
第13艦隊司令官。
ライオネル・モートン (Lionel Morton)
声 - 大木正司 / 坂口候一(Die Neue These)
第9艦隊副司令官。少将。後に第14艦隊司令官、中将。
沈着さと忍耐力には定評のある指揮官[75]。年齢は40代半ばで功績からいえば中将になっていてもおかしくないが、士官学校出身ではないことが出世の枷になっていることを示唆されている[75]。初登場はアムリッツァ星域会戦で、この時は第9艦隊副司令を務め、負傷したアル・サレムに代わって艦隊全体の指揮を執ることとなり、その活躍で全滅を防ぐことに成功する[38]。その後、第8次イゼルローン攻略戦において、ハイネセンから要塞に帰還するヤンの指揮下に入り活躍する[75]
ランテマリオ星域会戦に先立ち、新設の第14艦隊司令官に任じられ中将に昇進し、ビュコックらと共に迎撃にあたる[62]。第5陣ワーレン艦隊に善戦するが戦力差は覆せず、苦戦したところをヤン艦隊に救われ合流する。続くバーミリオン星域会戦に、ヤン指揮下で臨むが、途中より参陣したミュラー艦隊の猛攻を真っ先に受け戦死する[40]
ラルフ・カールセン (Ralph Carlsen)
声 - 新井量大
第15艦隊司令官。中将。
豪胆で鳴らす偉丈夫[62]。ランテマリオ星域会戦に先立ち、新設の第15艦隊司令官に任じられ中将に昇進する[62]。ラグナロック作戦において、新参の中ではモートンと共にヤンが信頼できた艦隊指揮官の一人で、ランテマリオ会戦でも勇戦し、その後ヤンの指揮下で戦う。戦後は、キャゼルヌやフィッシャーと同じく「動くシャーウッドの森」には参加せず、そのまま降伏して自宅待機の身となる[11]
その後、ビュコック指揮下でマル・アデッタ星域会戦に参加し、寡兵ながらミュラーやファーレンハイトを相手に勇戦し、両者を焦らせる活躍をする。しかし、最期は新たに投入されたビッテンフェルト艦隊によって同盟軍全体が崩れる中で戦死する[65]

