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'''F検定'''(エフけんてい)とは、[[帰無仮説]]が正しければ統計量が[[F分布]]に従うような[[統計学的検定]]の総称である。この名称は、[[ロナルド・フィッシャー|ロナルド・A・フィッシャー]]に敬意を表して{{仮リンク|ジョージ・W・スネデカー|en|George W. Snedecor}}によって命名された。フィッシャーは1920年代に分散比による統計を最初に開発した<ref>Lomax, Richard G. (2007) ''Statistical Concepts: A Second Course'', p. 10, ISBN 0-8058-5850-4</ref>。
'''F検定'''(エフけんてい)とは、[[帰無仮説]]が正しければ統計量が[[F分布]]に従うような[[統計学的検定]]の総称である。この名称は、[[ロナルド・フィッシャー|ロナルド・A・フィッシャー]]に敬意を表して{{仮リンク|ジョージ・W・スネデカー|en|George W. Snedecor}}によって命名された。フィッシャーは1920年代に分散比による統計を最初に開発した<ref>Lomax, Richard G. (2007) ''Statistical Concepts: A Second Course'', p. 10, ISBN 0-8058-5850-4</ref>。


== 定義 ==
F検定には次のようなものがある:
F検定には次のようなものがある:
# [[正規分布]]に従う2つの群の「[[標準偏差]]が等しい」という[[帰無仮説]]の検定。これは[[t検定]]の前段階の「[[等分散性]]検定」として用いられる。ただし、このような前段階での等分散性検定の利用は正しくないという指摘も見られる<ref>[[#Zimmerman(2014)|Zimmerman(2014)]]</ref>。
# [[正規分布]]に従う2つの群の「[[標準偏差]]が等しい」という[[帰無仮説]]の検定。これは[[t検定]]の前段階の「[[等分散性]]検定」として用いられる。ただし、このような前段階での等分散性検定の利用は正しくないという指摘も見られる<ref>[[#Zimmerman(2014)|Zimmerman(2014)]]</ref>。
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一般に[[統計量]]Fとは、2つの群の[[標準偏差]]の比であって、両群とも[[正規分布]]に従う場合にはFは[[F分布]]に従う。これを用い、Fの計算値が片側有意水準内に入るかどうかを検定するのがF検定である。
一般に[[統計量]]Fとは、2つの群の[[標準偏差]]の比であって、両群とも[[正規分布]]に従う場合にはFは[[F分布]]に従う。これを用い、Fの計算値が片側有意水準内に入るかどうかを検定するのがF検定である。


日本工業規格では、「検定統計量が,帰無仮説の下でF分布に従うことを仮定して行う統計的検定。」と定義している<ref>[[JIS Z 8101]]-1 : 1999 [[統計]] − [[用語]]と[[記号]] − 第1部:[[確率]]及び一般統計用語 2.62 F検定, [[日本規格協会]], http://kikakurui.com/z8/Z8101-1-1999-01.html</ref>

== 自由度 ==
F分布関数はFの分母および分子に対応する2つの[[自由度]]をとる。
F分布関数はFの分母および分子に対応する2つの[[自由度]]をとる。


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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* {{citation | author=Donald W. Zimmerman | title=Inflation of Type I Error Rates by Unequal Variances Associated with Parametric, Nonparametric, and Rank-Transformation Tests | url=http://files.eric.ed.gov/fulltext/EJ848306.pdf | year=2004 | ref=Zimmerman(2004) }}
* {{citation | author=Donald W. Zimmerman | title=Inflation of Type I Error Rates by Unequal Variances Associated with Parametric, Nonparametric, and Rank-Transformation Tests | url=http://files.eric.ed.gov/fulltext/EJ848306.pdf | year=2004 | ref=Zimmerman(2004) }}
* {{Cite book|和書|author=西岡康夫|year=2013|title=数学チュートリアル やさしく語る 確率統計|publisher=[[オーム社]]|isbn=9784274214073}}
* {{Cite book|和書|author=[[伏見康治]]|year=1942|title=[[確率論及統計論]]|publisher=[[河出書房]]|isbn=9784874720127|url= http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/ebook/204}}
* {{Cite book|和書|author=[[日本数学会]]|year=2007|title=数学辞典|publisher=[[岩波書店]]|isbn=9784000803090}}
* [[JIS Z 8101]]-1:1999 [[統計]] − [[用語]]と[[記号]] − 第1部:[[確率]]及び一般統計用語, [[日本規格協会]], http://kikakurui.com/z8/Z8101-1-1999-01.html

== 関連項目 ==
* [[確率]]
** [[確率論]]
* [[統計学]]



{{統計学}}
{{統計学}}

2016年4月23日 (土) 09:48時点における版

F検定(エフけんてい)とは、帰無仮説が正しければ統計量がF分布に従うような統計学的検定の総称である。この名称は、ロナルド・A・フィッシャーに敬意を表してジョージ・W・スネデカー英語版によって命名された。フィッシャーは1920年代に分散比による統計を最初に開発した[1]

定義

F検定には次のようなものがある:

  1. 正規分布に従う2つの群の「標準偏差が等しい」という帰無仮説の検定。これはt検定の前段階の「等分散性検定」として用いられる。ただし、このような前段階での等分散性検定の利用は正しくないという指摘も見られる[2]
  2. 正規分布に従う複数の群(標準偏差は等しいと仮定する)で、「平均が等しい」(つまり同じ母集団に由来する)という帰無仮説の検定。この方法は分散分析に用いられる。

一般に統計量Fとは、2つの群の標準偏差の比であって、両群とも正規分布に従う場合にはFはF分布に従う。これを用い、Fの計算値が片側有意水準内に入るかどうかを検定するのがF検定である。

日本工業規格では、「検定統計量が,帰無仮説の下でF分布に従うことを仮定して行う統計的検定。」と定義している[3]

自由度

F分布関数はFの分母および分子に対応する2つの自由度をとる。

1 の場合には、両群の標準偏差(不偏分散の平方根)からFを求める。自由度は分母および分子に対し(各標本数 - 1)である。

2 の場合には、群内分散を分母、群間分散を分子としてFを求める。自由度は分母に対し(全標本数 - 群数)、分子に対し(群数 - 1)とする。

脚注

  1. ^ Lomax, Richard G. (2007) Statistical Concepts: A Second Course, p. 10, ISBN 0-8058-5850-4
  2. ^ Zimmerman(2014)
  3. ^ JIS Z 8101-1 : 1999 統計用語記号 − 第1部:確率及び一般統計用語 2.62 F検定, 日本規格協会, http://kikakurui.com/z8/Z8101-1-1999-01.html

参考文献

  • Donald W. Zimmerman (2004), Inflation of Type I Error Rates by Unequal Variances Associated with Parametric, Nonparametric, and Rank-Transformation Tests, http://files.eric.ed.gov/fulltext/EJ848306.pdf 
  • 西岡康夫『数学チュートリアル やさしく語る 確率統計』オーム社、2013年。ISBN 9784274214073 
  • 伏見康治確率論及統計論河出書房、1942年。ISBN 9784874720127http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/ebook/204 
  • 日本数学会『数学辞典』岩波書店、2007年。ISBN 9784000803090 
  • JIS Z 8101-1:1999 統計用語記号 − 第1部:確率及び一般統計用語, 日本規格協会, http://kikakurui.com/z8/Z8101-1-1999-01.html

関連項目