「リトルダンサー (路面電車)」の版間の差分
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'''リトルダンサー'''とは、アルナ工機(現・[[アルナ車両]])・[[東芝]]・[[住友金属工業]](現・[[新日鐵住金]])・[[東洋電機製造]]・ナブコ(現・[[ナブテスコ]])で共同開発された、[[超低床電車|超低床型]][[路面電車]]車両シリーズの呼称である。1999年よりアルナ工機において超低床路面電車の開発プロジェクトが開始され、2001年より量産が開始された。この「リトルダンサー」という呼称には、「躍動的で可愛らしい小さな踊り子『Little Dancer』のイメージ」と共に、「床の『段差が小さい』路面電車」という意味合いが含まれている<ref>[https://web.archive.org/web/20140808041320/http://www.hankyu-hanshin.co.jp/kenkyusho/mame/mame043.html 阪急阪神研究所 研究員のマメ辞典:リトルダンサー] - [[阪急阪神ホールディングス]](2014年8月8日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>。 |
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== 共通仕様 == |
== 共通仕様 == |
2017年9月4日 (月) 22:49時点における版
リトルダンサーとは、アルナ工機(現・アルナ車両)・東芝・住友金属工業(現・新日鐵住金)・東洋電機製造・ナブコ(現・ナブテスコ)で共同開発された、超低床型路面電車車両シリーズの呼称である。1999年よりアルナ工機において超低床路面電車の開発プロジェクトが開始され、2001年より量産が開始された。この「リトルダンサー」という呼称には、「躍動的で可愛らしい小さな踊り子『Little Dancer』のイメージ」と共に、「床の『段差が小さい』路面電車」という意味合いが含まれている[1]。
共通仕様
シーメンス社製のコンビーノシリーズや日本製のJTRAM等の超低床車両に使われている車軸のない独立車輪式台車ではなく、従来型の軸付き車輪の台車を用いることによって安定した走行性能を確保すると共に、いわゆる交通バリアフリー法や軌道法に準拠した設計としている。車両に使用されている部品はすべて日本製である。複雑な駆動方式を用いていないため、在来の路面電車車両に近い保守が可能である。
バリエーション
現在、リトルダンサーシリーズには、運用する各事業者の用途と仕様に応じて合計8つのタイプがある。
タイプS
従来のボギー車両の構造をとる単車型の車両で、台車を車端に寄せることで客室部の低床化を図ったタイプ。Sは"Short"を意味する[2]。このタイプであれば、在来車の機器を用いて車体更新車として製造することも可能である。低床部分の客室床面高さは350mmである。ただし、台車の部分で段差が発生することがどうしても避けられないことと、乗車定員が他の低床車と比べて少ないという弱点がある。2002年3月より伊予鉄道モハ2100形電車として営業を開始した。また、2007年11月から2008年3月までの間は札幌市電にて、2009年11月にはJR四国の本線上にてそれぞれ試験走行を行った鉄道総合技術研究所(鉄道総研・JR総研)の架線/電池ハイブリッド電車LH02形「Hi-Tram」が、このタイプの車体を用いている。
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伊予鉄道モハ2100形
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鉄道総研LH02形電車
Hi-tram
タイプL
土佐電気鉄道(現・とさでん交通)が導入したタイプ。Lは"Long"を意味し、車体長が17mと比較的長い[3]。タイプSの中央部に台車つきの中間車両を配したような形の3車体3台車型の連接車で、客室床面高さは両端車体で350mm、中間車で480mmである。定員は71名。2002年4月より土佐電気鉄道100形電車として営業運転を開始した。
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土佐電気鉄道100形
ハートラム
タイプA3
鹿児島市交通局が2002年1月に1000形電車で採用したタイプ(日本初の国産超低床車)。日本で国内向けに作られた路面電車車両で、初めて70%低床となった車両である。A3のAは"Articulated"(=関節)を意味する[4]。中間車がフローティング構造となっている3車体2台車型連接車で、客室床面高さは330mmである。電動ばねブレーキ(EBI)を装備しており、エアは一切使用しない。カーブでの車体中央部の張り出しを避けるため、台車のある運転席モジュールの間に客室モジュールを挟む方式をとったことから、車内の総床面積に対する客室床面積の比率は少ない。伊予鉄道モハ2100形電車のように運転台後部に座席を設けることも可能であるが、鹿児島市交通局では客室内の段差は危険として設けていない。