司令官(将官)・兵士

ジャン・ロベール・ラップ (Jean Robert Lapp)
声 - 田中秀幸 / 小野友樹(Die Neue These)
ヤンの親友。ジェシカの婚約者。第6艦隊参謀。少佐。
ヤンの士官学校時代の同期かつ親友。自然な指導力と下の者から信頼感を寄せられる人望を持ち、ヤンから自分よりも将器があると評される有能な人物[78][54]。アッテンボローからもヤンよりも早く出世すると見込まれるほどであったが病気療養で出世が遅れた経緯がある[19]。物語開始直後のアスターテ会戦において、ヤンと同じく同盟軍の危機を察知し、上官のムーアに意見具申を行うも却下されてしまう。結局、時間を無駄に浪費する内に、ラインハルト率いる帝国軍の急襲を受け、ムーアと共に戦死する[72]。この死によってジェシカは反戦運動に身を投じることとなる[3][78]
外伝ではその経歴がもう少し詳しく明かされており、士官学校時代はヤンと戦史研究科廃止反対運動を行った仲だった[66]。レグニツァの戦い及び第4次ティアマト会戦にはヤンと同じ第2艦隊所属で参戦していた[43]
藤崎版ではより理不尽な目に遭うように描写されており、アスターテ会戦でムーアから暴行を受け、重傷のまま営倉送りとなってもなお、意見具申しようとし、そこで帝国軍の急襲を受け戦死している。
『Die Neue These』では士官学校時代やジェシカとの関係が掘り下げられており、ジェシカとは幼馴染で、一度プロポーズするが断られてしまう。その後、アスターテ星域会戦の少し前にヤンに正式に婚約することが決まったと報告する。後の流れは原作通りとなる。
アンドリュー・フォーク (Andlew Fork)
声 - 古谷徹 / 神谷浩史(Die Neue These)
准将。帝国領侵攻作戦におけるロボスの幕僚で作戦参謀。
士官学校の主席卒業者という青年将校。26歳という若さだが老けて見え、眉目は悪くないものの血色が悪く陰気さを持つ[55]。軍首脳のロボスに高く評価され、若くして准将の地位にいる秀才であるものの、出世欲と自尊心が極めて強く、しかし、それに釣り合うだけの軍事の才はない。実際、作中では自身の作戦計画を美辞麗句で自賛し、反論にはもっぱら弁舌で封じ込めようとする[55]。同世代のヤンがイゼルローン要塞占領という大功績を挙げたことに強い対抗心を抱く[55]。物語中では、同盟が滅亡する原因となった帝国領侵攻作戦と救国軍事会議のクーデターにどちらも決定的な役割を果たしたこと、さらに物語終盤では地球教に操られていたとは言え、ヤン暗殺にも大きく貢献するなど、終始、同盟勢力側に回復し得ない大きな損害を与え続ける。
上記のヤンへの対抗心や出世欲という動機から、帝国領への大規模侵攻作戦を立案し、サンフォードの秘書やロボスといった私的ルートで、その無謀で無意味な作戦を実施に向かわせる。自身は同作戦の参謀役として指導部に入り込むと、侵攻前の作戦会議では戦争計画としては非常に曖昧で空疎な内容を提示する[55]。これを実際に前線で戦うことになる艦隊司令達から批判されると「高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処することになる」と言いのけ、ビュコックからは「要するに行き当たりばったり」と痛烈に皮肉られる[55]。また、実際に侵攻作戦が開始されると無気力なロボスへの取次役として実権を握る。戦役の中盤、補給問題で同盟軍が危機的状況にある最中、ロボス宛てのビュコックの通信に相変わらず取次役として登場する。撤退要求に対し、自らは安全な後方にいるのに、自分なら撤退はしないと勇ましいことを言って要求を拒絶したため、激怒したビュコックに激しく譴責されて「転換性ヒステリー症による神経性盲目」を発症して倒れ、入院加療・予備役編入となる[38]
戦後、元凶でありながら入院したために特に敗戦の責任を取らずに済む。その後、統合作戦本部長となったクブルスリーに復帰を直訴し、これを拒絶されると忍ばせていた拳銃で彼を撃ち、重傷を負わせ拘束される[57]。軍令のトップであるクブルスリーの負傷は続く救国軍事会議のクーデターを大きく利する(フォーク自身がどこまで救国軍事会議に関与していたかは明示されておらず、あくまでひとりで考えて実行したと考える様に、クーデター勢力に深層暗示にかけられたとある)[57]
その後は、精神病院に拘禁され、同盟滅亡と前後して発生した病院火災で死亡したものと思われていた。しかし、実は地球教に攫われており、ヤン暗殺の手駒として使われる。地球教に吹き込まれ、自らこそ民主共和国政治の真の救い手と信じ込んでヤンを自ら暗殺しようとしたが[79]、実は帝国軍に扮した本当の暗殺部隊をヤンらに信じ込ませる単なる囮であり、乗っていた武装商船ごと吹き飛ばされ死亡する[23]。そして地球教の狙い通り、ヤン側の警戒が緩み、ヤン暗殺が成功してしまう。
外伝では第6次イゼルローン攻防戦に採用された作戦の立案者として名前のみ登場している(当時は中佐)。また、この時にすでにロボスから目をかけられていた[5]
OVA版で声を担当した古谷は「今まで声を演じた中で一番嫌いなキャラクター」の質問にフォークを挙げ、「思い入れが全くない」と発言している[80]
マリネスク
少将。シトレの主席副官。帝国領侵攻作戦についての会議に出席した。
ウィッティ
声 - 風早祐介
大佐。クブルスリーの副官。フォークのクブルスリー射殺未遂事件に遭遇した際には医者の手配を指令するとともに、とっさの出来事に何も行動できなかった衛兵達を叱責した。
ヤマムラ(Yamamura)
軍医少佐。帝国領侵攻の際にはイゼルローンに所属し、ビュコックの糾弾によるアンドリュー・フォークの転換性ヒステリーの病状をビュコックに説明した後、「完治させるためにはフォークの作戦を完遂して彼を満足させる必要がある」と発言し、暗にフォークの更迭をビュコックに使嗾している。OVAには登場せず、フォークの病状についてはドワイト・グリーンヒルが説明している。また、小説では「壮年の男」となっているが、道原かつみの漫画版では中年女性として描かれており、台詞も単にフォークの病状を説明するのみとなっている。
クレメンテ
大尉。アムリッツァ星域会戦の際、ビュコックの副官。OVA版ではファイフェルに変更された。
コナリー
声 - 笹岡繁蔵 / 西凜太朗(Die Neue These)
少将。第12艦隊副司令官。ボロディンの自決後に艦隊の指揮を引き継ぎ、ルッツ艦隊に降伏した。石黒監督版OVAではボルソルン星系にてルッツ艦隊と交戦した際、艦隊が旗艦ペルーン以下護衛艦8隻まで討ち減らされたことを報告している。その後の消息は不明。
チェン
声 - 小関一 / 桐本拓哉(Die Neue These)
少将。第10艦隊参謀長。惑星リューゲン軌道上にてビッテンフェルト艦隊と交戦した際、艦隊に約4割の被害が出たうえ、残りの半数も戦闘不能となったことを報告する。撤退命令が下された後もウランフと共に殿となって奮戦したが、共に戦死した。
中国語版では「陳参謀長」「陳少将」という字が当てられている。
ナン
声 - 石野流三(新)
技術少佐。アスターテ会戦時第4艦隊レオニダスの通信長(劇場版では少佐、第4艦隊の通信士)。第4艦隊に敵艦隊が襲来した時、パストーレの命令で第2、第6艦隊に応援要請を出すように命令されたが、帝国軍の放った妨害電波により、絶望の動作と表情でそれに応じている。その後、艦橋への被弾により戦死している。
ファイフェル (Pfeiffel)
声 - 梅津秀行
少佐。ビュコックの高級副官を長年にわたって務めた人物で、与えられた指示を着実にこなすタイプの部下。上官に対して非常に忠実で、第3次ティアマト会戦直前のホーランド中将の発言に対して激発しそうになったこともある。だが、ジェシカ・エドワーズの演説を聞いた時かウォルター・アイランズとビュコックが面会した後に軍人視点での発言を行い、ビュコックにたしなめられる場面も見られる。後に中佐に昇進し、帝国の「神々の黄昏」作戦への対応準備のため、徹夜続きの激務に追われるが、同盟艦隊がバーラト星系から出発する前日には連日の徹夜がたたり、心臓発作を起こして入院。職務はスーン・スールに引き継がれた。その後の消息は不明。なお、小説ではビュコックが大将の時には少佐だったが、ビュコックが元帥になった後は少将と記述されていた(創元文庫版では少佐に修正)。
サンドル・アラルコン
声 - 大友龍三郎
少将。査問会から解放されたヤンがイゼルローン要塞に戻る時に同行した独立艦隊の1つの司令官。指揮官としてはまずまず有能ではあったが、軍国主義的志向が強く、民間人や捕虜を殺害した嫌疑が何度もかけられており、ヤンには密かに忌避されている。ガイエスブルク要塞戦が終結した後、グエン・バン・ヒューと競う形で帝国軍の敗残部隊を追撃し、ミッターマイヤーとロイエンタールの待ち伏せにあって全滅してしまう。アニメ版では、ケンプとミュラーの艦隊を挟み撃ちにして撤退させたヤンに追撃を申し入れた。別の思惑があるヤンに却下されると、ヤンの指揮能力と性格に疑問を呈している。なお、狂信的軍国主義者であるのにもかかわらず救国軍事会議に参加しなかったのは、幹部の1人であるエベンス大佐と個人的に不仲だったからであり、思想的にはより過激でさえあったとされる。座乗艦はマルドゥーク(石黒監督版OVA)。
マリネッティ
声 - 岡和男
准将。査問会から解放されたヤンがイゼルローンに戻る時に同行した独立艦隊のひとつの司令官。OVA版では、第一次ランテマリオ星域会戦に参戦。ミッターマイヤー艦隊を相手に、その渾名を畏れたあまり我武者羅な攻撃を行い、ミッターマイヤーに不意打ちを食らわせる。ビュコックの指示により後退するが、帝国軍に付け入られる隙を作ってしまった。その後、マル・アデッタ星域会戦にも少将として参戦している。マル・アデッタ以降の所在についての描写は無く不明。座乗艦はロスタム(石黒監督版OVA)。
ザーニアル
声 - 菅原正志
准将。査問会から解放されたヤンがイゼルローンに戻る時に同行した独立艦隊のひとつの司令官。OVA版では、第一次ランテマリオ星域会戦に参戦し、マリネッティ艦隊と共にミッターマイヤー艦隊に猛攻を加える。その後、マル・アデッタ星域会戦にも少将として参戦している。マル・アデッタ以降の所在についての描写は無く不明。作中での台詞は「撃て、撃て」のみで、マリネッティよりさらに台詞が少ない。座乗艦はベレノス(石黒監督版OVA)。
シムズ
声 - 古田信幸
軍曹。ヤンが査問会に召集された際、彼の世話と護衛(事実上の監視)を担当した。常に無表情で、ヤンの質問に答える時も淡々と受け流していた。この態度に怒ったヤンは扉越しに軍帽を投げつけ、辞表まで書いている。OVA版では黒人の巨漢であり、表情は無表情を貫いている。また、小説ではヤンに対する威圧を含めて可憐さというものを徹底的に排除した結果、彼が選ばれたのではとヤンが邪推している。
バウンスゴール (Baunsgoal)
声 - 山賀教弘
技術中将。大親征の際、惑星ルジアーナで建造していた艦艇を脱出させ、自身は時間稼ぎのために帝国軍と戦い、戦死。彼が脱出させた艦艇の約半数は、逃走に成功した。小説ではくだりが数行書かれただけだが、OVA版ではセリフが入るなど、扱いが増えていた。
ビューフォート (Beaufort)
准将。マル・アデッタ会戦に先立ち、先鋒の「黒色槍騎兵」艦隊の後方にゲリラ戦を仕掛け、一時的に同艦隊の補給を断つ程の戦果を挙るも、その本拠地を黒色槍騎兵に叩かれ、部隊は四散する。ビューフォートは身一つで脱出し、ビッテンフェルトを悔しがらさせたという。この時、彼の部下が捕虜になり、尋問によって帝国軍に「メルカッツ生存」の情報が入った。
エマーソン (Emerson)
声 - 檀臣幸
中佐。自由惑星同盟軍の宇宙艦隊総旗艦となったリオ・グランデの艦長。同盟軍最後の戦いとなったマル・アデッタ会戦で最後まで殿を勤め、ビュコック、チュンらと共に乾杯しながら、撃破された艦と運命を共にした。
リバモア
中将。同盟軍人事部長。駐在武官としてフェザーンに赴くユリアンに辞令を渡した。若くして駐在武官に抜擢されたユリアンをトリューニヒトのお気に入りと勘違いし、無用のトラブルを避けるためか必要以外のことは一切発しなかった。
オスマン
中将。チュン・ウー・チェンの前任の宇宙艦隊総参謀長。帝国の「神々の黄昏」作戦への対応準備中に、過労のために脳出血を起こして意識不明の重体となる。そのまま更迭されるが、その後は不明。
オーブリー・コクラン (Aubley Cochrane)
声 - 麦人
大佐。「神々の黄昏」作戦時のリューカス星域同盟軍補給基地司令官。バーミリオン会戦において、帝国軍のミュラー艦隊が同基地を占拠しに来た際、民用物資であることを理由に一部の部下の(実力行使を伴う)反対をおしのけ、帝国軍に一戦もせず降伏した。ミュラーはここで一戦しなかったため、バーミリオン会戦において真っ先にラインハルトの救援に駆けつけることが出来た。彼なりの信念に基づく行動であったが、結果としてコクランの判断がヤンがラインハルトを倒すきっかけを失わせることとなった。なお、ミュラーは降伏のいきさつを知り、配下にしようとしたがコクランは断り、部下とハイネセンへ帰還の許可を申し出ていた。その後、旧部下の告発により、利敵行為をなしたとして僻地の未決囚収容所に収監されるも、その後の自由惑星同盟の混乱の中で放置されてしまった。2年後になって餓死寸前の状態でミュラーに救出され、部下となる。
ブレツェリ
大佐。シュパーラ星系の通信基地JL77の基地司令官代行。
この通信基地は機能的集約化の拠点であり、ランテマリオの星域会戦直前に帝国軍の情報を集め伝達を続けたため、脱出不可能であった。JL77の戦闘要員はわずか2,000名で防備も貧弱、戦闘用艦艇さえない状況であり、多大な貢献をしたこの基地に対し統合作戦本部もただ見捨てるわけにもいかず、50,000名の戦闘要員と300隻の戦闘用艦艇を派遣する連絡をした。それに対し、ブレツェリは「せっかくですが」と断った。
これは、下手に増援されれば帝国軍は黙って通過してはくれないだろう、それならいっそこのままやり過ごした方がいいという策(本人も自信はなかった)であった。ブレツェリの読み通り帝国軍のミッターマイヤー提督はJL77が何かする気なら一撃で殲滅するつもりだったが、自分からわざわざ無力な弱敵に手は出さず、基地と人員は助かった。その後の消息は不明。
道原かつみの漫画版ではあごひげを生やした小太りの中年。表情は冷静だが、心中で通信兵の愚痴に「下の者は愚痴をこぼせてうらやましい」とか、ハイネセンからの派兵を「焼け石に雀の涙」などとぼやく、中間管理職じみたキャラクターと描かれている。
マスカーニ (Mascagni)
声 - 立木文彦
少将。宇宙暦799年 / 新帝国暦1年7月16日のレサヴィク星域において、バーラトの和約に基づいて1,820隻の戦艦及び宇宙母艦の爆破処分作業を行っていた工作部隊の指揮官で、旗艦はOVA版では工作艦「RK-387」。戦争が終わったことから緊張感が欠落しており、敵味方識別装置の反応と作業の応援に来たという通信を鵜呑みにしてメルカッツ率いる「動くシャーウッドの森」艦隊の接近を許してしまい、その正体に気付いた時には旗艦を包囲されて自身や部下達は手も足も出なくなった。
義勇兵集団を名乗る動くシャーウッドの森艦隊によって処分予定の艦艇の内、戦艦464隻と宇宙母艦80隻を強奪された揚句、義勇兵集団から参加を呼びかける通信を受けて、指揮下の部隊からハムディ・アシュール少佐を始めとする4,000人もの「お調子者」が義勇兵集団に参加合流してしまう。
ハイネセン帰還後に査問会にかけられた時、目の前に現れた強盗集団(動くシャーウッドの森)の総数を500隻と証言する(実際は60隻)。OVAでは艦船の数についてはそれ以上触れられなかったが、小説ではマスカーニの部下の中に数千隻と証言する者もいたため、500隻が最も妥当な数であると判断された。
コーネフ (Konev)
中将。帝国領侵攻作戦の作戦主任参謀。
ビロライネン (Birolinen)
少将。帝国領侵攻作戦の情報主任参謀。
グレドウィン・スコット
声 - 永野善一(Die Neue These)
帝国領侵攻時に新たに占領した各星系へ物資を輸送する任を受けた輸送艦隊の司令官。輸送船100隻、護衛艦26隻を率いてイゼルローンから辺境星系へ赴いた。しかし、自分に課せられた任務に遠征軍の命運がかかっている事を全く理解しておらず、航路が同盟の支配領域にあるからと周囲を全く警戒せずに艦橋で趣味の三次元チェスに興じる有様であった。その結果、ラインハルトの戦略により、艦隊はキルヒアイス艦隊の奇襲によって完膚無きまでに撃破され、自身も戦死した。彼の輸送艦隊が壊滅したことで前線には物資が行き届かなくなり、侵攻作戦は脆くも瓦解してしまう。さらにその輸送物資も同盟各星系から強引に抽出したものであり、同盟全体の衰亡にもつながっている。
ニコルスキー
声 - 川津泰彦(Die Neue These)
中佐。グレドウィン・スコット輸送艦隊参謀。上官よりは真面目な性格であり、帝国軍の襲撃を受けたことをスコットに報告した際には、状況を理解できないスコットをたしなめている。しかし、緊張感が欠落しきったスコットは依然として状況を理解できず、ニコルスキーは更に口を開くも、その瞬間に艦は撃沈され無能な上官と運命を共にする羽目になった。
ジャワフ (Jawaf)
声 - 仲野裕
大佐。OVAでは30~40代くらいの、体格のがっしりした黒人として描かれている。
ジョアン・レベロがヤンを逮捕させたのち、統合作戦本部長ロックウェル大将よりシェーンコップおよびアッテンボロー両退役中将の身柄を拘束するように密命を受け、特命隊の指揮官として2個中隊の武装陸戦隊を率いていた。しかしライナー・ブルームハルト中佐(連隊長代理)率いるローゼンリッター連隊の奇襲を受けて任務に失敗し、彼も軽傷を負った。ロックウェルに任務の報告をした際には失敗したと知るや否や責任逃れを始めるロックウェルに呆れていた。
ベイ (Baye)
声 - 池田勝
大佐(のち少将)。救国軍事会議のメンバー(実は内通者)で後にトリューニヒトの警護室長。
壮年の士官。救国軍事会議のクーデターに加担していたが[27]、実はトリューニヒトのスパイで、トリューニヒトがクーデター時に脱出できたのも彼の情報によるものだという[9]。この功績によってクーデター後にトリューニヒトの警護室長に出世する(同時に少将)[9]。ヤン査問会では、名目上はヤンの身辺警護の責任者として登場するが、実際は監視を担当しており、彼の軟禁を担当する[70]。フレデリカの抗議などにも担当者として対応し、要領を得ない反応で、実質的にこれを拒絶する。トリューニヒトの腰巾着として、ビュコックからは「いたち」と呼ばれ嫌われる[81]
ヴィオラ
声 - 西尾徳
大佐、フェザーンの同盟高等弁務官事務所主席武官。トリューニヒト派の軍人で、イゼルローン要塞から赴任して来たユリアンとマシュンゴに対し高圧的に振る舞った。病的なまでに肌が白く、肥満している割には肉感に乏しいことから「地上の気球」と称された。帝国軍によってフェザーンが占領された際にはヘンスロー弁務官らを見捨て宇宙船で逃亡したが、帝国軍の臨検に遭い逮捕された。
エドモンド・メッサースミス (Edmond Messersmith)
少佐、有能な士官で、グリーンヒル大将の部下だったこともある。グリーンヒル大将は娘フレデリカの結婚相手と考えていた時期もあった。査問会のためにハイネセンにやってきたヤンと引き離されたフレデリカに、ビュコック司令長官との面会の便宜を図った。
アニメでは登場しない代わり、トリューニヒト派に属する士官が親切をよそおってフレデリカとマシュンゴを憂国騎士団が待ち受ける地下駐車場に誘導している。

