「カスミサンショウウオ」の版間の差分
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'''カスミサンショウウオ'''(''Hynobius nebulosus'')は、[[有尾目]][[サンショウウオ科]][[サンショウウオ属]]に分類される有尾類 |
'''カスミサンショウウオ'''(''Hynobius nebulosus'')は、[[有尾目]][[サンショウウオ科]][[サンショウウオ属]]に分類される有尾類。 |
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2019年(令和元年)6月4日、日本爬虫両棲学会により従来のカスミサンショウウオは9種に分割された<ref name="higashihiroshima">{{Cite web |date=2019-07-30|url=https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/soshiki/kyoikuiinkaishogaigakushu/3/2/21252.html|title=東広島市指定文化財の名称変更について |publisher=東広島市 |accessdate=2020-01-22}}</ref>。これによりカスミサンショウウオは九州地方に生息する''Hynobius nebulosus''のみを指すこととなった<ref name="higashihiroshima" />。またこれにより近畿地方に生息する種にヤマトサンショウウオの学名が新設されたが、ヤマトサンショウウオは従来カスミサンショウウオの異名とされていた<ref name="higashihiroshima" />。 |
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本項では「分布と分類」を除いて、以前の分類についての内容も含まれている。 |
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日本([[九州]]北部および西部)<ref name="asw" /><ref name="matsui_et_al" />。鹿児島県、熊本県、佐賀県、[[長崎県]]([[壱岐]]・[[福江島]]を含む)、福岡県<ref name="matsui_et_al" />。 |
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=== 9種への分割 === |
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⚫ | 以前は岐阜県以西から九州にかけて分布する広域分布種とされていたが、形態・遺伝的な地域変異が大きく複数の隠蔽種を含んでいると考えられていた<ref name="matsui2014" />。2019年に形態やミトコンドリアDNAシトクロムbの分子系統推定から本種のシノニムとされていた''H. vandenburghi''(近畿地方東部から東海地方南部<!-- 愛知県・大阪府・京都府・岐阜県・滋賀県・奈良県・三重県 -->)を復活させ、''H. abuensis''(島根県・山口県)・''H. akiensis''(愛媛県今治市・広島県)・''H. bakan''(大分県・山口県)・''H. iwami''(島根県北西部および広島県の県境周辺)・''H. setoi''(島根県東部から兵庫県北西部にかけて)・''H. setouchi''(近畿地方西部<淡路島含む>から中国地方東部・四国東部<!-- 大阪府・岡山県・香川県・徳島県・兵庫県・広島県・和歌山県 -->)・''H. utsunomiyaorum''(広島県から兵庫県にかけての中国山地)の7種が新種記載されたことで、本種を9種に分ける説が提唱された<ref name="matsui_et_al" />。この説に従うと狭義の本種は九州北部および西部にのみ分布する<ref name="matsui_et_al" />。 |
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2019年(令和元年)6月4日、日本爬虫両棲学会により従来のカスミサンショウウオは9種に分割された<ref name="higashihiroshima" />。 |
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卵嚢の表面には明瞭な筋が入らない<ref name="matsui2014" />。 |
卵嚢の表面には明瞭な筋が入らない<ref name="matsui2014" />。 |
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== 生態 == |
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2020年1月22日 (水) 16:15時点における版
カスミサンショウウオ | |||||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Hynobius nebulosus (Temminck & Schlegel, 1838)[2][3][4] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
カスミサンショウウオ[3] | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Clouded salamander[3][4] |
カスミサンショウウオ(Hynobius nebulosus)は、有尾目サンショウウオ科サンショウウオ属に分類される有尾類。
2019年(令和元年)6月4日、日本爬虫両棲学会により従来のカスミサンショウウオは9種に分割された[5]。これによりカスミサンショウウオは九州地方に生息するHynobius nebulosusのみを指すこととなった[5]。またこれにより近畿地方に生息する種にヤマトサンショウウオの学名が新設されたが、ヤマトサンショウウオは従来カスミサンショウウオの異名とされていた[5]。
本項では「分布と分類」を除いて、以前の分類についての内容も含まれている。
分布と分類
分布
日本(九州北部および西部)[2][4]。鹿児島県、熊本県、佐賀県、長崎県(壱岐・福江島を含む)、福岡県[4]。
9種への分割
