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2018年1月29日 (月) 00:45時点における版

東方三博士の礼拝』(シャルル=アンドレ=ヴァン=ルー, 1760年頃)。西方教会でのEpiphanyの記念内容。
正教会神現祭(主の洗礼祭)イコン1497年頃、キリロ・ベロゼルスキイ修道院)。正教会でのEpiphanyの記念内容。

公現祭(こうげんさい、ギリシア語: ἐπιφάνεια, ラテン語: Epiphania domini, 英語: Epiphany)は、西方教会カトリック教会聖公会プロテスタント諸派)において、異邦への救い主(イエス・キリスト)の顕現を記念する祝日。カトリック教会で「主の公現」とも表記される[1]聖公会ではこの祝日のことを顕現日(けんげんび)と呼び、対応する期節を顕現節(けんげんせつ)と呼ぶ[2]。「主顕節」などとも呼ばれる。

元は東方教会の祭りであり、主の洗礼を記念するものであった。4世紀西方教会に伝わり、現在の公現祭(顕現日などとも)となったが、西方教会では主の洗礼の意味が失われ、幼子イエスへの東方の三博士の訪問と礼拝が記念の中心となり、異邦人に対する主の顕現として祝われるようになった[3]

正教会では東方教会における起源のまま、神現祭(しんげんさい、ギリシア語: Θεοφάνεια)もしくは主の洗礼祭(せんれいさい)と呼んでヨルダン川でのイエスの洗礼を記念し、三博士の礼拝は降誕祭で祭られている。


本項は西方教会における公現祭について詳述する。

歴史的経緯

東方三博士の礼拝』(バルトロメ・エステバン・ムリーリョ

この祭日のルーツは小アジア(現代のトルコ)などの地域にあると考えられている。もともとはエピファネイア(現れ)という名称によってイエスの誕生から東方の三博士の来訪、イエスの子供時代のすべての出来事、ヨルダン川で洗礼者ヨハネに洗礼を受けるまでの、降誕祭を含めたすべての祝いを含んでいた。(下記にあるように、正教会での奉神礼はこれ等を順に祭っている。)また、ユダヤ教ハヌカをキリスト教がひきついだものであるともいわれる。アルメニア教会では元来この祭で主の降誕を祝っており、この祭のための聖歌が数多く作られている。現在のアルメニアにおいては、ユリウス暦12月25日に主の降誕(アルメニア語では「聖なる誕生の日」)が祝われるが、生誕教会などパレスチナに在るアルメニア教会では、現在でも公現祭が主の降誕の祭として行われる。

公現祭が現存する記録に初めて現われるのは2世紀の神学者アレクサンドリアのクレメンスの著作『ストロマテイス』1巻12章においてである。オリゲネスの著作『ケルスス反論』には公現祭に関する記述はない。西方で祭日として祝われたことを示す最古の記録は4世紀アミアヌス・マルセリヌス361年の著作に見られる。

西方教会

西方教会では公現祭が取り入れられる前からイエスの誕生の記念として12月25日クリスマスを祝う習慣があった。そこでもともとはイエスの誕生の記念であった1月6日の公現祭とクリスマスの位置づけの整合性を保つため、12月25日から1月6日までの12日間を降誕節としてイエスの誕生を祝うというようになった。ラテン・アメリカなどでは独自にクリスマスから2月2日聖燭祭(ラテン語、スペイン語:カンデラリア)までの40日間を降誕の祝いとしている。

カトリック教会、聖公会

カトリック教会および聖公会では、一般的に1月6日に祝われる固定祭日であるが、現在の日本でのように守るべき祭日ではない国においては1月2日から8日までの主日に祝っている。1970年代までのカトリック教会および1976年までの聖公会では1月6日の公現祭(顕現日)から八日間の荘厳な祝いを行う習慣があった。1970年代以降もカトリック教会のある地域では公現祭の祝いを伝統にあわせてこの期間に行っているが、日本やアメリカ合衆国では平日に信徒が教会に集まりにくいという社会事情にあわせて公現祭を1月2日から1月8日のあいだの主日に祝うように変えている。カトリック教会と聖公会では今でも1月6日の公現祭のあとの最初の月曜日を降誕節の終わりと位置づけている。ただ日本やアメリカなど公現祭が移動祭日になっている国で公現祭が1月7日あるいは8日に動くときにはその次の月曜日になる。いずれの場合にしても公現祭のあとに「主(イエス)の洗礼」が記念され、典礼暦の年間が始まる。

ルーテル教会

ルーテル教会でも、伝統的にこの日が祝われてきた。ヨハン・ゼバスティアン・バッハクリスマス・オラトリオの第6部が、この日の讃美である。

正教会

世界各地の習慣

魔女のベファーナ

世界各地には公現祭に伴うさまざまな慣習がある。

ヨーロッパアメリカ州カトリック教会の信仰が盛んな地域ではや小さな人形貴金属などを入れて焼いたケーキ菓子パンを切り分け、この豆などが当たった人をその日だけ王とする習慣があり、例えばフランスガレット・デ・ロワなどがこれにあたる。この行事は古代ローマの農耕神サートゥルヌスの祭りサートゥルナーリアに由来する。

また、スペイン語圏、ポルトガル語圏やイタリアでは、子供たちがプレゼントをもらうのは伝統的にはクリスマスではなく公現祭の日(1月6日)である。東方の三博士がイエスに贈り物をもってきたという聖書の記述にちなむ風習である。

脚注

  1. ^ カトリック教会祝日表1
  2. ^ 『日本聖公会 祈祷書』2頁、日本聖公会、1991年6月20日 第一版
  3. ^ キリスト教大事典 改訂新版』390頁、教文館、昭和52年 改訂新版第四版

関連項目