政治家・官僚・政界関係者

最高評議会

ヨブ・トリューニヒト
最高評議会の国防委員長。後に最高評議会議長(サンフォードの後任)。
ジョアン・レベロ
声 - 家弓家正江川大輔 (Die Neue These)
最高評議会の財務委員長。後に最高評議会議長(バーラトの和約体制下)。
作中に登場する善良な政治家の一人。50歳(バーラトの和約体制下)[26]。政治家として能力的にも道徳的にも水準以上とされる人物だが[61]、その真摯さゆえに、たとえ政治家としては悪辣でも政敵のトリューニヒトのような民心を魅了する技術には欠ける。財務委員長として軍事費の増大に頭を悩まし、ヤンと同様にイゼルローン要塞の占領を以て帝国に対する優勢を維持して防衛に力を入れ、民力休養を訴える[82]。物語中盤、事実上の帝国支配下に入ったバーラトの和約体制下で最高評議会議長となるものの、その責任感から同盟の命脈を保とうとして、帝国の理不尽な要求も受け入れようとし、結果としてヤンと反目する結末となる。また、軍事能力に優れ、同盟市民の人気も高いヤンが独裁を志向して第2のルドルフとなることを終始危惧し続け[81]、途中、ルイに窘められても[61]、最後までヤンの人柄を理解し、信頼することができなかった。
帝国領侵攻作戦の審議において、上記の財政面の懸念からルイと共に出兵に反対する[82]。特に反対派の急先鋒として論陣を張るも、公然と政治家が支持率のために戦争を起こすという姿に絶句する。敗戦後は反対派として識見をたたえられるも、サンフォード以下の全評議会メンバーと共に辞表を提出[56]、在野の政治家となる[81]。この時期はビュコックと友人関係ということもあり、フレデリカに対してヤンの査問会が行われている場所を教えた[81]。その後、「神々の黄昏」作戦を経て同盟敗北によるバーラトの和約が結ばれると、その時点の最高評議会の議員たちから要請され新たな同盟元首として最高評議会議長となる[69]
バーラトの和約体制下では帝国(正確にはレンネンカンプ)の掣肘を受け、少しでも民主共和制の命脈を保つべく責任感で、本来の持ち前であった理念に殉じる心を押し殺すようになる。レンネンカンプからヤンの身柄を要求され、それが不当なものであると理解しつつも悩んだ末に、オリベイラの入れ知恵もあってヤンの謀殺を図る。これは結果としてシェーンコップらヤンの元部下たちの叛乱を招くこととなり、ヤンがレンネンカンプを誘拐してハイネセンを脱出するという、レベロにとって最も最悪なシナリオに至る[26]。その後は、その善良さと責任感の強さによって、レンネンカンプ誘拐の不祥事をヤンに責任転嫁することもせず、再度の帝国の軍事行動を招く。なおヤンを討伐する目的でビュコックを再任用しようとするなどしたことは、当時の軍部のトップであるチュン・ウー・チェンからも鋭く皮肉られるが、それが皮肉だと理解することもできないほどに精神が擦り切れた状態となっていた[64]。最期は、帝国軍がハイネセンに迫る中で身の安全を図ったロックウェルに射殺される(その際には自分の自業自得であることを認めつつ、ロックウェルの思い違いを鋭く指摘する)[71]。結果として同盟元首としてヤンにやったことは悪役そのものであったが、後世にはあくまで平時の人材であり、トリューニヒトの不名誉な逃亡によって、不幸にもその座についたに過ぎないと一定の憂慮がなされたことが記される[26][71]
ホワン・ルイ
声 - 肝付兼太宇垣秀成 (Die Neue These)
最高評議会の人的資源委員長。
レベロの友人で作中に登場する善良な政治家の一人。どちらかといえば堅物であるレベロに対して、飄々として皮肉家めいたところがある。教育や雇用、労働問題、社会保障を担う人的資源委員長として、現状の同盟が軍事に偏重して人材を軍に取られ、社会問題が多発していることを懸念している[82]。実務的な政治家だが見識にも優れており、レベロですらヤンが独裁者になるのではないかと懸念していたことを、冷静に的確に反論して一笑に付す[61]
帝国領侵攻作戦の審議において、上記の人的資源懸念の観点からレベロと共に出兵に反対する[82]。敗戦後は最高評議会メンバーとともに辞表を提出するが、出兵に反対した経歴からトリューニヒト、レベロと共にその識見をたたえられる[56]。以後はヤンに対する査問会には非トリューニヒト派の政治家として呼ばれ参加する[70]など、レベロと共に在野の政治家となっている[61]。バーラトの和約後にレベロ政権が誕生した後も政権には加わっておらず友人としてレベロの相談(レンネンカンプの要求であるヤンを逮捕するかについて)を受け、冷静に否定的な見解を示す[47]。しかし、レベロは策を捨てずにオリベイラと相談して結局、ヤン逮捕に動くなど、レベロと距離を置かれることとなり、最終的には多忙を理由に面会も拒絶されてしまう[64]。物語終盤でオーベルシュタインの草刈りによってラグプール刑務所に収監されるが[18]、その後、起こった同刑務所の暴動には名前がなく、最終的な去就は不明。
道原版では、ルビンスキー(ルビンスカヤ)と共に女性に変更されている。
ロイヤル・サンフォード
声 - 阪脩柴田秀勝(Die Neue These)
最高評議会議長で同盟の国家元首(本編開始時)。
物語開始時点の同盟の国家元首である老政客。同盟の最高権力者ではあるが、政争の渦中から浮上した調整役タイプで万事に先例尊重主義という凡庸な人物。「誰からも選ばれなかった(国家元首)」と嘲弄され、式典でも官僚が用意した原稿を棒読みするなど、とかく精彩を欠き、トリューニヒトが次期指導者として声望を得る一因となっている[55][38]
同盟による帝国領侵攻作戦を決定した元凶の一人であり、そもそもフォークが立案したこの計画自体が、サンフォードの秘書を通して評議会に持ち込まれた経緯がある[55]。その審議の際も、当初は沈黙をしており、佳境に入ったところで侵攻作戦の成功が低迷していた政権の支持率回復になると資料を提示して議案が賛成される決定打を作る[55]。その後、戦役の失敗を受けて退陣する。
コーネリア・ウィンザー
声 - 松島みのり滝沢久美子(Die Neue These)
最高評議会の情報交通委員長。
40代前半で優雅で知的な美しさを持つ魅力的な女性議員[55]。最高評議会の紅一点だが、やがて議長の座に着こうとする野心家であり[38]、性格は苛烈。帝国領侵攻作戦の可否を決める議案に対し、その一週間前に汚職で辞任した前任者から代わった新参だったが、積極的な賛成派として、反対派のレベロやルイを激しく論駁する。特に圧政から帝国臣民を解放することが同盟の大義とし、犠牲の多寡も問題ではなく、反対する市民は利己主義であって迎合する必要はないとまで言い切る。最終的にサンフォードが支持率回復の資料を出したところで、議論を強制的に打ち切って投票に移すことを提案し、侵攻作戦の実施に導かせた元凶の一人[55]
帝国の焦土作戦及び反転攻勢が始まると、破滅的な敗北を理解しつつも、なお現状の政治的立場や後世の評価を恐れる保身で、他の主戦派議員と共に撤兵に反対し、せめて一矢報いるよう軍に要求する。結果として、前線はアムリッツァ星域会戦を行うざるを得なくなり、一矢報いることに成功するものの、更に被害を拡大させることとなる。また、自ら積極的な賛成派であったにも関わらず、内心ではサンフォードに乗せられた、軍は何をしているか、と責任転嫁を図っていた[38]。最終的にサンフォードと共に退陣する。
道原版ではルイが女性となったため、評議会唯一の女性では無くなっている。
ネグロポンティ
声 - 穂積隆信
トリューニヒト政権の国防委員長。ヤン査問委員会の主席。
ヤンと同じくらいの身長だが肉は厚いと描写される中年男性[70]。トリューニヒト派の代表的な政治家で、ヤンが将来自分達の地位を脅かすことを危惧している[9]。第8次イゼルローン攻防戦の前段において、トリューニヒトやフェザーンの思惑に乗せられる形でヤンに対する査問会を主催し、社会的謀殺を図り、彼を長期間拘束する[70]。ところが、イゼルローン攻防戦が始まったためにヤンの拘禁を解かざるを得なくなる。そのため、敵の大規模侵攻の直前に最高指揮官を戦線から遠ざけた政治的責任を問われる[81]。戦役後に辞表を提出し、国営水素エネルギー公社の総裁となる[83]。その後は不明。
OVA版では辞任の経緯が掘り下げられており、当初、査問会はトリューニヒトの意を汲んだ行動として自身の留任を願ったが、トリューニヒトより辞任の代わりの天下りポストを用意され従ったということになっている。
ウォルター・アイランズ
声 - 田中康郎
トリューニヒト政権の国防委員長(ネグロポンティの後任)。
50代半ばの禿頭の政治家[62]。国防委員長の就任直後にフェザーンからリベートを受け取るという汚職に精を出す人物であり[83]、トリューニヒトの子分というだけで取り立てて政治能力もない小物[62]。権力の集中を防ぐためにある議長と委員長の兼任禁止の規定によって、ネグロポンティの後任としてトリューニヒトから国防委員長に任命されたに過ぎず、軍政の実権は相変わらずトリューニヒトが握り、アイランズ自身はトリューニヒトと事務部局および軍部との連絡役に過ぎなかった[62]
「神々の黄昏」作戦でトリューニヒトが雲隠れすると、危機感から民主主義政治家として覚醒し、狼狽する同僚を叱咤して評議会をリードする[62]。軍部の方針にも積極的に協力してビュコックやヤンが、政治的掣肘を受けずに帝国を迎撃する下地を作る[63][28]。戦役終盤、帝国軍がハイネセンに迫る中でも、自らの犠牲を厭わず、ヤンの作戦成功を祈っていたが、突如現れたトリューニヒトに、今までの汚職をネタに全面降伏するよう要求される。それでも自らの過去の悪行を認めた上で拒絶し、逆にトリューニヒトを説得しようとしたが、彼が連れてきた武装した地球教徒に拘束され[11]、結局、バーラトの和約によって同盟は事実上帝国に征服されることとなる。トリューニヒトが和約に署名して議長を辞任した時には半ば廃人となって病床についたとあり、その後は不明[69]。後世には「半世紀の惰眠」より「半年間の覚醒」が記憶されたという[62]