以前は岐阜県以西から九州にかけて分布する広域分布種とされていたが、形態・遺伝的な地域変異が大きく複数の隠蔽種を含んでいると考えられていた[3]。2019年に形態やミトコンドリアDNAシトクロムbの分子系統推定から本種のシノニムとされていたH. vandenburghi(近畿地方東部から東海地方南部)を復活させ、H. abuensis(島根県・山口県)・H. akiensis(愛媛県今治市・広島県)・H. bakan(大分県・山口県)・H. iwami(島根県北西部および広島県の県境周辺)・H. setoi(島根県東部から兵庫県北西部にかけて)・H. setouchi(近畿地方西部<淡路島含む>から中国地方東部・四国東部)・H. utsunomiyaorum(広島県から兵庫県にかけての中国山地)の7種が新種記載されたことで、本種を9種に分ける説が提唱された[4]。この説に従うと狭義の本種は九州北部および西部にのみ分布する[4]。
2019年(令和元年)6月4日、日本爬虫両棲学会により従来のカスミサンショウウオは9種に分割された[5]。
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H. setouchi
形態
全長9.4 - 12.7センチメートル[3]。体側面に入る皺(肋条)は左右に13本(まれに12本)ずつ[3]。背面の色彩は緑褐色や淡灰褐色・暗褐色で、褐色の斑点が入る個体が多い[3]。種小名nebulosusは、ラテン語で「雲状の」の意[4]。尾の背面外縁に黄色い筋模様が入る個体が多い[3]。
上顎中央部に並ぶ歯の列(鋤骨歯列)はアルファベットの深い「V」字状[3]。胴体に沿って前肢(および指)を後方へ後肢(および趾)を前方に伸ばしても0.5 - 2肋条ぶんの隙間がある[3]。後肢の趾は5本[3]。
卵嚢の表面には明瞭な筋が入らない[3]。
生態
主に低地から丘陵にある湧水や水田の周囲にある二次林や竹林・草原などに生息するが、中国山地の個体群は標高の高い自然林にも生息する[3]。本州では同所的に分布するヒダサンショウウオ・ブチサンショウウオH. naeviusと垂直分布(標高)ですみ分けを行っているが、中国山地では同じ環境に生息することもある[3]。
昆虫、クモ、ワラジムシ、ミミズなどを食べる[3]。幼生は水生昆虫、ミジンコ、イトミミズなどを食べ、共食いも行う[3]。
繁殖様式は卵生。12 - 翌5月に浅い池沼や水田の溝、湿原、流れの緩やかな沢などに50 - 179個の卵を産む[3]。卵は3 - 4月以降に孵化する[3]。幼生は6 - 7月に変態し幼体になる[3]。幼生期間中の水位が高いほど変態までの期間が長い。つまり、低水位に伴って幼生期間を短縮する性質がある[6]。
人間との関係
土地開発による生息地の破壊、それに伴う土砂流出による水質汚濁、減反政策による乾田の増加による繁殖地の減少、人為的に移入されたアメリカザリガニ・魚類などによる捕食などにより生息数は減少している[3]。京都府・愛媛県・岐阜県・滋賀県・奈良県では条例により許可のない捕獲が禁止されている[3]。
耕作放棄水田に素掘りの池を造成することは、産卵可能な場所を増加させ産卵場所の探索途中で捕食される機会を減少させるため、生息数の減少抑制に役立つ可能性が有るとの報告がある[7]。
出典
- ^ Yoshio Kaneko, Masafumi Matsui 2004. Hynobius nebulosus. The IUCN Red List of Threatened Species 2004: e.T59098A11871576. doi:10.2305/IUCN.UK.2004.RLTS.T59098A11871576.en. Downloaded on 23 May 2019.
- ^ a b c d Hynobius nebulosus. Frost, Darrel R. 2019. Amphibian Species of the World: an Online Reference. Version 6.0 (Date of access). Electronic Database accessible at http://research.amnh.org/herpetology/amphibia/index.html. American Museum of Natural History, New York, USA. (Accessed: 22/05/2019)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 松井正文 「カスミサンショウウオ」『レッドデータブック2014 -日本の絶滅のおそれのある野生動物-3 爬虫類・両生類』環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編、株式会社ぎょうせい、2014年、124-125頁。
- ^ a b c d e f g h i Masafumi Matsui, Hiroshi Okawa, Kanto Nishikawa, Gen Aoki, Koshiro Eto, Natsuhiko Yoshikawa, Shingo Tanabe, Yasuchika Misawa, Atsushi Tominaga, "Systematics of the widely distributed Japanese clouded salamander, Hynobius nebulosus (Amphibia: Caudata: Hynobiidae), and its closest relatives," Current Herpetology, Volume 38, Number 1, 2019, Pages 32-90.
- ^ a b c d “東広島市指定文化財の名称変更について”. 東広島市 (2019年7月30日). 2020年1月22日閲覧。
- ^ 森啓彰、夏原由博、「カスミサンショウウオの幼生期間における水位低下と水温, 捕食者の影響について」 『爬虫両棲類学会報』 2004年 2004巻 1号 p.3-11, doi:10.14880/hrghsj1999.2004.3
- ^ 夏原由博、「水田放棄がカスミサンショウウオの生息におよぼす 影響と生息場所修復の可能性」 『環動昆』 2002年 13巻 1号 p.11-17, doi:10.11257/jjeez.13.11
関連項目
外部リンク
- 夏原由博、三好文、森本幸裕、「メタ個体群存続可能性分析を用いたカスミサンショウウオの保護シナリオ」 『ランドスケープ研究』 2001年 65巻 5号 p.523-526, doi:10.5632/jila.65.523