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鹿児島市交通局1000形
ユートラム
タイプA5
2007年4月に営業を開始した鹿児島市交通局7000形で採用されたタイプ。両端の運転台モジュールの間に、客室部分となる台車付の中間車と2つのフローティング車体を組み込んだ5車体3台車型連接車である。車体長は18メートル。定員は78名と先に導入された1000形に比べ、大幅に増加した。
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鹿児島市交通局7000形
ユートラムII
タイプU
タイプA3同様、中間にフローティング車体を採用した3車体2台車型連接車で、電動ばねブレーキを装備している。Uは"Ultimate"(=究極)を意味し、リトルダンサーシリーズの集大成的な位置づけとされる[5]。他のタイプと同じく在来型の車軸付き車輪の台車を用いるが、主電動機を車体(運転台下部)に装架し、継ぎ手で車軸を駆動する方式(車体装架カルダン駆動方式)を採用。それまで他のタイプではできなかった、車軸付き動力台車部の低床化を実現した100%低床車である。客室床面高さは低床部で380mm、台車上で480mmである。2004年3月より長崎電気軌道3000形電車として営業運転を開始した。
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長崎電気軌道3000形
タイプUa
リトルダンサーシリーズの中で一番多く導入されているタイプである。車体構造は基本的にタイプUとほぼ同様の3車体2台車型連接車であるが、ブレーキ装置は電動バネ式 (EBI) ではなく、空気ブレーキを装備している。このため、中間の車体(C車)の座席下部分に電動空気圧縮機を搭載している。また、軌間が狭軌 (1067mm) の仕様の車両においては、主電動機と車軸をつなぐ継ぎ手を台車枠の外側に配することにより、台車部の車内通路幅を交通バリアフリー法に対応する 820mm を確保している。豊橋鉄道T1000形電車(2008年12月営業運転開始)、富山地方鉄道T100形電車(2010年4月営業運転開始)、長崎電気軌道5000形電車(2011年2月営業運転開始)、札幌市交通局A1200形電車(2013年5月営業運転開始)、阪堺電気軌道1001形電車(2013年8月営業運転開始)、筑豊電気鉄道5000形電車(2015年3月営業運転開始)に、このタイプが採用されている。
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豊橋鉄道T1000形
ほっトラム -
富山地方鉄道T100形
サントラム -
長崎電気軌道5000形
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札幌市交通局A1200形
ポラリス -
阪堺電気軌道1001形
堺トラム -
筑豊電気軌道5000形
タイプC2
タイプUの車両から中間フローティング車体を取り除いたような車体構造をとる、2車体2台車型連接車である。C2のCは"Combination"を意味する[6]。ブレーキ装置は空気ブレーキを装備している。また、ドアはプラグドアではなく、従来型の引戸と折戸が使用されている。2007年3月より営業運転を開始した函館市交通局9600形電車に、このタイプが採用されている。
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函館市交通局9600形
らっくる号
タイプX
従来のリトルダンサーとは異なる発想で開発が進められた車両で、世界最小クラスのモーターを使用する事で従来車両と同じWNドライブ[7]での100%超低床と、事業者から要望が多かった全席ロングシートも実現した。2車体2台車の連接車両であるが、事業者からの要望に合わせて4車体連接も可能となっている[8]。2017年3月30日に鹿児島市電に導入した鹿児島市交通局7500形「ユートラムⅢ」で採用された[9][10]。
脚注
- ^ 阪急阪神研究所 研究員のマメ辞典:リトルダンサー - 阪急阪神ホールディングス(2014年8月8日時点のアーカイブ)
- ^ 『路面電車EX 2016 Vol.08』イカロス出版、2016年、46頁。
- ^ 『路面電車EX 2016 Vol.08』イカロス出版、2016年、47頁。
- ^ 『路面電車EX 2016 Vol.08』イカロス出版、2016年、45頁。
- ^ 『路面電車EX 2016 Vol.08』イカロス出版、2016年、47頁。
- ^ 『路面電車EX 2016 Vol.08』イカロス出版、2016年、48頁。
- ^ 東洋電機製造ニュースリリース
- ^ 『路面電車EX 2017 Vol09』イカロス出版、2017年、5-7頁。ISBN 978-4-8022-0326-5。
- ^ 『路面電車EX 2016 Vol.08』イカロス出版、44頁。ISBN 978-4-8022-0243-5。
- ^ 『路面電車年鑑2017』(イカロス出版)16頁