官僚・行政官

ヘンスロー
声 - 増岡弘
フェザーン駐在高等弁務官。
頬肉のたるんだ、太くて短い眉の中年の男[67][注釈 4]。対フェザーン外交の責任者という重職ながら、近年の弁務官職の慣例通り論功行賞人事で同職に就いた程度の能力しかない。名門企業の創業者の息子という出自だが、むしろ、あまりにも能力と人望がなく、経営陣に体よく追い出されたとすら噂される[67]。初登場時は年若いケッセルリンクにいいように振り回され、そもそも既に金銭と美女で飼い慣らされていた[67]。帝国によるフェザーン占領の混乱時にも30歳年下でまだ未成年のユリアンの指示を受ける始末であり、むしろ足手まといとすら思われた[44]
初登場時は、上記の通りケッセルリンクの言葉に右往左往し、フェザーンの思惑通りに容易くヤンの査問会を開かせることとなる[67]。結局、第8次イゼルローン争奪戦後に政治的責任が問われると、ケッセルリンクに猛抗議するが軽くあしらわれる[31]。その後、第4巻で「神々の黄昏」作戦の序盤となる帝国によるフェザーン占領が起こると何もできずに狼狽し、結局、駐在武官として赴任していたとはいえ、まだ未成年であるユリアンの指示で機密情報の破棄など、弁務官職としてやるべき仕事をすることとなる[44]。その後も万事がユリアンの指示で動く形となり、最終的にはマリネスクの輸送船でフェザーン脱出に成功する[62]。その後は不明。
ウィリアム・オーデッツ
声 - 谷口節
国防委員会委員。元TVキャスター。
能弁を持って後世に名を残す野心を抱く少壮の男[13]。立体TVの解説者から政治家に転じたという経歴を持つ。大親征を受け、レベロによって同盟政府特使として帝国軍の下へ派遣される。とはいえ、本人の自信のほどに対して、レベロからは大した期待は抱かれておらず、実際にミッターマイヤーを相手に完全に論駁され、後に彼から「竜頭蛇尾の長舌族(おしゃべり)」と評される[13]。その後、ラインハルトに直訴するため彼の下に向かうが、結局、面会することはできずフェザーンに滞在する羽目となり、そのまま同盟は滅亡する[84]。しかし、そのフェザーン滞在中にロイエンタールに叛意があると噂をバラまいたことが後にラングに利用され、エルフリーデの一件が起こるきっかけとなる[84]
通常なら荒唐無稽なロイエンタールの叛意の噂を流した動機について、原作では推測という形で少しでも同盟の有利となるよう帝国を混乱させたかったのではないかとある[84]。OVA版ではルビンスキーの「用済みのオーデッツは始末する」というセリフがあり、彼が裏で糸を引いていたことが示唆されている。また、OVA版では他にも帝国によるフェザーン占領を伝えるニュースにキャスターとして登場しており、トリューニヒトの責任を問う世論に対して、逆にそのような市民を非難するような発言をしている。

その他の政治家・政府要人

ジェシカ・エドワーズ
声 - 小山茉美 / 木下紗華(Die Neue These)
ヤンと彼の親友であるジャン・ロベール・ラップにとってマドンナ的存在だった女性。もとは学校で音楽の教師をしていた。父親は同盟軍士官学校事務長。
ラップと婚約するものの彼が戦死し、それがきっかけで反戦運動に身を投じる。アスターテ会戦の戦没慰霊祭でトリューニヒト国防委員長を糾弾したのを皮切りに、テルヌーゼンの補欠選挙に立候補し議員となり、反戦政治家の急先鋒として活動する。しかし救国軍事会議のクーデターの際、ハイネセンスタジアムでの平和集会の最中に乱入してきたクリスチアン大佐に、顔面を銃のグリップで滅多打ちにされて死亡するという悲惨な最期を遂げた。
彼女の死をきっかけに発生した大規模な暴動(スタジアムの虐殺)は、参加者20,000人、兵士1,500人の死者を出し、結果的に救国軍事会議が民心を失う原因となった。彼女の死後、ハイネセンスタジアム前には彼女の銅像が建てられている。ただし、当時の政治状況を考えると政治利用のため、建てられたものと推測される。
なお、外伝2巻の描写では、 ラップ死後において、ジェシカとヤンの間には一度「おとなどうしの話」があったと思われる(ユリアンの推測)。
OVA版では政治家になった際のエピソードが掘り下げられており(第10話)、元は自分が立候補するつもりはなく、立候補予定者で反戦運動家であったソーンダイクの運動員だった。しかし、劇中の爆弾テロでソーンダイクが亡くなり、彼の意志を継ぐとして代わりに立候補し当選を果たした。
エンリケ・マルチノ・ボルジェス・デ・アランテス・エ・オリベイラ
声 - 山内雅人
同盟自治大学学長。ヤン査問会の副長。歴代同盟政権のブレーン。
政治家ではないが、歴代同盟政権にブレーンとしてその政策に関わってきた学者[70]。求められれば政治倫理的には問題が多くとも法の抜け道などを利用し、献策する(ただし、あくまで献策であって自らが実行者になることはなく失敗時には責任逃れする)[26]。自治大学の目的が官僚育成ということもあって、その雰囲気は学者というより官僚とも評される。ヤン査問会のメンバーの一人として登場し、感情の制御ができないネグロポンティに代わって実質的に査問会の進行を主導する。終始冷静であったが、査問会の終盤で、調子に乗って戦争の意義を講義し始め、それをヤンに偽物の愛国心だと徹底的に否定され、初めて怒気を表す[70]。その後も、レベロ政権ではヤンを始末する助言を与えたりしたが[47]、最期はオーベルシュタインの草刈りで帝国に拘束され、ラグプール刑務所の暴動によって命を落とす[19]。ヤンからはその長い名前を正確に記憶しているだけで敬意に値すると皮肉られている[70]

救国軍事会議

ドワイト・グリーンヒル (Dwight Greenhill)
声 - 政宗一成 / 星野充昭(Die Neue These)
大将。統合作戦本部次長兼宇宙艦隊総参謀長(後に査閲部長)。救国軍事会議の首班。フレデリカの父。
白髪まじりの褐色の頭髪に肉づきの薄い端整な顔立ちをしており[57]、その要職に見合う落ち着いた理知的かつ紳士的な人物。軍内部の良識派として知られ[57]、いずれは軍の首班(統合作戦本部長)になると目されていた。ヤンからもその人格・能力共に信頼され、シトレ、ビュコックと並んで数少ない信頼できる上官として名を挙げられていた[21]。一方でグリーンヒルもヤンを高く評価し、愛娘のフレデリカが彼の副官であることを父として喜ぶ。宇宙艦隊総司令のロボスとは長い付き合いであり、有能な指揮官だが大雑把な面もある彼を、細部まで気配りできる性格によって的確に補佐し成果を挙げてきた[5]。ところが物語序盤、現在の同盟政府の腐敗を憂いて救国軍事会議のクーデターを引き起こす。
帝国領侵攻作戦で登場し、参謀長として建前では計画立案のトップであった[55]。しかし、最高司令のロボスが作戦参謀のフォークに目をかけていたことや、そもそも侵攻作戦自体が彼の立案だったこともあり、その専横を許す。戦役後はその失敗の責任を負わされ査閲部長に左遷される[56]。その後、ラインハルトに策を授けられたリンチによって、腐敗した同盟政府を憂いる救国軍事会議を組織し、そのリーダーとしてクーデターを起こす(クーデター自体は予期していたヤンだったが、それを信頼するグリーンヒルが起こしたことに衝撃を受ける)[57]。リンチの計画案に沿って手際よく進め、序盤は上手くいくものの、クリスチアンが「スタジアムの虐殺」を引き起こしたり、エベンスが経済統制に失敗するなど、綻びが見え始め、焦り始める。最終的にヤンの活躍によって追い詰められた上にクーデターは帝国の陰謀であると指摘され、さらにそれを計画立案者であるリンチが認めたために激しく動揺する。そしてクーデターの汚名は甘受しても、帝国に乗せられたという不名誉は避けたいとして口封じのためにリンチを射殺しようとするが、逆に射殺される[29]。その後、その名誉を守るために他の同志より責任を取って自殺したと証言される。結果的に後の同盟滅亡の要因の1つとなった救国軍事会議のクーデターの首謀者であったが、ヤンにアルテミスの首飾りが破壊された後は、ハイネセン市民を人質にとって徹底抗戦すべきというエベンスの強行案を嗜める良識派としての一面も残っていた[29]
本編開始以前を扱った外伝では、時系列上の初登場は第5次イゼルローン攻略戦で、この時は第4艦隊司令官であった。その後、第6次イゼルローン攻略戦ではロボスの幕僚として登場して彼を的確に補佐し、エル・ファシルの英雄として妻子を助けてくれた経歴があるヤンに目を掛け、彼の計画を採用した上にブラッシュアップもしている[37]。しかし、戦闘終盤のヤンの態度(まだ戦闘中なのに、もはや役目が終わったとばかりに居眠りしていた)を見て失望し、幕僚から外してしまった[33]
OVA版ではいくつか設定や心理描写が掘り下げられている。理知的な良識派にも関わらず、クーデターグループの長となったのは、性急な若手メンバーに担がれたこと、そしてその彼らの暴走を抑えるために敢えてリーダーになったと妻の墓前に独白する。田中芳樹はOVA版のオリジナルシーンとして、クーデター前に亡き妻の墓に独白するシーンを気に入っていると述べており、また、知人から「世界一墓参りのシーンの多いアニメだ」と言われたとも述べている[85]
藤崎版ではクーデターにおけるヤン艦隊への対抗策として、第11艦隊をあえて分散させて各個撃破策を誘い、アルテミスの首飾りで撃滅するという作戦を立てる。これはヤンに見破られつつも良策と評される。また、リンチとの出会いや、彼の計画に乗った経緯が詳しく書かれている。
ルグランジュ (Legrange)
声 - 嶋俊介 / 間宮康弘(Die Neue These 星乱)
第11艦隊司令官。中将。救国軍事会議のメンバー。
作中に登場する艦隊司令としては唯一救国軍事会議に与した軍人[27]。第1艦隊と共に例外的に帝国領侵攻作戦に参加せず、無傷の状態で艦隊を保っており、それゆえに救国軍事会議のクーデターにおける主要戦力となる。艦隊司令としては有能であり、それゆえに、後述するヤン艦隊との戦いでは旗艦を残して数隻になるまで優先し、結果的に同盟軍に必要以上の損失をもたらすこととなった[27]
救国軍事会議のクーデターに対し、同勢力の懸念材料となっていたヤン艦隊への対応者となる[27]。もともと艦隊司令として有能である上に、バグダッシュを使った搦め手を使ってヤン艦隊を返り討ちにしようと画策する。ところが、計略を見破られて無意味に兵力を二分され、さらにそれを戦術レベルで二分され、実質1/4でヤン艦隊と戦うこととなる。それでも8時間の激闘を続け、艦隊を数隻まで減らされた後にヤンの健闘を称えて自殺する[27]
アーサー・リンチ (Arthur Lynch)
声 - 広瀬正志 / 二又一成(Die Neue These 星乱)
元エル・ファシル警備艦隊司令官(少将)で当時のヤンの上官。帝国軍捕虜。救国軍事会議の黒幕かつラインハルトの工作員。
かつてヤンが「エル・ファシルの英雄」と呼ばれるきっかけとなった「エル・ファシル事件」時の同星の警備艦隊司令官だった男[1]。当時40代。フレデリカによれば前線でも後方でも一定以上の実績を挙げ、評価も高い有能な軍人だったが、後述のようにエル・ファシル事件で軍司令官としてあるまじき失態を犯したことで権威は失墜し、その後、帝国の捕虜収容所でも事情を知った他の同盟軍兵士から侮蔑される生活を送る。その来歴から酒に溺れる死人のような状態だったが、それをラインハルトに目をつけられ、工作員として同盟に舞い戻り、グリーンヒル大将らの救国軍事会議のクーデターを引き起こさせる。
本編開始の約9年前の宇宙暦788年、対帝国との最前線である惑星エル・ファシルが帝国軍に包囲された際、先の戦闘の敗北も手伝って恐慌状態となり、民間人を置いて自らと取り巻きだけで脱出しようとする。ところが、見捨てられた部下の一人で、当時士官学校を卒業したばかりだったヤンが、これを逆用して脱出を図るリンチ艦隊を囮にし、300万の市民の脱出に成功させる(これによってヤンは「エル・ファシルの英雄」と呼ばれる)[1]。逆にリンチは帝国軍に捕捉され、捕虜収容所に移送される。民間人を見捨てたこと、しかも自分はあっけなく捕まったという不名誉はすぐに他の同盟軍捕虜にも知られることとなり、侮蔑され、酒に逃避するようになる(また、本国の妻にも離縁をされたと人づてに聞く)[86]
宇宙暦797年(帝国暦488年)、門閥貴族との戦いを控え、同盟との二正面は避けたいラインハルトによって、同盟内部に混乱を起こす工作員として白羽の矢が立てられる。ラインハルトとの接見では、なおも生き汚い態度を見せるものの、彼から「そのときは死んでしまえ」と叱咤され、帝国軍少将の座を約束されて再起する[86]。捕虜交換を利用して同盟に舞い戻った後は、ラインハルトの筋書き通りに軍内の不満分子を集め、救国軍事会議のクーデターを引き起こさせることに成功する。
クーデター終盤、ヤンによってクーデターが帝国の陰謀であると指摘された上に切り札であるアルテミスの首飾りが破壊されると、それに動揺する救国軍事会議の幹部たちを嘲笑い、ヤンの指摘は正しいと真相を打ち明ける。過去の汚名をすすぎたいと信じていたと激怒するグリーンヒルに悪びれず「見る目がなかった」と逆に嘲弄し、クーデターが帝国の思惑通りだったという不名誉を隠蔽するために彼に射殺されそうになったところを逆に撃ち殺す。直後に他のメンバーに射殺される[29]
当初は帝国軍少将の座というエサに釣られたものの、クーデター計画が進むうちに自分が何を欲しているかわからくなったと独白する[78]。最終的には、自らこれがラインハルトの策謀であったことを暴露した上で、実はクーデターの成功や帝国軍少将の地位などどうでもよく、己の正しさを信じて疑わない者に弁明の余地を欠片すら残せない恥をかかせたかったと吐露する[29]
バグダッシュ
中佐。救国軍事会議メンバーで後にヤン艦隊に転向。諜報担当。
#ヤン艦隊首脳部
ブロンズ (Bronze)
声 - 水鳥鉄夫 / 高口公介(Die Neue These 星乱)
中将。同盟軍情報部部長。救国軍事会議のメンバー。
救国軍事会議のクーデターにおいて査閲部長のグリーンヒルと並ぶ、軍政幹部の人物。このため、予めヤンからクーデターの動きがあること知らされていたビュコックも想像を絶すると非常に驚き、クーデターの初動の成功に貢献する[57]。役職や階級上は首班のグリーンヒルに次ぐ地位にあるが、原作においてはビュコックを拘束するシーンに登場するのみである。
道原版ではアルテミスの首飾り破壊後に、クーデター幹部達が自殺を選ぶ中にあって裁判を受けて責任を取るために自殺を拒否する。
エベンス (Evans)
声 - 池水通洋
大佐。救国軍事会議のメンバー。
救国軍事会議のクーデターにおいて経済問題を一任されていた人物[27]。しかし、軍人であるがゆえに経済を理解しているとは言えず、クーデターによって生じた物価高騰などの諸問題について、やはり軍人らしい統制で経済問題を解決しようとしたため、フェザーン商人に皮肉られる(これを激昂するも殺さずに部屋からの追放に留める)。結局、幾人かの悪徳商人を逮捕して徴発した物資を市場に放出するという表面的な対応しかできなかった[27]。アルテミスの首飾り破壊後、グリーンヒルがリンチに射殺された中で、救国軍事会議議長代行として実質的にリーダシップを取り、最後にヤンに対して通信を開く。無抵抗での降伏を宣言しつつも、なおも自分たちの意義の正当性を訴えるが、それをヤンから全否定され、結局、その反論を認めないままに自害する[29]
クリスチアン (Christian)
声 - 曽我部和恭 / 遠藤大智(Die Neue These)
大佐。救国軍事会議のメンバー。
クーデターに対しジェシカがハイネセン記念スタジアムで開いた抗議集会の鎮圧命令を受けた人物[27]。初めから武力で威圧して解散させることしか能がなく、3000人の武装兵を率いて会場に突入した上に、首謀者達を見せしめに暴力を振るうという行動に出る。これをジェシカから「ルドルフの不肖の弟子」と激しく非難されて激昂して彼女を銃のグリップで乱打し(結果的にこれが元で彼女は死亡)、これを見て激怒した聴衆が暴動に至るという後に「スタジアムの虐殺」と呼ばれる事件を引き起こす[27]。結果的に、救国軍事会議の正当性を貶め、後にリンチからは「クリスチアン大佐のような低能」と罵られる[29]
「Die Neue These」では憂国騎士団にも所属しているという設定になっている。アスターテ会戦の戦没者慰霊祭において起立しないヤンを叱咤した人物となっており、またその後に憂国騎士団のメンバーを率いてヤンの官舎を襲う(慰霊祭でヤンが愛国的な軍人から非難される、憂国騎士団がヤンの官舎を襲うはどちらも原作中のエピソードであるが、その実行者はどちらもモブである)。
マロン (Maron)
大佐。救国軍事会議のメンバー。
惑星シャンプールでの蜂起を担当した指揮官。シャンプールがイゼルローンとハイネセンの航路上に位置するため、ヤン艦隊によるクーデター鎮圧の第一目標となる。戦いは地上での白兵戦となり、シェーンコップ指揮下の陸戦隊と戦闘に入るがわずか3日後には鎮圧され、最期はブラスターで延髄を撃ち抜き死亡する[78][57][27]
藤崎版ではシャンプールの戦闘が掘り下げられており、占拠した管区司令ビルでルグランジュの応援を待っていたが、3日後の夜半に直接乗り込んできたシェーンコップに急襲される。即座に脱出を図るも追い詰められ、最期は原作と同様に自決する。
ハーベイ
救国軍事会議のメンバー。
惑星ネプティスでの蜂起を担当した指揮官。ネプティスの蜂起の詳細は作中では特に明かされず、ヤン艦隊がハイネセン攻略後に鎮圧したとある[9]
ストークス (Stokes)
声 - 岸野幸正
少将。第11艦隊副司令官(ルグランジュの部下)。救国軍事会議のメンバー。OVA版オリジナルキャラクター。座乗艦はアバイ・ゲゼル。
ドーリア星域会戦において、ヤンの戦術でルグランジュの旗艦から分断された前衛部隊の指揮を担当する。ヤン艦隊の各個撃破策で猛攻撃を受ける本隊を援護しようとするもアッテンボローの遅滞戦術に翻弄され救援できず、その後は本隊を壊滅させたヤン艦隊の攻撃に遭い、玉砕する。
ヒルマ
少佐。ルグランジュの幕僚。救国軍事会議のメンバー。道原版のオリジナルキャラクター。
ドーリア星域会戦において原作通り敗北を認めて自決したルグランジュに代わってヤンの降伏勧告を受諾する。
ベイ
大佐(のち少将)。救国軍事会議のメンバー(実は内通者)で後にトリューニヒトの警護室長。
#司令官(将官)・兵士

エル・ファシル革命政府

フランチェスク・ロムスキー
声 - 仲村秀生
エル・ファシル独立政府(後に革命政府)の首班。医師。
バーラトの和約体制下で独立を宣言したエル・ファシルの代表[87]。登場時40歳。自由主義や共和制の理念を守ろうとする善良な人物ではあるが、政治手腕に乏しく、合流したヤンの足を引っ張る。建前上はロムスキーら独立政府がヤン艦隊(革命軍)という軍事力を従えていることになっているが、実態はヤンが首脳と、帝国からも内部からもみなされていることにも強い不満を抱えている[46][23]
ヤンのエル・ファシル脱出行にも加わっていた同星の医師(フレデリカの母も治療を受けたことがある)[87]。バーラトの和約によって帝国の隷属状態になった同盟を見限り、エル・ファシルの代表として独立を宣言する[87]。本来は、これに続く他の星系が現れる目論見があったが具体的展望のない行動だったために、結局はエル・ファシル単独の独立となり窮地に立たされる。その後、行き場のないヤンを収容したことで、ヤンの知名度と軍事力で政府を確立しようとする。しかし、政治理念に拘る余りに帝国との彼我の差を考慮せず、現実案を提示するヤンに否定的な態度を見せるなど、ヤンを困らせる[46]
回廊の戦い後、ヤンとラインハルトの会見が決まると、あくまで革命政府の首班は自分たちであるとこれに同乗しようとする。そのため、ヤンを狙った地球教の暗殺計画に巻き込まれてしまい、死亡する[23]。なお、後にユリアンらがヤンの遺体のみを持ち帰り、ロムスキーら政府幹部の遺体を放置して帰ってきたために、後々、ユリアンらが批判されたとある。
上記の通り、作中では一貫して政治手腕がないことを露呈させる人物であるが、ヤンを帝国に引き渡す保身案が提示された時にロックウェルの例を引き合いに出して一蹴するなど、あくまで個人としては善良であった[79]。ヤンとロムスキーの死後、革命政府の解散時には、生き残った幹部たちが、ロムスキーが勝手に行ったことだと責任転嫁しようとしたため、ユリアンはロムスキーはあなた方に強制したのかと非難している[14]

外伝・オリジナルエピソードの登場人物

上記以外の外伝の単一エピソードの登場人物。

星を砕く者

フェーガン
少佐。巡航艦「グランド・カナル」艦長。
第3次ティアマト会戦後(OVAでは第3次ティアマト会戦前)物資輸送のために徴用された民間輸送船団の護衛艦艇のうちの1隻。帝国巡航艦部隊と遭遇し、「戦闘ではなく虐殺」されつつも民間船を守り、大多数の輸送船を安全宙域まで逃がすことに成功するが、グランド・カナルは撃沈され、少佐も戦死した。戦死後に自由戦士勲章を授与されるが、「グランド・カナルには100個の勲章よりも、1隻の味方が必要だった」とヤンは述べている。OVAでは妻と2人の子供(男女1人ずつ)がおり、勲章授与の式典に姿が見える。

ユリアンのイゼルローン日記

コリンズ
イゼルローン要塞駐在憲兵大佐。外伝2巻に登場。シェーンコップを「歩く風俗壊乱」等と称して嫌悪していたらしい。宇宙暦797年1月8日、麻薬中毒患者と思しき兵の人質となり、シェーンコップに助けられる。その後、シェーンコップの逸失利益(カードの勝ち分等)を請求されたかは不明。
サックス
声 - 三戸崇史(オーディオブック)
少将。宇宙暦797年の捕虜交換の際、帝国軍がイゼルローンへ運んできた捕虜をハイネセンへ送還するため、臨時に編成された輸送船団の指揮官。部隊の序列や自身及び他者の指揮権限の行使に厳格な一方、重要な任務(航法)を部下に丸投げして政治家との交流を図る。
イヴリン・ドールトン
大尉。797年の捕虜交換の際ハイネセンに帰還するための船団でヤン達と同じ船に乗った船団航法士。フレデリカと同室だった。なかなかの美貌の持ち主のようで、オリビエ・ポプラン曰く唇が薄ければ完璧。捕虜の中にかつて自分をだました元恋人の姿を認めて逆上。航法データを改ざんして200万人の捕虜もろとも恒星マズダクに飛び込み自殺しようとした。あわや恒星突入という段階になってヤンが一計を案じ、無人のシャトルをとばして恋人がシャトルで逃げたことを伝えたため、シャトルを撃沈してピストル自殺した。死後、憲兵隊によって遺体は手荒に収容されようとしたが、ポプランらに阻止され、フレデリカによって死化粧を施され、宇宙葬にされた。
ラン・ホー
声 - 羽多野渉(オーディオブック)
少佐。ヤンらが惑星ハイネセンからイゼルローン要塞に戻る際に搭乗した新造駆逐艦「カルデア66号」の艦長。やや胆力にかけるが善良な人物。予定通りにイゼルローンに到着し、ヤンから「名艦長」と賞された。その後は乗艦ごと要塞に留まり哨戒や巡視の任に就いた。
パーカスト
声 - 金光宣明(オーディオブック)
大尉。ヤンのエル・ファシル脱出行に先立ってリンチ少将とともに逃亡、捕虜となり、ラインハルトの陰謀の一環として同盟に帰還する。イゼルローン要塞から惑星ハイネセンへと向かう船団において、大将に昇進したヤンと自分を比べて愚痴をこぼし、ユリアンにたしなめられた。自分が捕虜となるきっかけを作ったリンチ少将を「リンチの奴」と呼び捨てるなど、かなり口は悪い。またユリアンにヤンが以前「ごくつぶしのヤン」と呼ばれていたことを教えた。

千億の星、千億の光

オットー・フランク・フォン・ヴァーンシャッフェ
声 - 仲野裕(千)
大佐。ローゼンリッターの第12代連隊長で、シェーンコップ達の上官。第11代連隊長リューネブルクが帝国へ逆亡命した後を受けて隊長に就任した。ヴァンフリート4=2の同盟軍後方基地でセレブレッゼの命令により偵察に赴いたが、途中で装甲車が故障して動けなくなり、後から来たシェーンコップの提案によって基地に帰還する途中、リューネブルク率いる帝国軍の陸戦隊に急襲され重傷を負う。戦場からは脱出し、基地に到着して手術を受けるが、既に体力が落ちていたため、手術中に死亡した。
大隊長時代までは有能な軍人で人望もあったが、連隊長に就任してからはその長所が失われた。シェーンコップは、地位の向上と権限の拡大に耐えるだけの精神的な骨格が不足していたと評している。
モンシャルマン
声 - 牧宮弘(千)
少将、第五艦隊参謀長。ビュコックの補佐を務めている。
シンクレア・セレブレッゼ
声 - 朝戸鉄也(千)
中将。ヴァンフリート4=2の同盟軍後方基地の司令官。後方勤務のスペシャリストだが、戦闘指揮能力は皆無に等しい。司令官としての適性を欠いていたのに基地司令官に任命されてしまった不幸な人物。ヴァンフリートの会戦時に、戦場とならないと思われた衛星ヴァンフリート4=2の基地にいたところ、帝国軍首脳部に邪魔者扱いされたグリンメルスハウゼン艦隊が立ち寄っただけだったが、偵察で同盟軍基地があることを知って来襲。陸戦の最中、ラインハルトによって捕虜となる。この功績によってラインハルトは少将に昇進、また、同盟軍でも後方担当の専門家が抜けたため、キャゼルヌにシワ寄せが来てしまう。シェーンコップを将来クーデターも起こしかねない反骨心のある人物と評している。
サンバーグ
声 - 稲田徹(千)
少佐。ヴァンフリート4=2の後方基地でセレブレッゼの副官を担当している。
カール・フォン・デア・デッケン
声 - 西凛太郎
薔薇の騎士(ローゼンリッター)の一員。ローゼンリッターがヴァンフリート4=2に配属されていた時、リンツ、ブルームハルト、そして当時副連隊長だったシェーンコップと共に「薔薇の騎士の最強カルテット」と言われた。巨体と温和な性格、超人的な耐久力、酒量の持ち主。誘導ワイヤーに正確に当てられるほどの狙撃術も持ち合わせ、当時は無理でも数年後にはリューネブルクにも勝てると評されていた。帝国軍の襲撃時に元連隊長のリューネブルクと鉢合わせになり、リューネブルクには手を出すなというシェーンコップの指示を守らず、部隊員全員が裏切り者扱いされたことへの怒りに任せてリューネブルクに挑み、敗死する。
ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ
声 - 土井美加(千)
ヴァンフリート4=2の対空射撃システムのオペレーターを務める女性兵士。階級は中尉。没年齢は27歳。赤褐色の髪と瞳、小麦色の健康的な色の肌の女性。シェーンコップの当時の愛人だった。離婚歴があり、結婚はもうこりごりと語った。第5話、室外の様子を見ようと廊下に出たところで基地内部に侵攻した帝国軍の兵士に出くわし、発砲するも射殺された。第6話でその死を知ったシェーンコップの様子から、彼女を失ったことはシェーンコップにとって大きな損失だったと思われる。作中で名前が挙げられる唯一の女性戦死者でもある。
OVA版の第4話「染血の四月」では、シェーンコップとの強烈なベッドシーンがある。その肌の色はシェーンコップと似たようなものだったが、なぜか照明の消えた夜のシーンとはいえシェーンコップは照明のある時と同じなのに彼女自身は黒髪と濃褐色の肌の色になっていた。作者の田中芳樹は、執筆作品においてこの種の具体的な描写をしないタイプの作家であり、本作の小説に於いても、このシーンには具体的な描写は存在しない。なお、シェーンコップ役の羽佐間は後に「すごいシーンだった」と語っている[88]
ラムゼイ・ワーツ
声 - 菅原淳一(千)
少将。第6次イゼルローン攻防戦の前哨戦に分艦隊司令官として参加。OVA版では、命令系統は実質的に主客転倒して、参謀長のマルコム・ワイドボーン(後述)が提案する作戦指示をそのまま繰り返すだけ、という様子が描かれている。同会戦でラインハルト艦隊により艦隊中央を突破された挙げ句、指揮下の兵力のほぼ全てを殲滅されるという完敗を喫し、戦死した。
藤崎版では、戦功による出世を予期し浮かれる様子が描かれている。しかし、ラインハルトの作戦[89]により危機に直面した際にはワイドボーンによる撤退の進言に対し状況の説明を優先させ、更に敵が目の前に迫っているにもかかわらず参謀を招集して作戦会議を開こうとするなど、前線の指揮官とは思えない対応を繰り返す。最終的には座乗艦(艦名不明)への攻撃により構造物の破片で頭部を潰される無残な最期を遂げた。
マルコム・ワイドボーン
声 - 関智一(螺、千)、高橋研二(Die Neue These)
ヤンの士官学校での同期生。没年齢27歳。学年首席で10年に1人の逸材と目されていたが、戦略戦術シミュレーションでは戦術思考の硬直性と補給の軽視(兵站線の確保を怠った)からヤンに完敗した[90]。しかし、負けたことに納得できずヤンを罵り反論したが、結局は彼の意見は受け入れられなかった。小説・OVA版での人柄は他人の欠点や失敗をえぐるような一面があるとヤンに論評されていた。
藤崎版では、8年前の士官学校のシミュレーション試験でヤンを罵ったのはワイドボーン応援する他の学生たちであり、ワイドボーン自身はヤンを理解できなかったものの罵倒する周囲を諌めている。第6次イゼルローン攻防戦で、ラムゼイ・ワーツ少将の分艦隊の参謀長(大佐)として事実上分艦隊を仕切っていたが、ラインハルトの罠に嵌まり戦死。死の直前に軍規違反になるが、既に死亡していたワーツの命令として生き残った艦隊を後退させた。後に少将に2階級特進されている。
キャボット
少将。第6次イゼルローン攻防戦の前哨戦に高速機動集団司令官として参加。ラインハルト艦隊に「巧緻を極めた側背攻撃」[91]を受け、集団は壊滅。生死不明。

螺旋迷宮

クリストフ・フォン・ケーフェンヒラー (Christof von Kofenhiller)
声 - 矢島正明(螺)
帝国軍人でエコニア捕虜収容所の捕虜。捕虜たちの自治委員会の会長。同盟への投降時は大佐。男爵。71歳。外伝『螺旋迷宮』の主要人物。
28歳で捕虜となり、その後43年間に渡りエコニア捕虜収容所に収容されていた老人。施設の職員や他の捕虜からも一目置かれ、所長も頭が上がらず、収容所の主とまで称される[注釈 5]。明敏な頭脳や老貴族らしい威厳を持つと同時に、柔軟さも合わせ持ち、初対面のヤンに興味を持って友好的に接する。第2次ティアマト会戦にも関わっており、同編で起こる事件解決のキーマンになると同時に、第2次ティアマト会戦を帝国軍人であった自分の目線でヤンに語り、同会戦の真相にヤンが辿り着く大きなきっかけとなる。
表向きの前歴は男爵家の若き当主かつ地方行政官として出世コースに乗り、辺境惑星を転々としていた。しかし、25歳の時に突如内務省を辞めて軍に入隊し、28歳で大佐、情報参謀となり、参加していた第2次ティアマト会戦の敗北で同盟の捕虜となる。帝国には残してきた妻もいるという。しかし、真相は結婚して間もない最愛の妻が伯爵家の次男と不倫し、真実の愛を見つけたと語って離婚しようとする妻や、手切れ金などで離婚を認めさせようとする伯爵家に反発して離婚を認めなかったことが原因であった。辺境惑星に回されたのも伯爵家の嫌がらせであったが、それは特に気にしていなかったところを、妻が間男の子供を産んだという知らせを聞いて絶望し、死ぬために軍に入隊する。3年後に上記の通り同盟の捕虜となるが、自分が死ねば妻と間男を喜ばせるだけだと気づき、以降、自分が生き続ける=妻は間男と正式に再婚できない、という復讐心で生きながらえてきた。歴代所長の半数はケーフェンヒラーに好意的で、捕虜交換の名簿に彼の名を載せようとしたことも何度もあったが、その都度、それを拒絶していた。
第2次ティアマト会戦ではコーゼル大将の麾下にいたが、そのコーゼルから直々にミヒャールゼンについて諮問されたこと、後に捕虜生活の中でミヒャールゼンが暗殺されたことなどを聞き、同盟・帝国に跨る巨大な陰謀について密かに調査をしていた。自分の当時の記憶や、新たに得た情報などから、ミヒャールゼンの死の真相や、アッシュビーの不敗神話の正体などについてかなり確度の高い推測を持っていた。
物語には参事官として収容所にやってきたヤンを自治委員会の会長として迎えたところから登場する。ヤンがケーフェンヒラーの経歴を知って第2次ティアマト会戦やそれにまつわる人物たちに興味を持って尋ねてきたことから、逆にヤンに興味を持つ。その後、プレスブルクによる暴動が起こると、自ら人質となることを申し出て同じく人質となったヤンと様々な会話を交わす。暴動の黒幕が不正の発覚を恐れたコステアであることなどをヤンに明かし、同事件の解決に貢献する。その後、ムライの計らいによって同盟市民権と退役大佐の格の年金付きで釈放されるもハイネセンに向かう道中で心筋梗塞により眠るように死亡する。ケーフェンヒラーが残した書物や日記などの記録物はヤンが引き継いだ後に、B級重要事項に指定され、機密情報として25年間封印されることとなった。
バーナビー・コステア
声 - 坂下光一郎(螺)
惑星エコニアにある捕虜収容所所長。大佐。59歳。外伝『螺旋迷宮』の登場人物で作中事件の黒幕。
ヤンから見てやや堅苦しい印象の軍人[22]。第2次ティアマト会戦の参加者(当時16歳)で、執務室にジャスパー提督の肖像画を飾るなど今も敬愛している。一兵卒からの叩き上げで極めて平凡に出世して現在の地位・階級におり、若くして少佐にまで出世していたヤンにも友好的に接する[22]。ところが、実は長年に渡って収容所の予算を横領しており、事態を把握していたケーフェンヒラーによれば、その横領額は、佐官級のコステアが現状で受け取れる退職金の百倍余りの規模に達していたという[92]。このため、既にエル・ファシルの英雄として名声を得ていたヤンがわざわざ派遣されてきたのは自分の汚職調査のためと勘違いし、プレスブルクら捕虜達を唆して暴動事件を引き起こし、ヤンや、予てより邪魔者とみなしていたケーフェンヒラーの謀殺を図る[92][5]。しかし、ヤンやケーフェンヒラーに裏を掛かれ、計画は失敗の上、逆に拘束されてしまう。事件の調査官としてやってきたムライに、ヤンが捕虜暴動の首謀者などと虚偽の報告をして最後の悪あがきをするものの、エコニア到着前に既に不正の実態をムライに暴かれており、速やかに摘発される[5]
ジェニングス
惑星エコニアにある捕虜収容所副所長。中佐。36歳。外伝『螺旋迷宮』の登場人物。
1年4ヶ月程前に赴任してきた人物[92]。極めて官僚的な人物で、必ず夜中の3時に所内を巡回するなど神経質な面がある。官僚的な能力でコステアを上回っており、その相反する経歴も含めてコステアと対立している[92]。捕虜達の暴動において真っ先に人質となり、ヤンとパトリチェフが身代わりとなって解放される[92]。ところが、その後の戦闘での砲撃の余波で全身打撲を負い入院加療となる。このため、事後処理をヤンがやることとなった[5]
プレスブルク (Pressburg)
声 - 鉄野正豊(螺)
帝国軍人でエコニア捕虜収容所の捕虜。同盟への投降時は中尉。外伝『螺旋迷宮』の登場人物。
貴族出身の青年軍人[92]。貴族の子弟らしい上品げな容姿をしており、年齢は不明だが、士官学校を出たばかりでヤンとほぼ同輩だろうと推測されている[92]。若者らしい短慮な面はあるものの、帝国軍人や帝国貴族としての矜持を持ち、暴動の主犯となってヤンを人質にとるも、彼から悪意や反感は抱かれなかった[92]
ケーフェンヒラーの不正を暴く(そして、その見返りとして恩赦を与える)とコステアに唆され、表向きは脱獄を目的とした暴動を引き起こす[92][5]。ジェニングス、続いてヤンとパトリチェフ、さらにケーフェンヒラーを人質にとるが、邪魔者をまとめて消し去りたいコステアの裏切りで危機に瀕する。結果的にヤンとケーフェンヒラーに助けられる形となり、すべてを白状する[92]。脱出後にはヤンらの黙認でコステアに報復を行い、彼の自白を引き出す[5]
事件後の身柄については、ケーフェンヒラーからムライに帝国への送還を希望されたものの、作中では別の収容所に移送されたとあるのみである[5]
チャン・タオ
声 - たてかべ和也(螺)
惑星エコニアにある捕虜収容所の職員。一等兵。外伝『螺旋迷宮』の登場人物。
参事官としてやってきたヤンの従卒に任命された初老の軍人[22]。従卒ひとすじ35年を自称し、言動も兵士というより安宿の番頭のような人物。薄給の一兵卒ながら勤続30年の恩給もあって生活には困っていないという[22]。730年マフィアであるウォリス・ウォーリックの従卒を務めた経験もあり、彼を崇拝している[22]。そのため、ヤンから730年マフィアの面々について聞かれるも、「大変立派な方たちばかりでした」と漠然としたことをしか話さず、ヤンの考察には何ら寄与しなかった[5]
アルフレッド・ローザス
同盟軍退役大将。元宇宙艦隊総参謀長。730年マフィアの一人。78歳。外伝『螺旋迷宮』の登場人物。
かつてアッシュビーの参謀長を務め、存命する730年マフィアの最後の一人である老提督[54]。730年マフィアの中では目立つような偉才に恵まれていたわけではなく、指揮官としては「平凡よりややまし」という程度の能力であったが、幕僚としては非凡な才を持ち、個性的な730年マフィアの調整役・緩衝役として組織としての力を大幅に引き上げたと評される[2]。過去の業績のみならず、その人格はヤンに好印象を与える[2]
アッシュビーは謀殺されたという投書の件でヤンの訪問を受け、彼を気に入り、謀殺疑惑は否定したものの、730年マフィアの面々についての昔話に花を咲かせる[2]。しかし、それから数日後に、自殺とも事故死とも言い難い睡眠薬の大量服用によって死亡する(最終的にはミリアムに残した遺書によって自殺と判明する)[93][94][66]。その後、生前の功績を讃えて元帥号が追贈される[5]
外伝『螺旋迷宮』の登場人物だが、本伝にも回顧録の執筆者としてわずかに名が登場している[19]
ミリアム・ローザス
声 - かかずゆみ(螺)
アルフレッド・ローザスの孫娘。外伝『螺旋迷宮』の登場人物。
ポニーテールで17、8歳の少女[2]。利発で挑発的な言動もしばしばある。ローザス大将の唯一の肉親で、ローザスに会いに家にやってきたヤンを出迎える[2]。その際に「アッシュビーは祖父の功績を盗んだ」とヤンに言い興味を惹かせる。その後の祖父の葬儀では喪主を務め、参列者のヤンに祖父がヤンを気に入っていたことなどを明かす[94]。終盤ではさらに祖父の死が自殺であったことをヤンに伝える[66]
ミンツ
ファーストネームは不明。 いわゆる「エルファシルの奇跡」直後の宇宙暦788年10月2日、無役のヤンがキャゼルヌの執務室に呼び出された時、ブルース・アッシュビー謀殺疑惑に関する資料を持ってきた士官。その時の年齢は30代半ばで、髪の色は亜麻色。小説版ではユリアン・ミンツとの関係は描写されていないが、『銀河英雄伝説ハンドブック』では父親と紹介されており、道原版では、明確にユリアンの実父であると描写されている。ユリアンの父は建国以来の名門の家系であり、母親の反対を押し切って、帝国から亡命した平民の家系の女性と結婚する。宇宙暦790年、大尉の時に8歳のユリアンを遺し戦死する。ヤン以上の茶道楽であり、息子に紅茶の種類や淹れ方の極意を伝授した。妻と息子に対する母親の態度について、どう思っていたかは記述がない。

その他OVAのオリジナルエピソード

レイモンド・トリアチ
声 - 北村弘一 (10)
国民平和会議テルヌーゼン支部長。主戦論者であり、テルヌーゼン選挙区での代議員補欠選挙におけるジェイムズ・ソーンダイクの対立候補。士官学校創立日記念式典に出席するため、テルヌーゼンにやって来たヤンを、報道関係者を伴い空港で出迎える。その場で戦災孤児の少女を使った花束贈呈と選挙演説を行い、事情がわからぬヤンと並んで撮影された写真は新聞の紙面を飾る。イゼルローン要塞を攻略し、英雄となったヤンの人気を利用しようとする姑息な選挙戦略であった。これはソーンダイク派の運動員を激怒させ、ヤンはホテルの部屋に襲撃を受け、ジェシカと思わぬ再会を果たすことになる。
ソーンダイクを狙った爆弾テロに、トリアチ本人が関わっていたかどうかは不明。倒れたソーンダイクに代わり立候補したジェシカが当選を果たし選挙に敗れた。
ジェイムズ・ソーンダイク
声 - 丸山詠二 (10)
テルヌーゼン選挙区での代議員補欠選挙において、反戦市民連合が擁立した候補。運動員の中に、反戦運動に身を投じたジェシカ・エドワーズがおり、ヤンは思わぬ再会を果たす。運動員が憂国騎士団に襲撃されていた処をヤンが助け、選挙本部まで送り届けた際にヤンと面会。好印象を持ったことをヤンはジェシカに話している。しかしその夜、選挙本部で発生した爆弾テロにより重傷を負い死亡。代わってジェシカが立候補し、同情票も集める形で当選、ジェシカは政界に身を投じることになる。
フランツ・ヴァーリモント
声 - 中原茂 (14)
第7艦隊所属の技術将校。少尉。同盟の大規模侵攻作戦におけるOVA版のオリジナルエピソードの人物。
艦隊司令官のホーウッド中将より、進駐した惑星の農業の改善を直々に命じられる。その中で、有力住民のワグナーの思惑もあり、彼の娘テレーゼと出会うこととなる。その後、帝国の焦土作戦が効果を発揮し、同盟軍と帝国の民衆との間に不和が生じる混乱の中でテレーゼと共に現状に失望し、駆け落ち同然に軍から脱走する。その後の消息は不明だが、テレーゼとの会話で辺境惑星に身を隠すと発言している。

歴史上の人物

脚注

注釈

  1. ^ 革命軍の象徴であるヤンが死亡したことにより本音では離脱したいが、逃亡者と蔑まされたくないために消極的に残ろうと考えていた者に対し、「重鎮のムライすら離脱するなら」と自己正当化の理由を与える役目。これによってユリアンは将来、足を引っ張る恐れのある人材を整理できた[15]
  2. ^ 『銀河英雄伝説事典』では、第5巻5章にてシェーンコップ、フレデリカ、キャゼルヌらが一斉昇進し「ヤン艦隊の武勲に比較しての人事の停滞を、一気にまとめて解決した」と記述のある宇宙暦799年2月(ランテマリオ会戦直後)を昇進時期としている。
  3. ^ このシーンは道原版・Die Neue These版で共通して登場するが、原作とOVA版には存在しない(アッテンボローが本格的に登場するのは原作第3巻からで第1巻時点では未登場)。
  4. ^ 本文中ではユリアンより30歳年上とある[44]
  5. ^ 通例であれば捕虜収容所では士官と非士官が分かれ、非士官が実権を握ることが常と説明され、大佐だったケーフェンヒラーが捕虜の代表であること自体が、指導力や人望において彼が傑物であることを示唆する。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 本伝, 第1巻1章.
  2. ^ a b c d e f g h i 外伝, 第4巻2章.
  3. ^ a b c d e f 本伝, 第1巻4章.
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m 本伝, 第1巻5章.
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n 外伝, 第4巻7章.
  6. ^ 本伝, 第10巻4章.
  7. ^ a b c d 本伝, 第10巻9章.
  8. ^ 外伝, 第4巻8章.
  9. ^ a b c d e 本伝, 第2巻9章.
  10. ^ a b c d 本伝, 第5巻7章.
  11. ^ a b c d e f 本伝, 第5巻9章.
  12. ^ a b c d 本伝, 第6巻8章.
  13. ^ a b c d e f 本伝, 第7巻3章.
  14. ^ a b c d 本伝, 第8巻6章.
  15. ^ 外伝, 第8巻6章.
  16. ^ 本伝, 第8巻9章.
  17. ^ 本伝, 第9巻7章.
  18. ^ a b c 本伝, 第10巻3章.
  19. ^ a b c d e f 本伝, 第10巻5章.
  20. ^ a b 『銀河英雄伝説 COMPLETE GUIDE』, p. 108.
  21. ^ a b c d e f g 外伝, 第2巻.
  22. ^ a b c d e f g h 外伝, 第4巻5章.
  23. ^ a b c d e f g 本伝, 第8巻5章.
  24. ^ a b c 本伝, 第8巻4章.
  25. ^ a b c 本伝, 第10巻2章.
  26. ^ a b c d e f g h i j 本伝, 第6巻7章.
  27. ^ a b c d e f g h i j k l m n 本伝, 第2巻5章.
  28. ^ a b c 本伝, 第5巻5章.
  29. ^ a b c d e f g h 本伝, 第2巻7章.
  30. ^ 本伝, 第7巻5章.
  31. ^ a b c d 本伝, 第3巻7章.
  32. ^ a b c d e 外伝, 第3巻2章.
  33. ^ a b c d e f g h 外伝, 第3巻8章.
  34. ^ a b 本伝, 第10巻8章.
  35. ^ a b 本伝, 第10巻10章.
  36. ^ a b c 外伝, 第3巻4章.
  37. ^ a b c d 外伝, 第3巻7章.
  38. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 本伝, 第1巻8章.
  39. ^ a b 本伝, 第5巻2章.
  40. ^ a b c 本伝, 第5巻8章.
  41. ^ a b c d 本伝, 第6巻3章.
  42. ^ 本伝, 第9巻9章.
  43. ^ a b c 外伝, 第1巻8章.
  44. ^ a b c d 本伝, 第4巻9章.
  45. ^ 外伝, 第2巻5章.
  46. ^ a b c d 本伝, 第7巻8章.
  47. ^ a b c d e 本伝, 第6巻5章.
  48. ^ 本伝, 第8巻3章.
  49. ^ 本伝, 第10巻7章.
  50. ^ 小説の記述より。藤崎竜版でも『別名:ヤン艦隊のビッテンフェルト』との注釈がある。
  51. ^ これは小説初版においてはポプランの階級は中尉(後の版ではイワン・コーネフとともにトダと同格の大尉に修正)であってトダは上官とされていたことによるスライド処置。
  52. ^ 「螺旋迷宮」第13話エンディングクレジットでは「アッテンボロー(父子)」と表記。
  53. ^ a b 本伝, 第9巻3章.
  54. ^ a b c 外伝, 第4巻1章.
  55. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 本伝, 第1巻7章.
  56. ^ a b c d e f 本伝, 第1巻10章.
  57. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 本伝, 第2巻3章.
  58. ^ a b c d 外伝, 第1巻7章.
  59. ^ a b c d e f 本伝, 第1巻9章.
  60. ^ a b c d 外伝, 第1巻9章.
  61. ^ a b c d e f 本伝, 第4巻5章.
  62. ^ a b c d e f g h i j k l m n 本伝, 第5巻1章.
  63. ^ a b c d e f 本伝, 第5巻4章.
  64. ^ a b c 本伝, 第7巻2章.
  65. ^ a b 本伝, 第7巻6章.
  66. ^ a b c d 外伝, 第4巻9章.
  67. ^ a b c d e 本伝, 第3巻3章.
  68. ^ 本伝, 第4巻4章.
  69. ^ a b c 本伝, 第5巻10章.
  70. ^ a b c d e f g h i 本伝, 第3巻5章.
  71. ^ a b c d 本伝, 第7巻7章.
  72. ^ a b c d e f g 本伝, 第1巻2章.
  73. ^ OVA, 第48話.
  74. ^ a b c 外伝, 第3巻3章.
  75. ^ a b c d e 本伝, 第3巻8章.
  76. ^ a b c d e 外伝, 第1巻1章.
  77. ^ 外伝, 第2巻1章.
  78. ^ a b c d 本伝, 第2巻1章.
  79. ^ a b 本伝, 第8巻2章.
  80. ^ 森田一義アワー 笑っていいとも!』2008年4月8日放送分
  81. ^ a b c d e 本伝, 第3巻6章.
  82. ^ a b c d 本伝, 第1巻6章.
  83. ^ a b 本伝, 第3巻9章.
  84. ^ a b c 本伝, 第7巻9章.
  85. ^ 『「銀河英雄伝説」読本』
  86. ^ a b 本伝, 第2巻2章.
  87. ^ a b c 本伝, 第7巻4章.
  88. ^ 銀河英雄伝説 ON THE WEB掲載の羽佐間道夫のインタビューより。
  89. ^ 藤崎版では艦隊の一部をワーツ艦隊の左側背に展開させ、本隊との連携で包囲・殲滅している。
  90. ^ ヤンの行った戦力分散を軽視したが、その一方の戦力により補給艦隊が全滅、最終的に補給切れに陥った。なお藤崎版では、ヤンの戦法は当時の校長シトレにより翌年からは反則とされている。
  91. ^ 藤崎版では、ラインハルト艦隊は横陣で待ち構え、猛進するキャボット艦隊を受け流しつつ、左右両翼の側背への展開で包囲・殲滅している。
  92. ^ a b c d e f g h i j 外伝, 第4巻6章.
  93. ^ 外伝, 第4巻3章.
  94. ^ a b 外伝, 第4巻4章.